著者
中島 卓郎 岡田 匡史
出版者
信州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本年度の研究は、「印象派期における音楽と絵画の相関(2)-ドビュッシーとモネの作品の構造的側面からの分析および考察-」を行った。ドビュッシーは、ピアノ作品におけるダンパーペダルの斬新な使用法により、1つ1つの和声をはっきりと示すことなく、それらを融合させて響きの色合を溶け合わせている。そして、そのような響きに包まれた休符や'で区切られる断片的な旋律は霧の中にうっすらと見えるかのようにぼかされている。これらは、モネが絵画において、SLの猛煙,立ち込める靄や霧をメイン・モティーフとし、輪郭をキチッと描かず、「積み藁」,「ルーアン大聖堂」,ロンドンで描いた「橋」とか「国会議事堂」などの連作,さらには殆ど融合してしまう晩期の「ばらの小道」連作など、対象が周りの空間に溶け込むような作法をとったことと極めて類似するものである。また、ドビュッシーが伝統的機能和声の破棄による方向性の薄い和声群を基盤としていることや、コントラストを避けた強弱法なども、やはりモネの、絵画作品において伝統的に使用されていた黒を避け、影を黒でない色で表すことによって生じる朦朧たる情調や、カラヴァッジオを嚆矢とするバロック的作風とは対照的に,明暗のコントラストを抑え,明るい色(概してパステル調)で全体をまとめていることなどと、相通じるものである。それらが結果として「ぼかしの効果」を生み出していると考える。ドビュッシーの作品に見られた、驚くほど多様で細密なアーティキュレーションや弱音域に執着した精緻な強弱法は、ほんの少しだけの微細な変化をもたらし、pp、pppの多彩さと限りないニュアンスを生み出した。一方、モネにおいては、白を混ぜる中間域トーンを主として達成される,色の無限とも言いうる諧調、緑にピンクやヴァイオレットが浸透したりもする移ろふようなデリケートな色調を用い、点描をビッシリと敷き詰めていく中で,その作品において色が発酵を始め,葉を繁らす木々,キラキラ輝く川面,陽を浴びた岩肌などが,独特なニュアンスを呈してくる。加えて、型・レ型・l型,また長短太細と,様々な種類のストロークが画面を構成し、油絵具の粘っこくネットリした触感性をよく生かした,稠密で美しいマティエールなどの技法も、「細部の緻密性と豊穣なニュアンス」という点において、ドビュッシーと近似していると捉えられる。そして、3点目は「主張のなさ」である。ドビュッシーの作品は、小節数・演奏所要時間の短さ、小規模な編成により、誠に簡潔性を帯びたものであり、極端な弱音城における表現の連続、旋回あるいは下降形をとる旋律線、楽節構造の曖昧さやモティーフの非発展性と非生成感、単調なリズムの反復などには、主張が感じられなく、クライマックスの不在と簡潔なコーダとともに、ドラマティックな展開とは全く無縁の世界と捉えられる。モネでの添景人物の反復的な置き方,並木の列,またはタッチの繰り返しには,やはり劇的な盛り上がりが認められない。そこでは、聖書などのテキスト,モティーフの寓意的・教訓的働きをベースとはせず,今ここで目に映り感覚に訴えてくる物を描き、ドラマを伴う人間でなく,普通の,ありふれたとも言いうる風景の方がテーマとなる。そして、対象となる人物に対し、しばしば目鼻口を描かず,心理表出に大きく益するところの表情が顔に表れていない。このようなアトモスフェリックな絵は中心性が退くため,拡散的な空間自体がテーマとなっている。これらのこと全てが、思弁性を帯びた主張をなくし、「耳を楽しませるための」、「目を楽しませるための」、音楽と絵画の創造を導いていると考える。
著者
横山 嘉彦
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本萌芽研究のそもそもの目的は、新しい溶解・鋳造プロセスを開発して、新規な非平衡物質を開発することにある。本装置の開発を通じて非常に興味深い知見を得ることが出来た。特に、従来融点が高くて鋳造が困難であった亜共晶のZr基金属ガラスにおいて、得られた金属ガラスは柔らかくしなやかで、ボアソン比が高く低弾性率であることがわかった。今までの研究では作成可能な金属ガラスの組成範囲が限られていたが、それを大きく広げることが可能になった。ZrリッチのZr-Cu-Al系亜共晶組成金属ガラスは、アモルファス材料のアキレス腱とも言える構造緩和脆性の兆候を見せることなく非常に高靱性である。しかも、Zr-Cu-Ni-Al系と4元系にすることで引張延性を得ることにも成功している。引張延性を示す亜共晶Zr-Cu-Ni-Al合金は引張試験に伴って明瞭なくびれを示し、均質な見かけ上の伸びを示している。引張延性に伴って加工硬化も軟化もしていないが、今後の研究において加工硬化を発現させることは十分に可能であると考えている。今まで室温で引張伸びのない金属ガラスは構造材料に使うことが困難とされてきたが、この結果を受けて金属ガラスの産業化は大きく前進したことになる。一方、本開発装置、アークプラズマ浮遊溶解装置は非常に少量の鋳造に適した鋳造装置である。安価で簡便な鋳造機として今後は歯科医療や小型精密鋳造部品などの種々の産業的な展開が期待できると考えている。また、本プロセスを更に発展させることで、完全溶解が困難な高融点合金の浮遊溶解・鋳造および超急冷が可能になると期待している。
著者
安達 久博
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本年度は、前年度に得られた、共起関係ペアを特徴観点とする特徴ビット・ベクトル間の類似性計算による対象オノマトペの同値類への分割結果を利用し、清音と濁音(半濁音を含む)間との対応関係を分析した。たとえば、「トントン」と「ドンドン」の関係は清音と濁音の違いだけであるが、この二つのオノマトペの基底概念(ものを叩く)は共通と考えることができ、強弱関係の差を提示していることが分かる。一方、同様に「ジロジロ」の基底概念は(ものを見る、観察する)であるが、その清音に対する「シロシロ」はオノマトペとは認定し難いものである。このように、必ずしも清音と濁音相互間で対応するオノマトペが存在するとは限らないといえる。なお、「クンクン」と「グングン」の関係ペアにみられる共通の基底概念は希薄で、別の概念をあらわしている関係ペアがあることが分かった。他にも「フリフリ」が様態を示すのに対して、「ブリブリ」は感情(負の)を示しているように、擬音と擬態の対比があるペアは興味のある結果である。これらの成果は外国人や聴覚に障害を持つ人々が日本語のオノマトペを学習する際に有益な知見を提示することができるデータベースとして機能し、日本語学習支援システムなどに有効利用できると考える。本年度は、この関係を検索・表示するシステムを試作した。検索システムは、オノマトペを含む例文コーパスをデータベースとし、オノマトペを入力すると、対応する例文コーパスを提示する。この例文の提示の特徴はオノマトペの意味を言葉で記述することの難しさを、複数の例文を提示することで、意味(概念)の差を理解させる、単語の見出しに対する、単語の概念見出しと捉えることができる。また、清音(フラフラ)の入力に対して、対応する濁音(ブラブラ)の例文も参照できる構造とすることで、概念の差を明示可能な構造とした。
著者
和辻 直 関 真亮 斉藤 宗則 篠原 昭二 有田 清三郎
出版者
明治鍼灸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

医療分野で伝統医学(東洋医学)の診察法を活用していく上で最大の課題は、東洋医学の診察法の有用性を明らかにすることである。そこで、東洋医学の診察法を応用した健康支援システムを構築する試みとして、東洋医学の診察法と客観的測定結果を比較し、その有用性を検討した。方法は本研究に同意を得た成人6名を対象に、個々の体調変化をみるために、2週間に計6回、午後に調査した。調査項目は(1)東洋医学の診察は、診察者が顔面診、舌診、声診、問診、脈診を行った。(2)客観的測定は、顔面情報にはサーモグラフィを用いて顔面皮膚温を測定した。また舌情報を画像記録し、舌診断システムにて判断した。音声情報では音声をレコーダーに記録し、音声解析ソフトにて解析した。同時に発話音声解析システムを用いて疲労状態を計測した。さらに生理学的検査は、安静仰臥位の姿勢で瞬時心拍とR-R間隔変動を30分間連続測定した。(3)体調の把握として東洋医学健康調査票(57項目)、健康関連QOL尺度のSF-8を行った。結果は、顔面診の結果と顔面皮膚温の低温部との一致率が約8割と高かった。声診の結果と音声解析の結果に関連を認めなかったが、音声の基本周波数は東洋医学健康調査票の気虚(R=0.59,p<0.0001)や虚証などの項目と相関した。システムの一部となる舌診断システムは東洋医学健康調査票との関連が少なく、別の視点で体調変化を捉えていた。東洋医学健康調査票の心(R=0.59,p<0.0001)、肺、陽虚などの項目は心拍数に相関を示した。また東洋医学健康調査票の虚証(R=0.54,p=0.001)や全体点数などの項目はSF-8身体的サマリースコアに相関を示した。なお発話音声解析システムは解析中である。顔面や舌、音声情報や東洋医学健康調査票の結果は、いずれも個人の体調変化を捉えていたが、密接な関連が少なかった。東洋医学は各診察情報から総合的に判断するために、各診察情報を統合し、その情報の特徴を抽出することで、個人の体調変化を捉える健康支援システムが構築できる可能性が示唆された。
著者
上 真一 小路 淳
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、ミズクラゲやエチゼンクラゲなどの有害クラゲを捕食する天敵クラゲを探索し、その捕食能力を利用した有害クラゲ種の発生制御の開発を目的としている。今年度は下記の研究成果を得た。(1)天敵クラゲ種の探索と捕食能力の測定水温25℃において、有櫛動物のウリクラゲ(湿重量:約20g)は体重約10gのカブトクラゲを1日に最大2個体捕食した。水温20℃において、刺胞動物のユウレイクラゲ(湿重量:約300g)は体重130gのミズクラゲを8時間で完全に捕食した。アカクラゲ(湿重量:約150g)は体重5gのエチゼンクラゲを2-3時間で完全に捕食した。オキクラゲは自らより大型のミズクラゲを捕食可能であった。また、アマクサクラゲもミズクラゲやエチゼンクラゲを捕食可能であった。以上のように、旗ロクラゲ目の中で比較的強い刺胞毒を有する種類は、他のクラゲ種を捕食し、天敵として機能することが明らかとなった。(2)安定同位体比に基づくクラゲ類の餌-捕食者関係瀬戸内海に出現するカブトクラゲ、ミズクラゲ、アカクラゲの安定同位体比から、それらの食性を推定した。安定同位体比はいずれもカイアシ類などの動物プランクトン食性を示し、本方法では天敵クラゲとなるクラゲ種を特定することはできなかった。(3)汽水湖におけるミズクラゲの餌生物と共食い可能性の調査富栄養汽水湖である中海本庄工区には膨大なミズクラゲ個体群が出現する。それらの消化管内容物を調査することにより、餌生物の特定と共食いの有無の調査を行った。ミズクラゲは湖内に出現するカイアシ類などの動物プランクトンをほぼ無選択に捕食しており、ミズクラゲを餌として捕食することはなかった。サイズの異なるミズクラゲ同士を水槽内に収容しても、共食いを行うことはなかった。
著者
庄司 隆行
出版者
東海大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

深海域に棲息する動物のうち、無顎類、板鰓類、硬骨魚類、甲殻類からそれぞれ1種ずつを選び、各嗅覚系の形態比較と行動実験を行った。試魚として、静岡市興津沖水深300-600mにおいて捕獲したヌタウナギEptatretus burgeri、ホラアナゴSynaphobranchus affinisおよび熊野灘(水深300-400m)にて捕獲したホソフジクジラEtmopterus brachyurus、オオグソクムシBathynomus doederleiniを用いた。形態観察として嗅板表面を走査型電子顕微鏡により観察し、摘出した脳、鼻腔組織の嗅神経および嗅索に脂溶性蛍光色素(DiI)を浸透させ嗅房、嗅球、終脳における嗅神経の走行を蛍光顕微鏡にて観察した。ホラアナゴ嗅神経束は他魚種よりも太く、嗅球に入力する前の段階で2本以上の分枝を形成していた。これは、嗅細胞数の多さと嗅球でのニオイ情報の処理能力の高さを示している。ホソフジクジラも同様にきわめて大きな嗅房、発達した嗅球を持っており、ニオイ情報の収集、処理能力は高いと推測された。ヌタウナギの鼻腔は7枚の大きな嗅板からなる嗅房を通り食道に連絡していた。嗅球は終脳と比較して大きく、一方延髄の味覚中枢は未発達であった。また、ヌタウナギとオオグソクムシを用いてニオイ刺激に対する行動観察を行った。特にオオグソクムシの実験では、動きのトラッキングを暗黒下において容易にしかも精密に行なうため、体の位置と向きを示す赤外線ダイオードフラッシャーおよび記録・解析用ソフトウェア(Windowsベース)を開発した。これにより、様々なニオイに対する深海生物の嗅覚行動の観察が容易にできるようになった。ヌタウナギ、オオグソクムシともにきわめて鋭敏な嗅覚感度を持つことも明らかとなった。
著者
八田 勘司 堀川 悦夫 藤田 君支 佐藤 和子
出版者
佐賀大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、長期療養施設における高齢者に非薬物療法としてのユーモアセラピーを用いて、心身の活性化を図り、ユーモアセラピーの効果を明らかにすることである。さらに、プログラムや実施上の留意点などを検討しモデルを開発することである。本年度は、総合保健施設の通所サービスを利用している高齢者で、調査に同意の得られた「ちんどんセラピー」介入群(18名)、非介入群(対照群)12名を分析対象とした。平日の午前中に、ちんどん屋を専業としている協力者による「ユーモアセラピー」(演奏、口上、大道芸、踊りなど30分間)を行った。介入前後に採血を行い、神経系、内分泌系、免疫系の変化を分析した。気分評価には5段階尺度を用いた。また、ちんどん屋によるユーモアセラピー中の表情・行動の変化を分析するため、同意の得られた患者6名にビデオ撮影を行った。対照群は別の日の午前中に2回採血を行い、介入群と比較検討した。その結果、介入群では、βエンドルフィン値、アドレナリン値、ノルアドレナリン値が介入前と介入後の間で有意に高値を示し、コルチゾール値は有意に低下したが、NK細胞活性は有意な差は認められなかった。対照群では、2回のそれぞれの値に有意な差はみられなかった。気分評価は実施前と実施後で快の方向に有意に変化した。プログラムの面白度では、「玉すだれ」が最も高く、踊りの場面で笑顔が多くみられた。ちんどん屋による「ユーモアセラピー」は、ちんどん太鼓やゴロス、トランペットなどの楽器で生演奏を行い、場内を練り歩くプログラムで構成されている。賑やかでリズミカルな音楽、大道芸、盆踊り等を行うことは、交感神経系を刺激して適度な緊張状態に導き、心身の活性化につながると考えられる。ちんどん屋による「ユーモアセラピー」での楽しい笑いは、高齢者の気分を高め、神経・内分泌系に影響を与えて、高齢者の健康増進に役立つ可能性が示唆された。プログラムは音楽と大道芸と踊りの三要素で構成し、楽しい雰囲気を作ることが重要である。
著者
岡本 峰雄
出版者
東京海洋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

1.藻類増殖具の改良新型増殖具(鉄鋼スラグが原料のセラミック)は強度が高い微細多孔質構造という特徴を有していた。18年11月、東京湾内2ケ所(江奈漁港、竹岡海岸)のアラメ藻場に設置し、19年5,6月に回収した。また19年10-11月、館山実験場と茨城水試でアラメ着生実験を行った。2.海域実験18年に設置した増殖具は実験室で詳細な計測を行った。江奈の0m層の増殖具にはアオサ、0.2mはツノマタ、竹岡の2mはツノマタとテングサ)が生育していた。藻類はさまざまな生長段階のものが密生し(株数計測不能)、着生位は光を受ける上面から側面に限られていた。3.水槽実験館山では漂着したアラメ、茨城では当日採取したアラメを用い、遊走子を抽出した。増殖具は遊走子液に浸漬して水槽で育成した。茨城では増殖具を配置した水槽に母藻を投入する方法も追加した。増殖具表面は1-2週間で珪藻が厚く覆ったため、適時表面をブラシで軽く清掃した。20年2月段階で一部の増殖具に数ミリから10mmのアラメ幼体(胞子体)が確認され、以後は成長を速めた。増殖具に数個から数十個の幼体が密生していた。母藻を投入して放置し、適時表面をブラシで清掃したものが着生に成功した。遊走子の着生から幼体が確認できるまでの成長段階は観察することはできなかった。増殖具の微細孔に珪藻は入れないが遊走子は入れることが理由と考えるが未解明である。
著者
速水 修 前田 和司
出版者
北海道教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1.これまで施行してきたスキー遊びについて、本学及び附属中学校の歩くスキーの授業において、方法を改善し、歩くスキーのスキルアップの効果を確認した。2.初心者指導に効果的な人工の雪山については、これまでの実践研究から、歩くスキーで直登行できる傾斜(約5度)とした。この斜度は、中級者にとっても、スピードを出して通過したり、降り斜面での片足スキーなどのスキースキルの学習に効果的であった。3.初心者指導に有効なスキースキルについては、フィンランドスキー連盟で実施しているスキースキルを参考にして初心者、中級者の指導に効果的と思われるものを幼児、中学生、大学生に実践し、その有効性を検討した。4.スキー遊びに使用するジャンプ台は、積雪量や雪質によっては造りづらいことがあるので、木製で移動可能なジャンプ台(幅60cm×長さ130cm×前の高さ30cm・後の高さ15cm)を製作し中級者を対象にテストをし、その安全性と有効性を検討した。5.旭川市民体育の日(平成19年2月17日)に、旭川市教育委員会スポーツ課の許可を得て、神楽岡歩くスキーコースにおいて、トラックセッターによりクラシカル用の溝を切り、参加者(約50名)の感想を聞いた。その結果、全員からその有効性が確認された。6.当初、小学生を対象にスキー遊びの実践指導を計画していたが、日程、天候の都合で実施できなかった。しかし、保育園児(4歳児22名、5歳児27名)を対象に、スキー遊びを実践することができ、幼児段階での有効性が確認できた。7.3年間の研究の成果の概要を指導者および歩くスキーの環境を提供・整備する行政関係者向けに小冊子「スキー遊びとスキースキル」としてまとめ、180部印刷した。歩くスキー実践校及び教育委員会等に配布の予定である。
著者
小林 幹夫
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 マダケ属モウハイチクPhyllostachys meyeriの花成促進遺伝子ホモログPmFTの全4コピーをクローニングし、塩基配列を決定し、95%以上の相同性を有する550塩基の断片をマーカーとしたイネ科27分類群の系統類縁関係を解析し、進化傾向を検討した結果、この遺伝子が小穂耕造に関わり、連の分類単位の識別に有効であること、これまで帰属をめぐり論争のあったStreptogyna連の亜科への昇格の可能性を示唆した。この結果は8月にコペンハーゲン大学で開催されたMonocots IV第4回単子葉植物の比較生物学/第5回イネ科植物の分類と進化国際シンポジウムにおいて口頭発表し、日本植物学会欧文誌に表紙写真付きで掲載された。2 モウハイチクおよびオカメザサ属トウオカメザサShibataea chinensisのそれぞれの一斉開花過程におけるPmFTおよび花成抑制遺伝子PmCENの発現パターンをリアルタイムRT-PCR法で解析し、両種ともにPmFTは一斉開花桿の葉で最も高く、再生竹の花序ではPmCENがより高く、実生や幼若個体ではPmCENのみが高く発現し、タケ類の一斉開花過程において、モデル植物で解明されたのと同様な花成遺伝子発現の制御機構の介在を示唆した。また、トウオカメザサの一斉開花過程と花序の形態を記載した。3 リョクチクBambusa oldhamiより単離したタケモザイクウイルスBaMVの全6,365塩基の配列を決定し、ベクター化に必要な完全長cDNAクローンを構築中である。4 花成遺伝子群の未開花個体への導入による発現系とサイレンシング系の基礎実験に必要なタケ類の葉からのプロトプラストの調整法ヲ確立した。
著者
山田 誠二 小松 孝徳
出版者
国立情報学研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

主に家庭内での利用を想定して設計されたロボットエージェントは,人間との協調作業において,自分の状態を人間に簡潔かつ明確に伝える必要がある.そのようなロボットの態度表出において,ロボットの「外見」と表出される「表現」の関係を実験的に解明することが,本研究の目的であった.この関係に対する我々の仮説は,最も有益で基本的な態度のプリミティブである,正・負・中立のような基本的な態度の表出では,動物や人間に類似した外見と行動による表出は不要で,動物や人間の外見とはかけはなれたエージェントによる,単純かつ直観的でささいな表出(subtleexpressions)の方が効果的であるというものである.この仮説が成り立てば,ある種の態度表出においては,エージェントの外見を動物や人間に近づけるために無駄に多大なコストをかけることなく態度をユーザに理解させることが可能となり,エージェントと人間との自然なインタラクションを効率的かつ容易に実現できる.この仮説を広く一般的に成り立つことを理論的,あるいは実験的に示すのは現実には難しいが,我々は,ロロボットらしい外見のMindStromsが単純なビープ音を表出した場合とより複雑な犬に近い外見のAIBOが体の動きやLEDの点滅を組み合わせた複雑な表出をした場合について,どちらが基本的態度を人間により正確に伝えるかを比較する実験を計画,実行し,その結果その仮説が成り立つことを示した.
著者
石田 厚 原山 尚徳
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

今まで細胞膜は単なる半透膜と言われていたが、近年アクアポリンと呼ばれる膜タンパク質が細胞膜の水の透過性を決めることがわかってきた。アクアポリンはすべての生物の生体膜上に存在し、水分子を超高速輸送する物質であり、アクアポリンの存在によって、生体膜の水透過性は数十倍にも増加する。またアクアポリンの活性や量は、環境ストレスによって変化することも知られているが、今まで作物を用いた遺伝子レベルでの研究が中心であった。また近年、葉内の水移動経路の通りやすさ(葉の通水性)が、気孔開度や光合成速度に影響を及ぼすことが明らかになってきている。この課題では、樹木の葉の水移動経路の重要な部分を占める葉脈部分の通水性の変化と、アクアポリンの活性や量で制御される葉細胞の生体膜(細胞膜や液胞膜)の通水性の変化が、葉全体の通水性や光合成特性に与える影響を明らかにした。水利用様式の異なる樹種において、いくつかのパターンで葉脈の通水を遮断し、葉の通水性と気孔コンダクタンスの変化を調べた。いずれの樹種においても、葉の通水性の低下に従い、気孔は閉鎖した。このことは、葉脈道管のエンボリズム(閉塞)の生じやすさが、気孔開度や光合成速度を大きく律速することを示す。またアクアポリンの阻害剤である塩化第二水銀を葉に吸わせて、葉の通水性、気孔コンダクタンス及び光合成速度の変化を、常緑広葉樹2種と落葉広葉樹2種で調べた。アクアポリンの機能を阻害すると葉の通水性が10-30%、気孔コンダクタンスは5-20%低下し、葉の通水性の低下割合が高い樹種ほど気孔コンダクタンスや光合成速度の低下の割合が高かった。また気孔コンダクタンスの高い樹種で、アクアポリンがより多く機能していた。すなわち水消費の多い樹種で、葉内アクアポリン活性の変化により積極的な水分調節を行っていることが示唆された。
著者
野村 幸弘
出版者
岐阜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

ミケランジェロの「扮装像」の表現を受け継いだのが、カラヴァッジョである。カラヴァッジョは大きく分けて、十代と思われる少年、ひげを生やした成人男性として、その初期作品から登場する。《病めるバッカス》、《果物籠を持つ少年》、《聖フランチェスコの聖痕拝受》である。《聖痕拝受》は、ミケランジェロの《サウロの回心》を下敷きにし、《ダヴィデとゴリアテ》もミケランジェロの《最後の審判》における聖バルトロメオの表現を意識して描かれている。カラヴァッジョは、これらの作品で、ミケランジェロの扮装表現を、官能的に解釈し直したり、描かれた人物の視線を通して、交感、感情移入の表現を行い、絵画の心理的表現を実現している。そうした心理的、感情的、主観的な扮装表現を推し進めたのが、アルテミシア・ジェンティレスキである。《ユーディットとホロフェルネス》では、画家自らが、絵の中のいわば脇役に甘んじず、主役として積極的に物語に参加する。この作品で彼女はアブラに扮し、ホロフェルネスの殺害に関与する。それが彼女の実人生と深い関わりを持っているのである。ルネサンス以降、絵画表現が、広く宗教や社会、文化との関係というよりも、むしろ画家個人の性格や人間関係、セクシュアリティ、あるいは実生活上のプライベートな出来事と密接な関係を持ち始めることが、扮装論の視点から見えてくる。扮装は、芸術家の個性、あるいは自意識に関わる問題である。しかし、自作の中で扮装する画家が、作品の言わば「造物主」でありながら、かならずしもそこで神のように振る舞うわけではない点が興味深い。そこには複雑な心理過程や屈折、韜晦があって、ストレートな自己表現や全能感に満ち溢れた表現となっているわけではない。ルネサンスの画家は外界の目に見える世界を正確に認識するために、絵画を描き始め、それはやがて科学的な物の見方へと受け継がれていったわけだが、それと同時に、自己の内面という目に見えない世界を認識しようという欲求が芽生え始めていたのである。
著者
河田 惠昭 河田 英子
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

子供たちに研究成果を絵本の形で出版し、教育効果を挙げるためには、いろいろな工夫が必要である。本研究では、漫画によるマニュアル、伝承の漫画化およびマニュアルのイラスト化によって実現した。まず、漫画によるマニュアルは、平成17年に高知県で発行された「南海地震に備え」(家庭保存版、カラー)では、漫画家のやなせたかし氏の協力を得て、次の登場人物、すなわち「じしんまん」「つなみまん」「たいさくくん」「ヘルパちゃん」ら6人のキャラクターを登場させ、挿絵漫画の形式で全28ページの南海地震・津波防災マニュアルが完成し全戸配布された。大変評判がよく増刷を実施した。伝承の漫画化では、「歴史漫画:浜口梧陵伝」として、『津波から人びとを救った稲むらの火』を出版した。これは1854年の安静南海地震津波で起こったことを素材としたフィクションを漫画化したものであって、劇画のストーリーからなる本文と本研究者らによる架空防災対談『津波から身を守る』が巻末に掲載された形になっている。漫画によるマニュアルは『こども地震サバイバルマニュアル』が刊行された。キャッチフレーズは小学生から読める、親子ですぐとりくめるであって、必要な情報がもれなくイラストと文章で提示されている。
著者
猪子 香代 西園 文 大澤 真木子 石井 かやの
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

子どもの抑うつは、学校の友人関係が、中学生年代では関係があると考えられる。また、「いじめ・いじめられ尺度」を作成し、また、家族、友人などとの関係における喪失・不安・怒りを引き起こすような「抑うつ誘因エピソード尺度」を作成した。#いじめ・いじめられいじめと自殺の関連が、マスコミで話題になり、一般の中学校においても、関心の高いところとなった。心理の暴力について、加害者、被害者、それに暴露された子ども、いずれも援助の対象と考える。今回は、これらの3つの側面からの質問紙を作成し、一般の中学生の生徒を対象に抑うつとの関連を検討した。共分散構造分析において、「いじめられ」の潜在因子は抑うつに関連があった。しかし、「いじめ」体験のこどもは「いじめられ」「いじめの目撃」体験と関連がある。「いじの目撃」体験のある子どもは「いじめられ」に関連がある。#抑うつについては、生活の中の出来事について、それをどのように認知するかということで、感情や情動に違いがみられるといわれている。抑うつの誘因になると考えられるエピソード尺度を作成し、一般中学校を対象に抑うつとの関連をみたところ、友人関係の不安、家族の言い争いが抑うつとの関連がみられた。いじめの問題も含めて、子どもたちの友人関係への不安への対処をどのようにするかということが重要と考えられる。子ども自身の特性を理解できるとともに、それぞれの子どもに対応したマニュアルを作成している。
著者
佐藤 勝則
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は、スイスをフィールドとして、アルプス・ヨーロッパにおける空間秩序意識の形成について考察した。博物館としては、チューリヒ国立博物館、ベルン市立博物館、バーゼル市立博物館、サンクト・ガレン修道院歴史博物館を訪ね、誓約同盟スイスにおける地域空間秩序に関する、対照的な都市空間秩序形成に関する三類型を確定することができた。第一類型:チューリヒは、都市空間のスプロール化を特徴とする商工金融複合都市、第二類型:ベルンは中世都市空間秩序の化石化を特徴とする文化・政治都市、第三類型:バーゼルは、旧城塞・ライン河貫流によって規定されたメッセ(大市)国際商業・金融(BIS)都市。日本やアジア諸国には、基本的に第一類型のチューリヒ型のスプロール化された都市空間秩序しかない。北京も清朝時代の胡同を解体することで、政治文化都市としての性格を一掃させつつある。バーゼルは、ロッテルダムからバーゼルまでを同一の河川船舶で連結できる城塞を有するメッセ都市(大市特権神聖ローマ皇帝マキシミリアン賦与)であること。ベルンは1218年に神聖ローマ皇帝フリードリヒII世から認可された帝国自由都市形成の基盤が、湾曲するアーレ河に囲まれた台地状の地形によって決定されており、旧市街の街わりを維持してきた街区共同体(水くみ場=噴水)の強固な残存が中世都市を化石化したこと。歴史的には、自由農民、自治都市市民層主導の誓約同盟自治のスイスが、神聖ローマ帝国から分離後も、特に前方オーストリアにおいては、バーゼル八人衆がハプスブルク家による地域統合を支持していたことによってその伝統的空間秩序を規定していたことが明らかになった。
著者
吉村 知里 西山 覚 洲崎 敏伸 芦田 均 上田 裕清 森山 正和
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

オーストラリアの大学における廃棄物および実験排水処理について,オーストラリア国立大学(The Australian National University, ANU)へ調査に行った.ANUは,オーストラリアにある8つの総合大学の1つであり,唯一の国立大学である.首都キャンベラの中心街に近接するANUキャンパスは敷地面積145ヘクタールの広さに200以上の建物がある.ANUの高等研究所の1つである生物科学研究所を訪問した.理系の研究棟からの排水は,実験系と生活系に分離されていた.生物科学研究所の実験系からの配管は2箇所に集合し,pH測定と中和処理を経て生活系の配管と合流し公共下水道に接続されていた.実験排水の水質分析は特に大学側で行ってはいないが,行政側が年に2回程度定期的に検査を行っているとのことであった.最初に理系の研究棟に所属する者は,薬品の取扱いや実験廃棄物・廃液の処理方法等の安全指導を研究室の担当者から説明を受けることが決められていた.担当者は,説明内容チェックリストを確認しながら説明を行い,最後に受講者に署名をさせていた.AM激地内には雨水専用の排水管が巡っており,近くの河川へ流出する排水の分流式がされていた.この雨水が直接河川に流入しているため,雨水桝にごみなどが混入されないように教育と啓発もされていた.また、学内では「節水」に取り組むようポスターやホームページで啓発を行っていた.さらに年間の水の使用量もホームページで公開し節水効果を学外にも示していた.
著者
直田 健 今田 泰嗣 小宮 成義 高谷 光
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

申請者らは、短い笛の音を合図に自由運動分子がマスゲームのように整列を始める、今まで行い得なかった音響照射のみに応答する小分子の集合精密制御が、新しい洗濯バサミ型有機金属分子の設計と合成、それを用いる新しい分子集合重合により行い得ることを明らかにし、これにより流体の新しい流動性制御の手法を初めて見出している。音響照射によってのみ誘起される分子の合理設計のための指針を確立することを目的に、多くの関連化合物の合成とその動的挙動の解明を行った。ペンタメチレン鎖を有するアンチ型2核パラジウム錯体の有機溶媒の溶液は安定で、長期間の保存においても自発的なゲル化等は起こさないが、これに3秒程度の極短時間超音波(0.45W/cm^2,40kHz)を照射すると、瞬時にゲルが形成され流動性を消失する。この際、溶媒にシクロヘキサンを用いた場合光透過性は保持されるが、酢酸エチル、アセトン、トルエン等では光透過性も消失する。本ゲル化はゲル化剤の配座変化のみによって生起するため、ゲルからゾルへの相転移は熱可逆的であり、ゾル-ゲル相転移が完全瞬時自由制御できる初めての例である。本研究では、これら瞬時ゲル化技術による流動性、弾性、光透過性等の物性と、音圧、周波数、ゲル化剤の分子構造、溶媒と添加物の種類などの内的、外的要因との相関を多角的に検討し、安定溶液の瞬時ゲル化および速度可変ゲル化技術を確立することに成功した。
著者
松田 厚範 片桐 清文
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、交互積層法を応用し、無機物質と有機物質がナノレベルで積層されたラミネートコア-シェルハイブリッド粒子および中空カプセルを作製し、その機能探索を行った。今年度は、以下の3点について研究を推進し、重要な成果を得た。【物質輸送放出機能】: 高分子電解質とSiO_2-TiO_2の多層膜からなる中空粒子や、高分子電解質とSiO_2およびWPAの多層膜からなる中空粒子の作製プロセスを確立した。得られた中空粒子の内包物放出挙動や化学的安定性の評価を行い、さらに磁場応答材料の設計について研究を進めた。【ナノリアクター機能】: 多孔質基板上に、交互積層法を用いて電子伝導性高分子、酸化チタン光触媒、プロトン伝導性高分子電解質、白金ナノ粒子、さらに電子伝導性高分子を積層し、マイクロ・ナノリアクターの構築を行った。紫外光照射によって、燃料として多孔質基板側から供給されたアルコールが酸化チタンの光触媒効果によって酸化され発電することを確認した。【プロトン伝導・センサ機能】: イオン性液体を内包するカプセル粒子を作製し、誘電率変化によって、吸着化学物質を検出する新規化学センサや金属ナノ粒子交互積層法によって電極基板上に形成したレインセンサの構築を試みた。得られた薄膜素子が有機物の吸着や水滴の付着によって誘電率が変化する容量検出型センサとして機能することを明らかにした。
著者
横田 理
出版者
日本大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では、まず眼圧の測定原理をヒントにして測定方法を考えた。これを基に柔らかさ試験機の実用化を目指して、我々が提案する柔らかさの定義と測定方法について、実際に柔らかさ試験装置を開発し、空気噴射力による軟体物やうさぎの臓器等の被測定物表面に発生させたくぼみを計測して、それぞれの柔らかさを調べた。さらに、粘弾性測定ができるように装置の改良を行っている。本試験装置は、被測定物に流体(空気)を吹付けるノズル、ノズルに流体を送り込むコンプレッサ、流体を等速度で被測定物に噴射させるレギュレータとそのときの圧力を測定する圧力センサ、噴射された被測定物表面のくぼみを測定する形状検知装置、コンプレッサおよびレギュレータを制御する制御部、および表示部より構成されている。噴流により被測定物表面を圧平する力は、デジタル荷重計により予め求めておく。ノズル先端から被測定面までの距離1を設定したときに噴射力Fは決まるので、被測定物表面に生じたくぼみ深さh、およびくぼみ直径dは形状検知センサで計測する。被測定物の柔らかさ(Pa)は、被測定物に働く力Fをくぼみの表面積πdhで除した商より求められる。(1)圧縮空気を吹付けてくぼみを発生させ、そのときの空気圧、くぼみの直径と深さを計測する簡単な方法である。(2)本装置は柔らかさと粘弾性特性(クリープおよびクリープ回復)の測定が可能である。(3)本試験機は比較的簡単な方法でかつ迅速な計測であり、非接触・非破壊試験方法のため、衛生的であり、高い安全性をもつ。