著者
谷 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.1173-1176, 2006-10-15
被引用文献数
2

9月号の速報でお知らせしたように,国際情報オリンピック (International Olympiad in Informatics IOI) に日本から10年ぶりに4人の高校生が参加し,金メダルを2つ,銅メダル1つを獲得した.誌面をお借りして,選手たちの活躍ぶりやIOIの概要を報告する.まず,4名の日本選手を改めて紹介する.
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 田頭 佳和 豊嶋 真司 垂水 浩幸 林 敏浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-6, 2014-06-28

コンピュータの性能の向上とともにコンピュータ将棋は急速に強くなり,対人間戦で善戦するようになった.また,現在ネットワーク上で主に対局を目的とする将棋サービスは盛況となっているが,対局後の感想戦や対局を記録したデータベース,将棋の人工知能等,他のソフトウェアとのインタフェースを持ち,統合して利用できるようにしたものがなかった.そこで我々は統合的な将棋支援をネットワーク上で行うためのシステム SAKURA を開発している.SAKURA の特徴は,大きく分けて 3 つの機能を有し,それらが連携して将棋支援を行っている点である.機能は,コメント付与機能・棋譜のツリー表示機能を持った感想戦支援インタフェース,局面データベースと棋譜データベースを相互連携したデータベース,対局者からの要求によって候補手をアドバイスする人工知能である.本論文では将棋部員によるこれらの機能の評価について述べ,SAKURA の機能の妥当性について示す.Shogi is a very popular board game in Japan, which is the most complex variant of chess-like games. Many strong AI programs to play shogi have been developed. For players, several services are provided to play shogi on the Internet. However, they do not provide any integrated environment, where post-game online discussions are supported, interfaces with other software including AI programs are defined, and records of games and discussions are archived in well-organized databases. We are developing SAKURA: a network shogi environment to provide such an integrated environment on the Internet. This paper describes outline of the project and especially evaluation sessions to validate the system functions.
著者
安岡 孝一 安岡 素子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-6, 1997-11-15

日本の地名には、あまり他に用例がないような漢字あるいは「国字」とよばれるような漢字がしばしば見られる。このような漢字は、しばしば漢和辞典等には収録されておらず、漢字研究の枠から洩れているのが現状である。本稿では、このような「地名にのみ使用される漢字」にスポットをあてるべく、「ぽすたるガイド'97」において使用頻度が非常に低い漢字の調査をおこない、それらのうち辞書に含まれていない漢字全ての地名用例を示している。
著者
富松 剛 金田 康正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.511-518, 1998-03-15

浜田の提案したURR (Universal Representation of Real numbers)表現は絶対値が1から離れるに従って,急速に精度が悪化するという欠点がある.この欠点を改善するために一般化した二重指数分割に基づく数値表現法を提案する.URR表現は二重指数±2±2mで実数を大まかに近似するが,本論文ではこれを±p±qmと一般化した.この一般化した表現ではpとqを大きくすることで,大きな実数に対してURR表現よりも少ないビット数で近似できるようになる.特にp=4,q=16と選ぶことによって,URR表現に比べ広範囲で精度の良い二重指数分割に基づく数値表現法となる.この一般化した数値表現は数々のURR表現の長所を有し,急速な精度の悪化も抑えている.この数値表現で実際に簡単な数値計算を行い,URR表現に比べ精度が良い本数値表現の有効性を検証した.A precision of URR(Universal Representation of Real numbers)which was proposed by Hamada goes to worse rapidly when the absolute value goes away from 1.We proposed generalized numerical representation based on the double exponential cut for the improvement to the serious drawback of URR.URR approximates real numbers with double exponential form of ±2±2m.We generalized the base of double expential cut ±p±qm in this paper.With larger p and q,our representation can approximate large numbers,spending lesser bit length than URR.Especially,our numerical representation with parameters of p=4,q=16 is preciser than URR.The generalized representation also has the same merit as in URR,and it canescape from the demerit in URR.We verified the effectiveness of our representation with simple numerical calculation.
著者
橋本 圭輔 牛木一成 中村 誠 渡邉 岳彦 小河原成哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3, pp.75-81, 2006-01-13
被引用文献数
1

IP配信による動画視聴が普及の兆しをみせ インターネット広告が一層の注目を集めている. 動画の再生中に視線の性質を利用した広告を提示できれば 有効な広告表示技術が確立出来ると考えられる. そこで 動画再生と同時に周囲で色刺激を提示した場合に 視線が向きやすい性質である誘目性の高い色による影響を調査する. また 自然な方向への視線移動の起こりやすさを 動画視聴中の視線計測を用いて調査した結果を報告する.There is a character of eye catching in the color, it knows the warm color and the individual, and the tendency that the glance is suitable for a favorite color is known. Moreover, the arrangement of stimulation influences the movement of person's glance. It is known to cause the movement of the glance easily from above to the lower direction or from the left side to the right side. The symptom is shown that the motion picture streaming by the internet and the Internet advertisement attracts further attention. It is thought to be able to establish an effective advertising display technology if the advertisement using the character of the glance can be presented during motion picture playback. This paper reports on the result of the glance measurement considering the influence that arrangement and the color give glance when various stimulation is presented.
著者
守屋 慎次 森田 利広 稲井 幸治 清水 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.1022-1029, 1991-08-15
被引用文献数
7

本論文の目的は次の三つである (1)「ストロークエディタ」という新しい種類のエディタを提唱し 実現したプロトタイプシステムについて述べることストロークエディタ上において入・出力し編集されるデータは利用者が書(描)いた筆跡であり この筆跡をエディタ内において表現するデータ型はストローク(点列)であるこのエディタの目的は 筆跡をそのままの姿でコンピュータに入力し 保存したり編存したり送信することであるこのエディタがその本質において必要としているハードウェアは 表示平面と入力平面とが一体となったいわば紙のようなコンピュータと スタイラスペンだけである(2)ストロークエディタでとられた対話の方式「直接指示・操作方式」を提唱してその性質を導き この方式の重要性を示すこと対話の方式を特徴づける上で また 使い易くする上で この方式が非常に重要であることを示す導出される性質の代表例として この方式により仮想物(例えばカーソノレ)が実物(例えばペン先)化されること 順次入力に必要な記号(カーソルや空白など)を利用者が意識する必要がなくなること そしてこの方式の必要十分条件がある(3)利用者へ機械を近づける方法を示すこと方法の主なものは 人が作業する場(本論文では筆削をするタブレット入力面)をそのまま受け入れる機械の場(本論文では液晶出力面) を作り上げることである
著者
味元 伸太郎 水口 貴之 橘 昌良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.43, pp.13-17, 2005-05-19
参考文献数
3

本論文では、加算器の形式別の消費電力・面積・速度の比較結果について報告する。今回報告する加算器の形式は、Ripple carry adder, Carry look-ahead adder, Carry select adder, Carry skip adder, Carry save adder, Hybrid adderの6形式である。形式別に加算器を設計し、速度、面積、消費電力についてシミュレーションを行うことにより、システムを構築する際に最も適した演算形式を選択するための参考データを得る。
著者
横田 将生 吉武 春光 砂川 賢二 中村 元臣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1170-1179, 1988-12-15
被引用文献数
7

現在までに,医療を目的とした実用的患者情報システムが数多く開発されてきているその大部分は数値あるいは符号化されたデータを対象としており,自然言語で記述された文章データは取り扱っていない.しかしながら,文章データは患者情報のより大きな部分を占めており,治療や診断により重要と考えられている.最近,著者らは九州大学附属病院に保管されている退院サマリ(カルテの一種)中の自然言語文章データに関する自動理解処理の研究を開始した.本論文では,議論世界に関する知識に基づいたそれらのデータの体系的分析および自動処理の概要について述べる.
著者
川野 晃寛 吉高 淳夫 平嶋 宗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.11, pp.105-111, 2008-01-31
被引用文献数
1

大学などにおいて講義をアーカイブ化して活用する動きが盛んになっている.講義のアーカイブ化のためには講師と受講者が発する情報を映像として記録することが重要である.講師は多くの場合一人であり,行動範囲が限られているため撮影が容易である.しかし,受講者に関しては不特定位置に複数存在するため,撮影対象を特定し撮影することはより困難である.そこで,本研究では位置が不特定な発言中の受講者をミドルショットで撮影する手法を提案する.提案手法では,受講者はマイクロホンを持って発言を行うという条件の下で,マイクロホンに取り付けた赤外線タグの位置を検出し追跡することで発言中の受講者を撮影する.There are many cases where lectures are recorded to build video archive for improving reusability. It is important to record utterance by the lecturer or students. In many cases, a lecture is given by a single lecturer and the possible area of his/her movement is relatively limited. Therefore, it is easy to shoot the lecturer. However, shooting one of the students who is asking a question is more difficult problem since the position of the student is located at an arbitrary position in the wider area in the classroom. This paper focuses on the issue of shooting a student in utterance by the middle shot size. We propose a novel method of shooting a student in utterance using the IR-tag installed on the microphone. By detecting the IR-tag, a student in utterance is kept tracked.
著者
井上 智雄 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.2095-2104, 1996-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
28

本論文ではTV会議システムの映像を演出することを提案する. TV会議システムの使用で報告されている様々な問題を解決するためには システムの主たる要素である映像情報の用い方が問題であり 特にこれまでにあまり研究されていない 参加者の映像の表示方法が重要であると考えた. 映像の理論によれば 映像の適当な切り替えが必要であるため TV会議システムに適した映像表現方法を得るために テレビ討論番組の映像手法を分析した. そして そこから得た知識を利用した 多人数遠隔TV会議システムを作成した. さらに このシステムと従来の固定カメラの会議システムとの比較実験を行い 良好な結果を得た.Designing the video of a videoconferencing system is presented. The authors put an importance on the utilization of video, which is one of the essentials of a videoconferencing system, and assumed that how to present the pictures of participants was the key to solve the problems which have been reported and improve videoconferencing. The video technique on TV debate programs was studied to obtain an appropriate way of presenting video. Then the videoconferencing system that uses the video technique was developed. The system was evaluated highly in a comparative experiment with a conventional fixed video camera system.
著者
平山 高嗣 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1625-1634, 2003-06-15
被引用文献数
5

顔画像を利用したヒューマンインタフェースを構成する場合,システムがユーザに拘束条件を与えないことが理想の形態となる.顔はその姿勢や表情により,その見え方が様々に変化するため,この変化にロバストな認識技術が必要になる.本研究では,入力画像中の顔領域と照合に用いるモデルの大きさが異なる場合でも,顔認識が可能となる照合手法を提案する.これはフレキシブル特徴照合法を拡張した手法で,照合に用いる特徴量が顔の大きさの変化に対して正規化されるため,顔認識の精度を保つことができる.特徴量の正規化には,顔の大きさの確率的な推定手法と効率的な処理を行うために改良したガボールウェーブレット変換を用いる.我々は提案手法に基づいた個人識別システムを構築し,個人識別実験によりその有効性を検証した.Facial recognition technology needs to be robust for arbitrary facial appearances because a face changes according to facial expressions and facial poses. In this paper, we propose a method which automatically performs face recognition for variously scaled facial images. The method performs flexible feature matching using features normalized for facial scale. For normalization, the facial scale is probabilistically estimated and is used as a scale factor of an improved Gabor wavelet transformation. We implement a face recognition system based on the proposed method and demonstrate the advantages of the system through facial recognition experiments.
著者
藤井 憲作 杉山 和弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.2394-2403, 2000-09-15
被引用文献数
42

本論文では,携帯端末向けの案内地図を詳細な地図情報から動的に生成する手法を提案し,その有効性を検証した.この案内地図は一般に利用されている案内地図の表現の特徴に基づいてルートマップ型,サーベイマップ型,デフォルメマップ型の3種類の表現で構成される.こうした案内地図は従来の道路ネットワークデータによる手法に加えて,空間オブジェクトネットワークデータを用いて道路や目標物となる空間オブジェクトを再配置する手法により生成することができる.この手法を実装したシステムを開発し,携帯端末でも良好に表示可能な3種類の案内地図表現が生成できることを確認した.また,システムの適応分野としてナビゲーションの支援を取り上げ,携帯端末に表示された案内地図を利用して人が実際に目的地まで移動するという実験を行った.その結果,良好にナビゲーション支援を行うことができ,本手法の有効性を確認できた.We are working towards new services focused on supporting navigation in mobile environment.In this paper, we describe a system to generate route guide maps for mobile terminals.To browse geographical information easily under restrictions of mobile environment,it is essential that geographical information have simple and intuitive representations.Our maps are based on three effective representations from the viewpoint of spatial recognition--route map type, survey map type and deformed map type.Proposed method is realized by selecting truly required information from detailed maps and re-arranging them for easy understanding using a new conceptual structural model for all figures of maps.Using proposed method, our system can dynamically generate three types of route guide map,which are available for very small display of a cellular phone.In experiments we verified the effectiveness of proposed method for navigation support in mobile environment.Using our system, we can easy browse route guide maps even with mobile terminals.
著者
三好 栄次 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.1-6, 2009-09-03

多くのネットワークモデルの研究が存在しているが,その多くはネットワークの構成要素であるノードの状態のみによりネットワークが成長する.しかし,実際のネットワーク成長はコミュニティによる影響も受ける.本研究では,既存のネットワーク成長モデルに対し,局所コミュニティ抽出方法を適用し,ネットワークの成長のルールにコミュニティ情報を付加した成長モデルの提案を行う.また,提案手法を適用したネットワーク生成によるコミュニティ構造の変化とともに,コミュニティ数の増減,クラスタリング系数などへの特徴量について時間経過による変化を観測し,ネットワークの成長過程について CNN モデルと提案モデルの比較を行う.
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
巻号頁・発行日
2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.
著者
鈴木 浩 佐藤 尚 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GN, [グループウェアとネットワークサービス] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.18, pp.1-6, 2014-01-16

ペーパークラフト工作は,紙を利用して立体的なオブジェクトを作成する手軽で身近な工作活動である.ペーパークラフト工作を支援するシステムとして,3 次元オブジェクトから展開図するシステムやディスプレイに表示された展開図に絵を描くことでオリジナルのペーパークラフトオブジェクトを制作できるシステムが開発されている.しかしながらこれらのシステムでは,コンピュータの操作に慣れていないユーザにとってコンピュータ操作の面で敷居が高く,ストレス無くオリジナルのペーパークラフト作品をつくることが難しい.また,こうしたシステムの多くが,展開図を自動生成することを目的としており,ペーパークラフト工作への意欲を高めることを目的としていない.そこで本論文では,子ども達を意欲的にペーパークラフト工作へと導くために,ペーパークラフトを利用した3次元ゲームシステムを提案する.本システムでは,ペーパークラフトロボットになる紙の展開図にユーザがペンを使って模様を描き,その模様を3次元ゲームに登場するロボットのテクスチャとして利用する.3次元ゲームでは,モーションセンサーを使うことでユーザがデザインしたロボットを自らの身体を使って操作することができる.
著者
飯田 弘之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.64, pp.25-32, 2004-06-18
被引用文献数
4

本稿では,ゲームの均衡という視点からゲームの諸性質を論じる。ゲームの終了手数は表面的には均衡状態がどれほど続いたかを示している。プレイヤの実力と終了手数の関係にはシーソーゲームの法則が働いている。ゲームの進化は,歴史の流れの中で人の知が何を求めてきたかを断片的に示している。ゲームという不確定性の中に公平性とスリルを求めてきたという点では世界共通であるが,引分けの生起率においては世界のチェス種の中で日本将棋が独自性を顕にしている。This paper discusses games' various characteristics in terms of game equilibrium. Game lengths indicate how long the equilibriums last on surface. The principle of seesaw game is in effect between playing strength and game lengths. Evolution of games reveals a glimpse of what human intelligence has sought in the history. All the games in different parts of the world are similar in the fact that man plays them while seeking both thrill and fairness from them. However, in terms of the possibility of draw, or lack thereof, there is no equal to the Japanese shogi among all the chess-variant games.
著者
村上 和人 輿水 大和 中山 晶 福村 晃夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.2106-2116, 1993-10-15
被引用文献数
21

似顔絵生成は、似顔絵の対象とする人物から受けた印象を物理的に再現する問題である。印象の分析は、顔の認識や識別の問題と同様に、顔の特徴抽出問題に帰着されるが、似顔絵生成の場合は、再現された似顔絵の良否判定、あるいは、評価の問題が生じる、すなわち、単に特徴の抽出と誇張のメカニズムを示しただけでは十分ではなく、評価メカニズムをどこかに組み入れなげれば、問題は解決しない。筆者らは、一般に人手によって描かれる似顔絵を、コンピュータに描かせようと試み、そのシステムをPICASSOと名付けて開発している。PICASSO開発では、まず、誇張メカニズムとして、中割り法(in-betweening method)を基本とした特徴抽出と誇張プロセスを構築し、誇張法による似顔絵生成方法の特徴と問題点を整理した、次に、評価メカニズムとして、人の目の知覚・認知的現象の一つである錯視現象が似顔絵の評価に剰用できる可能性について検討した。そして、錯視量(錯覚の起こる程度)を基本にした誇張率の制御方法を定式化し、評価プロセスを構築した。具体的こは、ヴント・フィック図形錯視、ポンゾ図形錯視、およびミュラー・リヤー図形錯視を顔部品パターンに想定し、また、実験心理学で求められている錯視量を誇張プロセスの終了条件の閥値として利用した。ほとんぎの適用例で良好な似顔絵が生成できた。本諭文では、具体的な錯視量の定義と誇張率の制御の方法を、種々の似顔絵作品例とともに示す。
著者
中路紘平 藤村厚夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-1, 2014-03-22

ニュースアプリ 「SmartNews」 は、ソーシャルメディアの解析による配信コンテンツの選定から、ユーザーの快適な情報取得のためのレイアウト調整まで、全てアルゴリズムによって行っています。そのアルゴリズムは機械学習や自然言語処理などの成果を組み合わせた高度なテクノロジーによって支えられています。 SmartNews とは何か? のご紹介から、現在の技術、今後取り入れていく技術について触れながら、良質な情報を世界中の人々に届けるための我々のサービス作りの可能性についてご紹介します。
著者
宮宇地 秀和 福田 忠彦 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.14, pp.13-18, 2005-02-18
被引用文献数
1

本研究は合奏を構築するプロセス,及びそこで見られるコミュニケーションを分析し,熟達者がどのようにして合奏という協調活動を維持しているのかを明らかにするのが目的である.本稿では音楽大学に通う,ペア内で経験の長さの違う女子学生1ペアに焦点をあて,2曲のヴァイオリン二重奏曲の主に合奏練習の過程で生理計測を行い,発話を収録した.眼球運動を計測した結果からは,合奏中には2回しかアイ・コンタクトが行われていないことがわかった.また,呼吸運動データの分析からは,個人,合奏練習にかかわらず,練習の最後の演奏の方が振幅,呼気相間の長さが共に多様になることがわかった.さらにプロトコル分析手法により,ペア内でより経験の長い奏者は音楽的アイデアを楽譜の音楽的形式や強弱,つながり等の要素に基づいて生成し,又それを言葉よりも演奏や弓のジェスチャなどによって表現し,伝達する傾向が明らかになった.The purpose of this study is to prove how expert maintain cooperative activity in ensemble by analyzing process of constructing ensemble and communication in ensemble.Focusing on a pair of female music academy student that there was a difference in experience between player while practicing two pieces of duet for violins,psychological data was measured and protocol was recorded.Analysis of eye movement proved that there was only twice eye-contact in ensemble.Analysis of respiration proved that an amplitude and expiration interval of respiration diversified in the latter performance of rehearsal both separated and joined practice.Protocol analysis revealed that more experienced expert tended to create musical ideas based on musical form or elements from music and convey these by musical performance or gesture than by language.
著者
西本 一志 大月敬史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.134, pp.49-54, 2006-12-16
参考文献数
8

従来のknow-whoシステムは,専門的知織を持つ人を検索するためのものであった.これに対し,本研究で提案する投機的know-whoシステムとは,「将来専門的知識を有する可能性がある人材」を検索可能とするものである.このような人材の検索に必要なプロファイル情報を猶得するために,「トリピア」を用いる.人気TV番組であった「トリビアの泉」と同様に,トリビアに対して感銘の度合いを「へえ」ボタンで回答していくことにより,楽しみながらプロファイル情報を構築することができる.本稿では,トリビアを用いて収集したプロファイル情報を双対尺度法を応用して処理することにより,前述のような人材を検索することが可能かどうかについて,基本的な検討を行う.The purpose of the ordinary know-who systems was to retrieve experts who have domain knowledge. In contrast, the purpose of a "speculative know-who system," which we propose in this paper, is to make it possible to find people who will acquire domain knowledge in near future. To obtain profile data as bases for retrieving such people, we utilize "trivia." It becomes possible to obtain the profile data by estimating how impressed by trivia while having fun, similar to "The Fountain of Trivia," which was a very popular entertainment TV program in Japan. This paper explores whether we can actually find such people by processing the profile data using the dual-scaling method.