著者
前川 隆史 松村 真宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.224, pp.53-58, 2009-10-01

本研究では飲食店等にある「らくがき帳」に,どのような内容がどのようなスタイルで投稿されているのかを明らかにすることを目的とし,4店舗24冊のらくがき帳に関して,「他者へ向けた記述がある」,「日付の記述がある」といった属性を設定し,全投稿に占める各属性を持つ投稿の割合を調査した.その結果,らくがき帳は,不特定多数の人間に読まれるものであるにも関わらず他者へのメッセージが全く無い投稿が多いこと,日付と署名を記述するといったスタイルが多いことなどが明らかになった.また,ラン検定によってらくがき帳への投稿が直前の投稿と関連を持っていることも明らかとなった.
著者
横山 徹 三木 信弘 小川 吉彦 正木 信夫 島田 育廣 藤木 一郎 中村 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.557, pp.57-64, 1999-01-22
被引用文献数
2

我々は, 声道の3次元形状を考慮した音声生成モデルの構築を目的として, 断層画像群を基に3次元声道形状のワイヤフレームモデルを構成する方法を提案した.そして声道形状を1次元縦続音響管モデルに近似することで声道伝達特性を推定した.しかし上記の変換の過程には多くの不確定な要素が含まれており, これらが伝達特性にどのように影響するかについての検討は成されていない.本稿では, その中でも特に音響的に影響すると考えられる要素として, 音波伝搬経路のずれ, およびセクション数の違い, および口唇形状を考慮することによって, 主要フォルマント周波数にどのような影響が出るかについて検討を行う.
著者
高橋 康介 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.282, pp.111-116, 2008-10-31
被引用文献数
2

ヒトの運動は、それが完全に自発的なものであっても、少なからず他者の影響を受ける。例えば足踏みやタッピング動作を行うときに、目の前の他者も同様の動作を行っていると、二人の動作のリズムやタイミングは同期する。一方、身体を静止させておくというように意図的な運動を行わない状況であっても、人の身体には無意識的かつ微少な動きが生じ、風景の動きなどの視覚情報はこれらの動きに潜在的に影響を及ぼすことが知られている。自発的な動作の同期と同様に、他者の視覚情報が無意識的な動きに与える潜在的な影響を調べることは、対人コミュニケーションの基礎となるメカニズムを解明する手掛かりになると考えられる。そこで本研究では他者の情報が無意識的な身体の動きに与える影響を検討した。実験では二人の人が対面して座り、相手の指を見ながら、自分の指で相手を指さし静止させるという課題を行い、静止動作中の指の微小な動きを測定した。その結果、水平方向の指の動きに関して他者の影響が認められ、2者間の同期を反映した指標を同定することに成功した。さらに意識的に相手の指の動きに追従するという他者とのインタラクションを経験することで、これらの同期指標が上昇した。以上の結果から、意識的な運動生成に限らず無意識的で微少な身体動作に対しても他者の情報が潜在的に影響を与えること、また他者とのインタラクションの経験により、他者の情報の影響が強まることが示された。
著者
和泉 潔 橋本 康弘 鳥海 不二夫 山本 仁志 諏訪 博彦 岡田 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.211, pp.13-18, 2009-09-18

So-net SNS(β版)において,アクティブに稼動するSNSの中からのべ約1,200個のSNSを抽出し,決定木分析を用いて成長するSNSの判別を行なった.その結果,高い精度で判別可能であることが明らかとなった.決定木を生成する際に用いる変数に,ネットワーク構造に関する変数を導入したところ,判別能力が向上することが確認された.この結果より,ネットワーク構造がSNSの成長に影響を与えていることが示唆された.さらに,高成長したSNSの特徴分析を行ない,4つのパターンに分類しそれぞれの特徴を明らかにした.代表的な二つのSNSについてコミュニティ構造の推移を分析することによって,SNSのより詳細な違いが分析できる可能性が示唆された.
著者
二瓶 瑞久 粟野 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.189-193, 2008-03-01

従来LSIに用いられてきた銅(Cu)配線は,今後更なる微細化に伴い,配線抵抗の増大と許容電流密度耐性の面で限界が訪れる.これらの課題を解決する次世代配線材料の候補としてカーボンナノチューブ(CNT)を用いた配線ビアの研究を行っている.MIRAIプロジェクトでは,配線帽が32nmとなるhp32nm世代(実用化時期2013年以降)でのCNTビア応用を目指して,多数本のCNT束内でのバリスティック伝導を観測した.これによって,従来用いられているCu配線を上回る低抵抗・高信頼性を有するCNTビアの実現が期待される.
著者
土肥 正 海生 直人 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.213-220, 1997-01-25
被引用文献数
2 1

データフロッピーディスクの最適1/Nバックアップ手続きに対する一般的方法について議論する. 最初に障害発生時間が一般分布に従う場合において, 期待費用関数を最小にする最適バックアップ方策が唯一存在するための条件を解析的に導出する. 次に障害発生時間分布が未知の場合において, 故障データから直接最適バックアップ方策を推定する2種類のノンパラメトリックな方法を提案する. 最後に数値例において, 推定されたバックアップ方策の漸近的な性質を比較し, 故障データ数と最適方策の推定精度との関係について調査する.
著者
関口 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.456, pp.85-90, 2011-02-28

AVC/H.264に次ぐ新しい国際標準映像符号化方式を策定するプロジェクトHEVCの最新状況を報告する.HEVCはISOとITU-Tの共同作業として,2013年初頭の規格化完了を目指している.本稿ではHEVC標準の候補となっている技術の概要と活動状況について概説する.
著者
井野 英文 孫 寧 根元 義章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.278, pp.37-42, 1995-09-28
被引用文献数
1

手書き郵便宛名を高精度に認識するには, 切出しの高精度化が重要な問題になっている. 従来, 郵便宛名を切出す手法には切出し・認識・後処理を組み合わせた方法が主に報告されているが, その殆どの場合, 単一の筆記具によって書かれた文字を対象としている。そのため, 射影ヒストグラムから文字の切出し候補位置を決定する際に固定閾値が用いられている. しかし, 年賀状のような郵便宛名には, 様々なストローク幅の文字が存在し, これらの方法をそのまま適用するには限界があると考えられる. 本稿では, 宛名のイメージ情報からストローク幅を推定し, 射影ヒストグラムから文字の切出し候補位置を決定する際にそれを用いて閾値を変化させる閾値可変型切出し法を提案する. 提案法を用いて, 郵政研究所が配布した郵便宛名データを対象に認識実験を行い89.4%以上の正解率を得た. 本稿では提案法及びそれを用いた認識実験を中心に報告する.
著者
武田 幸子 長坂 充 田辺 史朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

現在、ITU-Tでは通信サービスの迅速な提供やサービスのカスタマイズ化を目指し、Intelligent Network(IN)CS-2の標準化が進んでいる。我々はIN基本アーキテクチャの確立を目的に通信サービスのカスタマイズ化に向けたINアーキテクチャを検討してきた。本稿では、現在構築中のB-ISDNでのINテストベットシステムにおけるサービス追加が容易なSSFの実現法について述べる。
著者
岸 啓補 森島 繁生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2716-2724, 2000-12-25
被引用文献数
11

サイバースペースにおける仮想人物の合成やコミュニケーションシステムの実現に向け, コンピュータグラフィックスによる人物画像合成等が注目を集めている.本論文では, 特に人物のCGの中でも合成が難しいとされる頭髪の表現方法について述べる.人物画像において頭髪は視覚的に重要であるにもかかわらず, 簡単な曲面や背景の一部で代用されることが多い, 頭髪をマッピング技術を用いて表現する手法が成果をあげているが運動の表現には不適当である.そこで頭髪の表現にテクスチャやポリゴンを用いずに空間曲線を用いる.更に頭髪の部分的な集まりである房単位にモデル化することでヘアスタイルデザインを簡略化する.本論文では, この新しいヘアスタイルデザインシステム, 房のモデル化手法, レタリング手法, 4分岐法による衝突判定, 運動表現について述べる.また, 実際にこのヘアスタイルデザインシステムを用いて頭髪をデザインし, 風になびかせるアニメーションを実現した.
著者
鈴木 雄仁 斎藤 英雄 小沢 慎治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2186-2193, 1997-08-25
被引用文献数
13

現在顔に関する研究がさまざまな分野において非常に重要になっている. これには画像中の顔領域のみを切り出す必要がある. しかし, 従来までの研究では, 任意背景の顔画像に対しては背景のエッジ等に顔の輪郭を誤推定してしまい, 安定に顔領域を抽出できなかった. 本論文では任意背景の顔画像から顔輪郭を推定するために, まず頭部はだ円曲線形状をしており, 頭髪によりその内部は均一な濃度分布になっていると仮定し, 頭部輪郭線に当てはまるだ円を遺伝的アルゴリズムを用いて求める. 次に頭部輪郭線の情報をもとにして顔の顎部分の輪郭線を推定することにより顔領域輪郭の粗推定を行う. そしてこの輪郭線から, SNAKESを用いてより細かな顔輪郭を抽出する手法を提案する. 更に, 本手法を任意背景顔画像に適用してその有用性を示す.
著者
梅澤 克之 田代 卓 手塚 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.113, pp.47-53, 2010-06-24
被引用文献数
2

近年,携帯電話の利用率は増加し,1人複数台を所有する時代になった.一方で,大容量のブロードバンド通信網でサービスを受ける端末が数多く製品化されている.携帯電話でサービスを受ける場合には,携帯電話通信事業者が加入者認証を行う.それに対して,固定網の場合には,携帯電話通信事業者以外の事業者が通信サービスやその他のサービスを提供している.このような状況で,固定網に接続された固定端末でサービスを受ける場合にも携帯電話と連携し携帯電話通信事業者が提供する加入者認証を行う事ができれば,年齢によるきめ細かなサービスの制御や,携帯電話通信事業者による課金代行などが行えることが期待できる.また,固定端末を切り替えて利用するような場合にも,個人の携帯電話で認証を行うことで利便性が高まる.本論文では,固定網に接続した端末を経由して携帯電話の加入者認証を行う仕組みを提案する.さらにその仕組みを実装し性能評価することで,固定端末を簡便に切り替えられることを示す.
著者
太田 直哉 藤井 雄作 伊藤 直史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.888-896, 2009-06-01

犯罪捜査において,容疑者が着ている衣服の色は重要な情報である.もし容疑者がカラーの監視カメラによって撮影されていた場合には衣服の色が同定できるが,白黒の監視カメラの場合には色の情報は通常得られない.しかし色の異なったいくつかの照明下で容疑者が撮影されていて,その撮影環境が再現できる場合には何らかの色の情報が得られると考えられる.本論文ではこの問題を数学的に解析し,どのような条件のときにどのような色情報が得られるかを明らかにする.それに基づいて色情報推定の具体的な手順を構築し,実験で効果を確認する.更に照明の色を積極的に制御すれば,提案する方法は簡便な分光反射率の測定法としても利用できるので,これについても言及する.
著者
若林 剛 高橋 弘太 岩倉 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.322, pp.29-34, 2002-09-13
被引用文献数
8

近年,独立成分分析を利用したブラインド音源分離が研究され,よい成果を納めている.過去のこれらの研究では,マイクロホン数2〜8個程度の小〜中規模アレイを用いるものがほとんどであり1マイクロホン数が100を超える大規模マイクロホンアレイへの適用は,まだあまり試みられていなかった.そこで本研究では,大規模マイクロホンアレイを前提とし,独立成分分析による信号分離を行った.本報告では2つの問題について取り上げる.第一に,音源数に対してマイクロホンの数が多い場合に,1つの信号が複数の独立成分に分離されるという問題である.マイクロホンアレイの大規模化ではこの問題がさらに顕著に現れる.この問題に対して,小〜中規模アレイと同様の手法が適用できるか検討した.第二の問題は,周波数領域でICAによる分離を行うと,分離信号が周波数間で入れ替わりが起きる,置換問題である.以上2つの問題を橡証するために,大規模化が容易なマイクロホンアレイシステムを作成し実環境の音声による分離宰験を行ったので,その結果についても報告する.
著者
佐々木 剛 戎 達生 飯田 正博 垰田 嘉一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.431, pp.7-11, 2005-11-17

CGアニメーションを駆使したスタジオ番組制作が多くなり、演出手法も多様化している。3次元バーチャルシステムを使用した撮影・収録において、CGと照明効果を連動させることで実写映像とCG画像の合成における違和感を少なくすることや、照明灯体の照度・動き・色変化に対し、CGオブジェクトをリアルタイムで変化・追従させることは、テレビ制作だけでなく、新たな映像表現として期待できる。本報告では、照明コンソールから出力されたDMX512信号をもとに、照明の変化に対応してリアルタイムでCGを変化させるハイビジョン映像効果システムの開発について、番組での使用例を紹介すると共に、今後の展望・課題について述べる。
著者
高梨 克也 平本 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.77-82, 2011-08-19

3人以上の参加者のいるミーティングにおいて,ある話題についてのやり取りの周辺的参加者が何かに気づいてから発話をするという現象を対象に,その過程での視線や姿勢の変化,身体動作などの微視的ビデオ分析によって,気づきの瞬間と契機,発話に至るまでの付随的活動を記述するとともに,エスノグラフィー的な知識を利用して,この気づきから生じた発話の関連性やその背後にある組織役割上の関心を特定する.
著者
桑村 信博 谷口 研二 浜口 智尋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.221-228, 1994-05-25
被引用文献数
25

単一電子トンネル現象では個々の電子の動きそのものに意味があり電流という概念はほとんど意味をなさないため,この現象を応用した回路の解析には従来からの回路シミュレーションの手法が適用できない.そこで我々は個々の電子の動きを扱うことのできるモンテカルロシミュレータを作成し,このシミュレータを利用してTucker^(1)によって提案されている疑似CMOSインバータ回路の過渡的な動作特性を評価した.その結果,負荷容量の値によって疑似CMOSインバータ回路の出力が異なってくることがわかった.また動作速度についても,1aFの容量をもったトンネル接合が精度良く作製できれば約10psの伝達遅延時間が可能であるという結果を得た.更にインバータ出力分布の標準偏差を調べることにより,インバータ回路を集積化した場合の動作温度の限界について定量的な考察を行った.
著者
稲葉 敬之 千葉 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.574, pp.13-18, 2006-01-20
被引用文献数
2

本論文では送信波としてFMCW波を用いたマルチスタティック測位・測速法を提案する. 提案法では, 従来の時間遅延計測に基づくパルス方式に比べ, 正確な時刻同期を必要とせず, また狭帯域の受信局にて3次元目標位置座標, および従来法では困難であった3次元目標速度成分の推定が可能であることを示す. また, 具体的な数値例(距離50km程度, 飛行目標, 入力S/N=-25dB, に対し送信10GHz, 掃引帯域100MHz, 受信機帯域2MHz程度, 観測時間30msec)により, 特に水平面座標に関しては有効な推定が可能(水平面位置座標, 速度成分の推定誤差がそれぞれ約27m(横方向最大), ±3km/h程度)であることを示す.