著者
藤井 健作 棟安 実治 大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.299-305, 1999-03-25
参考文献数
17
被引用文献数
48

Filtered-x法を適応アルゴリズムとする能動騒音制御装置では通常, その起動に先だって誤差経路系のインパルス応答を観測し, それを誤差経路フィルタの係数として与える処理が実行される. 当然ながら, そのインパルス応答が起動後において変化することは十分に想定される. その変化は誤差経路フィルタの係数との差を拡大し, 騒音制御動作を不安定にする. 本論文では誤差経路フィルタ係数の算定を必要としない騒音制御フィルタ係数の更新法を提案する. ここでは, 騒音制御フィルタに二つの異なる係数の組を与えたときに騒音検出マイクロホンから誤差検出マイクロホンに至る系は騒音伝達系と誤差経路系のインパルス応答を未知数とする二つの独立な方程式を成立させることが利用される. 騒音制御フイノレタの係数はこの連立方程式を繰り返し解くことによって更新される.
著者
増田 修士 萩谷 展之 松尾 太一 後藤 康宏 阪田 史郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.61-66, 2007-03-01
被引用文献数
5

アドホックネットワークにおけるルーティングにおいては,通信経路の確立後に経路上の中継ノードにかかる負荷のことは考えられていない.本稿では経路を構成している中継ノードを動的に切り替えることで,初めに経路に選ばれたノードに負荷が集中してしまうことを避け,その中継ノードの周りに存在するノードに負荷を分散させる方式を提案する.提案方式は,AODVで用いられている定期的にブロードキャストされる制御メッセージを利用し,切り替えのために必要な情報をそのメッセージに付加することで動的な切り替えを可能とする.また,シミュレーション評価によって提案方式の有効性を示す.
著者
安達 悠子 臼井 伸之介 篠原 一光 松本 友一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.177, pp.13-16, 2009-08-17

本研究では,155名の看護師を対象に,業務中にしたあるいは見た違反内容とその違反理由の記述を求めた質問紙調査を行った。また同時に,その違反をどの程度しているあるいは見かけるという主観的な違反頻度と,違反の生起に関与していると考えられるリスク評価等の心理的要因に関する4件法の質問への回答を求め,違反頻度と心理的要因との関連を検討した。記述された違反内容と違反理由はKJ法により分類し,違反頻度と心理的要因については得点化ののち相関係数を算出した。その結果,違反内容21項目,違反理由13項目が得られた。心理的要因は,リスク評価よりもベネフィットや抵抗感が違反頻度に関与していることが示唆された。
著者
小野寺 敏 兵庫 明 関根 慶太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06
被引用文献数
3

カレントフォロワ(CF)回路は、入力された電流を正相または逆相で電流出力する回路で、電流モードや電圧モードの加減算回路^<(2)>などの基本ブロックとして用いられている。カレントフォロワを評価するパラメータの1つにオフセットエラーがあるが、これが大きいと電流モードのA/D変換など精度が心要な信号処理を行う場合に問題になってくる。そこで本文では、オフセットエラーを低減したCF回路を提案し、PSpiceでシミュレーションを行いその動作を確認する。
著者
工藤 育男 友清 睦子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.624-635, 1993-03-25
被引用文献数
10

日本語の対話文における省略の補完方法について述べる.日本語の省略には,従来の扱われてきたフォーカスの省略(ゼロ代名詞)とは異なる種類の省略がある.例えば,「〜して頂けませんか」という謙譲表現を使う場合には,「あなたガ,私ニ」が省略される.この省略は,文脈中に照応すべき先行詞が存在せず,述部の表現から推定できるという特色がある.また,フォーカスの省略よりも頻度が多いにもかかわらず,あまり議論されてこなかった.この論文では,このような日本語の述部の語い的特性による省略を扱う機構について提案する.日本語の述部,すなわち,助述表現,動詞の特性,ダ文の補語に着目し,処理を行う.そのために,対話コーパスを用い,大量の例文調査を実施し,述部の語い的特性について省略補完の観点から分類を行う.この分類に基づいて,省略補完機構を実現する.実験の結果は,クローズドデータテストで93.2%の成功を収めた.また,未知の助述表現への対応するための方法として,弛緩法を提案する.情報量として重要でない部分を段階的に落としていき,マッチングを図るものである.この方法で,91.2%の未知の助述表現に対処できることを示す.
著者
藤村 光 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.702, pp.145-152, 2001-03-16

本研究では、選手が特定のフィールド上を自由に動き回り、目標に対して競い合うチームスポーツを対象にして、チームワークの定量的評価を行う。この種のスポーツでは、各選手の支配領域を求めることがチームワーク評価への道となる。そのため、領域を支配関係によって分割するボロノイ図の概念を応用し、それによるチームワークの定量的評価手法を提案する。また本研究においてはこの優勢領域図の作成にあたって、実験に基づいたより現実的な運動モデルを採用している。これにより、より経験者の直感に合うチームワーク評価を実現できた。
著者
小嶋 徹也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.97, no.623, pp.31-38, 1998-03-19

ボルツマンマシンの学習アルゴリズムは, 外界から与えられた確率分布を自らの平衡確率分布で近似するものであり, 統計学的には最尤推定量を勾配法により求めるプロセスと解釈できる.しかしその一方で, 莫大な計算時間を要するという問題点も抱えている.一方, フィッシャー情報行列をこの学習アルゴリズムに導入すると, 学習の収束が直線的になることが情報幾何学的考察などにより保証されている.本研究では, フィッシャー情報行列, およびその対角成分のみを用いた行列をボルツマンマシンの学習に導入し, 数値実験により, 計算時間や学習性能などの特性を分析した.また, これらのアルゴリズムを連想記憶モデルの学習過程に導入し, その効果を調べた.
著者
大濱 雅仁 江原 義和 曽我 真人 三輪 昌史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.67, pp.9-14, 2010-05-21
被引用文献数
1

本研究では,野外で実世界の夜空を学習コンテンツとして利用し,星座の学習を行うことのできるモバイルユースが可能な実世界指向モバイル星座学習支援環境を構築する.本システムではユーザの視線入カを小型の方向センサを用いて取得し,星座の情報提示を行う.また,本システムは演習機能を備えており,演習機能の有効性を検証するための評価実験を行った.
著者
峯松 信明 津田 圭一 広瀬 啓吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.726, pp.9-16, 2001-03-23
被引用文献数
3

周知のように,従来の音声情報処理においては「音声の生成過程では,韻律的特徴と分節的特徴は独立して制御される」との仮定の下でその処理体系が構築されてきた。しかし昨今の研究例に目を向けると,音声医学,音声科学,音声工学の分野において,F_0とスペクトルの依存性を仮定した方法論の有効性が報告されている。音声の分析に焦点を絞った場合,F_0とスペクトルの依存性は,フォルマント周波数をベースとした分析例が多い。しかし,音声工学の立場からは,フォルマント周波数によるスペクトル記述は必ずしも得策とは言えない。筆者らの一部は,既に日本語音声を対象としてF_0変化に起因するケプストラム係数変動を定量的に分析し,そのモデル化を行っている。本研究では,この分析方式をまず有声子音音声に拡張する。更に,無声子音についても前後の有声区間から求まる補間F_0との依存関係について分析する。その結果,有声子音においても母音同様のF_0依存性が観測された他,無声子音の一部においては,有声子音と同等のF_0依存性が観測された。本研究ではこれらの分析に基づいてケプストラム係数の変動予測モデルの構築を試み,更に,予測モデルの工学的利用について予備検討を行なったので報告する。
著者
水町 光徳 赤木 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.503-512, 1999-04-25
被引用文献数
32

本論文では, マイクロホン対で受音した雑音が含まれる信号から雑音のスペクトルを解析的に推定し, スペクトルサブトラクション(SS)を用いて受音信号のスペクトルから雑音スペクトルのみを減算する雑音除去法を提案する. マイクロホンアレーを用いた雑音除去法としては, 適応処理を用いた手法が主流であるが, 本手法は雑音の推定に関して解析的に構成する減算形アレーを使用する. このため, 本手法は演算量が少なく, しかも雑音の経時変化に対する雑音除去能力低下が生じ難いという性質をもつ. そして, 従来のSSは定常雑音の除去を目的としているが, 本手法では時々刻々雑音スペクトルの推定を行うため, 突発性雑音の除去も可能である. 本雑音除去法の性能を評価するため, 雑音除去の計算機シミュレーション, 並びに残響の少ない実環境での雑音除去実験を行い, 雑音によりスペクトル包絡に生じたひずみが低減できることを確認した.
著者
岡久 卓也 大上 健二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.196, pp.33-39, 1999-07-22
被引用文献数
39

ディジタルデータは, 複製や加工が容易であるが, そのため不正に利用されやすいという問題点がある. そこで著作物に対して著作者の情報を目立たないように埋め込む電子透かしの技術が注目されている. 本論文では, 透かし情報を画像全体に拡散する新たな方法としてスミア変換法を提案する. 次にスミア変換を用いた電子透かし法を提案する. 本手法では透かし埋め込み時の画質の劣化が量子化誤差など計算上の誤差を除き埋め込む透かし情報のエネルギに正確に比例することを示し, 具体的な例としてJPEGに対する耐性を計算機実験により示し, 本手法の有効性を明らかにする.
著者
森田 真司 山澤 一誠 寺沢 征彦 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.864-875, 2005-05-01
被引用文献数
36

カメラを使った遠隔監視においては, 環境を常に広範囲に撮影し, かつ注目対象の実時間での検出・追跡が求められる.環境を常に広範囲に撮影するために回転カメラを用いる方法や全方位画像センサを用いる方法が提案されている.前者では見回しに機械的な時間遅延が生じる.これに対し後者では観測者の視線変化からその方向の画像提示までの時間遅延が少ないが, 取得した全方位画像を直接, 計算機に伝送しており, ネットワークを介した実装には至っていなく, ビル全体など多くのセンサを必要とする環境には適用できない.本論文ではネットワークを介して複数の全方位画像を伝送する遠隔監視システムについて述べる.本システムは監視環境側をサーバ, 監視者側をクライアントとしたサーバ/クライアントモデルであり, サーバ側において移動物体の検出, クライアント側において移動物体の位置推定及び物体方向の画像提示による追跡を行う.また, ネットワークを利用した画像及び物体の検出情報の伝送を行うことで, クライアント側での一極集中型遠隔監視を実現する.
著者
鈴木 利則 水野 俊夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.739-748, 1994-12-25
被引用文献数
32

差動符号化振幅変調(DASK)信号に適用可能な多シンボル遅延検波方式を提案しその特性を評価している.多シンボル遅延検波方式とは観測シンボル数をふやすことによって,その誤り率特性を同期検波の特性に近づけるものである.多シンボル遅延検波は,これまで差動符号化位相変調(DPSK)信号についてその適用が検討されているだけであった.しかし近年,DASKを用いた16DAPSK(スター16QAM)が16DPSKよりも誤り率特性がよいために,大容量伝送を目指した無線通信の変調方式として,その適用が検討されるなど注目されている.しかし従来の多シンボル遅延検波方式では差動符号化振幅変調(DASK)には適用できない.本論文では初めに,DAPSK変調方式における送信信号が与えられたときの受信信号の事後確立を求め,振幅成分を含んだゆう度算出式の導出を行う.その結果ゆう度は雑音電力Nに依存する値となるが,しかしNが十分小さい場合はNに依存しない値に漸近することを示す.続いて,最ゆう系列推定(MLSE)の観点から,そのゆう度の漸近値を最大にするDAPSK多シンボル遅延検波方式を提案する.次にDAPSK変調方式として16DAPSKを採り上げ,従来の遅延検波方式における最適パラメータを理論的に検討したうえで,多シンボル遅延検波方式を適用する.更にAWGNチャンネルにおける誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価し,ゆう度算出式の妥当性と提案方式の有効性を確認している.
著者
八木 哲也 亀田 成司 飯塚 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.104-113, 1998-02-25
被引用文献数
32

網膜は, 生体の実時間画像情報処理に欠くことのできない, 優れた視覚知能センサである.網膜の超並列画像処理機能を, アナログCMOS集積回路(ビジョンチップ)として実現した.チップは1次元ラプラシアン-ガウシアン型の受容野を備え, 網膜の順応機構に習いその幅が可変となっている.チップの光センサ部には, 電荷蓄積型のものを用い, 蓄積時間を変えることで光応答感度が制御できるようにした.チップには, 素子の特性のばらつきによるノイズを補償する回路が組み込まれており, 実験の結果自然照明下での実用に十分な出力精度が得られることが確認できた.本チップは, 信号と雑音の空間周波数帯域に応じて効率的に画像を抽出する場合に, 前処理プロセッサとして応用できる.
著者
原 嘉孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.2027-2039, 2001-11-01
被引用文献数
32

SMI(Sample Matrix Inversion)アダプティブアレーでは, その構成成法によっては相関行列演算と相関ベクトル演算に用いるサンプルが一致しない場合も想定される.本論文では, 相関行列と相関ベクトルの演算サンプルに関して様々な条件設定を行い, 理論解析とシミュレーションの両面からSMIアダプティブアレーのウェイト収束特性について論じる.性能評価の結果, TDMA(Time Division Multiple Access)方式で多く見られる希望信号電力が他の干渉電力に対して強い環境では, 相関行列と相関ベクトルを同一サンプルで演算することが強く望まれることがわかった.また, CDMA(Code Division Multiple Access)方式で多く見られる逆拡散前の希望信号電力が他の干渉電力に対して弱い環境では, 相関行列と相関ベクトルの演算に異なるサンプルを用いる構成が有効であることがわかった.
著者
荒木 昭一 横矢 直和 岩佐 英彦 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1704-1711, 1996-10-25
被引用文献数
32

従来の動的輪郭モデル(Snakes)では,Snakes内部の複数対象物を独立して抽出できないため,対象物の数だけ初期輪郭を与える必要があった.本論文では,Snakesによる複数対象物の自動抽出を目的として,複数対象物を包含するように初期輪郭を一つ与えるだけで,それらを独立して抽出できるSnakesを実現するため,面積項による収縮型のSnakesが変形の際に自己交差を起こすという挙動に着目し,Snakesを自己交差部分で切り離して複数に分裂させる分裂型の輪郭モデルを提案する.提案手法は,分裂により生じた小さな輪郭モデルを消滅させることにより,画像中に散在するノイズや抽出対象外の小物体に捕獲されにくく,初期輪郭を対象物から離して与えても安定して対象物を抽出できるため,例えば,画像の枠を初期輪郭として,複数対象物を自動的に抽出することもできる.提案手法の有効性を示すため,まず人工画像を用いた動作確認実験を行い,次に実画像を用いた実験として,顕微鏡写真からの複数細胞の抽出および動画像を用いた複数移動物体の抽出・追跡への適用例を示す.
著者
向川 康博 中村 裕一 大田 友一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1555-1562, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
32

本論文では, あらかじめ用意された複数の顔画像を適切に組み合わせることで, 任意方向から見た任意表情の顔画像を生成する手法について提案する. 頭部の3次元形状や, 表情変化のための精密なモデルを用意する必要はない. 顔表面上に配置した特徴点の, 任意方向・任意表情の場合の2次元座標は, 少数の基底ベクトルの線形結合で表現できる. 更に, 特徴点を頂点とする三角形パッチに, 複数の顔画像から得られるテクスチャを重み付け平均してマッピングする. さまざまな表情をもつ顔画像を用意し, 実際の表情変化を素材として用いることで, 自然な表情の見え方を生成できた.
著者
片柳 磨子 村上 恭通 境 隆一 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.208, pp.9-14, 1999-07-22

本稿では, (k, n)しきい値秘密分散法の概念を応用した複数エンテイテイ参加型の再利用可能な認証方式(RSS認証)を提案する. 提案方式ではn個のk次元ベクトルのうち任意のk個を連接したk×k行列のランクが高確率でkとなることを利用し, 秘密鍵の分散およびグループ内での認証を行う. また, 提案方式は, 認証センタを想定することより, 分散情報のみから完全に秘密を復号することはできないが, グループ全体の持つ情報が秘密鍵と等しいことを認証することができる. しかしながら, 提案方式では, 任意のk個のk次元ベクトルの連接により, ランクkの行列が生成できない場合が存在するため, より確実に(k, n)しきい値で復号可能であるように改良した方式として, 改良方式IおよびIIを提案する.
著者
安細 勉 田中 敦 小林 邦勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.97, no.218, pp.15-22, 1997-07-31

近年のコンピュータネットワークの発達に伴い, そこで扱われる情報の量は増々増大している. そのため通信や保管の際に情報の圧縮が行なわれるのが一般的であり, 情報圧縮の技術は重要な意味を持ってきている. 特に情報量の多い画像の圧縮に関しては, フラクタルの利用をはじめとして様々な圧縮法が提案されているが, 本稿ではマップによるカオスを用いた可逆圧縮法について提案する. 本圧縮法はカオス的な系列を利用して元のデータを符号化するものであり, 既存の圧縮法とは異なる冗長さのとらえ方により, 他の圧縮法では圧縮できないデータを圧縮することが可能となり, 新しい可逆圧縮法として期待されるものである.
著者
坂本 和崇 板倉 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.189-198, 2009-02-01
被引用文献数
2

多くの視線入力インタフェースで使われる光学的眼球運動測定装置は一般的に高価であり,使用者の頭部を拘束する必要がある.そこで我々は使用者の頭部拘束を回避し,また安価に構築できる,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と交流増幅した眼電図(EOG)を用いた視線入力インタフェースを提案してきた.しかし眼球垂直方向移動時の眼電図は雑音に弱いため利用できず,注視領域判定が眼球水平方向移動に限られていた.そこで本論文では,眼球斜め方向移動を用いた新しい注視領域判定手法を開発した.これは垂直方向の眼電図の解析区間を眼球水平方向移動付近に限定することで,雑音に影響されることなく眼球移動によって生じた信号を抽出する方法である.この手法を用いることによって眼球斜め方向移動時の注視領域判定が可能となり,従来のインタフェースに比べて選択肢数を倍増させた視線入力インタフェースの開発に成功した.