著者
林 純一郎 村上 和人 輿水 大和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2102-2109, 1997-08-25
被引用文献数
10

横顔似顔絵生成では, 顔部品の輪郭認識が最も重要である. 特に, 平均顔と中割り法を用いて個人性特徴の抽出と誇張を行う場合には, 二つの顔の輪郭点の対応付けの自動化が似顔絵生成上, 重要かつ最も大きい課題となる. 筆者らは, 顔画像からの簡易な輪郭抽出法, 輪郭の階層的再標本化法, および中割り法と部分領域のアフィン変換の組合せによる輪郭と顔の内部部品デフォルメ法を組み合わせることにより横顔似顔絵生成法を構築した. そして, 正規化のための2点の手入力を除いて自動生成を実現した. 本論文では横顔似顔絵生成の完全自動化のための諸課題および改善手法について整理・検討する.
著者
谷塚 昇 カーン Md.モスタフイズル ラマン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.825-832, 2002-05-01

深宇宙にある銀河階層のシステム(QSO)から放射される電波の観測値時系列を解析し,システムの進化・自己組織化に関する数理的・情報論的な構造を研究した.解析にはべき乗則の方法,及び時系列再構成状態空間写像法を使った.べき乗則の解析から,システムのダイナミックスの構造が進化していると考えられること,状態空間写像法の解析から,3次元状態空間上でアトラクタ様のパターンを得たこと,相関積分によるGP法から力学系の推定次元が限定された次数であることを示した.
著者
野田 厚志 北須賀 輝明 田頭 茂明 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.643-655, 2009-03-25

本論文では,無線可視領域通信(WVAC : Wireless Visible Area Communication)において通信相手の特定を支援する名前解決ミドルウェアを提案する.WVACとは,近距離無線通信デバイスを用いて,ユーザの視界内に存在する端末と,一時的にネットワークを形成し,即座に情報交換を実現する無線通信のことである.提案ミドルウェアは,従来の名前を用いることに加えて,周辺端末との相対位置を補助的に提示することで,WVAC環境における通信相手の特定を効果的に支援する.提案ミドルウェアは,(1)ミドルウェアの機能を,アプリケーションが汎用的に利用できるように,シンプルなAPIを提供する.(2)事前に設定/配置が必要な専用サーバを必要としない.(3)キャリブレーションを必要とせずに,周辺端末の相対位置情報を取得できる測位手法を採用している.また,提案ミドルウェアのプロトタイプシステムを構築し,応用プログラムの作成と基礎的な評価を行った.評価の結果から,PDA程度の処理能力で十分に提案ミドルウェアを稼動できることを示した.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 久野 義徳 山崎 敬一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.684, pp.35-40, 2006-03-22
被引用文献数
2

高齢者社会が進む昨今、福祉ロボットの開発は時代のニーズに即したものである。本論文では、被介護者の簡単な依頼を理解するロボットを開発する基礎段階として、実際に人間同士の依頼行為がどのように組織化されているか、ということをエスノメソドロジー的見地により見ていく。この分析に基づき、依頼行為は、依頼行為が行われる以前にコミュニケーション・チャンネルが相互反映的な形で確立されていること、そして実際の依頼行為も依頼発話とジェスチャがお互いを精緻化しながら、相互反映的な形で組織化されているということがわかった。
著者
林 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.37-42, 2006-12-07

社会的な知人やビジネス協力関係,電子メールの送受信関係,ルータやASレベルのインターネット接続関係,生物の代謝系などの現実の多くの複雑なネットワークには,任意のノード間が平均的に短いパスでつながり,次数分布がべき乗則に従うという,「小さな世界」と「スケールフリー」という特徴がある.多くの低次数ノードと少数の高次数のハブで構成されるそのヘテロなネットワークの結合性は,ランダム故障には頑健である反面,ハブへの集中攻撃には脆弱で,特にパケット転送許容量を越えた過負荷の伝搬によるカスケード故障に脆いことが知られている.本講演では,スケールフリーネットワークの分散的で単純な生成機構とその頑健性の理論予測を紹介し,ランダムなリンク張替えが結合耐性の維持に効果的であることをいくつかの実験結果から示す.どのようなタイプのトポロジー制御が大規模通信網に通しているかについても議論したい.
著者
池田 浩二 長岡 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2109-2115, 1993-09-25
被引用文献数
2

本論文では,隠れ素子なしのボルツマンマシンを用いた学習における結合パターンの決定という問題を扱う.これは,統計的モデル選択問題の一種である.モデルの良さを表す規範のとり方としては多くの方法が提案されているが、ここではMDL(minimum description length)を用いた選択法を考える.ボルツマンマシンにおける結合パターンの総数は素子数と共に爆発的に増加するので,すべてのモデルの中からMDL最小となるモデルを探索する従来の方法では,計算量的に膨大な負担を強いられる.また,MDLを求める際の対数ゆう度の計算では,あらゆる状態に関するエネルギー値をすべて求めるという手続きが必要であり,これはボルツマンマシンの分散並列性を大きく損なう.そこで,MDLを用いたモデル選択において計算量を軽減するための方策として,「隣接モデル探索」および「対称化ゆう度差SLD」という二つのアイデアを導入する.簡単な場合について計算機シミュレーションを行い,これらの方法の有効性を検証する.
著者
渡邊 賢治 達可 敏充 畠中 理英 尾上 孝雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.138, pp.129-134, 2008-07-10

ホームネットワークなどにおける屋内位置推定システムによって,ユーザ位置に連動したサービス提供,トラッキングなど,さまざまなサービスが実現できる.これらのサービスを構築する際,位置推定結果をサービスプログラムと連動させるための間取り情報が必須である.しかしながら,一般に間取り情報は事前に手入力する必要があり,導入コストの面で問題となる.そこで本研究では,ホームネットワーク機器が位置する座標および部屋の番号から自動的に壁位置を推定し,間取り推定を行う手法を検討する.本手法ではドロネー三角形分割を利用することで部屋の隣接関係を導き,ドロネー辺の串刺し直線により間取り推定を行う.実在する家屋の間取りに対して本手法を適用した結果,推定結果が実際の間取りと一致した面積の割合が93.7%となった.
著者
神嶌 敏弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング
巻号頁・発行日
vol.108, no.185, 2008-08-15

本講演では推薦システム,特に,その背後にあるアルゴリズムと,設計上の選択肢について述べる.推薦システムとは,利用者が探している情報やもの(アイテム)を予測し,それらを利用者に提示するシステムである.この推薦システムが登場した背後には情報過多(Information Overload)と呼ばれる状況がある.情報過多とは,日々発信・蓄積されている情報があまりにも膨大なため,探しているアイテムがあることが分かっていても,それを探し出せない状況のことである.そこで,利用者の要求に応じて情報を絞り込むことで,この問題に対抗する手段の一つとして推薦システムが開発された.いうまでもなく,利用者の要求は,探しているアイテム,利用者自身,探している状況は多様である.こうした多様な状況に対応すべくいろいろな手法やアイデアが提案されている.これらの利害得失を概観する.
著者
安間 文彦 古谷 公則 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.88, pp.63-68, 2008-06-07

テキスト主体の教材を学習する際,学習した内容を定着させるために視覚的な表現方法を用いて概念の整理を行わせることは有効であると考えられる.本研究では,学習者がeラーニングにおいてテキスト主体のコンテンツを学習する際に概念グラフを生成させることにより学習支援が可能なシステムを提案する.システムは,学習者の概念整理学習の結果を基に学習者の理解状態を同定することができるため,理解度に応じた支援が可能となる.さらに本研究では,コンテンツの内容を十分に理解している学習者に対して,Web上から抽出したコンテンツの環知識集合を提示する.その結果として学習者の知識獲得を支援することが可能になると考える.
著者
林 佑樹 小尻 智子 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.88, pp.39-44, 2008-06-07
被引用文献数
1

仮想世界での協調学習では,通信手段が制約されるため限られた情報しか取得できず,他者と円滑に学習することが困難である.実世界の協調学習では,発言や動作,そして相手の表情といった学習活動情報を,学習場の雰囲気や他者の状況から把握し,特定の他者・物に注目することができる.他者と協力して学習するためには,これらの学習活動に基づいて注目意識を直接反映できる学習空間であることが望ましい.本研究では,学習者の活動を注目変化のトリガと捉えて学習者の注目対象を推定する機構を考案し,注目の度合いに応じた学習空間への視線・視野を実現するインタフェースを提案する.また,構築したプロトタイプ・システムを用いて,注目対象推定機構と被験者の活動対象とを比べた評価実験を実施し,注目対象推定機構が学習者の注目対象の7割を正しく特定できたことを確認した.
著者
神吉 良典 長原 一 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.153-160, 2008-11-20

近年のカメラ技術の発達に伴い,カメラの高解像度化や高フレームレート化が進んでいる.しかしながら,画像データレートが解像度とフレームレートの積に比例して増加することなどから,高解像度高フレームレート動画像を取得することは一般的に困難であった.この問題を解決するための手法の1つとして,2つのカメラで同一シーンを撮像する複合センサカメラシステムが提案されていたが,装置が大型であるという問題点があった.本研究では,2つのCCDを1つのカメラに内蔵した小型複合センサカメラを提案する.従来機と比較して取り扱いの容易な小型複合センサカメラを用いることにより,高解像度,高フレームレートな画像センシングや映像の取得をより容易に行うことが可能となる.
著者
坂口 雄介 長原 一 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.161-168, 2008-11-20

ロボットが未知環境において自律移動を行うには外界情報の獲得と,ロボット自身の位置を把握する必要がある.そのため,従来よりロボットの自己位置推定と環境マッピングを同時に行うSimultaneous Localization and Mapping (SLAM)の研究が盛んに行われている.視覚センサを用いたSLAMには両眼カメラや単眼カメラを用いた手法が提案されているが,それぞれ対応点問題やスケールファクタの欠如など一長一短がある.本稿では,単眼推定と両眼推定それぞれの長所を組み合わせ,各ランドマークに対し適宜両眼・単眼を切り替えることで,精度の高い自己位置推定と密な環境マップの生成を実現する手法を提案し,その有効性を検証する.
著者
山本 文香 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.177-184, 2008-11-20

本稿では,GPUを利用することで移動物体領域の検出処理を高速化し,リアルタイムで高精度な移動物体検出を行うことを提案する.GPU (Graphics Processing Unit)は,全てのピクセルについて同じ計算を繰り返す処理を高速に実行できるので,GPUを利用することでピクセルベースの移動物体検出手法の高速化を図ることができる.GPUを利用して,ABM (Adaptive Background Model:明るさ可変背景モデル)とMSC (Margined Sign Correlation:マージン付き符号相関)を用いた移動物体領域検出を行うことで,CPUを用いた場合より9倍以上高速に計算できることを確認した.このシステムを解像度720×486のカラー動画像に適用した結果とその処理時間を示す.
著者
片平 尭之 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.185-192, 2008-11-20

コンピュータやセンサを身につけてさまざまな作業の支援を行うウェアラブルシステムにおいては,自己位置情報の提供が有益である.本論文では,ウェアラブル全方位視覚センサ・GPS・無線LANを用いた複合センシングによる自己位置識別手法を提案する.全方位画像・GPS情報・無線LAN情報について,それぞれ類似した学習データから自己位置の識別を行う.識別された自己位置がセンサによって異なる場合は,どのセンサによる結果が信用できるかを判別し識別を行う.実際に屋内および屋外環境で取得した全方位画像・GPS情報・無線LAN情報を用いて実験を行い,提案手法の有効性,ウェアラブルシステムへの適応性を確認した.
著者
Wenqi Zhou Takeda Yoko Song Liu Urano Yoshiyori
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, 2007-08-29

With the mature of information and telecommunication technology, the traditional testing module is under great change. Item Response Theory (IRT) abandoned the old way of evaluation according to students' raw scores, has been paid more and more attentions. How to combine the real-time and data processing advantages of IT technology to achieve IRT more effectively has been becoming one of the new major issues in the language teaching field. This system tries to achieve the IRT by introducing a "perceptron" technology in deciding the item difficulty coefficients during the tests. By utilizing the perceptron module, system automatically adjusts the difficulty coefficient of the questions according to students' answer so to enable students' correct answer rate convergence to a set value. The difficulty factor of the questions students eventually convergence to would be given as the result of the test in the name of knowledge mastery level.
著者
志村 ゆかり 渡辺 隆行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.408, pp.109-114, 2006-11-29
被引用文献数
2

Web content accessibility guidelines such as JIS X 8341-3 and WCAG 2.0 working draft require the separation of content structure from presentation. In (X)HTML, content structure is marked up with heading elements, list elements, etc. Objective evaluation of how content-presentation separation improves accessibility is needed to force Web authors to follow these accessibility guidelines. The current paper measures how usability and accessibility is improved when content is marked up with heading elements. The experiment was carried out firstly with four sighted persons and found that structured Web pages improve task completion time by 50% to 90%. The second experiment was carried out with one visually impaired and found that structured Web pages improve task completion time by 30% to 70%.
著者
有本 勇 引地 謙治 瀬崎 薫 安田 靖彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.662, pp.25-29, 2003-02-21

現在,我々は共有仮想空間において触覚インタフェイスを用いた実時間協調作業を行うシステムの研究を行っている.触覚インタフェイス同士での協調作業の研究は多くなされているが,触覚インタフェイスと非触覚インタフェイス間においての協調作業についての研究はほとんどなされていない.本稿では,非触覚インタフェイスとしてマウスを用いたクライアントと,触覚インタフェイスPHANToMを備えたクライアント間において,実時間協調作業を実現するシステムを提案する.本システムでは,触覚インタフェイスのように非触覚インタフェイスであるマウスにおいても仮想的な力を算出し,その力により仮想オブジェクトを操作することによって,両クライアントで違和感のない協調作業を実現した.また,本システムを用いて仮想オブジェクトの配置タスクを行うことにより,マウスにおける仮想的な力の生成手法の検討,および各クライアントの作業効率の評価を行った.
著者
中川 聖一 伊田 政樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.449, pp.45-52, 1997-01-17
被引用文献数
1

音声認識システムの評価を行なうにあたって、タスクの複雑性を表す尺度として一般にパープレキシティ (perplexity) が多く用いられている。パープレキシティは情報理論的な意味での平均分岐数を表し、各時点における同定すべき単語数に相当する。しかしこの尺度では文の長さや各時点での分岐数の偏りの正規化が不十分なためにタスクの複雑性を厳密に反映した尺度であるとはいえない。そこで、本稿では音声認識部を統計的にシミュレートしてタスクの複雑性と認識率の関係について検討し、新しいタスクの複雑性の尺度としてSMR-Perplexity (Square Mean Root Perplexity) を提案する。さらに実際の統計的言語モデルを用いた連続音声認識システムの評価に本手法を適用し、本手法の有効性を示す。