著者
前原 秀明 臼井 澄夫 鎌田 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.29, pp.7-11, 2002-04-12
被引用文献数
1

IT革命と高齢化社会の進行によりデジタルデバイドが大きな社会問題として意識されている.我々はこれまで,利用者による情報機器を介した情報獲得に焦点を当て,情報インタフェースと呼ぶ視点に基づいてこの問題を検討してきた.本稿では,情報インタフェースの視点から改めて情報獲得におけるバリア(情報バリア)を明らかにし,情報インタフェースにおける情報獲得の構造と評価方法について検討する.またこれに基づいて情報バリアフリーを定義するとともに,これに対するアプローチとして情報バリアフリーモデルを提案する.
著者
華 春生 呉 海元 塩山 忠義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.554, pp.91-96, 2003-01-09

本論文では、単眼色彩画像から、眼鏡の有無の判別法、眼鏡の有無に拘らない顔特徴点の検出方法を提案する。まず、ほぼ正面を向いている顔画像から、色情報(肌色と髪色)を抽出し、エッジ情報(強度と方向)を抽出する。この情報より、顔と顔器官を含む領域を決定する。頬部分の肌らしさの平均値と目尻周辺のそれと比、頬部分のエッジ強度の平均値と目尻周辺のそれとの比から、眼鏡の有無を検出する。検出された顔器官を含む領域から、口、鼻、目の位置を予測し、エッジ情報より確定する。最後に、SUSANオペレータを用いて顔特徴点を抽出する。
著者
唐門 準 松尾 豊 石塚 満
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.473, pp.73-78, 2007-01-16

Webをはじめとして実世界の多くのデータは関係構造を持っており,エンティティの間にさまざまな関係が存在する.しかし分類や回帰などのタスクを考える際にはこういった関係情報が使われることは少ない.また実際に使われる場合でも,人手を介した何らかの直観によって関係に関する情報を属性にうまく加工するという方法が取られる.そこで本研究では,データの関係構造を使って適切な属性を生成する方法を提案することを目標とする.本稿ではその方向性の検討,および論文データを使った簡単な予備実験の結果を報告する.特に本研究では同種のエンティティの関係性に着目する.同種のエンティティの関係は,社会ネットワーク分析や複雑ネットワークの研究で最近,特に着目されているものであり,その関係を統合的に(ネットワーク的に)扱うことで有用な属性生成が可能ではないかというのが本研究の着眼点である.
著者
清水 英明 片上 大輔 新田 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.473, pp.67-72, 2007-01-16
被引用文献数
3

社会の複雑化と共に,研究活動においても様々な分野領域を複合的に組み合わせた活動が多くなった.分野の組合せの分析およびそれらのジャーナル,学会ごとの比較を行うことは研究者にとって有益な情報を与え,今後の研究活動に役立つといえる.本研究では文献情報を基に分野をノードとしたネットワークグラフを作成,視覚化を行うツールを開発し,ジャーナル同士の比較およびその利用方法を検討した.まず経済学分野についてボトムアップ的に分野間ネットワークを作成し,時系列分析,出来事との関連を調査した.また時間による分野の枝分かれなどの変化を文書類似度を用いて生成した分野間のネットワークにより分析,その利用について検討した.
著者
小林 弘和 中西 俊博 杉山 和彦 北野 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.90, pp.17-21, 2006-05-26

光電子増倍管の光電面における2光子吸収を利用した光子対検出について紹介する。2光子吸収は時間的、空間的に接近した2光子に対して起こる現象であるため、光子対検出に用いることができる。また、2光子吸収による光電流の入射パワー依存性は、光子の統計的性質に依存し、コヒーレント光では2乗特性、時間相関を持った光子対では線形特性を示す。本稿では、コヒーレント光における光電流の入射パワー依存性の測定により、2乗特性を得たので、その結果を述べ、さらに時間相関光子対の生成実験の結果を述べる。
著者
牛尼 剛聡 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.172, pp.157-162, 2005-07-07
被引用文献数
1

本論文では, ライフログ検索に利用することを目的として, 個人時間空間の要素に対してキーワードで索引付けを行う手法を提案する.デジタルカメラで撮影された画像をはじめとして, 多くの種類のライフログは時間軸上に対応付け可能である.本手法で生成される索引を利用すれば, 時間軸に対応付け可能なライフログを, 人手によるアノテーション無しでキーワード検索可能となる.本手法では, 索引の自動生成のために, 個人が送受信した電子メールメッセージを利用する.本研究で対象とするのは, 索引語と個人時間空間の要素間の関係である.本手法ではその関係を, (1)索引語とメッセージの関係, (2)メッセージとメッセージ中に現れる時間表現の関係, (3)時間表現と個人時間空間の要素間の関係, という3種類の構成要素に分解する.そして, それぞれの構成要素に関して, 局所的重み, 大局的重み, 正規化係数という3種類の基準に基づいて重み付けを行う.
著者
岡部 博明 藤村 昌寿 栖原 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.515, pp.1-6, 2007-01-22

量子情報通信、量子情報処理の分野において量子相関を持つ光子対が重要な役割を果たすと期待されている。本研究では導波型TypeII擬似位相整合直交偏波光子対発生デバイスの設計、作製、評価を行った。また、このデバイスを用いて偏波エンタングル光子対の発生を試み、量子干渉実験を行うことで偏波エンタングル光子対の発生を実証した。
著者
佐藤 洋平 杉原 厚吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.669, pp.91-96, 2005-02-17
被引用文献数
6

Human-computer interactionに関連した研究でジェスチャの認識があるが、本稿は, その中でもPCへのマウスやキーボード以外の入力手段としてのジェスチャ認識について研究したものである.このシステムは実時間処理が要求されるが, 本稿では先行研究に比べより実時間処理に適した手法を用い, さらにその手法に対して認識率を上げるための改良も行った.そして結果として, 先行研究よりも計算コストを減らし, かつ認識率を上げることが出来た.また、実際に実装することによって, このシステムがPCと安価なUSBカメラのみで容易に実現可能であることも実証できた.
著者
齊藤 英樹 佐野 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.457, pp.41-46, 2003-11-14
被引用文献数
1

近距離無線通信でアレーアンテナを用いる場合,入射波の平面波という仮定が妥当でなくなる.つまり,従来のMUSICやESPRITなどの到来方向推定アルゴリズムを適用すると精度が劣化する.このような近傍マルチパス環境において有効な到来方向推定アルゴリズムがなく,本報告では最尤推定に基いて入射波の到来方向だけでなく,アレーアンテナからの距離推定も行う手法を提案する.局所最小解の問題に関しては,ソフトコンピューティング法の1つであるPSO (Particle Swarm Optimization)を用いることで大域最小解周辺の解を得て,そこから繰り返し計算であるNewton法を適用し最適解を得る.数値シミュレーションを行い,Cramer-Rao Boundと比較することで本手法の有効性を確認した.
著者
村田 真樹 馬 青 内元 清貴 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.698, pp.25-32, 2001-03-16

テンス・アスペクト・モダリティは,翻訳が難しい問題として知られている.従来はテンス・アスペクト・モダ゛リティの表現は人手で作成した規則によって扱われていたが,近年用例ベース(k近傍法)の方法などのコーパスベースに基づくアプローチでも処理されるようになってきた.本研究では,このテンス・アスペクト・モダリティの翻訳の実験を,k近傍法も含めて様々な機械学習手法を用いて行なった.その結果,サポートベクトルマシンに基づく方法が最も高い精度を得た.また,用例ベースを用いた先行研究では解析に用いる情報は文末の一致文字列のみであったが,この情報に加え,一文全体の形態素情報も解析に用いることにしたところ,精度が上昇するという結果を得た.このことにより,テンス・アスペクト・モダリティの翻訳には文末情報だけでなく一文全体の形態素情報も有用であることがわかる.
著者
中村 順一 甲斐 郷子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.168, pp.57-62, 1995-07-20

PACLING-II(The Second Conference of the Pacific Association for Computational Linguistics)が1995年4月19日から22日に,オーストラリアBrisbaneのThe University of Queenslandで開催された.参加者は約50人で,日本,オーストラリア,韓国が中心であったが,その他,米国,カナダや英国からの参加者もあった.4つのキーノート・アドレスと35の論文発表が行われた.筆者らは,これに参加したので,その概要について報告する.
著者
森川 大補 本庄 勝 小塚 宣秀 山口 明 大橋 正良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.692, pp.143-148, 2004-02-27
被引用文献数
2

我々は,ユーザ自身に関わるプロファイル情報,ユーザ周辺の環境に関するプロファイル情報などをユーザ状況に応じて集約し,個人環境プロファイルとして体系化するユーザプロファイル管理基盤を検討している.本橋では,まず,我々が想定する個人環境プロファイル構築モデルを述べる.次に,個人環境プロファイルのデータモデルとその更新手法について,我々が設計した個人環境プロファイルの実例を交えて述べる.さらに,個人環境プロファイルを活用したサービスのために必要となるイベント検出機能とクエリ処理機能を説明する.
著者
前田 英作 南 泰浩 堂坂 浩二 森 啓 近藤 公久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.296, pp.51-56, 2006-10-12

NTTコミュニケーション科学基礎研究所では,2005年より「環境知能」をテーマとした研究プロジェクトを進めている.このプロジェクトの目的は,音声処理,音響処理,言語処理,対話,視覚情報処理,探索,学習,ネットワークなどのコミュニケーションのための情報処理技術を有機的に統合することにあり,それによって実現される新たな生活様式の提案も視野に入れている.本稿では,この取り組みの狙いとこれまでの進展を紹介する.
著者
斎藤 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.98, no.381, pp.21-27, 1998-11-02
被引用文献数
1

自閉症は、社会関係、コミュニケーションならびに言語の発達障害によって特徴付けられる。自閉症では死後脳所見およびMRI研究から小脳異常が繰り返し報告されてきた。最近われわれは方法的に周到に計画したMRI研究から、小脳虫部VI-VII小葉の形成不全と過形成を示す2つの亜群を自閉症患者に見出した。他方、機能的神経画像の新技術は、自閉症の注意や認知の障害に関わる神経機構の直接的な検討を可能としつつある。さらに、小脳がヒトの非運動性認知に関与している可能性を示す知見の増加は、大脳病理に制限されない、新たな'包括的神経心理学'の発展を促しているように思われる。
著者
稲垣 耕作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1230-1237, 1998-09-25
被引用文献数
12

Kauffmanがランダムネットワークの解析で発見した平方根の法則性は, 複雑適応系の分野で代表的な仮説の一つである.本論文ではそれを知能の分野とも統合し, 漸化形の超指数法則とした創発仮説を提案する.パターン認識やニューラルネットワーク, 分子生物学分野のデータなどで, この仮説が成り立つ可能性を検討する.またKauffmanのランダムネットワークにおいて秩序が発生するためには, 計算万能性が必要条件であることを証明する.本論文で述べる基本万能性は, 従来の物理学で説明できず情報学によって説明できる自然法則というべきものであり, その本質は非線形性とネガティブフィードバックであると解釈できる.カオスの縁における計算万能性の存在は有名な予想であり, 本論文はKauffmanモデルにおいてそれを証明したことになる.
著者
篠原 陽介 舩曵 信生 川島 潤 竹内 順一 石崎 雅幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.573, pp.39-44, 2005-01-14
被引用文献数
5

自動車ナンバープレートの文字認識は, 駐車場での車両管理, 高速道路での料金自動徴収, 道路での交通流計測や混雑状況の監視, 路上の不正な駐停車両の特定などのために, その車両を識別するための重要な技術である.本論文では, 漢字・仮名認識にクロスカウント法, 数字認識にテンプレートマッチング法を使用した, 画像からのナンバープレート文字認識アルゴリズムを提案する.入力には, デジタルカメラやPDAを用いて, 人が現場で撮影した画像を用いるため, 前処理に画像中の影などに応じて適応的に閾値調整を行う二値化処理を採用する.また, 複雑な文字パターンである漢字の組合せで構成される陸運局名を認識するため, クロスカウント法の代表ベクトルの自動生成アルゴリズムを提案する.評価実験により, 本提案法がWEBから採取したサンプル画像では100%の認識率を, 本研究のためにPDAを用いて撮影したサンプル画像では80%の認識率を有することを示す.
著者
小倉 孝夫 大西 健之 福田 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.600, pp.59-64, 2007-03-08

現在、電話網とデータ網をIPベースに統合して様々なサービスを提供する次世代ネットワーク(NGN)への移行が進められている。NGNでは、サーバへのDoS/DDoS攻撃は最も高い脅威の一つであり、特にSIPサーバ攻撃は大きな被害を与えることが予想される。DoS/DDoS攻撃では大半は、IPソースアドレスを詐称したIPパケットでおこなわれている。従来のアドレス詐称防止方式にはuRPF(unicast Reverse Path Forwarding)等があるが、確実にIPソースアドレスの詐称を防止する方式ではない。そこで、確実に詐称チェックをおこなうことを目的に、ユーザ側ではIPソースアドレスから作成した認証情報をIPパケットに付加してIP通信をおこない、キャリアのネットワークまたはISP内でその認証情報を使って詐称チェックする方式を提案する。また、スケーラビリティの観点から詐称チェック機能の性能評価をおこなったので報告する。
著者
大西 圭 山本 寛 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.79, pp.7-12, 2005-05-18
被引用文献数
1

構造化されないPeer-to-peer(P2P)ネットワーク上でのファイル共有を想定し, P2Pネットワークを構成する機能的に対等なピアはそれらに生じるストレージ負荷に関しても対等であるべきであるとの立場から, 新たなストレージ負荷分散のための複製配置手法を提案する.提案手法は, 各ピアが保持する過去のファイル検索経路情報を用いて, 現ファイル検索経路上のピアおよびそれらの隣接ピアの中からピアを選択し, 一定の確率で選択ピアにファイルの複製を生成する.実験の結果は, 提案手法が, ファイル検索経路上のピアのみに一定の確率でファイルの複製を配置する比較対象手法に比べ, 優れたストレージ負荷分散性能を持つことを示す.
著者
市川 憲人 大西 圭 内田 真人 鶴 正人 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.125-130, 2006-02-23
被引用文献数
1

ファイル共有を目的とした非構造型Peer-to-Peer(P2P)アプリケーションにおいて,複製の配置は検索効率を高めるための有効な方法であるが,既存の複製配置手法には,一部のピアに負荷を集中させてしまうという欠点がある.そこで本研究では検索効率と両立しながら負荷分散を達成するために,熱拡散現象に着想を得た複製配置手法を提案した.理論解析の結果,提案手法は統計的に熱拡散現象と類似の挙動を示すことを明らかにした.また,シミュレーション評価の結果,提案手法は検索性能と負荷分散をうまく両立させる能力に加え,検索効率と負荷分散の多様なトレードオフ関係を開拓する能力を有することが分かった.