著者
中北 英一 鈴木 賢士 坪木 和久 大石 哲 川村 誠治 橋口 浩之 高橋 劭 城戸 由能 田中 賢治 中川 勝弘 岩井 宏徳 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 若月 泰孝 相馬 一義 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

集中豪雨やゲリラ豪雨による水災害軽減のための総合的基礎研究を実施した。最新型偏波レーダーとの同期フィールド基礎観測実験においてビデオゾンデ観測の汎用化をはかることでこれまで夢に描いてきた積乱雲内の多地点連続観測を実現するとともに、ヒートアイランドの影響を受ける都市域での積乱雲形成・発達過程のマルチセンサー同期観測の緒も開いた。それらを土台に積乱雲のモデル化と豪雨予測手法の開発を行い、加えて早期警戒情報提供や水位予測などの水管理に重要な手法をも構築した。特に、開発したゲリラ豪雨の早期探知・危険性予測手法は国土交通省で現業化され試験運用が開始されており、科学的にも社会的にも意義深い貢献を果たした。
著者
小倉 匡俊
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究の目的は、動物園で飼育されている霊長類と鳥類を対象に認知科学的手法を導入し、認知能力の進化史を解明すること、および飼育環境を改善する環境エンリッチメントを開発することである。中でも、ヒトに特徴的な認知能力のうち道具使用行動に着目する。ヒトの進化の隣人である霊長類と、系統的に遠いが相同な行動を進化させた鳥類を対象として、道具使用行動の実験を実施し、背景にある認知能力の進化史を明らかにする。また、飼育環境の改善に不可欠である飼育環境に求められる認知要因の解明と環境エンリッチメントの発展にも貢献できる。こうした研究目的および昨年度までの実施状況に基づき、実施2年度目である本年度は東山動植物園を研究のフィールドとして、鳥類と霊長類を対象とした認知実験と行動観察を継続した。まず、鳥類を対象とした研究においては、本年度は簡単な刺激弁別課題をおこない、認知実験に必要な手順を学習させた。対象とした5個体のうち4個体で学習を完了できた。続いて道具使用行動についての実験に移る予定だったが、対象個体が繁殖期に入り実験の継続が難しくなったため、いったん中断した。霊長類を対象とする研究では、チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの大型類人猿3種を対象として選定し、道具使用行動を採食場面に導入することによる環境エンリッチメントの評価を目的として、行動観察を実施した。平常時の行動時間配分および行動レパートリーについて分析をおこなった。行動観察のために開発したモバイルアプリケーションについて論文と学会発表で公表した。また、平行して共同研究者と協力しておこなったコアラの採食選好性などについての研究をそれぞれ学会発表として公表した。自身の研究分野について書籍で概説したとともに、学会発表で公表し、アウトリーチ活動として高校で出前授業をおこなった。
著者
鈴木 康夫
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は,組立・解体が容易なリサイクル・リユース橋梁の部材連結構造を具現化するために,これまでに研究代表者らが提案してきた高力ボルト引張接合と摩擦接合を併用した新しい主桁連結構造の高強度化およびその設計法の確立を目的としたものである.フランジ連結部の構造詳細の違いが継手強度および変形性状に与える影響を検討した結果,フランジ連結部の補剛リブを主桁フランジ平行に取り付けた構造よりも垂直に取り付けた構造の方が,最大強度および最大強度字の変形量が増大し,より延性的な破壊モードとなることなどを明らかにした.さらに,従来の強度算定法よりも精度の良い曲げ強度算定法を提案した.
著者
村山 美穂 ARNAUD Coline ARNAUD Coline
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、長期にわたる観察により母系の血縁が判明している野生ニホンザル集団を対象として、性格の進化過程の解明を目指した。本年度は、前年度までに蓄積した幸島ニホンザル集団における 1.新奇性探求の行動テスト、2.質問紙による性格評定、3.血縁関係のデータの相互の関連性を解析した。新奇物体テストでは58%、新奇食物テストでは19%の個体が全く接近しなかった。新奇物体テスト項目は1主成分、新奇食物テスト項目は2主成分に分かれた。新奇物体や新奇食物への接近が遅い個体は、接近後に食物を調べたり味をみる時間が短かった。性別、年齢、給餌、指向数、時間、季節、他個体の有無などの影響は見られなかった。メスの順位の高い個体は中・低順位と比較して、新奇物体への興味が弱い傾向にあった。母子を除く近縁個体は、遠縁個体に比べ、新奇食物への興味(調べたり味を見る行動)のスコアが似ていた。このことから新奇食物への興味は、母親から社会的に伝わる影響に加え、遺伝的な影響も大きいことがわかった。性格評定の質問20項目中、評定者間の一致度が高かった12項目を用いて因子分析を行った結果、“Loneliness”,“Subordination”, “Emotionality”の3因子が抽出された。これらの結果をまとめて国際学会で発表し、学術雑誌に投稿した。
著者
太田 至 島田 周平 池野 旬 松田 素二 重田 眞義 栗本 英世 高橋 基樹 峯 陽一 遠藤 貢 荒木 美奈子 野元美佐 山越 言 西崎 伸子 大山 修一 阿部 利洋 佐川 徹 伊藤 義将 海野 るみ 武内 進一 武内 進一 海野 るみ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代のアフリカ諸社会は、紛争によって疲弊した社会秩序をいかに再生させるのかという課題に直面している。本研究では、アフリカ社会には人々が紛争の予防や解決のために自ら創造・蓄積し運用してきた知識・制度・実践・価値観(=アフリカ潜在力)が存在すること、それは西欧やイスラーム世界などの外部社会との折衝・交渉のなかで不断に更新されていることを、現地調査をとおして実証的に明らかにした。本研究ではまた、「紛争解決や共生の実現のためには民主主義や人権思想の浸透がもっとも重要である」といった西欧中心的な考え方を脱却し、アフリカ潜在力は、人々の和解や社会修復の実現のために広く活用できることを解明した。
著者
石井 陽子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

レイヤー構造を持つ液晶相には大きく分けて2種類存在し、一つは水と界面活性剤の混合系から成るラメラ相で、もう一つは棒状低分子単成分系からなるスメクチック相である。この様なレイヤー構造を持つ液晶では層法線方向と層面内の方向において拡散係数が大きく異なることが知られているが、その異方性はラメラ相とスメクチック相において一桁以上の異なることが知られている。本研究では、液晶層間の異種分子の存在が層法線方向の拡散係数に及ぼす影響を調べる事を目的に、低分子単成分系にアルカンを混合した膨潤スメクチック相の自己拡散係数の測定を行った。結果、層間のアルカン分子の存在は層法線方向の拡散を疎外することがわかった。
著者
岩隈 美穂
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

13人の研究協力者にインタビューを行った。日本の先進国としての生活スタイル、インターネットを通じての母国とのつながりの保持、日本にはさまざまな外国人たちが多様な目的で来日、長期・短期に渡って滞在し、受け入れ社会についての知識などが、研究参加者の適応に大きな影響を与えていることが明らかになった。さらに研究参加者たちの適応には、身体的、社会的、態度的レベルがあることも本研究で示された。
著者
中島 秀太
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、量子縮退が実現されている原子種の中で最も軽いアルカリ原子であるリチウム(Li)と、最も重い原子であるイッテルビウム(Yb)を、個別にあるいは同時に多様な光トラップに導入し、より広範な強相関系の「量子シミュレーション」を実現することである。本年度はまず、前年度に構築した1次元光超格子系の2波長光格子の相対位相と振幅を動的に制御することで、"電荷ポンプ"と呼ばれる(量子化された)原子の移動現象(ポンピング)を研究した。実験には相互作用が無視できる2成分フェルミオン171Yb原子を用い、ポンピングによる光格子中での原子の移動をCCDカメラ上の吸収像から直接観測した。この"量子化"は、量子ホール効果と同様に「チャーン数」と呼ばれるトポロジカル不変量と直接関係しており、移動量の測定からこのポンピングにおけるチャーン数を評価した。またポンピングの有無が、超格子パラメーターの時間変化の軌跡が特異点を囲むか否かという"トポロジー"の違いで決定されるというRice-Mele模型にもとづく予言を確認するため、実際にトポロジカルに異なる2通りのポンピングサイクルを構築し、この両者のポンプ量に明確な違いがあることを実験で明らかにした。また後半では、ETH Zurichの量子光学研究室に滞在し、冷却Li原子集団をこの系のフェルミ波長の精度で操作・観測出来る高分解能光学系の技術を習得するとともに、この実験系を利用した冷却Li原子を用いたメゾスコピック系の量子シミュレーションの研究を行なった。特に、デジタルミラーデバイス(DMD)を利用した冷却原子系に対する走査型ゲート顕微法を開発し、光トラップによる"量子ポイントコンタクト"ポテンシャル構造の実空間観測、およびトラップ中の冷却原子の量子コヒーレンスの直接観測に成功した。このDMD技術は今後の冷却原子系への応用が期待できるものである。
著者
田野 大輔
出版者
京都大学
雑誌
京都社会学年報 : KJS
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-40, 1998-12-25

Die >>Asthetisierung der Politik<<, von der W. Benjamin in seinem Kunstwerk-Aufsatz gesprochen hat, zeigt sich deutlich im Nationalsozialismus, besonders in seiner spektakularen Inszenierung der Reichsparteitage. Diese asthetische Leistung des Nationalsozialismus laBt sich nicht allein auf hohle Propaganda zuruckfuhren, sondern auf seine Fahigkeit, tatsachlich Realitat zu schaffen, mit der er die breite Masse faszinierte. Benjamin hat behauptet, daB die >>Asthetisierung der Politik<< eine hemmungslose Ubertragung der Thesen des >> L'art pour l'art<< auf die Politik bedeute und im Krieg gipfle. Seinem Kunstwerk-Aufsatz zufolge bedeutet sie aber auch den kunstlichen Aufbau des >>schonen Scheins<< in der Politik, die Spektaklisierung der Politik durch die Massenmedien. Wie Goebbels sich bewuBt war, war die nationalsozialistische Politik daruber hinaus eine >>bildende Kunst des Staates<<, die mit dem Ziel der Schonheit die Masse formte und die Realitat als ein >>Gesamtkunstwerk<< gestaltete. Hier entstand das aus dem Menschenmaterial aufgefuhrte Monument, das S. Kracauer das >>Ornament der Masse<< genannt hat. Dieses Monument wurde weiter von E. Junger theoretisch als >>die Gestalt des Arbeiters<< gepragt, und in der Tat beherrschte es die politische Offentlichkeit des NS-Regimes. In diesem Bild sah die Masse sich selbst ins Gesicht, identifizirte sich damit und verlieh ihm dadurch erst Realitat, anders gesagt, sie bildete sich daran selbst zu einem Monument. Somit laBt sich schlieBen, daB sich die nationalsozialistische Herrschaft nicht auf rein propagandistische Manipulation durch den Fuhrer stutzte, sondern auf eine Realitat des Asthetischen, die durch die Integration der Masse gestaltet war und mit der sie sich identifizierte.
著者
村山 美穂 中村 美知夫 幸島 司郎 伊谷 原一 井上 英治 田中 正之 杉浦 秀樹 森村 成樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本課題では、絶滅の危機に瀕した野生動物の保全遺伝学を目指して、動物園や国内の野外ステーションとの連携を活用して、非侵襲的な DNA 採取法の開発に取り組むとともに、血縁や亜種判定の基礎となる多様性データを集積し、多数種、多数試料からなる詳細情報つきの DNA Zoo を整備した。またストレスや行動との関連が予想される遺伝子と性格評定などのデータとの比較により、ゲノム情報による野生動物の行動や繁殖の予測システムを構築した。
著者
岩崎 奈緒子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の特色は、寛政期の対外政策を、当該期を世界観の変容というダイナミズムの中に位置づけた点にある。具体的には以下のことが解明できた。(1)蝦夷地政策に積極的であった田沼期と蝦夷地幕領期との間に位置する寛政改革期は、蝦夷地政策を展開させる重要な一段階であった。(2)対ラクスマン外交は、むしろ、日本の伝統的な対外関係のあり方に即して策定された(3)定信はロシアに対する深い知識を背景に、礼節を持った法治国家、すなわち、文明の国として、ロシアに対し日本を対置した(4) 「鎖国」の観念がナショナリスティックな色彩を帯びつつ、日本の国是として定着する契機は、日露紛争という近世日本が初めて遭遇した深刻な対外的危機にあった。
著者
友永 雅己 森阪 匡通 伊村 知子 中原 史生 林 美里 田中 正之 足立 幾磨
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-05-31

チンパンジーなどの大型類人猿とハンドウイルカなどの鯨類を主たる対象として、われわれ人間の知性の進化を、特に系統発生的制約と環境適応という観点から比較認知科学の手法を駆使して検討を行ってきた。研究は、物理的世界および社会的世界の知覚・認識・理解に関して様々な観点から多様な種を対象に実施された。その結果、基礎的視知覚、空間認識における身体的制約、イルカ類における道具使用的行動、概念的メタファーの理解、他個体認識、聴覚コミュニケーションの種特異性と一般性、オランウータンやイルカにおける向社会行動の発現過程、チンパンジー、オランウータン、イロワケイルカにおける母子間関係の発達的変化を明らかにした。
著者
山崎 健一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

地震波の伝搬と同時に電磁場の変動が観測されることがある。この研究では、震源からある程度離れた場所での現象に焦点を絞って、既知の物性理論から予測される地震時電磁場変動を計算し、それを観測事実と比べることにより、仮定した既知の理論だけで観測事実を説明しうるのかを明らかにすることを試みた。その結果、既知の理論だけでは説明できない変動が含まれていることが確認された。このことは、地震動を電磁場変動に変換する未知のメカニズムがまだ存在することを示唆している。
著者
冨井 眞
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011-03

平成21-22年度科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 研究課題番号:21652065 研究代表者:冨井眞 (京都大学文化財総合研究センター) 「破片接合状況の詳細観察による動作連鎖の最終局面の理解のための基礎的研究」による研究成果の一部
著者
竹脇 出 辻 聖晃 吉富 信太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

東京や大阪などの大都市圏では、超高層建物の建設後に大きなレベルの地震動を経験しておらず、直下型やプレート境界型の地震動に対してどのような地震動が励起され、どのような被害が発生するかについては数値シミュレーションでしか検討されていない。また、その地震動に関連するパラメターの不確定性については確かな理論が提示されているとは言い難く、エネルギー指標の導入による地動入力のパラメター上限値の設定などの確かな理論が求められている。本研究では、極限外乱理論の展開により、従来よりも信頼性の高い建築耐震性能評価が可能となることを示した。
著者
大谷 浩 冨田 良雄
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

(1)SNGシステムのグレードアップ昨年度開発したオートガイド装置と,分光器のCCDカメラの制御系を結んで,SNGシステムの自動化を行った.このシステムでは観測プログラムの進行にしたがって,このパソコンから,ガイドパソコンへスキャン1ステップを実行する命令がRS232Cを介して送られる.これを受けたガイドパソコンは,スキャン相当量だけガイドのためのCCD読みだしサブフレームを移動する.そうすると望遠鏡はその量だけ方向を修正する.こうして,スキャンが行われる.1ステップのスキャンが終了するとガイドパソコンは,CCDパソコンに終了信号を送信する.これを受信したCCDパソコンは露出を開始する.露出終了後,CCD読みだし,ハードディスクへのデータ保存の後,再びスキャン命令をガイドパソコンに送信する.この様な動作の繰り返しによってSNG観測が行われる.(2)オリオン星雲の観測昨年上の観測から,赤外線領域でもSNG観測が十分に可能であることがわかった.その結果多くの輝線の単色像が得られた.可視域では,Hα,[NII]λ6584,[SII]λ6731などでは非常に高いS/N比のぞうが得られた.赤外では,[OII]λ7326の良好な像が得られ,ややS/Nは低いが[SIII]λ9069でも単色像が得られた.これらは,従来の写真観測によるものよりも測光精度がきわめてよく,質の高いデータである.
著者
高谷 光 磯崎 勝弘 清家 博史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

側鎖にPd, Pt, Ru等の触媒金属錯体の結合した新規なメタル化アミノ酸およびメタル化ペプチドの合成に成功し,これらのメタル化アミノ酸の相互連結あるいは自己組織化による金属集積制御に成功した.また,メタル化アミノ酸の自己組織化によって得られる超分子集合体が水中で作用する不均一系触媒として高い活性を示し,アルキン酸類の環化付加反応やアルコール類の過酸化水素酸化に高い活性を示すことを見出した.
著者
佃 洸摂
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本年度は大きく二つの研究課題に取り組んだ。一つ目の研究では、語の上位下位関係を用いて、入力クエリに対する同位語らしい語および上位語らしい語を発見する手法を提案した。提案手法では、語の上位下位関係を基に作られる2部グラフに対してHITSアルゴリズムを拡張した手法を適用することで、同位語らしさ、上位語らしさを求める。例えば、「落合博満」というクエリに対しては、同位語らしい語として「野村克也」や「イチロー」といった語が、上位語らしい語として「野球監督」や「野球選手」といった語が得られることが期待される。 実験では、クラウドソーシングを用いた大規模な実験を行い、提案手法の有用性を明らかにした。二つ目の研究では、社会認知量に基づく典型度と、データ量に基づく典型度に差がある情報は意外であるという仮説の基、意外な情報の発見を目的とした。特に語間の関係の典型度に着目し、上記の仮説を検証するために、クラウドソーシングを用いて社会認知量に基づく関係の典型度および関係の意外度を取得した。さらに、語の認知度および同位語を考慮することで社会認知量に基づく典型度の推定手法を提案した。最後に、社会認知量に基づく典型度、データ量に基づく典型度、オブジェクトの認知度を用いて情報の意外度の推定を行った。本研究の手法を用いることで,既存手法により求められる関連度は高いが関係の認知度が低い語を「非典型的な語」としてユーザに提示することが可能になった。
著者
吉川 清次
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

EMTレポータースクリーニングにて、EMTを誘導因子としてSnail・Twist2を、EMTと協調してHMLEに軟寒天コロニー形成能を付与する遺伝子としてミトコンドリア電子伝達系構成因子、シグナル伝達ハブ遺伝子が同定されノックダウン実験では、SUM159間葉乳癌細胞のコロニー形成を抑えることが分かった。METスクリーニングでは、E-cadherin発現を強力に誘導するshRNA(shP1と命名)を同定した。軟寒天コロニー形成能の解析から、SUM159細胞にはshP1に感受性をもち軟寒天コロニー形成能が低下する集団と、shP1によりコロニー形成能が変化しない細胞集団が存在することが判明した。