著者
田中 皓介 神田 佑亮 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_373-I_379, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 5

先の東日本大震災からの復興や,高い確率でその到来が予測されている首都直下型地震及び東海・東南海地震等に対する防災・減災の観点からしても,公共事業の重要性は近年一層高まっていると考えられる.そうした公共事業の実施に当たっては,国民世論並びにそうした世論形成に影響を及ぼし得るメディアの報道が重要であるといえる.ところがそうした主要なメディアの一つである新聞の報道が公共事業に対し批判的な傾向であることが示唆されている.ついては本研究では,大手新聞社の公共事業に対する批判的な報道の傾向を分析し,その背景について考察を加えることとした.
著者
若松 加寿江 濱田 政則 野勢 辰也 犬塚 真一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.421-424, 1999 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

液状化による流動量を予測する式はいくつか提案されているが, 地表面勾配など専門家による測量が必要なパラメータが導入されており, 予測式の適用は必ずしも容易ではない. そこで, 本研究では1m以上の水平地盤変位を伴う側方流動が発生するか否かを簡便に判定するクライテリアを作成することを目的として, 1964年新潟地震の際の液状化発生地域における地盤条件の分析を行った. その結果, 1m以上の地盤変位は液状化層厚や液状化層の換算N値との相関が高く, 従来, 液状化発生の簡易判定に適用されてきたN値と深度 (有効上載圧) の関係や, 液状化層厚とその上部に存在する非液状化層厚の関係に基づく限界曲線のみから, 1m以上の地盤変位発生の有無を判別することは困難であることなどがわかった.
著者
野間 真拓 水谷 夏樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_109-I_114, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
6

波浪予測にニューラルネットワークを用いることは,深いドメイン知識を必要とせず地域毎に少ないコストで導入できる利点がある.一方で,ニューラルネットワークの説明変数として気象場の再解析GPVデータを利用することが多く,リアルタイム波浪予測の妨げとなっている.本研究では,リアルタイム波浪予測を目指してアメダスおよびナウファスの観測データを用いたニューラルネットワークを構築し,神戸港での波高および周期を予測した.説明変数の組み合わせやSHAP値から,各説明変数の予測精度に対する寄与についてある程度説明することができた.その上で,予測精度向上には風上側の適切な距離にある風の情報が重要であること,さらに波浪(波高と周期)の履歴情報の貢献度が極めて高いことを示し,特に波高については実用十分な精度で予測することができた.
著者
中村 智 山田 大樹 新谷 美菜 Supasit Srivaranun 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.117-127, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
24

塩害環境にある鉄筋コンクリート(RC)構造物は,塩化物イオンの作用により鉄筋腐食が発生し,コンクリート表面には腐食ひび割れが観察される.腐食ひび割れは,RC部材内部の鉄筋腐食の状況を知る貴重な観測情報であるが,かぶりや配筋などの構造細目の影響を受けるため,両者は複雑な非線形の関係にある.本研究では,構造細目の異なるRC部材を用いた電食実験により,部材軸方向と軸直角方向に相関性を有する鉄筋腐食分布を得た.その2次元確率場パラメータを実験結果に基づき同定し,3次元有限要素解析を実施することで,解析的に機械学習用(pix2pix)のデータベース(鉄筋腐食と腐食ひび割れ幅の関係)を構築した.これにより,劣化RC部材表面の腐食ひび割れ幅の分布と構造細目が与えられることで曲げ耐荷力の推定が可能となった.
著者
原田 守啓 高岡 広樹 大石 哲也 萱場 祐一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.253-258, 2015 (Released:2022-04-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

This paper aims at examination of the effectiveness in Japan of the “Local River Widening” method mainly tried in Europe. About the example site of the small and medium-sized rivers which flows through the Kiso-river fan, the follow-up survey was conducted to consider the geographical feature change process. A point-bar was formed through two flood term after construction in the site. In order to generalize the knowledge acquired from the case study, the virtual river channels of alluvial fans were set up, numerical analysis were performed on varying plane conditions. The pattern of geographical feature change was arranged by four types, and the formation factors of each type were considered by the results of analysis. The considerations with the development domain of bed forms were performed. It was suggested that the fall of average shear stress of the widening section caused formation of bar-like geographical feature.
著者
倉内 慎也 大山 貴志 吉井 稔雄 白柳 洋俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_871-I_878, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
9

交通事故統計によれば,高速道路の事故率は一般道路の約10分の1である.また,重大事故率については,高速道路の方がやや高いものの,ほぼ同程度である.それにも関わらず,高速道路の運転は怖いと考え,利用を避けるドライバーが一定数存在するものと思われる.そこで本研究ではドライバーに対してアンケート調査を実施し,事故率と重大事故率の知覚状況や,それらが高速道路の利用頻度に及ぼす影響を分析した.結果,事故率については約2割,重大事故率については約9割の人が,高速道路の方が高いと知覚していることを確認した.また,事故率と重大事故率の知覚値が高い人ほど,高速道路の運転への恐怖感が高く,利用頻度が有意に低下すると共に,所要時間や料金等に対する満足度と比較しても,無視できない影響を及ぼしているとの結果を得た.
著者
若木 伸也 高橋 良和 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.399-405, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,コンクリート円柱供試体のX線CT画像から,内部構成情報として骨材および空隙の位置·寸法に関する情報を画像処理により抽出する方法について検討する.まずはコンクリート円柱供試体のX線CT画像を撮影し,閾値処理を用いて骨材および空隙を画像から抽出した.骨材の抽出に関しては,供試体内部でのX線吸収により供試体中心付近の骨材がうまく抽出されないため,供試体表面からの距離に応じてCT値を補正し,ノイズを除去するために,改良メジアンフィルタによる処理を施した.内部構成情報抽出の妥当性を評価するため,画像から抽出された骨材の粒度曲線を推定し,実際のふるい分け試験結果との比較を行うとともに空気量の推定を行い圧力法により得られた結果との比較を行った.粒度曲線は断面によりばらつきがあるが,平均線の形状は実際のふるい分け試験結果と合致した.ただし,ふるい分け試験結果よりも全体的に粒度を小さく見積もっており,ノイズ除去の改善や画像の3次元データの利用を進める必要がある.
著者
木下 朋大 盛岡 通 尾崎 平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_1-II_8, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,都市のみどり回廊の分析評価指標を提案すると共に,それら評価手法を用いて緑・オープンスペース分野の政策的インプリケーションを見出すことである.第一に,空間分布・配置構造から地域の拠点となるみどりの回廊性を分析する為,みどりの近接性指数(GA)と連担性指数(GS)を,第二に,歩行空間に沿った生活動線上のみどりの回廊性を分析する為,歩行経路選好性指数(UWT)を提案した.神戸市住吉川周辺地域でのケーススタディを通して,(1)既存公園の比較的近く(誘致範囲の3倍以内)であれば小規模であっても公園を創出することでみどりの近接性が高まること,(2)ある公園を行動の起点とし,人々の移動ベクトルを外向きと仮定したとき,既存公園の誘致範囲(250m)毎に複数の公園を設置することで,みどりの連担性は大きく向上すること,(3)快適性や安全性とトレードオフ関係にあると考えられる最短性や安全性を損なわない経路を創出することが,街路整備を通してみどりの回廊を形成する上で留意する点であることを確認した.
著者
宮内 海峰 森 信人 志村 智也 建部 洋晶 宮下 卓也 今井 優樹 二宮 順一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_949-I_954, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
8

本研究は,日本周辺海域において地域的な海面水位変化をもたらす現象の特定とその量的影響を行った.海洋における幅広い時空間スケールの現象を考慮するために,日本沿岸の潮位観測値,水平解像度100km格子で長期間計算された全球気候モデルMIROC6過去気候アンサンブル,および水平約10km格子の海洋再解析データFORA-WNP30の解析を行った.さらに水平20km格子で日本周辺海域の海洋流動シミュレーションを実施した.得られた結果から,太平洋で最も卓越する海面水位変動要因はENSOであり,その影響で黒潮流域では1年あたり約10cmの振幅が生じることが分かった.一方で日本沿岸地点は外洋の変動がそのまま反映されないため,振幅は黒潮流域よりも小さく,最大で約5cmであることがわかった.
著者
渡辺 万紀子 天野 光一 西山 孝樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.17-32, 2021 (Released:2021-03-20)
参考文献数
17

街路空間を沿道建築物からの観点で見ると,内部空間と外部空間が存在する.この境界である建築壁面線は,曖昧な境界を構成し中間領域を形成している.この中間領域は,内部空間が外部空間に貫入した「浸み出し」と,外部空間が内部空間に貫入した「入り込み」から構成される.本研究では,「浸み出し」の中間領域を構成する要因を検討し,中間領域の類型化を行った.その結果得られた7類型は直観情報の活動支援装置,活動,商品と,内部情報によりその性格を説明することができた.また,その類型は商品展開型,活動展開型,商品活動展開型,内部情報型,情報不特定型,活動支援装置商品展開型,活動支援装置展開型となることがわかった.
著者
長山 昭夫 井﨑 丈
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_865-I_870, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1

2021年8月の東京都小笠原諸島の大規模噴火起因の軽石群が約1,400km離れた沖縄・奄美地方の沿岸域に漂着し,観光業や漁業に甚大な被害を与えた.しかしながら,多量の軽石群が沿岸域に漂着した後の港湾施設内の滞留過程について検討した例はほとんどない.そのため本報では港湾施設内での軽石の埋没現象を解明するために,風洞水槽内に狭窄部を設け狭窄部内での軽石群の移動特性につい検討した.その結果,狭窄部内での軽石の移動速度は風速が支配的であり,軽石の通過流量については狭窄部幅が影響し,これらの軽石群の堆積と流下過程が異なることがわかった.また風による軽石に作用するせん断力を推算し,その推算値から軽石の移動速度が推算可能であることがわかった.
著者
高橋 紘一朗 宇多 高明 野志 保仁 中田 祐希
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_727-I_732, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
4
被引用文献数
1

2021年8月13日,小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し,この噴火により発生した大量の軽石が2021年10月17日頃から沖縄本島北部を中心に漂着した.沖縄本島北西部に位置する大宜味海岸でも大量の軽石が漂着し,サンゴ礁起源の白い砂浜を埋めた.そこで2021年10月28日に緊急調査を行い,UAVを用いて軽石の漂流・漂着状況を観測した.また,軽石の漂着した前浜で掘削調査を行った.これによれば,軽石は最大厚66cmをなして前浜に厚く堆積していた.この海岸の南部では突堤が設置されていたために,漂着した軽石は突堤の北側で一度トラップされた後,突堤先端で剥離した沿岸流に乗り突堤から離れた下手海岸へと運ばれたことが分かった.
著者
中田 祐希 宇多 高明 高橋 紘一朗 野志 保仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_733-I_738, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2021年8月13日,小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し,この噴火により発生した大量の軽石が10月17日頃から沖縄本島北部を中心に漂着した.沖縄本島北西部に位置する大宜味海岸でも大量の軽石が漂着し,サンゴ礁起源の白い砂浜を埋めた.そこで2021年10月28日,UAVを用いて軽石の漂流・漂着状況を観測した.また軽石の漂着した前浜で掘削調査を行った.これによれば,軽石は厚さ約40cmをなして厚く堆積していた.大宜味海岸では離岸堤が設置されていたために,離岸堤間で浮遊軽石の集積が起きていた.
著者
白木 喜章 片山 理恵 凌 千恵 小野 信幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_871-I_876, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
9

2021年10月以降,奄美・沖縄地方に大量の軽石が漂着し,漁業や観光業等が深刻なダメージを受けた.この軽石は,小笠原諸島南部に位置する海底火山「福徳岡ノ場」の噴火に伴い発生したものであり,海洋の流れや風により漂流してきたとされている.火山地帯に位置する我が国では,今後も大規模な軽石災害が起こり得ることから,漂流経路や漂流時期を予測できる手段の整備が課題となる.本研究は,沖縄沿岸域を対象として軽石漂流を想定した粒子追跡シミュレーションを実施し,とくに大浦湾における軽石の接岸・離岸の再現性を検証した.また,潮汐・海流による流動シミュレーションを事前に実施しておき,予報する際に風圧流を考慮した粒子追跡シミュレーションのみを実行することで実用的な予報ツールになることを提示した.
著者
片岡 将 柳川 篤志 田中 皓介 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_375-I_386, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
25

本研究では,交通インフラ整備がもたらすマクロ経済上の効果及び各地域の人口や経済力の分布の変動をシミュレーションするため既往研究で提案されているモデル(MasRAC)を用いて,新幹線の新規整備効果を推計した.その結果,新幹線の新規整備が我が国の実質GDPの向上に寄与し,一定のマクロ経済改善効果があることが確認された.地方別の生産額及び人口の変化に着目した分析では,現状整備との比較 においてリニア中央新幹線の整備や新幹線の全国整備を進めた場合,関東地方の人口が最大4.2%,GRPは最大5.3%の水準で少ない一方,各地方においては人口等が多く,「分散化」効果があることがわかった.これらの結果は,新幹線の新規整備が我が国全体の成長力向上に寄与し,また人口と経済力の偏在状況を改善する効果を持つことを示すと言える.
著者
窪田 諭 石井 慶之介 丸山 明 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.II_9-II_15, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
11

我が国に約53万橋ある橋長2~15m未満の小規模橋梁の点検においては,その位置と名称の特定に課題がある.そこで,本研究では,現地で橋名を示すものがない小規模橋梁を対象に,点検効率の向上と点検ミスや点検漏れをなくす点検結果の信頼性向上とを目的に,タブレット端末に橋梁名とその概要を表示するシステムを開発した.システムでは,橋梁名の特定にRFIDとQRコードを採用し,橋梁名,橋梁コード,橋長,総幅員,緯度と経度を表示する機能を有する.システムの有用性を評価するために,新潟県新潟空港周辺の小規模橋梁5橋を対象に実証実験を行った.その結果,本システムが現場での橋梁名の特定に利用可能であることが示唆された.実験では,RFIDの読み取り距離は約23~27cmであり,その貼り付けは橋梁の側面が適していた.
著者
石黒 泰 崔 广宇 藤澤 智成 安福 克人 奥村 信哉 玉川 貴文 Joni Aldilla FAJRI 李 富生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.III_415-III_422, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2

合併処理浄化槽の処理水槽内水の残存有機物に関連すると報告されている粒径0.5-1 μmの粒子の構成を明らかにするため,処理水槽内水中の粒子と細菌が水質に与える影響を調査すると共に浄化槽内の粒子と細菌の量的変動を解析した.処理水槽内水の細菌数とBODの間に有意な相関がみられ,細菌が残存有機物に関連していることが示された.浄化槽内の粒子数と細菌数の変動から,嫌気ろ床において細菌以外の有機性粒子の多くが除去され,処理水槽内水に存在する粒径0.5-1 μmの粒子の多くが細菌であることが示された.クラスター分析から接触ろ床槽内水,処理水槽内水では細菌が残存有機物に最も強く関連する因子であることが示された.これらのことから浄化槽処理水の残存有機物を減らすためには,細菌を減らす必要があることが示唆された.
著者
竿本 英貴 宮本 崇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.I_10-I_21, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
29

近年,機械学習は土木分野で積極的に適用されているが,代表的なベンチマーク・データセットは十分に整備されていない.土木分野の特徴を有するデータセットを構築することは,機械学習の活用促進のために必要不可欠である.本研究では橋梁モデルに対する有限要素解析を通じて橋梁の損傷推定に対するデータセットを4つのケースに分けて提案する.19の機械学習アルゴリズムに生成したデータセットを入力し,各アルゴリズムから得られた決定係数を基にデータセットを評価した.結果,損傷部材数を1としたケースでは決定係数が0.5から1.0の範囲内に分布し,難易度の観点からベンチマークとして適切であると判断した.損傷部材数を2とした場合は,半数程度の部材で決定係数が0.5以下となりチャレンジングなベンチマークと位置づけられる.
著者
進藤 魁仁 柳沢 吉保 加藤 博和 高山 純一 増尾 昭彦 坂爪 武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.11-25, 2014 (Released:2014-08-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

利用者の減少が続いた長野電鉄屋代線は2012年3月に廃止され,代替バスが翌年4月1日から運行された.本研究は,代替バスの利用状況を調査分析し,導入時の検討課題の整理と利用促進を図るための運行改善策を検討することを目的としている.具体的な調査は,(1)3回の乗降調査,(2)代替バス利用者アンケート調査,(3)代替バス非利用者アンケート調査,(4)代替バス走行実態調査を集計分析し,代替バスからの乗客逸走の原因および運行サービスの改善案を検討した.その結果,非利用者の多くは自転車を利用していた.