著者
溝口 哲平 谷口 綾子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00081, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
59

移動中の活動による移動の不効用低減・効用増進効果は,従来,活動種類や道具・機器をもとに検討されてきた.本研究は,移動中の活動が行われる“理由”と持たれる“認識”を「移動中の活動の主観的意味」(SMTM)と呼び,どういったSMTMが移動の不効用低減・効用増進効果を有するのかを検討した.SMTMと移動時間短縮意向との関連を調べた結果,移動中の活動は,“暇つぶし”ではなくその活動を行うこと自体を目的に,“行いたいと思って”行われる場合,移動時間の維持を,“暇つぶし”が目的である,あるいは“行いたいと思って”行われない場合,短縮を希望する方向に寄与することが分かった.移動の不効用低減・効用増進効果は前者の場合のみ有すると推察される.
著者
波床 正敏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00055, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
17

スイスではBahn 2000という幹線鉄道政策が1987年に開始され,最小限の投資による新線建設や路線改良等によって主要駅での乗り継ぎ利便性を大きく向上させ,乗客数を伸ばした.本研究に至る研究において政策実施の直前直後を比較する分析を行ったが,政策背景調査の不足,政策実施前に行われた試行的な施策の分析の未実施,政策実施直後の2005年には未整備区間が残存した等の課題があったため,本研究はそれらに対応したものである.本研究の結果,Bahn 2000実施前の1982年において主要路線で増便と等間隔ダイヤ導入が行われ,待ち時間や乗り継ぎ時間等が大きく削減されたことがわかった.また,政策実施後の評価を2015年に変更したことでその間に路線整備が進行し,乗り継ぎ改善効果をより正確に評価できた.
著者
後藤 浩 石野 和男 玉井 信行 竹澤 三雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_695-I_700, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波では,津波によって甚大な人的損失を生じた.今後,津波の規模によっては,海岸保全施設による防護だけでなく,住民の積極的な避難行動により減災を促進させようという提案が散見される. 本研究では,地域に密着した存在である寺院に注目し,その寺院の避難場所としての機能について,東北地方太平洋沖地震津波の浸水域およびその近傍に存在する寺院を中心にアンケート調査を行い,津波時の状況を調査した.また,この調査を踏まえて,今後,南海トラフ巨大地震に伴う津波の想定浸水域に存在する寺院へアンケート調査を行い,寺院の避難場所としての機能について二,三の考察を行った.
著者
金森 紘代 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00039, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
27

土地の境界と所有者を明らかにする「地籍」の整備は,災害からの早期復旧,都市開発や公共インフラ整備の迅速化に大きく貢献する.しかし市町村主体で行われてきた地籍調査事業の進捗率には大きな地域差があり,日本全域では対象面積の半分を超えたにすぎない.地籍整備を推進すべく,国は様々な施策を打ち出しているが,それらは現場の作業効率促進に主眼がおかれ,不動産登記制度を母体とするわが国の地籍整備遅延の本質的な問題について,十分な議論がなされていない.本稿では,既往調査や過去の記事,国会・市町村議会の会議録から得られた知見を整理し,総合的に考察した結果,現行法制度ならびにその実質運用,そして1951年の事業開始時より幾度となく指摘されてきた地籍調査事業への国予算の不足が,整備遅延の原因であることを明らかにする.
著者
青木 俊明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00037, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
28

本研究は,社会基盤整備の住民説明会における住民側発言の一般的傾向を把握することを目的とし,NIMBY性を持つ14事業の議事録を用いて,住民側参加者の発言内容を分析した.分析の結果,NIMBY性の高い事業では,住民側の発言が多様であり,発言数も多くなる傾向がうかがえた.決定手続き,リスク管理,決定への疑義,誹謗中傷に関する住民発言が増えることも示唆された.特に,NIMBY性の高い事業では,誹謗中傷や各種の疑義といった攻撃的な発言が参加者から多く発されていた.これらを踏まえ,厳しい質疑が予想される場合には,説明者側は心理面も含めた準備を行い,誠実で分かりやすい説明を行うことや,平素から信頼醸成に努めることにより,協議の厳しさが軽減される可能性が考察された.
著者
太瀬 隆敬 岡村 敏之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00029, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
49

開発途上国では自家用車・オートバイの普及が急速に進んでいる.経済成長に伴いオートバイから自家用車中心へシフトすると想定されてきたが,アジアでは,経済成長を経ても自家用車への転換が緩やかな都市や,自家用車の普及が先行しながらオートバイが追従・逆転した都市が確認されている.本研究は,アジア大都市における自家用車・オートバイの保有率を整理し,両者の普及経緯について,道路整備と都市規模の観点より分析する. 分析の結果,私的交通の普及パターンに影響を及ぼす要因として,人口密度と道路整備水準が考えられ,市街地が高密かつ道路空間が限られている都市ではオートバイから自家用車への転換が行われない可能性が示された.交通政策への提言にあたり,道路面積に関するデータの重要性が示唆された.
著者
松島 亘志 室山 拓生 木川田 一弥
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.C-0610, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
25

ブルドーザーによる土砂敷き均し作業の効率化と将来の自動運転を目指し,本研究ではリアルタイムフィードバックが可能な敷き均し高速シミュレーターを開発した.まず,実機による敷き均し実験および個別要素法解析での土砂観察により,(1)押し出し土砂量が少ない場合は,土砂がブレード前面に局所的に盛り上がる,(2)押し出し土砂量が多い場合は,土砂マウンド中にすべり面が形成され,上部土砂が剛体的に押し出される,(3)押し出された土砂によってマウンド前面に形成される急斜面が崩壊する,という3つのメカニズムを確認した.その上で,このメカニズムを基にした敷き均しアルゴリズムを構築し,その解析結果を,個別要素法解析および実機実験の結果と比較したところ,リアルタイム解析が可能な計算速度で,妥当な解析結果が得られることがわかった.
著者
井原 壮 菊池 喜昭 野田 翔兵 永井 裕之 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00253, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
19

大粒径土粒子を含む現場盛土材の締固め特性を得るには,現場盛土材を用いた大型締固め試験が必要であるが,その実施には多くの制約がある.このため,大粒径土粒子を除去した試料で室内締固め試験を実施し,得られた乾燥密度をWalker-Holtz式(W&H式)で補正して大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を推定するのが一般的である.しかし,W&H式の補正方法では除去した土粒子の重量比率が大きくなるほど推定誤差が大きくなる.本研究では,複数の盛土材をせん頭粒度調整により最大粒径を変化させて室内締固め試験を実施した.その結果,W&H式の推定誤差には,細粒分含有率と礫分の粒子形状の影響が大きいことがわかった.また,W&H式を補正して,大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を予測する方法を提案した.
著者
太田 啓介 冨田 佳孝 高木 翔太 中村 貴久 中島 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00236, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
13

流動化処理土は,従来より土木材料として幅広く使用されているが,鉄道盛土としては列車荷重の繰返し作用に対する累積変形特性や乾燥に対する長期的な安定性が明確になっておらず,限られた箇所での適用となっている.本研究では,列車荷重作用下での流動化処理土について,保護層を設けた盛土の提案構造における変形特性,施工時の転圧荷重の影響,保護層の乾燥対策効果について検討を行った.その結果,細粒分質砂を母材とした流動化処理土について,本提案構造において,流動化処理土への作用応力を応力比で 0.15 以下,かつ処理土密度を 1.60 kg/cm3以上とすることで,列車荷重の繰返し作用に耐えうる盛土となること,若材齢時であっても転圧荷重が強度発現を阻害することはないこと,粒調砕石による保護層を施すことで乾燥を防止できることを把握した.
著者
佐野 和弥 伊藤 和也 田中 剛 末政 直晃 小浪 岳治 谷山 慎吾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00204, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
36

宅地擁壁の中でも空石積擁壁の地震時被害が多く発生している.しかし,施工性や施工費に課題があり宅地擁壁に最適な補強方法は存在しない.そこで,擁壁の天端から縦方向に斜杭を打設し,補強材頭部と擁壁上部を一体化させ,補強材の役割の一部を既存擁壁に担わせる簡易な耐震補強法を考えた.本研究では,その補強方法について,補強領域の大きさや補強材設置角度が補強効果に与える影響を検討するため,遠心場での傾斜土槽実験を実施した.その結果,斜杭と擁壁の距離を短くした補強擁壁では補強材に大きな引張方向の軸力が,擁壁には圧縮力が働くことで高い補強効果が見られた.一方,斜杭と擁壁の距離を長くした補強擁壁では補強領域内で崩壊が発生する内部崩壊の発生が見られた.
著者
羽田野 袈裟義 荒尾 慎司 野田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00285, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
21

従来のゲートの水理検討は流量評価を第一とし,ゲート操作のための直接情報を与える研究は殆ど皆無である.本研究は,ゲート操作ではゲート開度の陽形式表現が最も重要な情報と考え,スルースゲートからの自由流出と潜り流出の両方について,水理学の基礎式に基づき,所定の流量とゲート上(下)流の水深に応じてゲート開度を決定する方法を提案している.自由流出について,運動量の定理に基づきゲート上流水深と所望の単位幅流量(限界水深)に見合うゲート開度を求める式を導いた.潜り流出については,Henryの取扱い方法から出発し,ゲート上・下流水深と所望の単位幅流量に見合うゲート開度を求める4次方程式を導いた.得られたゲート開度の計算結果は広範囲の室内実験の結果を良好に再現した.
著者
Tracey H. A. TOM 間瀬 肇 武田 将英 原 知聡 金 洙列 河村 裕之 大熊 康平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00308, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
18

本研究では,混成堤断面形状パラメータを用いて,無次元平均波力強度の予測,および衝撃砕波波力の発生が判定可能な機械学習モデルを提案する.ただし,学習用の実験データは多くないため(スモールデータ),データの重複を認めてサンプリングする復元抽出法によるアンサンブル学習を試みた.ベースとなる機械学習モデルはANNとXGBoostの2種類を用いた.無次元平均波力強度の算定結果と実験結果を比較すると,相関係数とRMSEは,ANNでは0.96, 0.15,XGBoostでは0.96, 0.14となり,ほぼ同程度であった.無次元平均波力強度が2を超えたときに衝撃砕波力が発生すると判定したときの的中率は,ANNモデルで99%,XGBoostで97%であった.
著者
田鍋 颯一 久加 朋子 清水 康行 山口 里実 橋場 雅弘 土田 宏一 諏訪田 光浩 今 日出人 岡安 努
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00153, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
29

2018年9月,北海道胆振東部地震により厚真川流域で多数の斜面崩壊が発生した.本研究では地震後の厚真川での土砂輸送特性と河床への影響の把握を目的とし,(1)現地データより地震前後の浮遊砂輸送特性の変化を整理すると共に,(2)それら結果を基に同一流量条件下にて浮遊砂供給条件の異なる定常流一次元不等流河床変動計算を行った.結果,崩壊地面積が大きい支川ほど土砂生産量(主に0.075mm以下)が多く,厚真川本川でも浮遊砂量の増加が確認された.数値解析によると,崩壊地から流入する浮遊砂成分の大半は河道内に堆積せず,河口から流出した.ただし,厚真大橋での観測流量が既往最大値を超えた360m3/s程度まで増加すると,河口~4km上流の区間において細粒成分の堆積に伴い河床材料が細粒化する可能性も確認された.
著者
杉山 裕樹 川崎 雅和 金治 英貞 八木 知己
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.A1-0719, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
37

本研究では主径間650mを3径間有する多径間連続斜張橋の主桁構造に対して,一般的な扁平六角形鋼床版1箱桁断面に代わり,維持管理性および構造合理性の向上を目的に超高強度繊維補強コンクリート床版を用いた端2箱桁断面を提案する.提案構造に対して,耐荷性能の観点から,扁平六角形鋼床版1箱桁との構造特性の違いを明らかにし実現性を確認する.さらに,端2箱桁を実現する上での重要な課題である耐風安定性について,風洞試験による種々の断面形状に対する検討を行い,実現性のある主桁形状を提案する.活荷重および温度荷重に対して構造設計し,扁平六角形鋼床版1箱桁との比較により,提案構造は実現可能な構造であることを確認した.また,バネ支持試験およびフラッター解析により,フラッターに対する耐風安定性を確保可能な断面形状を示した.
著者
神野 巧矢 山口 隆司 浅野 貴弘 伊川 嘉昭 小山 雅己 水内 將司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00119, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
15

既設鋼橋の性能回復・向上を目的に,高力ボルト摩擦接合を用いて鋼部材を付加する当て板補修・補強が行われている.本研究では,曲げを受けるI桁下フランジ当て板補修・補強部の荷重伝達区間に着目し,当て板厚やボルト間隔がそれに及ぼす影響を明らかにするため完全弾塑性解析を実施した.また,部分欠損補修における当て板の配置が補修効果に及ぼす影響を検討した.結果,荷重伝達区間は,当て板厚およびボルト間隔が小さいほど短縮された.また,ボルト間隔が小さいほど結果的に荷重伝達区間に必要なボルト本数が増加するため,すべりを生じた本数は減少した.本解析の部分欠損補修では,当て板を片側に1枚とするのではなく,2面摩擦として両側に当て板厚が半分の当て板を2枚とすることで荷重伝達区間を短縮でき,欠損部の応力をより低減できた.
著者
浅野 拳斗 宇佐美 勉 葛 漢彬 渡辺 孝一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00098, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
17

2種類のCT形鋼断面の両端ピン支持単一ブレース材11体を用いて,正負交番の繰り返し中心軸および偏心軸載荷実験ならびに解析を行った.主要な検証項目は,(1)細長比の大きいブレース材に対する初期横荷重法の適用性,(2)部材座屈と局部座屈の連成座屈に対するひずみ照査法の適用性である.(1)に関する実験は,両端のクレビスの回転摩擦の影響が大きく,履歴曲線は,回転摩擦が切れるまでは両端固定の解析,回転摩擦が切れた後は両端回転自由の解析結果に概ね一致した.回転摩擦が切れるのは,部材座屈が生じた変位に概ね一致し,急激な荷重低下が生じ始める点でもあった.(2)に関する予測結果は,局部座屈発生位置に相違はあるものの,ひずみ照査法あるいは解析によってある程度の精度で予測可能であることが分かった.
著者
西 喜士 皆川 勝 五艘 隆志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.43-51, 2020 (Released:2020-05-20)
参考文献数
13

設計積算ミスによる入札中止などの手続は多くの地方自治体で発生しており,これにより本来整備されるべき公共施設の整備が遅れるなど住民サービスに多大な影響を及ぼし社会問題となっている.加えて,設計積算ミスは職員のモチベーションの低下につながる.設計積算ミスの防止に対して,各地方自治体は,地方自治体内部に委員会等を設置し検討しているが,確固たる原因分析モデルや防止対策等を構築できていないのが実情である.特に,この問題を学術的に研究している事例は見受けられない. 本論文では,第一筆者の勤務している地方自治体における設計積算ミス多発事態の原因を分析し,近年において設計積算ミスが社会問題となった理由等を分析する.
著者
有賀 義明 石川 嵩 猪子 敬之介 大嶽 公康 成田 健太郎 竹原 和夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_491-I_500, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

複数の構造物が管路で連結された施設では,個々の構造物の地震時挙動が異なる場合,それらの連結部で地震時応力や相対変位が増大し,損傷・破壊が発生しやすくなることが想定される.本研究では,地震時挙動が異なる構造物によって構成される複合構造物の耐震性能照査の精度・信頼性の向上を目的として,形状が異なる新・旧のポンプ場が管路で連結されている場合を設定し,三次元動的解析により構造物の地震時挙動について検討した.その結果,新・旧のポンプ場は互いに離れたり近づいたりして挙動することから地震時には相対変位が発生し,その相対変位量はポンプ場の基礎地盤が軟質になると増大する等の結果を得た.
著者
王寺 秀介 神原 隆則 澤田 純男 岩田 知孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.104-110, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

経験的評価手法である距離減衰式に地震断層の震源特性である破壊開始点及び破壊進行方向の影響の導入を試みた.具体的には,既存の等価震源距離に基づく距離減衰式を用い,等価震源距離の計算にディレクティビティ効果を導入する方法を提案した.この手法では,モーメントマグニチュードと震源距離の他に,震源特性であるすべり量分布や破壊開始点,破壊進行方向を設定できる.提案した手法を1995年兵庫県南部地震に適用し,観測された震度分布と比較することによって,その妥当性を示した.さらに,実在する地震断層を対象とした地震動解析を行い,提案手法とハイブリッド法による震度分布を比較することで本手法の有用性を示した.
著者
長谷部 雅伸 大竹 健司 古村 孝志 木全 宏之 征矢 雅宏 石井 やよい 佐藤 俊明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_166-I_170, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
6

To understand the characteristics of tsunami propagation in the Seto Inland Sea, tsunami simulations for the largest earthquake on the Nankai trough were conducted. In this paper, we assumed three fault models with taking into account the latest findings after the 2011 earthquake off the Pacific coast of Tohoku. For the case of large fault slip along the plate boundary region, the tsunami height around the Seto Inland Sea was about the same as the value of the conventional assumption, because the tsunami components generated by the plate boundary regions were attenuated when passing through the straits. But we confirmed that the tsunami height around the Seto Inland Sea became higher in the case of delayed rupture with appropriate time lag, or in the another case that the fault region was expanded to north.