著者
川崎 智也 杉村 佳寿
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00013, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
30

世界的な新型コロナウィルス感染拡大前,日本におけるクルーズ船の寄港回数は急増していた.しかし受入環境整備に対する投資を踏まえれば,低水準の港湾料金しか徴収しない状況は港湾管理者にとって持続可能な港湾経営とは言えず,過当な港湾間競争を行っていたと言っても過言ではない.他港との港湾料金差の寄港回数に与える影響が先行研究で示されていないことが背景の一つと言える.本稿では持続可能な港湾経営に転換するための政策的示唆を与えることを目的に,国内外の港湾料金の徴収状況を示すともに,寄港地選択シミュレーションモデルを構築し港湾料金がクルーズ船の寄港地選択に及ぼす影響を定量的に分析した.東京湾をケーススタディとした結果,減免等による港湾料金の低減は大きな影響を与えず,適正な料金徴収が望ましいことが示唆された.
著者
服部 雅史 舘石 和雄 判治 剛 清水 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00231, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
48

本論文は,鋼床版のUリブとデッキプレートの溶接ルートからデッキプレートまたは溶接ビードに進展する疲労き裂に対して,交通規制が不要であり,かつ死荷重が増加しない対策方法を検討したものである.具体的には,Uリブの下フランジを切断・撤去し,Uリブ・デッキプレート溶接部をUリブ内側からも溶接する対策を提案した.まず,構造改変を伴う本対策の実現性の確認として,耐荷性能,溶接の施工性や出来形,アスファルト舗装への影響を検証した.次に,対策前後での着目溶接部周辺の局部応力やき裂先端の応力性状の変化,および他の部位への影響を有限要素解析により確認した.最後に,本対策の疲労耐久性を定点疲労試験により明らかにした.
著者
徳永 宗正 池田 学
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00185, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
27

鉄道連続桁式橋りょうにおいては,高速領域の動的応答に関する知見は体系的に整理されておらず,実用的な評価法による合理的な設計が難しかった.本研究では,一般的な鉄道連続桁の構造諸元について整理,一般化し,列車通過時の連続桁の包括的な動的応答解析を実施した.連続桁のたわみの衝撃係数においては,各固有振動モードの共振速度において複数の極大点が見られ,スパン数が奇数の場合は共振速度において1次,3次モードが増幅すること,スパン数が偶数の場合は共振速度において2次モードが増幅すること,スパン数およびスパン長の増加とともに励起される固有振動モードが不明確となり,列車速度が400km/h程度以下の領域ではたわみの衝撃係数は減少する傾向にあることなどを示した.さらに連続桁の動的応答特性を踏まえた衝撃係数の簡易評価法を提案し,400km/hまでの領域における妥当性を示した.
著者
水谷 壮志 石川 敏之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00143, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
23

鋼管部材へのCFRP接着に関する研究は,有限要素解析による検討が多く,せん断遅れ理論やCFRP端部の接着剤のはく離に対するエネルギー解放率に関する知見が十分ではない.本研究では,多層のCFRPが段差を設けて積層された鋼管に対するエネルギー解放率や,それが収束する段差長の設計方法を提案した.多層のCFRPが積層された条件のもと,せん断遅れ理論から導出される連立微分方程式を固有値解析理論を適用した数値解析を実施することで,段差長と接着端部でのエネルギー解放率の関係を明らかにした.また,エネルギー解放率が収束するための段差長の式を導出し,その近似式を与えた.本研究で提案した近似式を用いて段差長を設計することで,構造系全体のひずみエネルギーから導出される簡易な式でエネルギー解放率が算出できる.
著者
小峯 秀雄 横井 亨朱 多賀 春生 斉藤 泰久 鈴木 清彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00051, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
6

著者らは,2050年のカーボンニュートラル実現に資するため,社会活動に伴い発生する副産物の中に二酸化炭素を固定化する性能を持つ素材があることに着目して,これらを活用したカーボンキャプチャー都市環境の創生を構想している.本論文では,実際の副産物を複数選定し,独自に開発してきた一定流量通気型CO2固定化試験を活用し,CO2固定化素材のカーボンキャプチャー性能のデータベースのプロトタイプを提案する.さらに,このデータベースを活用して,具体的な産業廃棄物処分場を例に挙げて,その潜在的なカーボンキャプチャー性能を試算し,森林のそれと比較して有効性を示す.さらに都市環境のカーボンキャプチャー効果の再評価と新しい未来社会構想を論じる.
著者
柳原 崇男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_459-I_465, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
25
被引用文献数
8 12

高齢者の外出頻度は心身機能や社会活動性を包含した健康指標であるとも考えられている.つまり,健康指標として,外出頻度を交通施策等の評価にも応用できると考えられる.高齢化社会に向けては,交通施策等が健康維持や介護予防に寄与することを,実証的データにより立証していくことも重要となる.本研究では,外出頻度と移動手段,活動能力の関係を実証的データから検討し,今後の高齢者の介護予防や健康維持の観点から移動手段のあり方について考察する.その結果,外出頻度に最も影響を与えるのは,移動手段であり,特に「車(自分で運転)」であり,自分で運転しない場合は,年齢やIADL(手段的自立)が影響している.また,本調査地域においては,公共交通や家族送迎・タクシー等の交通手段は,外出頻度に影響を与えていないことがわかった.
著者
平井 一成 嶋本 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_701-I_708, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
11

近年,環境問題抑制や都市活性化から公共交通の利用促進が叫ばれており,利用促進のための適切な対策をとるためには乗客のトリップパターンの把握が必要である.本研究では乗客のトリップパターンを,系統単位における乗り換えを考慮しないレグODを推定する第1段階と,乗り換えを考慮したジャーニーODを第1段階で推定したレグODを用いて推定する第2段階からなる,2段階アプローチで推定するモデルを構築した.仮想ネットワークにおいて構築したモデルの推定精度を検証したところ,第1段階におけるレグODの推定精度は路線OD交通量の先験情報の精度の影響を受けることを確認した.さらに,第2段階のジャーニーODの推定精度は第1段階で推定されるレグODの推定精度の影響を受けることを確認した.
著者
嶋本 寛 平井 一成
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_631-I_638, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17

近年,環境問題抑制や都市活性化から公共交通の利用促進が叫ばれているが,利用促進のための適切な対策をとるためには乗客のトリップパターンの把握が必要である.筆者らは先行研究で,複雑な路線網が形成され,高頻度のバスサービスが提供されているような都市圏公共交通への適用を念頭に置き,乗客のトリップパターンを2段階にわけて推定する手法論を提案している.本研究では,先行研究で構築した推定モデルを実規模ネットワークに適用し,入力データの精度と推定精度の関係を明らかにすることを目的とする.実規模ネットワークにおける推定精度検証の結果,乗客のトリップパターンの推定精度に大きな影響を及ぼす入力データを明らかにし,その誤差水準と推定精度の関係性についても考察した.
著者
松本 浩幸 柄本 邦明 今井 健太郎 高橋 成実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_319-I_324, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,リアルタイム津波検知手法の高度化のために,台風接近時に観測された海底津波計データを精査して,地震にともなう津波との相違点を明らかにした.台風接近時と地震にともなう津波発生時では,観測波形の卓越周波数の特徴が異なることが判明した.すなわち,台風接近時には広帯域にエネルギーが分布するのに対し,地震にともなう津波発生時には低周波のエネルギーが卓越する.次に,微小振幅波理論にもとづくカットオフ周波数で津波を検出するリアルタイムフィルタを設計し,海底津波計の近傍で発生した地震に適用した.検出した津波は数値計算と整合し,設計フィルタの妥当性を検証した.ただし,台風接近時にはうねり成分が含まれることから,うねり成分を除去するカットオフ周波数の検討が必要であることを示唆する.
著者
嶋田 陽一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_798-I_803, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
9

大阪湾における神戸市沿岸から泉大津・泉佐野沿岸へドラム缶が漂流した事例を参考にして,風圧流を考慮したドラム缶サイズの漂流物挙動シミュレーションを実行した.12時間後の空ドラム缶のいくつかは泉大津から泉佐野沿岸周辺に漂着する.24時間後,すべての漂流物が漂着する.空ドラム缶の軌跡は出発点から概ね南東向きを示す.風圧流がない漂流物の多くは,48時間後もほとんど大阪湾沿岸に漂着しない.空ドラム缶の実験はドラム缶漂流事例と同じ沿岸周辺に漂着する傾向を示すことから,風圧流の効果により12時間程度でドラム缶が大阪湾を横断した可能性が高いことを示した.それゆえ,漂流物に大きさによってそれらを回収するための迅速な対応の必要性が示唆される.
著者
森 伸一郎 小林 巧
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.I_633-I_646, 2020 (Released:2020-09-08)
参考文献数
38

2018年6月18日に発生した大阪府北部の地震(Mj6.1)で推定震度が大きかった地域の墓地(地点数:44墓地,墓石総基数:4,249基)を対象に詳細な墓石挙動調査を実施し,墓石被害率分布と推定震度分布を比較した.地震直後に公開された気象庁や防災科学技術研究所の推定震度分布では高槻市と茨木市の広い範囲で震度6弱が推定されていたが,墓石被害は茨木市内に集中し,高槻市南部では墓石落下がなく,その他ずれや回転といった被害もほとんどなかった.また,地形区分と比較した結果,軟弱地盤である後背湿地で墓石落下がなく,安威川より西側の千里丘陵裾部の扇状地で墓石被害が集中していた.
著者
高橋 良輔 角野 拓真 東条 かおり 岡崎 慎一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.1053-1058, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
8

近年,極端豪雨により激甚化する豪雨災害の一つとして,局所洗掘による橋脚の損傷やそれに伴う落橋等が日本各地で頻発している.この種の災害に対する維持管理では,被災リスクが高い橋脚を抽出し,計画的な予防保全措置を実施するとともに,橋脚の健全度を把握するために適切な残存耐力評価が必要となる.本研究では,機械学習を援用し実効雨量を説明変数とした河川水位予測モデルを提案するとともに,局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存耐力評価モデルを提案する.これらモデルを組み合わせることで,気象変動により変動する河川水位および局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存評価が可能となる.
著者
山口 直也 山崎 文雄 若松 加寿江
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1237-1240, 1997 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
8

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震による西宮市の建物被害を, 固定資産課税データを用いて分析した. その結果, 建物被害は木造が他の構造に比べて被害程度が非常に大きく, どの構造においても建築年代が古くなるほど被害の程度が大きくなっており, 震度7の帯にあたる地域の建物の全壊率は高いことが確かめられた. また, デルタ地域では扇状地や後背湿地に比べて木造建物の被害率が低くなるなど, 建物被害には表層地盤が大きく関係していることが認められた.
著者
石川 秀平 横嶋 哲 久末 信幸 早瀬川 拓馬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_439-I_449, 2020 (Released:2021-02-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

レベルセット法と VOF 法は共に気液混相流の数値解析によく利用される.しかし両者を客観的に比較した例はほとんど存在しない.本研究ではレベルセット法系統の ACLS 法と VOF 法系統の CICSAM 法を同一問題に適用し,両者の特徴理解を試みた.検証の結果,同一条件下では ACLS 法が高い精度を示した.CICSAM 法はCFL 数の制約が厳しいものの,低 CFL 数条件下では ACLS 法に匹敵する結果を得た.VOF 法は界面法線や曲率の算出精度に難があり,表面張力が重要な問題では曲率評価の精緻化が必要となる.ACLS 法は 2 種類の界面識別関数の保持,および VOF 法では不要な再初期化が必要であり,CICSAM 法よりも実装の難易度と計算負荷は高い.界面捕獲法の選択においては,これらの要素を総合的に判断することが必要となる.
著者
安井 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.90-103, 2013 (Released:2013-07-19)
参考文献数
50

愛知県尾張地方西部の低平地を流れる日光川では,下流部における高潮災害および湛水被害への対応が長年の課題であったが,この解決のための河口締切が実現したのは1962(昭和37)年であった.この研究ではこれに至る経過をとりまとめ,対策の長期化に影響した要因を明らかにする.
著者
髙森 真紀子 大久保 順一 藤井 純一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.113-120, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
9

公共空間利活用によるまちづくりが注目される中,都市空間における行動観測のニーズが高まっているが,その解析作業は計測員によるビデオ観測や目視記録に依存しており,膨大な労力を要する.本研究は,歩行者の流動をより簡便,短時間で解析可能とすることを目指し,深層学習による物体検出技術と物体追跡技術を応用し,特に屋外の都市空間を想定した人流解析技術を低コストで開発したものである.三鷹駅北口地域での社会実験におけるビデオデータと人手による人流解析結果をもとに,実務での活用を想定した「メッシュ」や「丸め閾値」プログラムを設定し,AI解析における精度を検証した.結果,人手調査の1/4の解析時間で人流の傾向を概ね正確に把握でき,活用可能性が見いだされるともに,カメラ設置方法や映像のゆがみ補正の必要性など,実務で活用するための課題を明らかにした.
著者
永江 大右 中村 太一 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_505-I_512, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

都心は都市活動が集中する場所であり,都市構造や交通需要を分析する上で把握するうえで重要なエリアである.しかし,都心の把握方法は必ずしも確立しておらず,多くの場合大規模な交通調査を基に経験的に設定されている.しかし,大規模交通調査の高頻度な実施は困難であり,特に都市構造の変化が著しい途上国では,簡便な都心の把握方法が必要である.本研究では,人工衛星により観測される夜間光に基づく都心抽出の可能性を検討する.具体的には,日本の3大都市圏を対象に,集中交通量に基づき都心ゾーンを定義し,夜間光データによる判別を行った.その結果,夜間光データに一定の都心判別性能があることが示された.また郊外核を抽出できる可能性が示された.
著者
岩本 一将 山口 敬太 川崎 誠登 川﨑 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.67-80, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
119

本研究は,1900-1920年に電気軌道が開業した地方16都市を対象として,都市構造,事業形態,経営戦略の視点より路線選定の意図および特徴を分析し,電気軌道敷設による都市基盤形成の特質を明らかにした.成果は以下の通りである.1)路線選定について,沿線施設の特徴や市外線の有無より「市内完結」,「市域外遊覧地接続」,「都鄙連絡」の3傾向があったことを示した.2)電気軌道の輸送規模は各都市の人口と強く関係し,人口9万以上の都市では市内で完結し,人口8万以下では市外線が設けられたことを示した.3)民間資本による経営戦略を背景に,各都市の第一期計画路線は,鉄道や港等の交通拠点,官庁施設や中心市街地,娯楽施設を一本もしくは複数本で効率よく接続する選定がされたことを示した.
著者
石附 将武 高橋 翔 萩原 亨 石井 啓太 岩﨑 悠志 森 徹平 花塚 泰史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.642-649, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
17

本論文では,複数の車載センサーのデータを統合して冬期の路面状態を推定する手法を提案する.提案手法は,カメラとタイヤ内加速度センサー,路面温度計,マイクのそれぞれから路面状態を推定する複数の識別器に加え,それらの出力である路面状態確率をLate Fusionするマルチモーダルモデルである.推定する路面は道路管理において使用されている乾燥,半湿,湿潤,シャーベット,凍結,積雪の6路面である.提案手法は冬期の一般道で実車から得るデータを用いた実験によって,その有効性が確認された.