著者
桐生 寿美子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究ではエネルギー供給源であるミトコンドリアに焦点を当て、損傷軸索でのミトコンドリアダイナミクスを明らかにすることを目指した。このため神経損傷に応答して神経細胞内ミトコンドリアを蛍光標識するBACトランスジェニックマウスを作製し、損傷軸索でのミトコンドリアの形態やターンオーバーを検討した。その結果、神経損傷後ミトコンドリアは細胞体で断片化し積極的に軸索末端へ輸送されることが明らかになった。これは神経再生・修復を促すための適応反応であると考えられた。
著者
鈴木 太 本城 秀次 金子 一史 吉川 徹 栗山 貴久子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

自傷は青年期における自殺既遂を最も強く予測する因子の一つであり、近年の研究では、青年期の単極性うつ病において、非自殺性自傷の既往が自殺企図を予測することも示されている。本研究では、心的外傷が自傷を引き起こすという仮説を背景として、非自殺性自傷を伴う女児を対象として、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)と対人関係療法(IPT-A)の比較が試みられた。研究期間の短さ、登録された症例数の少なさのために、当初の目的であったIPT-AとEMDRの有効性について比較することは困難であったが、EMDRが3例、IPT-Aが13例に対して施行され、外傷後ストレス障害の症状と社会的機能の変化が追跡された。
著者
伊藤 好孝 増田 公明 さこ 隆志 毛受 弘彰 三塚 学
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2009-2010年の0.9TeV及び7TeVでのLHC陽子陽子衝突に於いて、超前方領域における中性粒子の測定LHCf実験を行い、超高エネルギー宇宙線の空気シャワー形成に重要な0度ガンマ線スペクトルを測定した。7TeV衝突での0度でのガンマ線エネルギー分布の解析を進め、ハドロン相互作用モデルとの比較を行った最初の成果を公開した。その結果、データは従来のハドロン相互作用モデルの予測とは完全には一致せず、空気シャワー実験の解釈に一定の影響を及ぼすと示唆される。
著者
小川 光
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、政府間の情報の完全性を仮定しない場合にどのような問題が生じるかを明らかにすると同時に、ゲーム論等を用いることによって社会的に最適な状態に導くようなメカニズムをデザインすることを目的にしている。主たる研究成果は以下のようにまとめられる。Principal-Agentモデルを用いた『Allocation of authority under central grants』では、公共事業のタイプを決定する権限を二階層の政府間で配分する際に、公共事業への資金拠出インセンティブが重要な役割を果たすことから、事業への投資インセンティブを高めるために、資金調達費用に劣る下位層政府(地方政府)に事業タイプの決定権限を委譲することが最適解となる可能性があることを明らかにした。公共事業のタイプを内生的に選択する状況を扱った上記の分析を発展させて、『Grants structure when the type of public project is endogenous』では、地方政府の資金調達力が上がるとともに、中央政府は地方政府にとって優先順位が高い事業を選択すること、また、matching grantsからblock grantsへの補助金の給付方法のシフトを図るべきであることが明らかになった。中央政府から地方政府への権限委譲に加えて、さらに、地方政府から民間部門への事業内容の一部委譲を行う際の問題点として、コストの戦略的引き上げが行われる可能性を『Public monopoly,mixed oligopoly,and productive efficiency』において明らかにしている。これらの研究成果は、European Accounting Association Annual Congress(アテネ大学)や数理・理論経済学セミナー(九州大学)においても報告されている。
著者
吉武 純夫
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ギリシア悲劇には人々が死を受容する様々な場面が描かれているが、その中に男女間での色々な差異が認められる.注目に値するのは、自発的な場合でもやむを得ぬ場合でも人物たちは死をよりよきものとして受容れようとするが、女性にはよき死を死ぬ機会が男性よりも閉ざされていると言うことである.それを象徴するのが悲劇『アンティゴネ』である.アンティゴネは「カロンなる死」(美しい死)を得ることができると信じ、それを目指して兄の埋葬を挙行したのだが、結局願いは叶わなかった.このことの背景にあるのは、「カロンなる死」を死ぬことはもともと女性である彼女には許されていない選択であった、という事実である.なぜなら、悲劇の時代までは、戦死以外の死が「カロンなる」と形容されることはなかったからである.「カロンなる死」とは、『イリアス』に語られた「カロンなる死体」を経て、テュルタイオスによって、「前線において戦いながら死ぬこと」と規定された.それ以外には、死が好ましい、望ましい、等と主観的・相対的によきものとされることはあっても、客観的・絶対的によきものとして主張されることは一切なかった.それが5世紀になると、『アンティゴネ』ほかの多くの悲劇が、人は戦死以外に「カロンなる死」を死ぬことができるのではないか、と問題を提起したと言える.しかし予想されるのは、いかなる悲劇もそれに肯定的な答を提供していない、ということであるが、それは今後一つ一つ検証していくべきことである.
著者
福山 透 横島 聡 下川 淳
出版者
名古屋大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

医薬品として使用されている天然有機化合物、または医薬品としての使用が期待されている天然有機化合物の効率的合成経路の開発を目指し、合成研究を行った。具体的にはエクテナサイジン743、リゼルギン酸、ヒューパジンA、サリノスポラミドなどの合成経路の開発に成功した。また独自に開発した合成経路を応用することで、オセルタミビル、ビンブラスチンなどの新規類縁体合成を行い、新規活性化合物の取得に成功した。
著者
川上 正浩
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.187-220, 1996-12

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
八島 栄次 古荘 義雄 飯田 拡基 古荘 義雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-06-04

本研究では、未開拓の研究領域である二重ラセン構造を有する分子・超分子・高分子を創製するための一般性の高い方法論の開発、構造と物性との相関の解明、ラセン構造に由来する情報機能(複製、情報の保存)の発現、不斉触媒や光学分割材料等への応用を目指し検討を行った。その結果、人工二重ラセンを介したDNA同様の完璧な鎖長及び配列の認識と複製、不斉の伝搬(不斉増幅)、二重ラセン構造の顕微鏡による直接観察等に初めて成功した。さらに、バネのように可逆的に伸縮する分子スプリングを世界に先駆けて創製するとともに、ラセン構造に由来する実用的な光学分割材料や不斉触媒の開発、メモリーデバイスへの応用にも成功した。
著者
杉本 充 津川 光太郎 加藤 淳 菱田 俊明 三宅 正武 立澤 一哉 冨田 直人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

フーリエ積分作用素の大域的な有界性の理論を整備することにより、偏微分方程式の解の様々な評価式を導出する際に標準形へと変換してから考察する手法を確立し、さらには二つの偏微分方程式の表象の比較からそれぞれの解の評価式を比較する新しい手法も整備して、非線型問題にアプローチした。
著者
北川 徹哉 ドラゴミレスク エレナ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

高速道路トンネルの換気設備の省電力化のために,高速で走行する自動車と路面との間の空間に生じる負圧により,ダクトを経由して外気を吸入する手法を提案した.自動車通過時の路面上の圧力変動を屋外実験により求め,これを境界条件とする数値流体解析により外気吸入ダクト内の流れの挙動を調べた.また,外気吸入ダクトの形状および通気条件を変えて解析を行い,吸入効果の高い条件を探った.
著者
加地 秀
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

培養網膜色素上皮細胞(RPE)へのアミロイドβ負荷により血管内皮増殖因子(VEGF)の産生は増加するが、その際に小胞体ストレスマーカーも増加しており、これらは小胞体ストレスを抑制する薬剤である4-フェニル酪酸(PBA)により抑制可能であった。
著者
村瀬 洋 井手 一郎 出口 大輔 目加田 慶人 高橋 友和
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

車載カメラ画像や監視カメラ画像などの多様な変動をもつ環境の中での実画像を認識するための手法を開発した。具体的には、過去に蓄積された膨大な時空間情報から対象の見かけの変動パタンを生成するモデルを構築し生成したパタンを学習サンプルとして利用する生成型学習法による認識手法や、入力画像の複数のフレームを利用して低品質な画像を超解像などの処理により高品質化したのちに識別する認識手法などを開発し、実験により有効性を示した。
著者
岩坂 泰信 飯田 孝夫 NELLBER R. 藤原 玄夫 SHOW G. 李 敏熈 金 潤信 よん 知本 石 広玉 長田 和雄 林 政彦 松永 捷司 柴田 隆 GONG Shiben 李 敏煕 こん 知本
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

粒子状の硫黄酸化物あるいは窒素酸化物のグローバルな循環は地球環境の変動過程とさまざまなつながりをもっている。火山性の硫酸エアロゾルの極地域への拡散が極成層圏のオゾン消失にあたえる影響などはその代表的なものでる。中緯度地域に発生の起源を持つ物質が北極圏へ輸送される過程、およびそれが全球規模の物質循環にしめる役割を明らかにすることを主たる目的とし、本年度は以下のような観測研究を行なった。中国、韓国、日本、およびアラスカ(アメリカ)で、黄砂(対流圏)や火山灰(成層圏)、あるいは硫黄酸化物や窒素酸化物からなるエアロゾルの高度分布やその時間変化を図ること目的として;アラスカでは成層圏エアロゾルの濃度変動を知るためのライダー観測をフェアバンクス郊外で平成6年から7年にかけての冬期および7年から平成8年にかけての冬期に行なった。これらの研究からは、アラスカ地域においてある期間は北極圏の典型的な様相を示すがある期間は名古屋地方とほとんど同様なエアロゾル分布をしめすなど、きわめて変化の幅が大きいことがわかった。また自由対流圏においては頻繁に中緯度地帯からエアロゾルをはじめとする大気物流が運ばれていることを示している。また一方では、極成層圏の物質が圏界面下から中緯度へ流失したことによると考えられる現象も見いだされている。同時に、この地域において多点試料採集を計画するための予備調査も実施した。生成7年度に行なった観測結果を、ノルウェーで実施されている成層圏観測の結果と比較した結果極渦周辺で極起源の成層圏物質の分布が著しく極渦の動きに左右されていることがわかった。この問題についてはすでに成果報告がなされつつある。中国では、平成6年度の夏期間に北京市郊外において大型気球による対流圏成層圏の観測をおこなった。これらの観測は、この地域において土壌起源物質の活発な自由対流圏への供給が示唆される結果が得られており、東アジアから西太平洋域における大きな大気化学物質の供給源であることを示唆している。またこのような大気の運動に連動して生じていると考えられる成層圏起源のエアロゾル粒子、オゾンなどが成層圏から自由対流圏に流入している現象も見いだされている。これの結果の詳細は現時点では取り纒め途中であり、成果報告されているものはそく法的なものにすぎないが、今後機会をみて合同の国際シンポジュウムをもち成果を世に問う計画である。中国の研究者とのあいだでは、今回使用した放球場所とは異なる場所での気球実験が検討中である。韓国では、多点観測のための予備調査を実施し、関係機関を訪問すると同時に共同の試料採集計画を検討した。韓国での多点観測ネットワークと日本における観測ネットワークを結んだ、大気成分の長距離輸送観測計画を実施することになった。観測結果は、年度末に互いに交換し相互比較することとしている。また、今後の観測の発展には韓半島でのライダー観測が必要との認識を共通にもつことができた。このことに備えて、観測に適する場所の予備調査を行ない漢陽大学キャンパス内に設置場所を第1の候補地とした。中国大陸から偏西風によって運ばれ、韓半島上空を通過して日本へ飛来する大気と直接日本上空へ達する空気塊を比較すると、韓半島を通過したものには韓半島上空で地上起源の汚染大気と混合し変質したと考えられるものが観測された。
著者
前田 英三 三宅 博 石原 愛也 武岡 洋治 河野 恭廣 谷口 武 和田 富吉
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

イネについて、in vivoにおける受精胚の発達様式と、in vitroであるカルスの再分化過程を詳細に比較したが、in vitroでの不定胚形成は認められなかった。アブサイシン酸(ABA)や高濃度の糖はカルスの再分化を促進した。数種イネ科作物を異なった土壌水分条件下で生育させ、根の形態を比較した結果、乾燥条件下で皮層内厚壁組織の発達が顕著であった。+ABAやブラシノライドがイネ科作物やマメ科牧草の老化種子の発芽促進効果を持つことを明らかにした。熱量計を用いて種子の活性を迅速かつ非破壊的に判別する方法を開発した。高温・乾燥などの異常環境下で生育させたイネの生殖器官に現れる形態異常を明らかにし、ジベレリン(GA)とABAの関与を推察した。イネの花粉と葯内緒組織の発達過程を調べ、タペ-ト肥大が発生する際には、当初は小胞子の細胞も活性化することを明らかにした。リンゴの胚珠内胚培養、葯培養からの不定胚発生、葉カルスからの再分化について最適条件を明らかにした。またリンゴ台木マルバカイドウの胚珠内胚培養を行い、高蔗糖濃度の培地で胚の生長が起こり、GAを含む培地に移すことにより実生を得ることができた。イネカルスやダイズ懸濁培養からプロトプラストを分離し、電気的に融合させ、融合過程の微細構造を明らかにした。レ-ザ光による植物細胞への色素導入を行い、生細胞に色素が導入されていることを確認した。マツバボタンの緑色カルスにおける葉緑体のグラナ構造を観察し、カルス内に維管策鞘が分化するとそこではグラナ形成が抑制されることを明らかにした。シコクビエのジャイアントド-ムからの花芽形成に成功した。またジャイアントド-ムとバミュ-ダグラスの体細胞胚の微細構造を明らかにした。Nicotiana glutinosaのカルスより分化能を持つ細胞のみを分離して継代培養することに成功した。このカルス系統の組織構造と遊離アミノ酸含量の特徴を明らかにした。
著者
高島 成剛
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

カーボンナノ構造体創成プラズマ中のラジカルの挙動解明を行い、下記の成果を得た。1.カーボンナノウォール創成プラズマ中の水素ラジカルおよび炭素ラジカル計測のための真空紫外吸収分光システムを構築した。2.カーボンナノ創成プラズマにおける水素ラジカルおよび炭素ラジカルの絶対密度計測を行った。圧力13.3Paから79.8Paの範囲で、炭素ラジカル絶対密度は4.0×10^<12>[cm^<-3>]で一定であり、圧力変化により変化はなかった。3.水素ラジカル絶対密度は、圧力13.3Paから39.9Paまで1.6×10^<12>[cm^<-3>]で一定であり、圧力53.2Paから79.8Paの範囲で増加し、圧力79.8Paで2.5×10^<14>[cm^<-3>]であった。4.水素ラジカル、炭素ラジカル絶対密度計測条件においてカーボンナノウォールの合成実験を行った。圧力範囲13.3Paから79.8Paにおいてカーボンナノウォールを合成することができた。しかし、ウォールの間隔に差異があり、13.3Paから79.8Paの圧力増加に伴い、ウォールの間隔は広くなった。5.カーボンナノウォールの成長速度は、圧力の増加に伴い減少した。6.圧力範囲13.3Paから79.8Paにおける水素ラジカル、炭素ラジカル絶対密度計測結果と合成されたカーボンナノウォールのウォール間隔及び成長速度より、水素ラジカルは、カーボンナノウォール最表面のF元素を引き抜く(エッチング)効果があり、カーボンナノウォール合成および形状制御に重要な役割を担っていることが明らかになった。
著者
高塚 真央
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

1.本研究の目的は,新しい展開型構造の提案し,その展開挙動を明らかにすることである。本研究では,特に環境問題やエネルギ問題の観点から,大型平面状構造物としての太陽発電衛星の輸送・建設問題に着目し,その平面状構造を平面直交二方向同時に収納・展開する方法を提案している。本研究ではこれまで,シザーズ機構と「立方体の対角線方向の回転軸」を用いた正方形パネルの平面直交二方向同時展開法を提案してきた。しかしながら,この方法は回転軸の角度に高い精度が要求されるという問題があるため,本研究では新たに,パネル平面に垂直な回転軸のみを用いた展開方法を提案している。本方法は,正方形パネルをある特定の規則で連結することで,シザーズ機構のような連動型の収納・展開を可能にするものであり,「展開可能な連動式パネルユニット」という名称で国内特許を取得しているが,本年度はその研究成果が国際雑誌に掲載された。2.本研究では,上記の研究課題に加え,提案した展開型構造を宇宙で展開する際の動力学的挙動の解明も研究テーマとしている。宇宙における展開型構造は,構造力学的観点から考えると,支持点が無い不安定構造であり,通常の構造解析では解析対象とされていない構造である。そこで本研究では,その問題を動力学的に扱うことで,展開時に必要となる動力や時間および部材に生じる変形や応力などを予測計算できるようにしようとしている。本年度は,その初期段階として,シザーズ機構の基本ユニットの展開中の運動方程式の導出とその数値計算を行ない,その成果を国際学会及び国内学会で発表した。また,シザーズ機構の回転軸部の摩擦力を考慮し,部材の変形や応力の計算を行なった結果が,現在国際雑誌に掲載予定となっている。
著者
伊藤 繁 三野 広幸 宇津卷 竜也 石浦 正寛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

クロロフィルdをもつ新発見の光合成生物Acaryochloris marina の光合成系の反応中心複合体及び光捕集系タンパク質の機能と構造その遺伝子をを検討した。クロロフィルd 合成系の原因遺伝子は未特定におわったが、クロロフィルdを使う光合成系の特性を明らかにした。多様な生物の光合成系の比較研究を行い、光合成光反応系の構築原理を検討した。新規の光センサータンパク質についても研究した。
著者
前澤 裕之 山本 智 鵜澤 佳徳 長濱 智生 入交 芳久 山本 智 鵜澤 佳徳 長濱 智生 入交 芳久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

大気中の酸素原子(OI)やOHラジカルは、オゾン層回復・破壊や地球温暖化、揮発性有機物質の消失過程について理解を深める上で鍵を握る成分である。我々はこれらのガス種の1.8-4THz帯スペクトル線のリモートセンシグを実現すべく、NbTiN超伝導細線を集積したホットエレクトロンボロメータミクサと呼ばれる次世代のヘテロダイン検出素子の改良・開発を行った。さらに、低振動のパルス管冷凍機を用いた冷却性能評価システムを開発し、これを実際に用いて、1.5THz帯でのHEBM素子の雑音性能、動作安定性を評価した。その結果、1600K以下の雑音温度(RF/LO結合効率とレンズ表面での反射を校正)を実現した。さらに、この最小雑音温度域には、中間周波(IF)出力(0.8-1.5GHz)の極大値が存在し、この場所において実用的な10秒以上の安定時間(アラン分散)を得られることが分かった。これは、電流電圧(局部発振波パワー)の揺らぎの影響がIF極大域では緩和されることを示唆する。我々のHEBM素子は特異な特徴をもつことが分かったが、これらは、本申請において安定・高信頼の冷却系・バイアス回路系などの評価システムをあわせて開発したことで、初めて得ることができた成果である。今後HEBMの1.8-4THz帯での高感度化・安定化を図り、測器搭載による実観測を目指す。