著者
久保 博子 木佐貫 美穂 金澤 麻梨子 川西 美和
出版者
奈良女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

硬さと弾性の異なるマットレス4種類を用い、短時間臥位実験、終夜睡眠実験、日常連続睡眠実験により、寝姿勢、体圧分布、睡眠解析、生理・心理反応をおこない 「寝転び心地」「眠り心地」 を検討した。その結果、短時間睡眠では、柔らかく反発弾性が小さい方が評価は良く、終夜睡眠実験では、寝姿勢や変換回数に差がみとめられたが、睡眠の質には有意な差は無かった。
著者
三成 美保 姫岡 とし子 小浜 正子 井野瀬 久美恵 久留島 典子 桜井 万里子 小川 眞里子 香川 檀 羽場 久美子 荻野 美穂 富永 智津子 桃木 至朗 成田 龍一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の主な成果は、以下の3つである。①三成・姫岡・小浜編『歴史を読み替えるージェンダーから見た世界史』2014年と長野・久留島・長編『歴史を読み替えるージェンダーから見た日本史』2015年の刊行。②前者(『読み替える(世界史編)』)の合評会を兼ねた公開シンポジウムの開催(2014年7月)。③科研費共同研究会(比較ジェンダー史研究会)独自のウェブサイト(http://ch-gender.jp/wp/)の開設。このウェブサイトは、『読み替える』の情報を補足すること及びジェンダー史WEB事典として活用されることをめざしている。また、高校教科書の書き換え案も提示している。
著者
柳澤 有吾
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、「テロとの戦い」や「人道的介入」も視野に入れつつ、現代における「正義の戦争」の可能性と現実性に関して原理的・哲学的考察とその歴史的な裏づけを図ることを目指すものである。中でも「非戦闘員保護の原則」に注目して、それが極限状況の中でどこまで維持できるのか、また維持できないときにそれはどう扱われるべきなのかに焦点を合わせて考察を進めてきた。今回はとくに、ドイツで憲法裁判所にまで持ち込まれることになった「航空安全法」をめぐる議論を集中的に検討した。ハイジャックされてテロリストの武器となった旅客機の撃墜命令を防衛大臣は出せることになっているが、それは正当な行為なのか不正なのか、正当防衛なのか緊急避難なのか、実行者あるいは命令者は免責されればよいのか、それともやはり正当化は欠かせないのか等々、疑問が次々と沸き起こる。これは、きわめて政治的な問題であると同時に、「人間の尊厳」や基本権としての「生命権」のもつ意味と限界が問われた事例であり、戦争倫理の観点からも重要な問題が提出されていることが確認された。「非戦闘員保護」の問題の射程は広い。研究期間内に参画することとなったS.G.ポスト編『生命倫理学事典』の翻訳作業を通して、戦闘員であると同時に非戦闘員でもある軍医務官のディレンマという側面からこの問題にアプローチする可能性とともに、生命倫理学における「戦争」の位置についても考えることができた。さらに、新たに浮上してきた課題として、戦争(倫理)をその表象ないし記憶という側面から捉え直す作業もまたひとつの重要な問題領域をなすと思われる。そこで報告集にはミュンスター「彫刻プロジェクト」における作品のいくつかを分析・検討した論文を収録した。
著者
木村 好美
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間形成と文化 : 奈良女子大学文学部教育文化情報学講座年報 (ISSN:13429817)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.83-93, 1999

This paper is an attempt at elucidating how contemporary yobikoes have attained their nationwide development, and how they have improved their capabilities of information gathering and provision, through focusing upon their relations with a reform in the system of entrance examinations, and with some changes in our social organization. What our research has shown could be summarized in three respects : 1.The foundations of yobikoes' recent development were already laid in the Taisho era and at the beginning of Showa era. 2. Postwar Japan saw a structural change in its working population owing to industrialization, an amelioration of the income standard because of some waves of prosperity, and therefore a growing population reaching higher education. Keeping step with such a trend, yobikoes entered a "high-growth period". For example, in 1965,some yobikoes undertook the diversification of their business; hence, they began to intensify their character of an industry. 3. It was the introduction of the Nationwide Common Preliminary to Entrance (Joint First Stage Achievement Test) that became the chief incentive for yobikoes to their inaugurate countrywide development and improved their capabilities of information gathering and provision.
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
寅貝 和男
出版者
奈良女子大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03891704)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.31-50, 1974
著者
高村 仁知
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

魚臭の主成分は、トリメチルアミンなどのアミン類であるとされている。しかし、アミン類のが魚のにおいを決定しているのではない。実際に生成する魚臭にはアミン類以外の成分も多く含まれている。しかも、実際に食卓にのぽる魚料理ではアミン臭は全くなく、他の成分が「魚くさい」においに寄与していると考えられる。本研究は、魚の持つにおい成分について、ガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフー質量分析計などの機器分析法とガスクロマトグラフーオルファクトメトリー(においかぎ)法によるにおい判別法とを用いて、真の魚臭成分の構造や生成量を明らかにするとともに、それらの生成機構、生成条件を解明すること、さらに調理によってこれらを抑制する方法を明らかにすることを目的として遂行した。試料として、「マイワシ」を用い、新鮮魚、および室温放置により劣化された魚について、固相微量抽出法を用いてにおい成分を吸着させ、ガスクロマトグラフ-質量分析計およびガスクロマトグラフ-オルファクトメトリー(においかぎ)により、におい成分の解析を行った。その結果、魚の劣化過程において、トリメチルアミンは確かに生成するものの、pHを塩基性にしない限り、揮発性が乏しいため、いわゆる「魚臭い」においの原因ではないことを明らかにした。また、においかぎ分析により、多くの非アミン化合物、特に脂質に由来すると考えられるカルボニル化合物等が、不快なにおいを有し、これらが魚臭いにおいの主要な原因物質であることを明らかにし、特に2,3-pentanedione、hexanal、1-penten-3-o1が多く存在することを見いだした。これらはいずれも脂質に由来する化合物と考えられる。従って、抗酸化成分を有する調味料や食素材とともに調理することで、魚臭を抑制することができると考えられる。
著者
西村 雄一郎 瀬戸 寿一 金杉 洋 吉田 大介
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-07-18

本研究は,近年活発化しているクラウドソーシングと呼ばれる一般市民からの情報によって,インターネット上の地図を編集するプロジェクトに着目し,そのようなクラウドソース型地理情報のトラストに関して,多角的な視点による研究を行う.研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち、主に以下の2つを中心に研究を実施した.・クラウドソース型地理情報の理論的位置づけに関する研究(西村・瀬戸):クラウドソース型地理情報に関する先行研究・論文は,主に英語圏におけるGISと社会に関する地理学的な研究を中心に存在するが,クラウドソース型地理情報に関する理論的な位置づけ・学術的な議論に関するレビューを行い,従来の研究を包括的に整理した.また,クラウドソース型地理情報の実践的な取り組みにも着目し,作成方法やデータの編集方法の進展について調査を行うとともに,それらを整理した.・日本におけるクラウドソース型地理情報の正確性や網羅性に関する分析(西村・瀬戸・吉田):クラウドソース型地理情報は、地理情報に関する専門的な知識や技能を必ずしも持っていない一般の市民によって作成されている.日本におけるクラウドソース型地理情報に対して,公的な組織が測量によって作成した地理情報や,商用の地理情報とその正確性や網羅性を比較した.また,クラウドソース型の地理情報の編集の特徴の一つである,コミュニティによる正確性や網羅性を実現するための試みや,データの相互チェックなど実態に関しての分析を行った.
著者
田中 恵子
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.215-224, 2010-03-31

A longitudinal study was conducted on first-time parents (73 couples) to clarify the changes in father's behavior in child rearing and housekeeping and husband's satisfaction of the relationship betweenhusband and wife and the correlation with the 6-th mother's stress in child rearing. The questionnaires consisted of father's behavior in child rearing and housekeeping, husband's satisfaction of the relationshipbetween husband and wife, satisfaction in father's behavior in child rearing and housekeeping, view on share of gender role, scale of child rearing stress (mothers only). Seventy percent of couples replied to the questionnaires.1)The scores of father's behavior in child rearing and housekeeping and husband's satisfaction of the relationship between husband and wife were lower in the 6-th month than in the first month bothhusbands and wives (p<0.01~0.05).2)Mother's stress in child rearing was related to her satisfaction in father's behavior in child rearing and housekeeping of maternal factors ( γ =-0.30, p<0.01).The results were suggested that it was necessary to consider fostering the couple's partnership.
著者
西谷 敬
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間形成と文化 : 奈良女子大学文学部教育文化情報学講座年報 (ISSN:13429817)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-30, 1997

日本の急速な近代化には,さまざまの限界がみられた。制度,機械,道具,衣装など外観は文明化されたけれども,西洋文明の精神を導入することには成功しなかった。単なる外観でなしに,西洋の精神を国民に伝えて,国民を近代的国民国家の担い手にしょうとする啓蒙主義の思想家が明治初期に登場した。一般に「洋学者」といわれた彼らは,「明六社」という団体を作って活動した。その中で代表的人物は,福沢諭吉と森有礼である。この明六社は長続きしなかったし,彼らはその後,経歴においても思想においても異なった道をたどることになる。明六社の時代後十年ほどして,若い世代の代表者として徳富蘇峰が「平民主義」といわれる啓蒙主義の運動を行ったが,それも長く続かなかった。これら啓蒙思想家は,皆ナショナリストであり,日本が近代的国民国家として発展していくために,西洋文明の精神を国民に伝え,それによって国民の従来のような無気力,卑屈,無責任を改めて,国民の気力,自主的活動,エネルギーをかき立てようとした。彼らは,士族ないし中産階級に訴えて,啓蒙活動を行おうとした。しかし国家の独立という当初のナショナリズムの課題より,天皇中心の国権の伸張,国家の膨張が重視されるナショナリズムが盛んになるにつれて,啓蒙主義も力を失った。このことは,啓蒙主義の思想家の変質とともに,啓蒙主義を部分的にしか受け入れなかった日本の国民,士族のエートスの限界として理解されうる。つまり啓蒙主義を通じて,ナショナリズムにつながる勤勉,堅忍不抜,義務などが教えられ,国民に受け容れられたけれども,近代人の特質をなす自主独立,寛容,個性などは定着しなかった。このことは,ナショナリズムに方向づけられた啓蒙主義の当初の目的を達成できなかったことを意味するので,啓蒙主義の挫折ということができる。これら啓蒙主義の問題を上記の三人の思想家について論じることとする。福沢諭吉は,終始啓蒙主義の思想家として活動した。彼は,ジャーナリストとして,また慶応義塾を通じて社会に大きな影響を与えた。彼の思想の理論的基礎をなし,主著と称せられる『文明論の概略』(1875)を中心に彼の思想を論じる。彼は,「権力の偏重」が西洋文明と異なる日本文明の特色であるとして,それを改善しようとして,西洋文明に学んで国民個人の独立を達成しようとした。文明を人々の「知徳の進歩」と規定した彼は,知識と道徳の両方が文明に備わっていることを主張したが,なかでも進歩の基礎として知識を重視した。彼は知識として,一方では物理学とその方法を取り入れようとしながら,他方では物事の軽重,時と場所の適切さを判断する智恵をあげている。両者の関係について彼は暖昧さを残しているが,両者があいまって個人の精神的独立が可能となる。彼が終始強調した独立の精神は,しかし国民に受け容られないままであった。彼が後にナショナリズムを強調し,政治的に保守化したことは別として,彼の主知主義,個人主義は国民のエートスとして作用することはなかったという点において,彼の啓蒙主義は挫折した。私人として活動した福沢に対して,森は官僚,外交官として活躍した。彼は初期に自由主義者,個人主義者として啓蒙主義の活動を行ったが,後に文部官僚として教育制度を整備したときには,国家主義者,専制主義者であるとみられる。彼の思想的立場をどのように見るかについて,研究者の意見は分かれているが,筆者は彼が終始国家中心主義者であり,合理的社会観,国家観を取った点では一貫していると考える。彼は,啓蒙主義者として,国家の機能の限界を認め,相互扶助による社会生活と道徳を説いたけれども,他方では兵式体操をもってする教育を通じて国民に強制的に規律と忠君愛国の精神を注入しようとした。これによって従順で威儀を正した国民は生まれるかもしれないが,彼が社会の基礎として重視した友愛,相互扶助は育たない。このように彼の主張の中に目的と手段の朗齬がみられ,また彼は強制的な規律を主張したことによって,彼は啓蒙主義から背馳しただけでなく,思想家として問題がある。徳富蘇峰はその出世作『新日本の青年』(1887)において当時の教育主義を,復古主義,偏知主義,折衷主義として批判した。儒教の復活を願う復古主義は論外として,福沢に代表される偏知主義を彼は実用主義,同調主義であると非難した。折衷主義は,「西洋芸術(技術)東洋道徳」を説くもので,知徳兼備を主張する点では尤もであるが,西洋の学問を取り入れたなら,道徳も西洋の道徳を取り入れなければならないと彼は論じた。彼は詳論しなかったが,自主独立,寛容,勤勉などの西洋市民社会の道徳を彼は導入しようとした。しかし彼が訴えかけようとした青年と平民,中産階級は,彼の主張に背を向け,国家依存と立身出世主義に走った。その中で彼自身,日清戦争を契機として思
著者
二田 貴広
出版者
奈良女子大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

本研究の目的は、文学教材の「読解力」とメディアの表現の1分析力」との相乗的育成および生徒の自己評価力育成について、下記の仮説を検証し、この学習指導方法の意義を明らかにすることである。仮説1:文学教材の象徴的・比喩的・暗示的表現の「読解力」の習得に、メディアの表現での象徴的・比喩的・暗示的な表現の分析および分析力のスキル化を組み合わせると、「読解力」の習得も「分析力」のスキルとしての定着もすすむというように相乗的育成が生じる。仮説2:仮説1は、授業者が、国語の教材を用いた学習とメディアの表現を教材に用いた学習とをくつなげる観点〉を示した場合に、学習集団に遍在的に成立する。仮説3:生徒にメタ認知的に自己の学習活動を捉えさせると、読解・評価のメカニズムを理解したり、自己の学習到達度を検証したり、他の場面への活用ができるようになる。すなわち、ここまでの学習活動で、PISA型読解力の「情報の取出し、解釈・熟考、評価、学習課題の発見、討論による課題解決」が育成できると同時に、「どのような枠組みで学習をおこなっているのか」といったメタ認知によって、PISA型読解力の枠組みを相対化しつつ自己のスキルや態度、能力を把握できる評価力を育成できる。2011年度までに仮説1は実証できた。2012年度は、以下の3つの方法で比較検証し仮説2と3を実証した。A群「千と千尋の神隠し分析」と「新旧ドラえもん比較」、「CM制作」をおこなった後に、文学的文章の学習をおこなう。文学的文章の学習には、「CM分析」の学習を組み込む。メディアの表現と文学教材の学習とがどうつながるのかを授業者が適宜説明して、文学教材の読解とCMの分析をおこなわせる。B群「千と千尋の神隠し分析」と「CM分析」、「CM制作」をおこなった後に、文学的文章の学習をおこなう。文学的文章の学習には、「新旧ドラえもん比較」の学習を組み込む。メディアの表現の学習と文学教材の学習とのつながりを生徒に気づかせるように授業者が支援して、文学教材の読解をおこなわせる。C群「千と千尋の神隠し分析」と「CM分析」、「CM制作」をおこなった後に、文学的文章の学習をおこなう。文学的文章の学習には、「新旧ドラえもん比較」の学習を組み込む。メディアの表現の学習と文学教材の学習とをつなげる観点を説明したり、示唆したりしない。
著者
吉村 あき子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、自然言語の肯定極性文脈と否定極性文脈がどのような関係にあり、母語話者がそれらをどのように認知・認識しているかに関して、そのメカニズムの解明を試みた。本研究の出発点はvan der Wouden(1997)である。彼は、オランダ語の否定文脈は、弱い方からmonotone decreasing(MD),antiadditive(AA),antimorphic(AM)というブール特性で定義できる3つの階層をなしており、これは他の言語にも適用できると主張する。この分析の他の言語へ適用可能性を検証することによって引き出された結果は、次のようにまとめられる。(a)英語母語話者は、否定文脈の認識に関して、上記3特性ではなく、本研究で定義した二重否定(DN)特性に敏感に反応する。(b)英語の否定極性項目(NPI)は、最も弱いMD否定文脈にまで現れるNPIが多く弱いNPIの方に大きく片寄っている。(c)日本語母語話者は、否定文脈の認識に関して、AM特性とDN特性に敏感に反応する。(d)日本語のNPIは、最も強いAM否定文脈にのみ現れるNPIとDN特性が成立する否定文脈に現れるNPIまでが観察され、それより弱い否定環境には観察されないという意味で強いNPIに大きく片寄っている。(e)日本語には、オランダと語同じく、肯定極性項目と否定極性項目の両方の特性を併せ持つ両極項目、即ち、monotone increasingの肯定文と最も強いAM否定文脈には現れないが、その中間に位置するMD文脈とAA文脈にのみ現れる「一滴でも」のような両極項目、が存在する。このように、極性とは、否定と肯定を両極としてその中間値を許す段階的に移行するスケールであり、何を否定環境と認識するかという外枠は共通だとしても、その中の強さの違いを認識する仕方は、どの言語の話者であるかによって異なっていることが、本研究によって明らかになった。
著者
山辺 規子
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.203-216, 2012-03-31

The manuscripts known by the Latin title, Tacuinum Sanitatis are translations from Tak,wīmal-s,ihha Tak,wīm al-s,ihha written by Ibn-Butlan, eastern Christian doctor who wanted to show naturesof elements of life so concisely. In later middle ages, Tacuinum Sanitatis were made into illuminatedmanuscripts in northern Italy or near around. In these manuscripts, the explanations of each reduced. Buteven then we can get information of the natures of elements which are described by several parameters, i.e.their properties (hot, cold/wet, dry) generally expressed in degrees. Here are shown elements of the mostfamous illuminated manuscripts of Tacuinum Sanitatis, Tacuinum Sanitatis in medicina, cod.Vind.2644 ofVienna, Theatrum Ssanitatis of Rome (Casanatense 4182) and Tacuinum Sanitatis Latin 9333 of Paris ontable from which it gets clear that there can be found many differences in properties and degrees, especiallybetween Casanatense 4182 and others. The manuscript of Casanatense 4182 might be made with advisesof other doctors, even if its pictures have many common points with others. If we want to approach themedieval diet theory more precisely, we should examine many more manuscripts
著者
横山 恵理
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.264-270, 2012-03-31