著者
鶴田 一郎
出版者
広島国際大学総合教育センター
雑誌
広島国際大学総合教育センター紀要 (ISSN:24322881)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-16,

Abstract: In 1933, Rampo Edogawa's paper entitled, "Secret Passion of J. A. Symonds" appeared as a series in the journal named "Psychoanalysis," published by Tokyo Psychoanalysis Science Research Center, supervised by Kenji Otsuki. The paper was not finished after all. This study examined its fourth issue. First, the progress of Rampo's "awareness of unconsciousness" was examined. Furthermore, how Rampo brought back self-projections was examined by considering his later writing activities. The results indicated that Rampo unconsciously achieved awareness of unconsciousness during writing his unfinished paper. His subsequent writing activities were conducted based on this awareness. Especially, his paiderastia was considered to have been sublimated into "Kobayashi," a boy character in "Boys'Detective Team," which is one of Rampo's important works.要約:本稿では、大槻憲二が主宰して いた東京精神分析学研究所が発行する『精神分析』に 1933 年に発表された江戸川乱歩の未完の論文「J · A・シモンズのひそかなる情熱」の内、第四回掲載分について検討・考察を行った。その際、上掲論文において、乱歩の「無意識の意識化」が、どの程度進んだのかを考察の出発点とし、更に、その後の乱歩の創作活動も視野に入れて、乱歩は如何に「投影の引き戻し」 を達成していったのかについて検討した。その結果、4 回にわたる未完の論文の 中で、乱歩自身、意識せずに行っていた「無意識の意識化」を指摘した上で、それが基礎になり、更に、その後の創作活動、特に少年探偵団の小林少年の中に乱歩のパイデラスティアは昇華された、と結論付けた。
著者
青木 茂樹 井上 達貴 尾崎 圭太 小坂 哲矢 柴山 恵美 鈴木 州 高橋 覚 立石 友里恵 田中 僚 田輪 周一 原 俊雄 水谷 深志 薮 美智 山田 恭平 児玉 康一 斎藤 芳隆 田村 啓輔 濱田 要 吉田 哲也 佐藤 禎宏 手塚 郁夫 伊代野 淳 山本 紗矢 石黒 勝己 大塚 直登 河原 宏晃 北川 暢子 駒谷 良輔 小松 雅宏 﨏 隆志 佐藤 修 中 竜大 長縄 直祟 中野 敏行 中村 光廣 丹羽 公雄 宮西 基明 森下 美沙希 森島 邦博 吉本 雅浩 六條 宏紀 Aoki Shigeki Ozaki Keita Kosaka Tetsuya Shibayama Emi Suzuki Atsumu Takahashi Satoru Tateishi Yurie Hara Toshio Mizutani Fukashi Yamada Kyohei Kodama Koichi Saito Yoshidata Tamura Keisuke Hamada Kaname Yoshida Tetsuya Sato Yoshihiro Tezuka Ikuo Iyono Atsushi Ishiguro Katsumi Otsuka Naoto Kawahara Hiroaki Kitagawa Nobuko Komatani Ryosuke Komatsu Masahiro Sako Takashi Sato Osamu Naka Tatsuhiro Naganawa Naotaka Nakano Toshiyuki Nakamura Mitsuhiro Niwa Kimio Miyanishi Motoaki Morishima Kunihiro Yoshimoto Masahiro Rokujo Hiroki
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
大気球シンポジウム: 平成27年度 = Balloon Symposium: 2015
巻号頁・発行日
2015-11

大気球シンポジウム 平成27年度(2015年11月5-6日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県著者人数: 41名資料番号: SA6000044043レポート番号: isas15-sbs-043
著者
小林 正法 大竹 恵子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.143, 2017 (Released:2017-10-16)
被引用文献数
1

科学技術の発展により様々な情報を外部記憶装置に容易かつ迅速に保存することが可能となった(例. スマートフォンによる写真撮影)。このような外部記憶装置の利用はヒトの記憶にも影響を与える。Henkel (2014)は,写真撮影によって長期記憶として保持される必要がなくなった情報は,忘却されることを示した。これは外部記憶装置への保存による認知的負荷の低減を示唆している。これに関連して,本研究では,ニュートラル語に比べて,記憶成績が高いとされる感情語(e.g., Kensinger, 2004)に対し,写真撮影による忘却が生じるかを検討した。指示忘却手続き(Bjork, 1970)を参考とした実験を実施した結果,写真撮影をした単語の再生成績が低下し,その程度に感情価の影響は少なかった。本研究により,感情語という記憶されやすい情報に対しても写真撮影による忘却が適用されることが示唆された。
著者
江川 司 矢山 和宏 小谷 泰一 石井 益子 阿比留 仁 玉木 敬二
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.113-124, 2018

&emsp;Forensic biologists are increasingly likely to identify an individual using three-dimensional imaging equipment. Existing equipment requires taking the subjects to the place where the equipment is located. In recent years, a non-contact, hand-held three-dimensional color scanner has been developed that is compact and lightweight. Therefore, we already use it for facial recognition and cranio-facial superimposition. The three-dimensional scanner reconstructed skull images precisely, and the anthropological measurements obtained from the images were comparable to those obtained from actual skulls (the differences in measurements were less than 1mm). Furthermore, the skull images produced by the scanner corresponded with high accuracy to the three-dimensional images reconstructed using computed tomography (concordance rates were approximately 95%) and to the two-dimensional facial photographs of the same person (the differences were less than the standard value 2.5mm for the reciprocal point-to-point matching). In addition to the skull images, the three-dimensional scanner precisely reconstructed facial images of living people. The three-dimensional facial images approximately corresponded to the two-dimensional facial photographs of the same people taken from both the vertical direction and from a bird's-eye view (the difference were less than the standard values, 0.9mm for the outline matching and 2.5mm for the reciprocal point-to-point matching). In conclusion, the current study confirmed that the non-contact, hand-held three-dimensional color scanner can provide forensic biologists with precise three-dimensional images of both skulls and living people's faces and that the images are of sufficiently good quality to be put to practical use as the quality of conventional stationary type.<br>
著者
名取 志保 谷口 泰富
出版者
駒澤大学文学部心理学研究室
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
no.5, pp.27-32, 2003-03

現在,犯罪捜査に活用されている虚偽検出検査において,虚偽の反応には,定位反応だけではなく被検査者の認知過程(認知要因)が大きく関与するという報告がみられるようになった。これらの研究を概観すると,一方では質問や返答の様式を変化させる方法と,他方では認知過程と関連があると考えられている生理指標を測定する方法により,虚偽検出における認知過程が検討されている。本研究では,認知的状態と関連していると考えられる自発性瞬目を指標とした虚偽検出実験をおこない,裁決刺激提示時(ウソをついたとき)は瞬目数が減少し,瞬目潜時が遅れるという結果が得られた。また,近年,新たに指標として検討され始めた応答反応に関しても,先行研究と同様に,裁決刺激提示時に潜時が早くなる傾向が認められた。これらのことから,瞬目反応および応答反応を虚偽検出検査の指標として採用することの可能性が示唆された。
著者
松本 晴年 安藤 さえこ 深町 勝巳 二口 充 酒々井 眞澄
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.44, pp.P-75, 2017

【背景】これまでに我々は沖縄県産植物のがん細胞への細胞毒性を明らかにした(Asian Pac J Cancer Prev 6: 353-358, 2005, Eur J Cancer Prev 14: 101-105, 2005, Cancer Lett 205: 133-141, 2004)。芭蕉の葉身からの抽出物 (アセトン(A)あるいはメタノール(M)抽出)を用いてヒト大腸がん細胞株に対する細胞毒性とその機序を調べた。【方法】各抽出物をヒト大腸がん細胞株HT29およびHCT116にばく露し、コロニーあるいはMTTアッセイにて細胞毒性を検討した。細胞毒性の程度をIC<sub>50</sub>値(50%増殖抑制率)にて判定した。アポトーシスの有無と細胞周期への影響をフローサイトメトリーおよびウェスタンブロット法で検討した。【結果と考察】コロニーアッセイでのIC<sub>50</sub>値は、HT29株では118 μg/mL(A)、>200 μg/mL(M)、HCT116株では75 μg/mL(A)、141 μg/mL(M)であった。MTTアッセイでのIC<sub>50</sub>値は、HT29株では115 μg/mL(A)、280 μg/mL(M)、HCT116株では73 μg/mL(A)、248 μg/mL(M)であった。アセトン抽出物にはより強い作用を持つ有効成分が含まれると考えられた。HT29株では、アセトン抽出物(100 μg/mL)のばく露によりcontrolと比較してG1期が5.4%有意に上昇し、これに伴ってG2/M期が減少した。つまり、G1 arrestが誘導された。アポトーシスに陥った細胞集団が示すsubG1 populationは見られなかった。HT29およびHCT116株では、アセトン抽出物のばく露によりcyclinD1およびcdk4タンパク発現レベルが濃度依存的に低下した。一方、HCT116株では、p21<sup>CIP1</sup>タンパク発現レベルが濃度依存的に増加した。これらの結果より、芭蕉葉の抽出物には細胞毒性をもつ物質が含まれ、アセトン抽出物はcyclinD1およびcdk4タンパク発現を減少させ、p21<sup>CIP1</sup>タンパク発現を増加させることで細胞周期を負に制御すると考えられる。
著者
堀田 真理
出版者
東洋大学経営学部
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
no.90, pp.31-45, 2017-11
著者
図司 直也
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.253-261, 2020

<p>本シンポジウムが射程とする2040年には,田園回帰の動きを牽引した団塊ジュニア世代が高齢者となり,農村と都市の双方で豊かなライフスタイルを享受する都市農村対流時代が想定される.その時点での農村像を描き出すとき,4つのシナリオが想定され,社会インフラ技術が小規模化でき,SDGsの理念が国民に共有され,社会変革が進められる条件が揃った「地方分散シナリオ」を選択できれば,持続可能性がより高まるだろう.今日各地で見られるローカルプロジェクトは,その萌芽的な動きといえよう.旧来の計画や制度の更新とは別の形で,農村の暮らしを基点とし価値創造を生み出す地方分散シナリオを実現できるプロセスの検討を今から始めるべきである.</p>
著者
佐藤 順子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.294-300, 2020

本稿はフードバンクによる食料支援にはどのような意義があるかについて考察することを目的としたものである。フードバンクは生活困窮者支援においてインフォーマル・サービスとして位置づけられている。社会保障制度ではフォーマル・サービスとしての所得保障が重要でありつつも,フードバンクによる食料支援は,生活困窮者支援団体との連携によって,所得保障を補完し,同時に所得保障に橋渡しをする役割を担っている。フードバンクが困窮者支援の役割を果たすためには,国および自治体による恒常的な支援が今後さらに必要となってくると考える。