著者
和所 泰史
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.88_2, 2016

<p> 第二次世界大戦終結後、日本は1948年開催のオリンピック大会(ロンドン)に招待されず、次の1952年オリンピック大会(ヘルシンキ)の参加を目指すこととなった。当時の日本がオリンピック大会に招待されるための条件の1つは、日本のNOCがIOCから承認を受けることであった。先行研究によると、日本のNOC承認は1951年IOCウィーン総会であったとされている。しかし、このウィーン総会に出席した東龍太郎の報告および総会の議事録を見るかぎり、IOCはこの総会で日本の1952年オリンピック大会参加を認めたものの、NOCを承認したという記録は存在していない。そこで本研究では、ウィーン総会の約1年前にあたる1950年IOCコペンハーゲン総会の議事録に着目し、日本のNOCがいつIOCによって承認されたかを明らかにすることとした。本研究の検討結果、日本のNOC承認に否定的な意見を述べるIOC委員が存在していたものの、IOC会長エドストロームやアメリカのIOC委員らの援助もあり、日本のNOC承認は否決されることなく、可決し、大会への参加を議論すべきとの報告がIOC副会長ブランデージからなされていたことが明らかとなった。</p>
著者
篠沢 洋太郎
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本研究の究極の目的はヒトに被移植中間層皮膚に汗腺を導入することであり、そうであれば最近進歩著しい再生医療を応用して、患者自己の体性幹細胞をみつけ、これが汗腺細胞に分化・増殖する可能性を検討し、汗腺細胞を移植皮膚へ導入することを考えるのが得策であろうとの結論に達した。そのためには、体性幹細胞の汗腺細胞への分化・増殖のための足場(ハード)および化学性因子(ソフト)を検討する必要がある。よって、まず熱傷ラット早期における個体の被移植部(熱傷創部)を流れる血中の分化・増殖因子(サイトカイン)動態を検討した。方法:(1)250〜300gのSDラットを用い、40mg/kgのベントバルビタール腹腔内投与麻酔下に、背部に30%TBSAIII度熱傷を作製した。(2)熱傷(-)、3、24、48、72時間後、麻酔下に頸動脈にカニュレーションしヘパリン採血、犠死させた。血漿を24時間蓄尿とともに-80℃に冷凍保存した。結果:熱傷(-)、3、24、48、72時間後の値は以下の通り(いずれもn=5、単位はpg/ml)。IL-1β:24±10,9±3,9±3,6±0,94±79、IL-8(GRO/CINC-1):42±12,285±15,124±52,22±5,34±15、IL-1ra:12±0,2428±54,222±112,79±39,268±140、IL-10:17±5,57±9,10±0,10±0,209±77、8-OHdG(遺伝子の活性酸素傷害物質)/Cr比:66±8ng/mgCr,24±0,39±6,59±12,140±22。考察:観察期間においては72時間に活性酸素傷害指標は最大となったが、これには3時間後のIL8の増加(これに引き続く好中球の活性化)が関与したと考えられた。Th1系のIL-8、IL-1βはTh2系のそれぞれIL-1ra、IL-10と連動しており、一方の活性化を制御していると考えられた。結語:増殖因子(サイトカインなど)はこれに対する生体の制御因子と連動していると考えられた。
著者
奥倉辰行 編
出版者
水生堂
巻号頁・発行日
vol.[3], 1855
著者
師岡 淳郎 則元 京
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.328-333, 1991
被引用文献数
4

In accordance with the newly developed homogeneous periodate oxidation procedure, we prepared high cleavage level 2, 3-dialcohol cellulose (DAC) which gives off a clear and transparent film. Viscoelastic properties of DAC were investigated in relation to those of cellulose. Dynamic mechanical measurements for DAC at 110Hz over the temperature range from -150&deg;C to 150&deg;C revealed two kinds of relaxation processes, which were respectively centered around -70&deg;C and 112&deg;C. The first process at -70&deg;C was related to dielectric relaxion, and was regarded to be, similar to the process in cellulose, due to the motion of methylol groups. On the other hand, the cleavage of C<sub>2</sub>-C<sub>3</sub> bonds of the glucopyranose ring resulted in the process at around 112&deg;C, while no comparable process has been reported for cellulose in the similar region. This process was ascribed to the micro- Brownian motion along the main chain. From the temperature variation of the stress-elongation diagrams, the glass transition temperature Tg for DAC was estimated to be about 80&deg;C. The DAC film above Tg showed a marked elongation reaching 200% at 112&deg;C.
著者
朴 沙羅
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.3-20, 2017-10-01 (Released:2021-06-04)
参考文献数
27

二〇〇九年以後、日本国内におけるエスニック・マイノリティを標的とした差別扇動表現が、インターネットや街頭で広がっている。このような差別扇動表現に関する社会学的な先行研究は、研究対象を「排外主義」あるいは「排外意識」と措定し、量的・質的な成果を重ねてきた。しかしこれら先行研究は、在日コリアンや在日中国人などの旧植民地出身者に対する差別を「外国人」一般に対する差別、すなわち「排外主義」と見なし、旧植民地出身者がいかなる意味において外国人であるのか、そもそも日本における「外国人」とは何を指しているのかを問うてはいない。本論文は在日コリアンを対象として、彼らがなぜ「外国人」と見なされるようになったのかを、太平洋戦争直後の入国管理体制の成立過程から検討する。朝鮮半島から日本への非正規な移住は、当時まだ日本国籍を保持していた人々を「密航者」「不法入国者」として逮捕し強制的に退去させることを可能にした。それは同時に、国内の在日朝鮮人を「外国人」にすることでもあった。在日朝鮮人の民族運動もまた、自分たちが日本人とは異なる「解放民族」であるという前提に立っていた。これらは全て「外国人」であることの根拠を国籍でも出生地でもなく、出自に求めている。出自に基づく「外国人」たることの根拠は、入国管理体制において戸籍・国籍へ変換される。この差異に基づいている点において、いわゆる「日本型排外主義」は排外主義ではなく人種主義である。この運動が排外主義に見えるのは、日本の入国管理体制とそれが生み出した「外国人」概念の故である。
著者
吉野 章 北野 慎一 吉積 巳貴 清水 夏樹 間藤 徹 東樹 宏和 真常 仁志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

農畜産業を低窒素型に変革する可能性の研究に取り組んだ。第一に、30年以上の間無肥料で野菜を栽培している農家の土壌と土壌圏微生物を解析し、限られた養分しかない環境における植物の適応を解明した。そして、そうした農産物の価値を伝える流通業者のマーケティング戦略の特質を指摘した。第二に、日本において山間部で放牧を行う酪農の可能性を評価し、制度的制約と市場競争力が厳しい状況にあることを明らかにした。第三に、兵庫県南あわじの農業を調査し、これまの循環型農業への取り組みと、社会・経済環境の変化に伴う新たな方向の模索を明らかにした。
著者
洞院公定
出版者
巻号頁・発行日
vol.[6],
著者
Masato Okada Akio Hirata Kazunori Kashiwase Hiroyuki Nakanishi Ryohei Amiya Yasunori Ueda Yoshiharu Higuchi Yasushi Sakata
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.1334-1343, 2019-11-30 (Released:2019-11-30)
参考文献数
34
被引用文献数
1

The aim of this study was to examine the impact of the serum eicosapentaenoic acid (EPA) to arachidonic acid (AA) ratio on recurrence after catheter ablation (CA) for atrial fibrillation (AF).A total of 192 patients who underwent first-time radiofrequency CA for AF were enrolled in this study. They were divided into two groups based on the median serum EPA/AA ratio before CA: a LOW group (< 0.30; n = 96) and a HIGH group (≥ 0.30; n = 96). Patients in the LOW group were younger and had smaller left atrial diameter (LAD) than those in the HIGH group. Although pulmonary vein triggers initiating AF were more frequently observed in the LOW group than the HIGH group (63% versus 46%, respectively; P = 0.021), no significant between-group difference was observed regarding the incidence of AF recurrence since the last procedure (17% versus 17%, P = 0.78; median follow-up, 37 months). Multivariate Cox regression analysis after adjustment for age and LAD revealed that EPA/AA of < 0.30 was not a significant predictor of AF recurrence (hazard ratio, 1.12; 95% confidence interval 0.53-2.37; P = 0.76). However, in the non-paroxysmal AF subgroup (n = 65), the incidence of AF recurrence was significantly higher in the LOW group than in the HIGH group (25.7% versus 6.7%, respectively; P = 0.031).In conclusion, a lower preprocedural EPA/AA ratio, which was associated with younger age and small left atrium, was not a predictor for the risk of AF recurrence after CA for AF. The potential impact of the ratio on recurrence in non-paroxysmal AF subgroups should be examined with larger samples.
著者
川上 梅
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.229-238, 2018-03-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
10

2012-13 年に小・中・高生の男女749 名を対象にして,24 形容詞それぞれにふさわしい色を56 色のカラー表の中から2 色選択するという調査を行い,各形容詞がイメージする色をトーン・色相に分けて男女別学年別に集計し度数表を作成した.これらをデータとして小・中・高生の色彩感情と被服色彩嗜好(特に,「好きな」色と「着たい」色)をコレスポンデンス分析およびクラスター分析を使用して検討した.その結果,(1)Pink は,女性的で甘いイメージであり,暗いイメージ,つめたいイメージ,鮮やかなイメージとは対照的なイメージとして定着していること,(2)男女共に「好きな」色のトーンは集中が顕著であること,「好きな」色の年齢による違いは少ないが,「着たい」色は年齢と共に多様化し,特に高校生で大きく変化すること,(3)男子に比べて女子は,好きな色・嫌いな色を色のトーンで判断しており,着たい色の色相が若年から多様化していること 等が明らかになった.
著者
竹内 浩昭 岡田 洋子 谷津 香織 大庭 つき恵 長井 孝紀
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.156-163, 1998-12-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
23

The behavioral responses of axolotls to chemical stimuli representing the four basic taste qualities (sweetness, saltiness, sourness, and bitterness) were quantified by measuring the ratio of rejection and the number of bites of gel pellets that contained various concentrations of sucrose, NaCl, citric acid, or quinine hydrochloride. A simplified method to measure the hardness of gel (gel strength) was devised and the feeding responses towards various hardnesses of gel pellets were also quantified by measuring the rejection ratios. Rejection ratios towards chemical stimuli other than sweet gels tended to increase with concentration and the degree of rejection was different depending on the quality of taste. These results showed good correspondence to those of a previous study, suggesting that axolotls distinguish the salty, sour, and bitter tastes, but not sweet tastes. The number of bites was dependent on the concentrations as well as the taste qualities, and bites on sour and bitter gels showed a different type of biphasic concentration dependency. When the hardness of gel pellets was changed at a constant concentration of chemical stimuli, the rejection ratios tended to increase with gel strength. The potential of salty taste to induce swallowing (a preference for salty taste) was suggested by reductions in the rejection ratios when gel pellets included NaCl but not sucrose.
著者
松本 峰哲
出版者
印度学宗教学会
雑誌
論集 = RONSHU (ISSN:09162658)
巻号頁・発行日
vol.27, 2000-12-31
著者
新井 舞子 佐藤 大樹 大黒 雅之
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.173-176, 2019

<p>スタジアムの観客席は極めて人員密度が高く、かつ、近年の観客席スタンド大型化で総人員が数万人に及ぶスタジアムも多いことから、観客がスタジアム内の温熱環境に及ぼす影響が無視できないと考えられる。 本研究では、観客(密集した大量の人体)による日射や気流の遮蔽、熱や湿度の発生等の影響を、一体一体を再現せずにマクロに再現する手法を提案する。さらに、提案した解析手法による屋外競技場を対象とした解析結果を報告する。</p>
著者
石島 隆
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.49-54, 2004-03-31 (Released:2011-11-14)
参考文献数
10

ITガバナンスとは, 組織体が経営戦略及び経営目標を達成するためにITをどのように活用・維持するかについてのリーダーシップ, 組織及び手続きをいう。一方, 「IT内部統制」は筆者の造語であるが, 組織体の資源を有効活用し, 適正な財務報告を行い, 関連法規を遵守するためのITを活用した情報システムに関連する組織及び手続きをいう。本稿では, これらに関連する諸概念の関係を整理し, ITガバナンスは, 「IT統治機構」と「ITリスクマネジメントと一体化したIT内部統制」から構成されるものと捉えた。その上で, ITガバナンスの改善策について, IT統治機構からのトップダウンアプローチと, ITマネジメントからのボトムアップアプローチの観点で述べた。
著者
斎藤 一 西川 浩司 大内 東
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.29(2003-ICS-135), pp.1-6, 2004-03-15

近年,企業経営において,BSC(Balamced ScoreCacd)戦略マップを,組織構成員に戦略を共有させるためのツールとして利用する事例が増えてきている.また,一部の行政組織では,BSCを組織評価に利用している.しかし,組織のプロセスを明らかにすることが困難である観光戦略策定のような場合,BSCの利点が発揮されにくい傾向がある.本研究では,BSC戦略マップに構造モデリング手法を導入することで,このような問題を解決し,戦略策定を支援する方法を検討する.
著者
三谷 塁一
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

テオブロミンはカカオ豆由来のメチルキサンチン化合物である。テオブロミンを摂取させたマウスにおいて脂肪重量の増加が抑制され、脂質形成に関与する遺伝子の発現が抑制された。3T3-L1細胞を用いた実験から、テオブロミンはアデノシン受容体1(AR1)に結合すること、ユビキチンプロテアソーム系によるC/EBPβの分解を誘導することを見出した。さらにテオブロミンによるC/EBPβの分解誘導にはC/EBPβのSUMO化が関与した。以上の結果から、テオブロミンはAR1を介してC/EBPβのSUMO化と分解を誘導することで、脂質形成を抑制することが示された。
著者
日経情報ストラテジー
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.156-160, 2004-07
被引用文献数
1

顧客満足度を高めるカギは、KGI(重要目標指標)とKPI(重要業績指標)の2つの指標だ。 今年8月から開催されるアテネ五輪。三井住友海上火災保険の土佐礼子選手が、女子マラソンで日本代表の1人に選ばれたのは記憶に新しい。 「土佐のファンになったお客様が当社のファンにもなってくれれば、顧客満足度(CS)の観点からも大きな効果がある」。