1 0 0 0 IR 陳羣伝試論

著者
狩野 直禎
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.98-118, 1967-03
著者
藪内 弘昭 林 知仁 藤原 麻紀子 大楠 剛司 森 めぐみ 宮井 一行
雑誌
日本薬学会第142年会(名古屋)
巻号頁・発行日
2022-02-01

【背景・目的】 発表者らは、これまでの研究において、文献情報を人工知能に学習させ、植物抽出物の生物活性を予測する手法を開発してきた。当研究では、当該手法を用いて抗菌活性を持つ植物抽出物のスクリーニングを実施し、そこから選抜したシロモジ精油の成分分析及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を評価した。【方法】 既報(藪内ら 平成30年度和歌山県工業技術センター研究報告 2019)の手法に準じて、植物抽出物の抗菌作用に関する先行文献データを人工知能に入力し、各植物抽出物について抗菌活性の有無を学習させた後、NCBI Taxonomy収載の植物に対し、抗菌活性の予測を行った。 予測に基づき選抜したシロモジ(Lindera triloba)を2021年9月に和歌山県内で採取し、葉及び枝それぞれについて、乾燥、粉砕した後、水蒸気蒸留により精油を抽出した。得られた精油の組成は、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)により推定した。また、各精油について、微量液体希釈法により黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。【結果・考察】 発表者らの手法を用いて植物抽出物の抗菌活性についてスクリーニングを実施したところ、候補の一つとして、日本固有種であるシロモジ(クスノキ科クロモジ属)の抽出物が選抜された。 GC-MS分析の結果、シロモジの葉の精油には、δ-カジネン、α-カジノール及びβ-カリオフィレンが、枝の精油には、α-カジノール、カンファー、リモネン、酢酸ボルニル及びδ-カジネンが、主に含まれると推定された。これらのうち、δ-カジネン、α-カジノール及びリモネンについて、抗菌作用を有することが文献で報告されている。 また、抗菌試験の結果、シロモジの葉及び枝の精油のMICは、それぞれ4 mg/mL及び1 mg/mLであり、シロモジの葉及び枝の精油は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を示した。
著者
佐賀 達矢 野中 健一 VAN ITTERBEECK Joost
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.62, 2022 (Released:2022-03-28)

1. はじめに 国連食糧農業機関(FAO)が、昆虫類を食品や飼料としての利活用に関する論文(van Huis et al. 2013) を出版して以来、世界各地で昆虫の利用が広がっている。日本では、これまで食文化になかった種類の昆虫食が広っており、大手生活雑貨店でコオロギせんべいが、自動販売機では乾燥させた様々な昆虫が販売されたりしている。これに対して、岐阜県東濃地方の蜂の子やイナゴを食べる伝統的な昆虫食は長年の人間と環境の相互作用によって作り上げられてきた文化である(野中2005)。これらは、高校生の地域文化資源・環境の継承の題材にもなっている(Nonaka & Yanagihara 2020)。筆者らは、伝統的な昆虫食文化を理解することは食料問題や環境問題の本質的な理解につながると考え、高校生を対象に昆虫食の試食を伴う講演会を行った。本研究は高校生の昆虫食の経験や捉え方、昆虫食文化の講演会の効果を明らかにすることを目的とした。 2. 研究手法 本研究では、2018と2019年に昆虫食文化が現在も残る岐阜県東濃地域にある多治見高校で、2021年には地域内に昆虫食文化がほとんどない岐阜高校で試食を伴った希望者向けの講演会を行なった。参加者数は多治見高校で2018年に69名、2019年に15名、岐阜高校では42名だった。私たちは、高校生の昆虫食の経験や捉え方、講演会の効果について、講演会前後にアンケートと感想文を書かせ、それらをもとに分析・考察した。 3. 結果と考察 現在も昆虫食文化が残る東濃地域にある多治見高校の方が、そうでない岐阜地域の岐阜高校よりも昆虫食の経験がある生徒が多いことが予想されたが、岐阜高校の方が多治見高校よりも昆虫食の経験がある生徒の割合が多かった。また、虫を食べることに対する講演会前の考えを尋ねた結果、多治見高校の方が岐阜高校よりも抵抗感があると答えた生徒が有意に多かった。これらの結果から、昆虫食文化は多治見市周辺の高校生には浸透していないことが考えられ、また、昆虫食に拒否感をもっている生徒が多いことは特筆すべきことである。 多治見高校でも岐阜高校でも、講演会前には抵抗感を示した多くの生徒を含めて、ほとんどの生徒が実際に虫を食べた後では虫を食べることを好意的に捉えた。また、アンケートの回答や感想文には、実際に虫を食べることで昆虫は美味しいから食べられてきたことが実感できた、食材として認識した、など肯定的な記述が多く見られた。これは単純に昆虫を食べるだけでなく、食材を捕りに行くこと、調理すること、食べることが楽しいから、美味しいから虫を食べるということを、捕獲から食用までのプロセスとそれを成り立たせる社会文化として映像とともに言語化して伝えることで、虫を食べることは食文化の一つであることを生徒が理解できた結果だと考えられる。試食を伴う伝統的な昆虫食に関する講演会は、昆虫食を文化と捉え、好意的な見方にする効果があることがわかった。 高校の地理総合の“気候と生活文化”や、生物の“生態学”の単元では、授業を行う地域を含めた各地の伝統的な昆虫食文化を取り上げることで、高校生が自らの生活の延長線上での豊かな食や暮らしを考えることや、自然と関わって生きる視点を身につける授業展開が可能であろう。この考え方や視点は近年様々な場面で目にするSDGsや持続可能な発展を捉え直したり、批判的に考えたりする基盤となる力になると考えられる。
著者
梶谷 義雄 多々納 裕一 岡田 憲夫 松田 曜子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.772, pp.143-151, 2004-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1

災害後の復興過程は様々な空間スケールにおける複雑な事象の影響を受けており, このことが復興政策を決定する上で困難な点となっている. そこで, 本研究では様々な空間スケールにおける影響因子を分析するため, 空間回帰モデルと時系列モデルを融合した時空間統計モデルによるアプローチに着目した. この際, 社会・経済データが同一の時空間スケールで整備されていないことに配慮し, 時空間統計モデル適用のための方法を整理した. ケーススタディとして阪神大震災後の神戸市長田区における人口復興過程を取り上げ, 地域の環境要因などの局所変数とより広域的な経済状況などの広域変数の影響について分析を行った. その結果, 広域・局所的空間スケール双方における復興政策の重要性が定量的に明らかとなった.
著者
松澤 俊二
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.73-86, 2016-05-10 (Released:2021-05-31)

一九〇〇年前後の「和歌革新」以降を「近代短歌」=「新派」和歌の時代とする見方は、近年の研究により補正されつつある。すなわち「革新」以降も「旧派」は勢力を温存して、二派が〈両立〉していたというのである。本論は、以上の観点を引き継いで「新」・「旧」〈両立〉の具体的な姿を大正期に即して考察した。特に当時の入門書を資料とすることで先鋭的な歌人の言説ばかりでなく、同時代の初学者のニーズまでを視野に入れて多面的な把握を試みている。
著者
沖山 夏子 津田 千春 森合 康朗 次田 哲也 南 浩治 佐藤 直紀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.292-300, 2013-12-20 (Released:2015-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ファンデーション (FD) ユーザーの多くが日常的に感じている「化粧のり」,すなわち化粧仕上がりが日によって異なる現象に着目し,同一人の肌で化粧仕上がりを毎日観察する調査を行った。化粧仕上がり変動の原因は,素肌の表面状態が日によって変動することによりFD の肌への付着状態が変化するため,という仮説を設けた。30代女性15名のパウダータイプFDユーザーを被験者とし,素肌の表面特性 (水分量,皮脂量,粘弾性) の測定と表面状態 (落屑,毛穴,ニキビ,色むら) の観察,化粧仕上がりの観察を1カ月間毎日実施した。その結果FDの仕上がりは,同一被験者が同じFDを使用していても日によって変動していた。変動の内容は「かさつき目立ち」が変動するタイプと「ムラづき」が変動するタイプの被験者に分類された。素肌状態も日により変動していた。FD仕上がりと素肌の変動の相関を被験者ごとに解析した結果,「かさつき目立ち」変動タイプでは落屑,ニキビの変動が,複数の被験者において仕上がり変動と相関が認められた。素肌の表面凹凸が日々変動することがFD付着性に影響を与え,化粧の「かさつき目立ち」の変動の原因となることが示唆された。
著者
小野 岳史 木下 学
出版者
防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

極微量のLPSの3日間投与により、炎症反応を抑制しつつ貪食細胞活性が大幅に増強すること、大腸菌敗血症の予後が劇的に改善することをマウスで見出した。これはLPSプレコンディショニングというべき現象で、マラリア原虫感染の予後についても改善し得る可能性が予備実験で示唆された。本研究では、LPSプレコンディショニングによるマラリア感染の重篤化阻止を目標として、1) LPSプレコンディショニングがネズミマラリア原虫致死株感染における重篤化抑制機構の解明、2) LPSプレコンディショニングによる脳マラリア発症阻止の検討、3) 弱毒性LPSによる安全なLPSプレコンディショニング導入の探索、の3点を行う。
著者
中澤 慧
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.95-102, 2019-09-26 (Released:2020-08-01)
参考文献数
25

心肺蘇生時に患者の家族の立ち会いを許可する試みは、家族の要望に応じるかたちで1982年にアメリカで初めて実施された。立ち会いを経験した家族や医療者への意識調査をもとにして議論がかわされ、欧米では心肺蘇生時の立ち会いに関して家族に選択の機会を与えることがガイドラインで支持されるようになったが、家族の立ち会いを正当化する倫理的な根拠については十分に検討されてこなかった。本稿では、心肺蘇生を受けている患者が事前指示を残していない場合、家族の立ち会いをめぐって、代理意思決定の基準に依拠して議論することの是非について検討する。結論として、代理意思決定の基準ではなく、情報開示の基準に則って家族の立ち会いが議論されるのが妥当であることを論じる。立ち会いで家族が目の当たりにする患者の様子は、患者の病状に関する情報の一部であり、家族の求めがあれば、情報開示の一環として立ち会いは許可されるべきである。
著者
佐藤 英章 古田 繁行 眞鍋 周太郎 辻 志穂 北川 博昭
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.1290-1294, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
18

【目的】従来リンパ管腫(リンパ管奇形)に対する治療の選択肢は硬化療法ならびに手術療法が選択されてきたが,近年漢方治療の報告が散見される.当院においても2013 年以降リンパ管腫全例に対し越婢加朮湯の投与を開始した.その使用経験を検討し,本症に対する越婢加朮湯の有用性を検証する.【方法】2013 年から2015 年まで本症に対し越婢加朮湯を投与した10 例に対し,投与前後の画像所見ならびに臨床経過を検討した.【結果】投与患者の投与開始時平均年齢は8 歳で,画像上リンパ管腫の消失・縮小までの薬剤投与期間は平均5.8 か月であった.発症部位は頭頸部6 例,体幹1 例,四肢3 例であり,病型内訳は全例囊胞状リンパ管腫であり,単房性1 例,多房性9 例であった.治療効果は縮小5 例,消失5 例であり,特に囊胞状リンパ管腫における囊胞の縮小消失により全体的な縮小を得た.全例とも投与中の感染,増大は認めなかったが,1 例に投薬終了後増大を認め再投与を要した.【結論】越婢加朮湯を投与した囊胞状リンパ管腫10 例のすべてに縮小あるいは消失の効果が得られた.囊胞状リンパ管腫に対し本剤は有効と考える.
著者
Koichiro Kinugawa Eisuke Nakata Takahiro Hirano Seongryul Kim
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-21-0926, (Released:2022-03-10)
参考文献数
22
被引用文献数
5

Background:OPC-61815, a prodrug of tolvaptan, is an injectable aquaretic drug. This study evaluated the tolerability of OPC-61815 in patients with congestive heart failure (CHF) who had difficulty with, or were incapable of, oral intake in a multicenter, uncontrolled, open-label Phase III study.Methods and Results:Forty-five patients were enrolled at 30 Japanese sites. OPC-61815 infusion was administered once daily; the 8 mg initial dose could be increased to 16 mg if the dose escalation criteria were met. Patients were treated for up to 5 days. Thirty-eight patients maintained the 8-mg dose and 7 had a dose increase to 16 mg; 41 completed the trial (34 completed early). One patient had mild hypernatremia. No significant safety concerns were observed with OPC-61815 administration at a starting dose of 8 mg and with dose escalation in accordance with the protocol-specified criteria. Treatment resulted in weight decrease (−3.01 kg); improvement or disappearance rates for other CHF symptoms (including edema, dyspnea, orthopnea, pulmonary congestion, and rales) indicated that treatment was effective. Urine excretion was increased 0–1 h after OPC-61815 administration and reached a maximum level at 1–2 h.Conclusions:The tolerability of once daily (up to 5 days) intravenous OPC-61815 (8 mg or 16 mg) was confirmed in patients with CHF who had difficulty with, or were incapable of, oral intake.
著者
十返舎一九 著
出版者
大学館
巻号頁・発行日
vol.続, 1908
著者
稲垣 忠
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.69-81, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
2

学習活動に明確なゴールを設定し,児童が探究的な学習に従事するプロジェクト学習は,アクティブ・ラーニングを促す指導法の1つであり,その学習過程にはタブレット端末の活用場面が含まれると考えられる。本研究では,端末を活用したプロジェクト学習の実践可能性と留意点を明らかにするため,教師が単元設計に用いたデザインシートの分析,教師対象の質問紙調査,11名の教師を対象にしたインタビュー調査を実施した。その結果,ペアやグループによる端末の活用場面が明らかになり,児童が端末を授業で活用する機会が増加した。教師は探究や協働学習の実施とそこでのICT活用に対する自信が高まり,意識の変容が確認された。単元設計の留意点は,ゴール設定,多様な協働場面の設定,操作スキルへの配慮が確認された。