著者
中村 洋樹
出版者
全国社会科教育学会
雑誌
社会科研究 (ISSN:0289856X)
巻号頁・発行日
no.79, pp.49-60, 2013-11-30

本稿の目的は,歴史学習の論理を「歴史実践(Doing History)としての歴史学習」と規定し,その論理と意義を考察することにある。本稿では,米国の歴史教育研究者S.ワインバーグが提唱した「歴史家の様に読む」アプローチの基本的な考え方・教授方略及び授業案を考察した。当該アプローチは,歴史家の読解方略を歴史学習へ応用することを目指している。本稿では第一に,当該アプローチをみていく前提として,ディシプリナリ・リテラシーという概念に焦点を当てた。第二に,「歴史家の様に読む」アプローチを分析した。当該アプローチは,出所を明らかにすること,文脈に位置づけること,丁寧に読むこと,確証あるものにすること,という方略から成る。当該アプローチの教授方略は,学習科学研究における「足場かけ」という概念に焦点が当てられている。本稿では,出所を明らかにすることを重視した授業案と確証あるものにすることを重視した授業案を分析した。その結果,本稿では当該アプローチの意義として次の2点を指摘した。第一に,当該アプローチは,テクストの著者の意図や前提を読解することに焦点を当てている。第二に,通説を支える資料と,それとは異なる立場の資料との間の相違点や矛盾を考察することを重視している。このような形で,当該アプローチは,歴史家の様に対話する(=頭を悩ませる)過程を担保することになっている。
著者
小林 幸治 吉野 眞理子 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-40, 2009-06-25
被引用文献数
1

病院の作業療法で行われている,脳血管障害者の心理社会面への具体的な支援の内容と支援における問題点を探索的に明らかにするため,病院勤務の作業療法士(OTR)を対象に自由記述式設問を含んだ質問紙調査を行った。434名を無作為抽出し,129の回答を得た。KJ法を用いたカテゴリー化から,支援の内容5項目,支援上の問題点5項目,他職種との連携で配慮する点4項目の大カテゴリーを見出した。支援の内容は[治療的な関わり方],[個人・環境因子への関わり],[心理面の専門的支援],[チームでの関わり],[作業活動・集団の活用]の大カテゴリーがあり,OTRは[治療的な関わり方]を最も重視していると思われた。支援上の問題点は[クライエント側の問題],[障害受容を促す],[OTR側の問題],[環境・制度上の問題],[OTR-クライエント関係における問題]があった。これより,OTRにはナラティブリーズニングを用いての,クライエントの主観的側面に着目したモデルや評価法を用いることや,クライエントとの協業や他職種との連携における実践技術が必要になると思われた。

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出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.15, no.Supplement, pp.S39-S89, 2009 (Released:2014-07-03)
著者
石川 直也 工藤 和昭
出版者
Society of Automotive Engineers of Japan
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.125-130, 2008-11-25
被引用文献数
1

多気筒ディーゼル機関を用いた高EGR率の低NOx燃焼方式において、二段ターボを組み合わせることにより排ガス低減を試みた。エンジンベンチ試験ならびに車輌排ガス試験において、二段ターボとEGRガス温度制御を導入することにより大幅な排ガス低減効果が得られたので、その結果について報告する。
著者
小林 侑 宮田 瞳 工藤 雅孝
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1227-1235, 1992 (Released:2009-11-16)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

It is impossible to spend even a day without paper in recent cultural life. Papers are liable to be concerned in many kind of crimes, so that. For example, forgery of bills, duplicate of document, incendiarism and murder are as such. Nowadays demands that are expert discrimination of paper are on the increase. However, complete paper is hardly found in most of these criminal cases. Minute, degenerate and/or stained papers are apt to become evidential matter. Therefore, it is difficult to inspect these papers according as JIS or to inspect them in view of manufacturing technique. So characteristic method is necessary for forensic science.This report is a presentation with regard to some typical discrimination as follows which we have ever done and obtained good result on the field of forensic science.(1) Two examples for inspection of minute or degenerate paper fragment.(2) Two examples for analysis of coatings and filler in woodfree paper and mechanical paper.(3) Two examples for inspection of new domestic articles.
出版者
茨城県農業総合センター園芸研究所
雑誌
茨城県農業総合センター園芸研究所研究報告 = Bulletin of the Horticultural Institute, Ibaraki Agricultural Center (ISSN:09194975)
巻号頁・発行日
no.11, pp.32-36, 2003-03

カーネーションの2年切り栽培における好適品種を選定するとともに、定植1年目と定植2年目において品種特性との関連性について検討した。1.'エクセリア'、'フェアリーピンク'、'フラッフィー'、'ライトピンクバーバラ'、'ボサンスカ'が2年切り栽培に適していた。2.定植1年目採花本数と定植2年目採花本数、定植1年目着蕾数および下垂度と、定植2年目着蕾数および下垂度との間に有意な相関が認められた。3.定植1年目の採花本数は、2年切り栽培の品種選定の基準として実用的であった。
著者
プラノーム ヤンカンマン 深井 誠一 市村 一雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.337-341, 2005
被引用文献数
7

STS無処理または処理のカーネーション (品種エクセリア) の切り花を用い, 24℃または32℃で品質保持とエチレン生成を比較した. 24℃では, STS処理によりカーネーションの品質保持期間は延長され, STS無処理のカーネーションでは, 処理9日後から花弁のin-rollingが観察された. 32℃ではSTS無処理のカーネーションにおいても, 処理14日後でもなお花弁のin-rollingが認められず, STS処理した区と同等の品質保持期間を示した. STS無処理のカーネーションでは, 24℃では処理8-9日後にエチレン生成のピークが認められたが, 32℃ではごく微量のエチレン生成にとどまった. 32℃に1日置きその後24℃に移した区では, 24℃一定の区と同様のエチレン生成のピークが認められた. 一方, 24℃に1~5日おき, その後32℃に移した区ではエチレン生成はごく微量であった. 以上の結果より, カーネーションの切り花は, 32℃におかれた場合, エチレン生成が抑えられることが明らかとなった.
著者
斎藤 琢 永井 信 村岡 裕由
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.243-252, 2014-11-30

急速な気候変動が顕在化した現在において、陸域生態系の炭素収支の時空間変動(炭素動態)を地域から地球規模で広域的に高精度に評価することが「環境科学」に関連する様々な分野で期待されている。リモートセンシングは、様々な時間・空間スケールで陸域生態系の炭素動態に関わる物理量を推定可能であり、陸域生態系の炭素収支の現状診断と将来予測の高度化に貢献している。本稿では、陸域生態系の炭素収支の現状診断と将来予測におけるリモートセンシング観測の期待と課題について、特に、リモートセンシングによる光合成量・光合成能の推定と葉群フェノロジーの推定およびそれらの炭素動態研究への応用について概説した。いずれの研究の発展においても、多地点に展開する生態系サイトで得たリモートセンシング観測情報や関連する生態学的な物理量に関する知見の集積・統合(観測ネットワーク化やデータベース化)および研究者コミュニティの連携が必要不可欠であり、生態学者の更なる積極的な参加が強く望まれる。
著者
坂井 晃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.673-682, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2

日本における震度は,周波数補正を施した3成分合成加速度から算出される計測震度が用いられ,10階級の気象庁震度階級として公表されている.このとき用いられる加速度振幅は,その値以上の継続時間の合計が0.3秒となるときの値であるために,それ以外の時間帯における加速度振幅の大小に依存しないことになる.本研究は,震度の時系列表示法について検討を加え,移動実効値法を用いた震度の最大値と計測震度の関係について比較検討した.また,地震時間帯全体の加速度変動量を考慮した震度の評価法として,移動実効値法による震度の時系列表示を利用した修正震度の算定法を提案した.
著者
出井 伸之
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.890, pp.32-34, 1997-05-12

「映画事業に欠けていたのは,良い作品を制作する能力」と言う。人事を刷新し,ハリウッドから世界へ出れば未来はあるとみる。一方で,モノ作りにこだわり,自ら品質改善を引っ張る。夢のある企業を目指すこと。それがソニーの役割とも。
著者
矢野 大仁 中山 則之 大江 直行 三輪 和弘 篠田 淳 吉村 紳一 岩間 亨
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.2-7, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
41

脳腫瘍関連てんかんについて、疫学、機序、治療などの観点で文献レビューを行った。低悪性度グリオーマ患者の70~90%がけいれんで発症するが、術後の発作消失率は約75%と報告されている。脳腫瘍関連てんかんの制御予測因子は、内科的制御、てんかん罹患期間1年未満、腫瘍の全摘出などで、側頭葉腫瘍では全摘出に海馬切除や皮質切除を追加すると発作消失率が高まり、手術時期に関しては発症3年未満で制御率が高まる。薬物治療では旧来薬にレベチラセタム(LEV)やガバペンチンの追加が推奨され、LEVは単独治療よりもバルプロ酸に追加すると効果が高い他、術後にはフェニトインの代替薬となる。LEV単独治療でも制御率は高く、社会生活の質改善にも奏功することが報告されている。Synaptic vesicle 2 A(SV 2 A)はLEVの結合蛋白であり、腫瘍や周辺脳においてSV 2 A蛋白の発現が高ければ奏功率が高いとされる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.886, pp.28-30, 1997-04-14

東京・新宿から電車で20分ほどで到着する荻窪駅。そこに隣接して大手スーパー,西友がある。3階には小さな郵便局。外見上は,スーパーに郵便局が併設されているのにすぎない。窓口で働く4人の局員も,他の郵便局と同じ制服を着ている。「西友郵便局」で小手調べしかし,ネームプレートが違う。くっきりと西友の文字が印刷されている。4人の局員は西友の社員。
著者
上島 康弘
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
季刊理論經濟學 (ISSN:0557109X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.78-87, 1990

In this paper, we build a two-period model which focuses on On-the-Job training and derive the effects of specific training on wage profiles and on dismissals. The main results we obtain are as follows:<br>(i) Our two period wage-employment contract dominates the familiar repetitive spot contract in the environment of restricted information.<br>(ii) In this contract, the employees are not necessarily dismissed even if a business deficit is incurred.<br>(iii) In principle, greater amounts of specific training make wage profiles steeper and restrict dismissals.
著者
井上 隆晴 西田 寛
出版者
有斐閣
雑誌
ジュリスト (ISSN:04480791)
巻号頁・発行日
no.1079, pp.p67-74, 1995-11-15
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1316, pp.38-41, 2005-11-14

「イノベーションが求められている時代だからこそ、企業は大学に期待する」——日立製作所の庄山悦彦社長は、産学連携にかける思いを語る。技術の改良であれば自社内で解決するが、従来とは不連続の技術革新や新しい発想は大学に頼らざるを得ない。知の工場である大学に期待するからこそ、日立は10の大学と包括提携している。