著者
青木 善治
出版者
三条市立月岡小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

1研究目的造形的な活動を通して、子どもたちが周囲のもの、人、こととの関係において、自己をつくり変え、自分が生きている社会や文化との通路をつくりだしていくためには、子どもたちの学習活動を生きることと学ぶことを一体化した全人的な人間形成の視点から捉えなおし、真に学びがつくられていく学習状況へとつくり変える必要がある。そこで、これまでの造形教育を成り立たせてきた個人活動モデルの枠組を問い直し、次の点について明らかにすることを目的とした。(1)一人ひとりの子どもが教材(もの)、場(状況)、活動、他者(人)とのかかわり合いを通して、社会的で文化的に新たな行為をつくり生きることが可能となる行為と活動の論理を明らかにすること。(2)こうした行為と活動の論理に基づきつくられた学習状況において、子どもたちが行うつくり表す行為を、もの・こと・人との相互行為の視点から捉えなおす試みを繰り返すことにより、全人的な表現活動を展開することが可能となる教育実践の在り方とその開発研究の在り方を実践的に明らかにすること。2研究方法造形的な学習場面をビデオカメラを用いて記録し、会話、相互作用、相互行為、造形行為を記述し、子どもの活動世界とつくり表していくものとの世界とが、どのような関係性において相互的につくられていくのか、相互行為分析を行い捉えなおした。3研究成果子どもが学びを生成していく行為や活動の論理に基づき、新たな活動状況を開発し再実践することにより、子どもたちがもの・こと・人との相互行為を通して、自身の行為や活動の論理と、学びを拡張する在り方について検証と考察を行った。その結果、子どもたちがもの・こと・人と生き合う学びの過程をつくり成り立たせていく「学力」や「基礎・基本」、その過程を支援していく「評価」のあり方を研究開発する上で基本となる臨床的な実践研究開発法において大切なことを実践的に明らかにすることができた。
著者
守屋 正彦 井川 義次 山澤 学 柴田 良貴 藤田 志朗 木村 浩 菅野 智明 程塚 敏明
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

儒教は、日本では古代より受容され、中国を中心とした東アジアでの一大文化圏を形成してきた。儒教は地域特有の文化と融合もし、礼拝のあり方、また聖像やそれを荘厳する絵画・彫刻は、東アジアの、また日本の各地域に展開し、礼拝の「かたち」は、儀式のあり方、礼拝の諸像の形式や配置、また唱道する詩文や作法などに見られた。その表象について、本研究では東アジアのいくつかの孔子廟を調査し、地域間の文化の同一性と民族的な表現の相違について確認し、5年に及ぶ研究期間中に国際シンポジウムを開催するとともに、年次報告書を作成して研究成果を発信した。
著者
石原 万里
出版者
福島工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的はジェイムズ・シャーリーの『宮廷の秘密』の二つのテキストである手書き原稿(manuscript)と1653年に出版されたテキストとの比較を通して、作家ジェイムズ・シャーリーの作劇に迫り、さらには作家、出版業界、劇団の力関係の考察にある。手書き原稿には削除、修正、加筆があり、その版を数えるとテキストは三つ存在することとなる。精査な比較を通し、同じ言葉が違う意味合いで使われていることがわかることから、作家シャーリーが、何度も原稿に手をいれる作家であったことは明らかである。シャーリーの特徴が、印象深い主人公にではなく、会話の積み重ねによって構築される人間対人間のドラマにあることも読み取れた。『宮廷の秘密』が収められているSixNewPlaysの六作品一作ずっに書かれた献辞は、劇場閉鎖前後の時勢を反映するものであり、作家シャーリーと出版業者HumphreyMoseleyとの密接な関係をも表している。
著者
森 朋子
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度まで,独自の手法により開発したアフィニティ樹脂(Moli-gelと呼称している)の表面化学特性について精査し,また,担持する生理活性物質の周りの環境を制御することにより,標的タンパク質の捕捉に有利になることを実験的に証明してきた。本年度もさらに,細胞膜表面と同じ構造を有する2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(親水的側鎖を有する)を用いて,Moli-gelに担持した4-carboxybenzenesulfonamideの周りの環境を制御し,タンパク質捕捉実験を行った。結果,予想通り,4-carboxybenzenesulfonamideの標的タンパク質であるCarbonic anhydraseII(親水的環境に存在)の捕捉を有利にできることがわかった。さらに,本年度は,湖沼等の淡水で産生される藍藻毒の一つであるミクロシスチン-LRの標的タンパク質探索を行った。ミクロシスチンが有するビニル基,または,カルボキシル基の異なる官能基をそれぞれ反応点としてMoli-gelに担持し,ブタ肝臓から調製したlysateを用いてタンパク質捕捉試験を行った。さらに,捕捉したタンパク質をSDS-PAGEにより分離し,バンドをゲルから切り出し,トリプシンを用いてゲル内で消化した後,LC-MS,および,Mascot databaseによりタンパク質を解析した。その結果,L-3-hydroxyacyl CoA dehydrogenase (HDHA)や,glutathione S-transferase (GST)が標的タンパク質の候補として挙げられた。ミクロシスチン-LRの新たな標的タンパク質候補を検索することに成功した。
著者
小泉 章夫 澤田 圭 平井 卓郎
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

緑化樹の耐風性を定量的に評価する方法について検討し,評価手順を提示した。樹冠にかかる風圧力を推定するために,屋外で風速と樹幹の曲げたわみを連続的に測定することで抗力係数を評価する方法を開発した。得られた抗力係数を用いて,風速から樹幹や根鉢に作用するモーメントを算出できる。樹幹の曲げ耐力を求めるために,不整な樹幹の断面係数を非破壊的に評価する手法を開発した。また,緑化樹の引き倒し試験を行って,胸高直径と根返りモーメントの回帰式を決定した。
著者
松政 貞治
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ル・コルビュジエが「東方への旅」で残した多くのスケッチや写真の対象が、なぜその場所や構図で描かれ撮影されたのかを、現地調査を通じて分析した結果、装飾や部分の詳細表現が特徴的な、この旅に出る前の彼のスケッチに比べて、トルコやギリシャ、イタリアの歴史的な建築や遺跡の、より建築的に本質的なヴォリュームとそれらの配置、構図への関心が増大し、周辺の場所や対象、構図の可能性の中で、この関心を最も的確に満たすシーンが中心主題とされ、しかもこの本質を捉える能力が彼のその後の作品や著作に活用されていることが実証的に明らかとなった。
著者
田村 オリエ
出版者
秋田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、風車併用型防風柵の実風況下における特性を把握することを目的として、屋外に設置可能な防風柵を製作し、主に発電特性を調べる実験を行った。風車併用型防風柵は、クロスフロー型風車(直径100[mm]×幅435[mm])を2つ直列に接続して水平方向に設置した高さ1000[mm]×幅1400[mm]の大きさを持つ。この柵には、入り口高さが風車の5倍(500[mm])ある集風装置が取り付けられている。さらに、風車の回転軸には歯車を介して発電機が取り付けられている。この柵において、水平方向から流入した風は集風装置内部で増速されながら風車に入り、発電させながら上方へと吹き上げられる。この柵の風車は設計風速を5[m/s]とし、集風装置入り口は現地の気象状況を考慮して敷地内の西向きに設置した。実験は、発電量と風向風速計による風況データの測定が行われた。その結果、設計風速以上で風向が西向きの場合に発電することが確認された。その一方で、真西以外の風向では設計風速以上であっても発電が行われないことも確認された。このことから、風が集風装置入り口に正対しない場合には集風装置内部で流れが乱れ、風車に風のエネルギーがうまく伝わらないものと考えられる。実際の風況や道路の設置状況を考えた場合、必ずしも集風装置入り口が流入する風に対して正対できるわけではないことから、集風装置入り口にガイドベーンや整流格子を取り付け、風車に流入する風を整えることが必要である。なお、本研究では当初、一般的な防風柵との比較も行う予定であった。しかし、製作した風車併用型防風柵の集風装置が防風柵の高さに対して占める割合がかなり大きくなり、本来柵に要求される機能が一部不足していることが明らかであったため、この比較実験は行われなかった。この点についてはまた別の実験が必要である。
著者
冨田 太平 杉山 茂 妹尾 真紀子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.水溶性キレートポリマーの調製と金属イオン結合特性水溶性キレートポリマーのポリ-α-アセチルアミノアクリル酸(P4A)およびポリ-N-メタクリロイル-L-アラニン(PMLA)を調製した。:GPC測定による重量平均分子量はP4Aは110万、PMLAは220万であった。P4AおよびPMLAについて重金属イオ'ン(Co, Ni, Cu, Zn, Pb)との結合平衡関係を求め、先に提案した錯形成モデルによって、それぞれの金属イオンに対して逐次錯安定度定数および平衡定数を求めた。これらの定数を用いて、錯形成モデルから任意のpHにおける結合平衡関係もよく表すことができた。水溶性キレートポリマーと多孔質膜との組み合わせによって、金属イオンの回収・濃縮できることが分かった。2.キレート剤含有マイクロカプセルの調製と金属イオン結合特性抽出剤の2-ethylhexyl 2-ethylhexylを内包するマイクロカプセルを調製し、径200〜300ミクロンのカプセルを得た(SEM観察)。また、FT-IR測定によってマイクロカプセルが抽出剤を内包していることを確認した。マイクロカプセルと希土類金属イオン(La, Ce, Pr, Sm,)との結合平衡を求めた。マイクロカプセルはpH2-3の酸性域においてもこれらの金属イオンを選択的に吸着し、水溶液中に溶存する金属イオンの回収・分離に有用であると考えられる。3.リン酸カルシウムなどによる重金属イオンの回収・固定化リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等によるCo, Cu, Cd, Pbなどの重金属イオンの固定化による回収を行い、溶解度やpHの影響を検討し、イオン交換による固定化が溶解-沈殿機構によって説明できることを示した。
著者
落水 浩一郎
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

社会規則(法律や条例など)の適用を支援することを目的とした法令実動化情報システム(LEIS)を対象として、ソフトウェアアカウンタビリティ機能をLEISに保持させ、また、社会規則の改定に応じてアカウンタビリティ機能を進化させ得るための基礎理論、機構、開発プロセスを、ソフトウェア工学の最新の研究成果と法理論を適用することにより開発した。ここで、ソフトウェアアカウンタビリティ機能とは、システムによってなされた計算や判断に対して利用者が疑問を持ったとき、システム自体がどの規則をどのように適用して得られた結果であるのかを説明できる機能である。
著者
高木 浩一 山口 利幸 岸本 昇
出版者
和歌山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

梅干しの調味廃液の有効利用を図るために、(1)調味廃液中のグルタミン酸,クエン酸などの有効成分の分離回収、(2)調味廃液に含まれる糖およびクエン酸を用いたムメフラールの合成法の確立、(3)調味廃液中の色素を用いた色素増感型太陽電池の作製に関する研究を実施した。その結果、(1)選択的回収法に関する知見を得た、(2)調味廃液からマイクロ波を用いた反応で5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールの合成に成功した、(3)太陽電池を作製し、発電を確認した。
著者
宮内 美穂
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、消費のマクロ構造とミクロとしての消費者行動を媒介する要因およびメカニズムを明らかにすることによって、マーケティングと消費の関係についての理解を深化するよう理論的発展を促すことを主な目的としている。本年度は、昨年度におこなったデータ収集の補完およびその分析をおこない、現代消費のメカニズムの解明およびマーケティングへの理論的・実践的インプリケーションについて結論づけることに努めた。その内容は、以下のとおりである。1.データ収集の補完●女性ファッション誌データの補完:大宅壮一文庫●インタビューの補完:女性ファッション誌の編集長など2.データ分析:内容分析●70年代〜現在までの女性ファッション誌の目次ページ●インタビュー(デザイナー・マーケター・バイヤー・雑誌編集長)3.現代消費のメカニズムの解明およびマーケティングへのインプリケーション●仮説としていた「消費行動は95年で区切られるポストモダン前期と後期で差異がみられる」「その差異は、メカニズムとして、ツリー型消費とデータ消費となって現れている」ということについては、女性ファッション誌の内容分析をとおしてほぼ検証された。この発見物については、その理論的根拠も含めて論文としてまとめている最中である。●また、インタビュー調査の分析をとおして、かれらはこの変化にいち早く対応しており、実践的インプリを示唆するため、ケースとしてまとめている最中である。
著者
諌早 勇一 MELNIKOVA Irina 服部 文昭 三谷 惠子 石川 達夫 楯岡 求美 松本 賢一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1)ロシアと汎スラヴ主義a)スラヴ民族は、しばしば互いの協力と連帯を求める「スラヴ主義」を唱えてきた。b)「スラヴ主義」には親ロシア的な汎スラヴ主義と反ロシア的な複スラヴ主義がある。c)汎スラヴ主義は正教徒の擁護を唱え、ロシアを中心とする拡張主義的傾向が強い。ドストエフスキイはその代表的論客である。d)複スラヴ主義は多くの場合、反ロシア的か反カトリック的だった。チェコスロヴァキアとユーゴスラヴィアはこの思想を体現した国家だが、複スラヴ主義の破綻とともに、国家としても消滅した。e)ソヴィエト映画では「スラヴの兄弟」という概念がしばしば謳われているが、この概念はロシアの拡張主義と深く結びついている。2)亡命と文化の越境a)第一次ロシア亡命者はスラヴ諸国に多く移住したが、受入国の亡命者への態度はさまざまだった。b)受入国が亡命者に好意的だった国では亡命文化が開花したが、非好意的な国では開花できなかった。c)亡命したロシア人演劇関係者は、西欧世界にスタニスラフスキー、メイエルホリドらの最新の演出方法を知らせるのに貢献した。d)チェコスロヴァキア・アヴァンギャルドのブックデザインは、ロシア構成主義の影響を色濃く受けているが、やがてその影響を克服し、独自のスタイルを生み出した。3)ナショナリズムとスラヴ語a)スラヴ諸国においては、近代文章語の成立はナショナリズムの高揚と密接につながっている。b)国家として独立できなかった民族の言語(たとえば上下ソルブ語)は絶滅の危機に瀕しているが、同時に少数言語として保存させるためのさまざまな方策が今日採られている。4)以上の成果は成果報告書「スラヴ世界における文化の越境と交錯」(2007)に掲載されているが、同時にホームページhttp:///www.kinet-tv.ne.jp/~yisahaya/Kaken-2.pdf上にも公開されている。
著者
李 梅花 川田 徹 鄭 燦 鄭 燦
出版者
国立循環器病センター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ロサルタン)とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(塩酸ドネペジル)長期併用投与が心筋梗塞後心不全ラットの神経液性因子、心機能、心臓リモデリングに及ぼす効果を検討した。その結果、ロサルタン単独投与に比べて、ロサルタンと塩酸ドネペジルの併用投与によって、心筋梗塞後心不全ラットの神経液性因子レベル、心機能、心臓リモデリングに更なる改善効果があることを明らかにした。
著者
大浦 学
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

E-多項式はテータ写像により、モジュラー形式へと写される。ここで得られるモジュラー形式について、種数1の場合に次のようなことが知見された。 もともと E-多項式はアイゼンシュタイン級数に対応するものとして導入したが、アイゼンシュタイン級数と似た性質を持つことが観察できた。すなわち、基本領域内におけるゼロ点は原点から距離1の部分にあり、適当な重さの差がある場合、それらのモジュラー形式のゼロ点は分離的と呼ばれる性質を持つ。ただし、一般的には証明されておらず、これからの研究課題である。
著者
熊谷 忠和 橘高 通泰 中島 裕 井上 信次 大野 まどか 立花 直樹 河野 清志 CLEMINSON Timothy
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、わが国の社会福祉教育養成校における、医療ソーシャルワーカーの教育養成について、国際比較(英国、米国、日本)を通してその在り方を検討するものであった。結果、(1)英国、米国では専門特化した領域ごとの教育養成制度はなく、ジェネリックの力量を引き上げることに向けられていた(2)養成カリキュラムの構成では大きい差異は認められなかった(3)ただし、実習教育の在り方が量的・質的ともに英国、米国と日本では大きい差異があった(4)その中で、英国、米国の実習教育では、その教育法としてリフレクティブ・ラーニングの取り組みが標準化していることなどが明らかとなった。
著者
岩田 知之
出版者
名古屋工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

アパタイト型ケイ酸ランタンLa_<9.33-2x>(SiO_4)_6O_<2-3x>は,酸化物イオン伝導体として実用化されている安定化ジルコニアと比較して700℃以下の低温でより高いイオン伝導度を示す材料であり,SOFCへの応用が期待されている.ケイ酸ランタンが高いイオン伝導度を示す本質的な理由が議論され,現時点では「格子間酸素イオンの寄与が最も重要である」と考えられているが,その化学組成を厳密に定量分析した研究例はほぼ皆無であり,不純物が混在した試料を解析している場合が多々認められる.ケイ酸ランタン(x=0)の高分解能X線粉末回折パターンから結晶構造を精密化して,酸化物イオンが比較的動きにくい室温と,比較的動きやすい800℃の結晶構造を比較している.詳細な結晶構造解析は,最大エントロピー法で電子密度分布を三次元可視化することで行なっている.さらにLaとO原子に欠陥を持つアパタイト型ケイ酸ランタン(x>0)の存在を初めて明らかにした.xの増加とともに,席占有率g(La1)とg(La2),g(O4)は減少した.一次元トンネル中の酸化物イオンO4の異方性原子変位パラメターの値は,xの増加(g(O4)の減少)にともない減少した.ごく最近の研究では,Bechade博士と共同で,分子動力学法とbond valence sum法を用い,格子間隙の酸化物イオンサイトと伝導メカニズムを解明している.以上の知見を踏まえて,ケイ酸ランタンの温度と化学組成による結晶構造の変化を基に,イオン伝導度と結晶構造との関連を解明した.
著者
ディエゴ ミランダ サーベドラ
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ChIP-chipとChIP-seqライブラリーから高効率にエンハンサー検索をする計算方法を開発(Fernandez and Miranda-Saavedra, 2012)転写制御モジュールの再構成のための新手法を開発(Hutchins et al, 2013)上記の手法により、抗炎症反応系を制御するSTAT3の基本機能を解明(Hutchins et al, Blood, 2012; Hutchins et al, JAK-STAT, 2013).
著者
齋藤 佳菜子
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

HER2陽性乳癌患者において、抗HER2モノクローナル抗体であるTrastuzumabを投与することで、HER2特異的細胞性免疫応答がされるかどうか検証した。患者末梢血中に、HER2特異的細胞障害性CD8陽性T細胞が誘導されるかどうかテトラマーアッセイとELISPOTアッセイを用いて検討した。進行乳癌患者においては、trastuzumab投与後にHER2特異的CD8陽性T細胞をテトラマーアッセイにて検出する症例があった。しかしながら原発腫瘍の根治手術後、術後trastuzumab療法後においては検出困難であった。原発腫瘍の摘出後であるため、腫瘍量が少ないことからHER2特異的CD8+T細胞の誘導が検出できない可能性があった。しかしながら技術的な問題点として、HLA-A2402に拘束されるHER2エピトープの検出力が低いことが挙げられた。
著者
櫻井 祐子 横尾 真 湊 真一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

効率的な提携を形成すること(提携構造形成問題)は,人工知能やマルチエージェントシステムの研究領域において,重要な研究分野となっている.本研究課題では,多分岐ゼロサプレス型BDD~(MTZDD)を応用し,(1) あらゆる特性関数を記述可能,(2) 既存の表現法よりも指数的に簡略化可能な場合が存在,(3) コアに関する問題をMTZDDのノード数の多項式時間で求解可能,(4) 提携構造形成問題は混合整数計画法を用いることで,既存アルゴリズムよりも高速に解を求めることが求解可能といった性質を持つ簡略記述法の提案などを行った.これらの研究成果は,国際会議 PRIMA2011で優秀論文賞を受賞した.