著者
東 藍 浅原 正幸 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.53, pp.67-74, 2006-05-19
被引用文献数
5

本稿では,日本語形態素解析において問題となる未知語処理に対して条件付確率場(ConditionalRandomFields CRF)を適用する手法を提案する.提案手法では,形態素解析と同時に入力文中の部分文字列に対して未知語候補を追加することにより,形態素解析と未知語処理を同時に行う.また,従来最大エントロピーマルコフモデル(MaximumEntropyMarkovModelMEMM)などを適用した手法で指摘されてい0たlabelbiasあるいはlengthbiasの影響は,単に既知語の解析において問題になるだけではなく,未知語処理においても重要な問題となることを示し,CRFを適用することによりこれらの問題が解決されることを示す.そして大規模な正解タグ付コーパスを用いて実験し,本稿の提案手法の有効性を検証したThis paper proposes a new method forJapanese morphological analysis with unknown word (i,e out-of vocabularyword)processing The Japanese morphological analysis is based on conditional random fields(CRF)on a word trells.In the word trellis,the analyzer expands not only knownwords(i・ein-vocabularyword)but also substrings in a sentence as word candidates Kudo(Kudo 2004)discussed an issue that maximum entropy Markov model(MEMM)has label as well as length bias problems in known word processing and CRFs have potential to cope with them.We discuss the same issue in unknown word processing.Evaluation experiments on large-scale corpora show the effectiveness and impact on the proposed method.
著者
岩村 誠 伊藤 光恭 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.79, pp.19-24, 2010-06-10
被引用文献数
2

従来のアンパッキング手法に関する研究は,主にOEP(Original Entry Point)の特定に焦点を当てており,抽出すべきプログラムコード領域がどこからどこまでの範囲なのかについては,特に言及されてこなかった.本稿では,OEPを含む連続するコミット済みメモリ領域を抽出し,このバイト列における相対アドレス指定の分岐命令に着目することで,OEPを含むプログラムコード領域を識別する手法を提案する.これにより,マルウェアのプログラムコード領域全体を抽出できるだけでなく,他の動的リンクライブラリ等を抽出対象から取り除くことが可能となる.また,本提案手法における実験では,対象となるプログラムコード領域の前後に,他のプログラムコード領域を含むメモリイメージが接している場合にも,分岐区域数の期待値に着目することで,OEPを含むプログラムコード領域だけを識別できることを示した.
著者
森田 和宏 泓田 正雄 大野 将樹 青江 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.2229-2238, 2001-09-15
被引用文献数
5

トライ構造はキーの表記文字単位に構成された木構造を用いて検索するキー検索技法の1つであり,自然言語辞書を中心として広く用いられている.このトライ構造を実現するデータ構造として高速性とコンパクト性を満足するダブル配列法があるが,この手法は,キーの更新が頻繁に生じない検索法として確立しているため,動的検索法に比べて追加時間は高速であるとはいえず,また削除で生じる不要なノードや未使用要素により記憶量に無駄が生じていた.本論文ではこれらの問題を解決し,ダブル配列を動的検索法として確立するため,未使用要素を連結することで追加処理を高速化する手法,削除時に生じる不要ノードの削除と未使用要素の詰め直しによる圧縮法を提案する.10万語の辞書データに対する実験結果により,追加速度については約1 600倍高速となることが,また大量の削除が起こった場合でも50%以上の空間使用率を維持することが分かった.In many information retrieval applications,it is necessary to be able to adopt a trie search for looking at the input character by character.As a fast and compact data structure for a trie, a double-array is presented.However, the insertion time isn't faster than other dynamic retrieval methods because the double-array is a semi-static retrieval method that cannot treat high frequent updating.Further, the space efficiency of the double-array degrades with the number of deletions because it keeps empty elements produced by deletion.This paper presents a fast insertion algorithm by linking empty elements to find inserting positions quickly and a compression algorithm by reallocating empty elements for each deletion.From the simulation results for 100 thousands keys,it turned out that the presented method for insertion is about 1,600 times faster than the original method,and that the presented method for space efficiency keeps the activity ratio more than 50%.
著者
堀田 浩貴 熊本 悦明 青木 正治 山口 康宏 佐藤 嘉一 鈴木 伸和 和田 英樹 伊藤 直樹 塚本 泰司
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1939-1946, 1991-12-20
被引用文献数
1

夜間睡眠時勃起現象(NPT)は,ほとんどすべての健康男子に見られる生理現象であるが,小児での検討は少ない。そこで今回我々は,3歳から18歳までの小児30例で,NPT測定を行い,身体的発育と性的成熟度との関連について検討した。1.NPTの回数は各年齢でバラつきが大きいが,10歳過ぎ頃より増加傾向を認め,13,14歳の2例で14回と最高値を示した。2.陰茎周増加値(一晩のNPTのエピソード中,最大の陰茎周変化の値)は10歳まではすべて10mm以下であったが,12歳過ぎ頃に急激な増加が見られた。3.NPT時間(一晩のNPT時間の合計),%NPT時間(睡眠時間に占めるNPT時間の割合)は,ともに12歳頃より急激な増加が認められた。%NPT時間は,血清LH値とほぼ正の相関を示していた。また思春期発来の指標と考えられている夜間睡眠時のLH pulseが認められた例では,認められなかった例に比し,%NPT時間は明らかに高値であった。4.以上から,小児におけるNPTの測定は,他の内分泌的指標とともに思春期発来を知る上での生理学的指標となり得る可能性が示唆された。
著者
比嘉 基紀 師井 茂倫 酒井 暁子 大野 啓一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.207-217, 2008-11-30
被引用文献数
1

木曽川感潮域の自然堤防帯からデルタ帯への移行帯において、絶滅危惧植物タコノアシPenthorum chinense Pursh(ユキノシタ科)の生育適地を解明することを目的に調査を行った。本調査地は、河床勾配が緩やかなことに加え、様々な人為的インパクトの影響で河床が全体的に安定傾向にある。これまで本種は、河川では自然攪乱にさらされやすい澪筋沿いの明るく開けた立地に出現すると報告されている。しかし草本植物全体の分布特性について検討した結果、タコノアシは比高が高く地表攪乱の痕跡のないアカメヤナギ群落の林縁や林床で多く確認された。このことから本調査地では、タコノアシは地表攪乱以外の要因によって個体群を維持していると考えられた。タコノアシの成長と開花に影響を及ぼす環境要因を、最尤推定法の変数選択で検討した結果、表層堆積物硬度がすべての統計モデルで選択され、標準化推定値も大きかった。個体の地上部乾燥重量と枝数、開花個体数、花梗数は、表層堆積物が軟らかく、上層の開けた明るい泥湿地的環境で増加する傾向を示した。本調査地でタコノアシの成長と開花が良好な環境は、堆積物硬度が0.16〜0.82kg/cm^2、7月のRPPFDが20〜60%、1日の冠水時間が3.97〜5.84h、表層の細粒堆積物厚が32〜40cm、表層堆積物の中央粒径が0.048〜0.053mm、淘汰度が1.24〜1.79であった。比高の低い立地にも表層堆積物が軟らかく上層の明るい環境は存在したが、そこではヨシやマコモ、ミズガヤツリの優占群落が成立しており、タコノアシの出現個体数は少なかった。冠水・塩水ストレスが本種の分布制限要因とは考えにくく、比高の低い立地でも生育は可能と推察されることから、タコノアシの分布特性を解明するためには、種間関係を含めたさらに詳細な検討が必要である。
著者
門間 哲雄 斉藤 史郎 大木 隆弘 佐藤 裕之 戸矢 和仁 土器屋 卓志 村井 勝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.657-665, 2000-10-20
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

(目的)本邦での密封小線源治療(小線源治療)は放射性物質の体内永久留置が法律により厳しく規制されているため,主に高線量率イリジウムを用いた一時的留置法が数施設で施行されているにすぎない.前立腺癌に対して低線量率イリジウム(LDR-Ir)を用いて小線源治療を施行している施設は当施設だけであり,本研究においてこの治療法の臨床成績について検証する.(対象と方法)1997年12月から1999年12月まで組織学的に前立腺腺癌と診断された26症例(Stage B 92%;Stage C 8%)に対して小線源治療を施行した.23例は小線源治療単独(1例はneoadjuvant療法を施行),3例については小線源治療と外照射放射線治療(ERT)の併用を行った.(結果)小線源治療単独群では2から26カ月の経過観察期間において,治療前PSA値が20ng/ml以上の9症例中8例がPSA failureとなり,20ng/ml未満では13例すべてにおいてPSA failureが見られなかった.Gleason's score7以上の11例のうち8例にPSA failureを認めたが,6以下の14例は,すべてにおいてPSA failureが見られなかった.併用療法群では4から9カ月の経過観察期間においてPSA failureを認めなかった.全症例の経過中,重篤な合併症は認められなかった.(結論)PSA値やGleason's scoreによって症例を厳密に選択することができれば,LDR-Irを用いた小線源治療は有効な治療となりうることが本研究から示された.
著者
金 相美
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.68, pp.97-114, 2006-01-31

The purpose of this paper is to understand the behavior of simultaneous use of two forms of media. It seeks to analyze the characteristics of people who engage in such behavior and the factors regulating it. This analysis should provide a foundation for a comprehensive understanding of the influence of the new medium of internet on the existing medium of television. The principle source of data for this study was a time use survey. According to this survey, 12.6% of home internet users made simultaneous use of both television and computer internet in the space of their home. The average daily length of time spent in such simultaneous behavior was 10.2 minutes. The main factor correlating with such simultaneous use was length of television viewing : when heavy television viewers also made use of the internet, there was a high likelihood that they would use the internet simultaneously with television. The proportion of people who used mobile internet simultaneously with television was 16.2%, and the average daily time spent this way was 8.2 minutes. Simultaneous use of mobile internet and television was greater among women, and tended also to be greater among younger people and heavy television users.
著者
小畠 時彦 井戸川 徹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.679-689, 1995-09-01
被引用文献数
2

クラリネットの発音機構を記述するSchumacherの方程式[Acoustica 48,71-85(1981)]の解を計算した。リード変位とリード開口を通過する空気の体積流量に関する微分方程式は台形法を用いた差分方程式で近似した。楽器気柱の反射関数は簡単な負のGauss関数とし、その最小値は往復時間が0.5、1.0、3.4msのところに現れると想定した。3通りの特性インピーダンスの値(2.31、5.00、7.50×10^6kg/m^4s)に対して、吹鳴圧力を0からリード振動が励起される上限の値まで変化させ計算した結果、幾つかの例が得られた。カオス振動解は、上記の往復時間に対して、特性インピーダンスが高く、吹鳴圧力が低い領域で得られた。また、吹鳴圧力を階段状に次第に上昇下降させるとき振動状態の遷移にはヒステリシスが見られた。すなわち、吹鳴圧力以外のパラメータを固定した状態で、吹鳴圧力を上昇下降させるとき、その上昇過程と下降過程において吹鳴圧力が同じ値であっても得られる振動状態が異なる場合があった。
著者
三沢 建一
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.287-292, 2006-12-21

本稿は保育教材として欠かせない油粘土の制作において、学生の表現力向上を図る目的で取り組んだ授業の実践事例報告である。かつて、生来、目の不自由な児童による粘土作品の展覧会を見た折、技術的には稚拙でも、躍動感溢れた表現に接し胸を打たれた覚えがある。視覚的整合性、合理性というものが表現を狭めていることは無いであろうか。そうした問題意識から、あるクラスの授業の中で、対象物を観察しながらの再現を目的とした表現と、それに引き続いて、アイマスクにより視覚を閉ざした上での表現とを取り上げ、2つの表現の違いを検討した。その結果、アイマスクを着けての制作では、不自由感と視覚的記憶とに支配されたものと思われるが、表現が浅く、のっぺりしてしまう傾向を示した。そこで、別のクラスでは当初からアイマスクを着けさせ、その上で、対象物が何であるかを知らせないままに、手探りのみでの表現を試みたところ、不安、不自由を感じながらも大胆で表情に富んだ表現が見られた。自分の作りつつある作品の出来具合を視覚で確認することができない状態では、触覚的イメージが強調されたと考えられ、今後の粘土制作に一つの方向性を示唆するものとなった。
著者
溝部 明男
出版者
金沢大学人間社会研究域人間科学系 = Bulletin of the Faculty of Human Science, Kanazawa University
雑誌
金沢大学人間科学系紀要 (ISSN:18835368)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.14-40, 2011-03-31

デュルケムとウェーバーの「社会」と「行為」についての概念化を、パーソンズは「社会システム論」を使うことでうまく統合し、社会学理論を前進させた。パーソンズの「構造-機能主義」の隆盛は、冷戦期におけるアメリカの優位とソ連の劣勢を理論的に説明しえたことによる。パーソンズ以降の社会学理論に残された課題は、(1)グローバリゼーションの現状と「境界維持システム」概念が乖離していること、(2)「コントロール・ハイアラーキ―」概念は「価値・規範要素」を偏重しているので、現実の集団・組織の作動や社会変動の発端を考える上で問題があること、(3)行為の能動性と社会的拘束の両立性という問題。ルーマンの「オートポイエシス」論はこの第2 の課題、ギデンズの「構造化理論」はこの第3 の課題をのり越えようとする試みであろう。 The purpose of this paper is to critically analyze the basic concepts of T. Parsons' sociological theory in relation topreceding classical sociological theories and social system theory. The reason why his theory was influential in themid 20th century was that his structural-functional theory could explain the dominance of USA over the Soviet Unionin the cold war period from the theoretical viewpoint.After Parsons remain three theoretical issues, which are: (1) the gap of the globalization currently in progress andhis conception of "boundary maintaining system", (2) his tendency to give excessive stress on "normative elements"in his "control hierarchy" theory (ex. the Fall of Berlin Wall in 1989 could not be explained according to his "controlhierarchy" theory) and (3) incompatibility of agency and structure, or that of the integration theory and the conflicttheory.Luhmann's theory of autopoiesis is considered to be an attempt to get over the second theoretical issue andGiddens' theory of structuration an attempt to solve the third one.
著者
長尾 真
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1056-1059, 2011-08-15
著者
東野 陽子 神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.190-195, 1998-07

1998年3月25日03時12分(UT)頃, 南極プレート内の62.876°S, 149.712°Eで, M_s8.0の巨大地震が発生した。昭和基地(SYO : 69°00′S, 39°35′E)からの問い合わせに対し, フランスのDumont d'Urville基地(DRV : 66°40′S, 140°01′E)では全員が揺れを感じ, 落下物もあったと言うから日本の気象庁震度階でIII∿IVに相当する。昭和基地では4時間にわたり連続して地震動が記録された。DRVの震央距離は670kmであるから, 日本の関東地震(1923年, M=7.9)を岡山付近で感じたことになり, 有感半径が700kmの関東地震と同じ規模かそれ以上の大きな地震だったことが分かる。この地震は南極プレート内で起こった初めてのM8クラスの地震であり, 南極大陸での初めての有感地震であった。