著者
中山 愛理
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.573-578, 2009
参考文献数
37

アメリカの図書館は,どのような法制度に基づき運営されているのか。アメリカの図書館法制度を歴史的に取りあげて紹介する。地方自治体の図書館に関する決議や州による図書館設置認可に関する法律,州が図書館の設置全般を規定した法律,州図書館振興法などを概観する。また,かつて州の専権事項として図書館行政に乗り出すことに連邦政府は消極的であったが,連邦法制定により図書館行政に乗り出した。その連邦政府の図書館に対する補助金交付政策の根拠になった,図書館サービス法,図書館サービス建設法,図書館サービス技術法,博物館・図書館サービス法なども取りあげる。その上で,図書館法に関しての基本的なあり方を論じる。
著者
神木 哲男
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、15世紀なかば兵庫津に入津した船の一年間にわたる関税納入帳簿である「兵庫北関入舩納帳」(以下「納帳」と略称)の各項目をコンピュ-タ-入力してデ-タベ-スを作成し、これをもとにして当該時期の瀬戸内海地域における商品輸送・廻船の実態をデ-タベ-スからえられた各種統計を分析して多方面・総合的に明らかにしようとしたものである。「納帳」には、文安2年1月から文安3年1月にいたる期間の兵庫津への船の、入港年月日・船籍地・積載品目・数量・船頭名・問丸名・関銭額・納入日の基本情報に加えて、使用枡の注記、関銭納入に関する注記などが詳細に記録されている。入港総船数1964、延べ積載商品数2645にのぼり、各項目の情報量は約20,000項目に達している。初年度は(平成2年)、これらの記載事項の確定(史料解釈)、コンピュ-タ-入力のための統一と調整、確定事項のコンピュ-タ-への入力に重点をおいて作業を進めた。平成3年度において、ほぼコンピュ-タ-入力を終え、デ-タベ-スとして利用可能な状態にすることができた。さらに、これをもとに時期別・商品別・船籍別等各種統計表を作成し、兵庫津への入津量の月別変化や集荷先の移動について具体的に明らかにすることができた。平成3年度においては、「米」について検討したが、今後「塩」をじめとする積載品目すべてにわたって検討を加え、瀬戸内海における商品輸送の実態を明らかにすることにつとめたい。
著者
長谷川 修 森島 繁生 金子 正秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2047-2065, 1997-08-25
被引用文献数
68

「顔」は人間にとって非常に身近な存在であると共に, 顔の持ち主である一人一人の人間における個人的な情報, コミュニケーションに係わる情報を始めとした, 言語的手段では表現しにくいようなさまざまな情報を担っている. 近年, 工学分野では主としてコミュニケーションメディアやヒューマンインタフェースへの応用の観点から,「顔」の工学的取扱いに対する研究が活発に行われている. 具体的には, ユーザである人間を対象とした視覚機能をコンピュータにもたせるための顔の認識技術と, コンピュータあるいはコミュニケーションメディアに表現力豊かな顔をもたせるための顔の合成技術である. これらの研究成果は, 従来個別に検討が行われていた顔関連の心理学, 人類学, 美容, 歯科等さまざまな分野においても活用されつつある. 本論文では, このような観点からコンピュータによる顔情報処理に焦点を当て, まず要素技術としての顔画像合成と表情認識について最近の技術動向を概観する. 次に,「顔」の諸特性について考察した後に, 人と人との対面コミュニケーションの支援, 人と機械との間の顔情報を介したコミュニケーションという二つの立場から「顔」の工学的応用について述べる. また,「顔」情報処理の研究のためのツールやデータベース等についても紹介する.
著者
江 向華
出版者
就実大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、多角化戦略を中心とした成長戦略の視点から、中国巨大製造企業の成長メカニズムの特殊性を現地企業へのインタビュー調査および資料調査を通じて究明してきたものである。これまでの企業成長戦略研究では、先進経済国と新興経済国(中国を含めて)を分けて議論されることが多かった。しかし、中国では創業当初から巨大規模で設置された社会主義大企業の存在があるため、中国における大企業が必ずしも成長過程を経ていないことに注目して、先進経済国、中国以外の新興経済国と中国を分けて分析した。
著者
松本 啓子 森戸 雅子 名越 恵美 中嶋 和夫 桐野 匡史 高井 研一
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

在宅認知症高齢者に絞り、突発事故や症状及び容態の急変しやすい疾病等について、実態調査をしたうえで、急変から緊急介入を含めた一連のリスク管理モデルの開発を目的とした。その結果、実質調査を行うことで、現場ならではの疾患と症状の関連等が明らかとなった。また、家族側に起こっている現象を明らかにするためにインタビューを重ね、質的因子探索的分析を進めることで、家族の思いが明らかとなってきた。
著者
藤澤 翠 高山 範理
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.361-366, 2014-12-02 (Released:2014-12-03)
参考文献数
19

本研究では,自然環境の有する心理的回復効果を調べるために,ROS(Restorative Outcome Scale;回復感指標)の日本語版(ROS-J)を開発し,妥当性・信頼性の検証を行った。さらに気軽なストレス解消法の創出を目指して,短時間の仮想的な森林浴環境の心理的回復効果について調べた。まずROS-Jの開発のため,合計357名(有効回答330名)を対象に実験①と実験②を行った。また,オフサイト森林浴の心理的回復効果の検証のため,ROS-Jを用い,実験①の計312名(有効回答285名)の被験者を対象に詳細な分析を行った。その結果,ROS-Jの質問紙としての妥当性・信頼性が確認された。また,ROS-Jによって,オフサイトにて容易に再現可能な映像と音を用いた仮想的な森林浴環境であっても,心理的回復効果が期待できることが明らかになった。
著者
田中 貴宏 三笠 友洋 内平 隆之 山崎 義人 重村 力
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.698, pp.933-938, 2014
被引用文献数
4

"Yato" is a landscape unit that is horseshoe-shaped flatland surrounded by the hill in three directions. In the hilly cities, such as Yokohama, many Yatos can be seen. Some previous researches mention about the importance of Yato from the perspective of ecological, hydrological, thermal environmental and social aspects. This study aims to developing the method for making Yato map by using GIS and DEM, and also classifying all Yatos based on the land use in Yokohama. By comparing previous researches, it becomes clear that this method is suite for making Yato map. Actually, Yato map is made in Yokohama and 4657 Yatos are extracted. It was also found that about 50% of all Yatos are already developed as low-rise residential areas, and about 30% are still undeveloped, by overlaying Yato map and land use map. Evaluating each Yatos from the perspective of natural and social environments will be needed as a future work.
著者
中川 敦子
出版者
金沢医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

被験者は外来通院の分裂病患者10名。各患者の症状評価は精神科医2名によって行われた。課題は、プライム、ターゲットともに視野中央に提示する語彙判断であった。実験計画;プライム条件(反対、遠隔連想、無関連、中立)×SOA(67msec,750msec)の被験者内2要因実験。反対、遠隔連想という意味関係は、意味ネットワーク上のターゲットとの意味距離がより近い、より遠いことをそれぞれ示した。刺激:各試行はプライムとターゲットの平仮名表記の文字列ペアより成った。1つの刺激リストは,YES反応用の4つの異なった意味的関係を含む24ペア、およびNO反応用の非単語(単語の1文字を入れ替えて作られた)を含む24ペアによって構成された。4つの刺激リストを設け,1つの刺激リスト内で同じターゲットが繰りかえされることはなかった。例えば,リスト1で反対語条件(さむい-あつい)のターゲットは,リスト2では遠隔連想条件(あせ-あつい),リスト3では無関係条件(ゆずる-あつい),リスト4では中立条件(くうはく-あつい)であった。手続き;各被験者に、練習の後,4ブロックをとおして4つの刺激リストが与えられた。各試行では、視野中央に注視点そしてプライム60msecの提示後、ISI(SOA条件によって7msecまたは690msec)の後、ターゲットが示された。被験者は、実験中は視野スクリーンの中心を凝視し、ターゲットが有意味な文字列(単語)であるか否か(非単語)の判断をボタン押しによってできるだけ早くかつ正確に行なうよう求められた。結果;分析は単語に対する正反対時間およびエラー率について行ない、反応の促進および抑制効果は,各プライム条件での反応時間が中立条件(くうはく)での反応時間よりも早いか遅いかによって決定された。外来通院の予後良好な分裂病患者の意味プライミングパタンは、コントロール群のパタンと同様であった。各症状と意味プライミングパタンの関係について検討したが、明らかな結果は得られなかった。
著者
Yoshimura Shige H. Kumeta Masahiro Takeyasu Kunio
出版者
Elsevier Ltd.
雑誌
Structure (ISSN:09692126)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.1699-1710, 2014-11
被引用文献数
28

タンパク質が核膜孔を通り抜ける際の構造変化を解明 -細胞核内部への遺伝子導入技術への応用に期待-. 京都大学プレスリリース. 2014-11-27.
著者
粟田 さち子
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

学生の系統解剖のご献体に対して、解剖固定液で希釈した経口造影剤を橈骨動脈より注入して造影CTを行った。この方法により、多くのご献体で頭部から下肢まで血管内が造影できた。また、臓器内も造影される事が確認できたが、細い血管内の血栓が原因なのか均一に造影される例はかなり少なかった。均一に造影する方法は確立出来なかった。司法解剖を行うご遺体では、造影剤を入れたことで体内の液体量が変化してしまう場合に、解剖時の所見が本来と異なってしまうため、CTのみで体内の液体量を正確に把握する必要があった。しかし液体の照合の検討が出来ず司法解剖のご遺体に対しては造影できなかった。
著者
伊藤 貴之 梶永 泰正 池端 裕子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.89, pp.65-70, 2001-09-13
被引用文献数
5

例えば、計算機のファイルシステム。例えば、大会社の人事組織。例えば、Yahoo に代表されるカテゴリ分類型のウェブサイト。身のまわりには、階層構造で整理されたデータは非常に多く存在する。これらの階層型データを対話的に表現するGUI の大半は、まず上位階層を表示し、ユーザーの選択操作によって徐々に局所的に下位階層を表示させるように構築されている。これらのGUI とは逆に、最初から階層型データ全体を一画面に展開して表示することで、データの分布を一目で理解するような視覚化手法はないものか、ちょうど宝石店のショーケースのようにデータ全体を見渡せる視覚化手法はないものか? という発想が本報告の動機である。本報告で提案する視覚化手法は、まず最下位階層を構成するデータのアイコンを長方形で囲み、その長方形の集合を囲む長方形を作成して上位階層を表現し ? という処理を最上位階層まで反復することで、データを画面空間に配置する。画面空間を有効活用するために、本手法では長方形をできるだけ隙間なく配置して占有空間の最小化を図る。画面空間中の隙間を高速に探し出すために、本手法では長方形の中心点群を連結する三角メッシュを生成し、面積の大きい三角形要素の内部に長方形を配置し、その長方形の中心点を追加することで三角メッシュを更新する・・・という処理を反復している。File systems of computers, company organizations, and category-based search websites such as Yahoo. We see many kinds of large-scale hierarchical data in our daily life. Most of GUI for these data first represent the higher-level of the data, and provide the interface so that users can select their interested portion of the data and locally explore the lower-levels. On the other hand, there are not so many visualization techniques that give the overview of the data by locating whole lower-level data onto a display space. How we can realize such technique that distributes the data like a showcase of jewel shops? … That is the motivation of this paper. The paper presents a visualization technique that locates whole lower-level portion of hierarchical data on a display space. It first generates rectangles that enclose icons of the lowest-level data. It then repeats the process of generating rectangles that enclose the lowest-level rectangles, until the highest-level rectangles are enclosed by the largest rectangle. To minimize the occupation of display spaces, our technique efficiently searches for gaps that rectangles can be located without overlaps with adjacent rectangles. We use Delaunay triangular meshes that connect centers of rectangles to quickly search the gaps.
著者
大西 領
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

定常等方性乱流場を直接数値計算により計算し、その中を運動する微小慣性粒子の運動および成長をラグラジアン法によって追跡する数値計算法(Lagrangian Cloud Simulator, LCS)を開発した。LCSのプログラムコードは並列計算向けに最適化されており、共有メモリ型と分散メモリ型のハイブリッド並列計算を効率的に実行できる。このLCSを用いて、粒子ストークス数、過飽和度、レイノルズ数を変化させた時の粒子径分布の時間変化データを得た。これにより、乱流混合が微小慣性液滴の蒸発過程に及ぼす影響を初めて定量的に明らかにした。
著者
慶野 遥香
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.221-229, 2008-03-10

Professional ethics is one of the essential factors needed by psychologists in order to provide their clients with high quality service and to be regarded as a professional. In this study, the psychologists'ethical codes, as well as articles on professional ethics were reviewed. There are studies about the psychologists'beliefs and behaviors in the case of an ethical dilemma, ethical decision making models and ethical training programs; however, it was found that most of the models and training programs were not assessed empirically. In addition, since the argument about psychologists'ethics in Japan were started quite recently, compared to other countries, neither the codes or research have been discussed enough. This review indicated that we need to clarify "what it is to be ethical" by continuing doing research and holding discussions.