著者
宮口 和義
出版者
石川県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、日本では子どもの体力・運動能力の低下に比例して転倒による子どもの事故や怪我が増えている。以前に比べ咄嗟時の反応が鈍くなっていると思われる。保育園で有効な運動プログラムを提供するためにも、遊びの反応時間への影響について検討しておく必要があろう。鬼ごっこやサッカーのような動的な遊びは、反応スピードと全身運動の敏捷性を発達させることがわかった。特に鬼ごっこを好む園児は左右の切り替え動作を含む敏捷性能力に優れているといえる。また、ラダー運動は今日の子ども達の各反応動作の改善に有効であることが示唆された。さらに、草履の着用はバランス能力に関わる足裏形成や立位姿勢の改善に有効であることがわかった。
著者
辛島 彰洋 中村 有孝 安斎 友花 塚田 僚 益田 幸輝
出版者
東北工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、以下に記すように、睡眠-覚醒状態に依存したシナプス結合の可塑的変化が大脳皮質と海馬で観測されことを示し、そのメカニズムに迫ることができた。大脳皮質では、体性感覚野スライス標本を用いたin vitroパッチクランプ実験と、体性感覚応答を覚醒時と睡眠時で比較するin vivo実験を行った。覚醒時にシナプス結合が増強し、睡眠中には減弱していることを示す結果が得られた。さらに、感覚遮断実験により、覚醒時の増強が経験依存的である可能性を示した。大脳皮質と同様に海馬CA1領域でも、in vitro実験も行い、覚醒時にシナプス結合が増強していることやその増強が経験依存的である可能性を示した。
著者
菅原 和孝 木村 大治 舟橋 美保 細馬 宏通 大村 敬一 岩谷 洋史 亀井 伸孝 岩谷 彩子 坊農 真弓 古山 宣洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、身ぶりと手話を微視的に分析し、対面相互行為の構造を身体性の基盤から照射した。また、通文化的な視野から、映像人類学、コミュニケーション科学、生態心理学の思考を交叉させ、マルティ-モーダルな民族誌記述の土台を作った。とくに、アフリカ狩猟採集民サン、カナダ・イヌイト、インドの憑依儀礼と舞踊、日本の伝統的な祭礼、日本酒の醸造、ろう者コミュニティ、数学者の討議といった多様な文脈における発話と動作の連関を解明し、記憶の身体化を明らかにした。さらに、過去の出来事が語られるプロセスを、表情をおびた身ぶりとして了解することにより、表象と知覚の二項対立を乗り超える理論枠を提示した。
著者
海軍省医務局 編
出版者
海軍省医務局
巻号頁・発行日
vol.第53次(昭和13年), 1941

2 0 0 0 天文と気象

出版者
地人書館
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, 1959-09
著者
秋元 俊男
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-37, 1991-12-25

銅で作られた容器にはヤブカ類の発生を抑制する作用があるが,これは銅特有の現象と思われる.銅の影響はヤブカ類の産卵数に対しては見られないが,発育過程の幼虫に対して致死作用のあることを前報で明らかにした(秋元,1989).今回の試験では,その致死作用が銅イオンによるものであることを明らかにし,次に銅イオンの濃度と致死作用との関係を調べた.
著者
山地 久美子 室崎 益輝 陳 來幸 近藤 民代 相川 康子 松岡 悦子 田間 泰子 山中 茂樹 磯辺 康子 小針 進 小林 郁雄 長 志珠絵 アンベッケン エルスマリー 金 千秋 垂水 英司 津久井 進 野呂 雅之 林 勲男 山崎 栄一 白 〓浩 韓 栄恵 陳 亮全 邵 珮君 LAURIE Johnson
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は日本、韓国、台湾、米国の自然災害被災地(阪神淡路大震災、中越地震、東日本大震災、江原道、ソウル市、台中市、高雄市、台北市、ニューオーリンズ市、サンフランシスコ市等)において主に被災者と支援者、行政、メディアを対象としたインタビュー及び資料収集調査を実施し、災害復興・防災体制におけるジェンダー課題を国際比較調査から明らかにした。さらに、研究成果を基に東日本大震災直後から政策提言・意見書を提出し、法制度・政策の改善につなげた。調査概要はジェンダーと災害復興ホームページ(http://genderdisaster.net/)において確認できる。
著者
物部 博文 生野 晴美 村山 雅己
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

消防士の熱中症を予防するためのヒートストレスアラームを開発・実証データを収集し、実際の火災現場での実用可能性を検討するために東京消防庁にヒアリングをした。その結果、さまざまな課題が提示される一方でその有用性も示唆された。一方で、換気型消防服の場合、粉塵や火炎による影響を防ぐための手立てを講じたが、粉塵や火炎による熱傷の可能性の完全な除去が難しかった。したがって、水冷服による体温調整システムを検証し、密閉系における体温調整の可能性について再検討した。
著者
AKIYOSHI Ryota
出版者
科学基礎論学会
雑誌
Annals of the Japan Association for Philosophy of Science (ISSN:04530691)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.13-29, 2009-03-31
被引用文献数
1

We can find in several places an assertion that Godel's second incompleteness theorem defeated Hilbert's program. But, (as M. Detlefsen argued in his book) in order to establish this assertion, we need to address additional issues. First we formulate Hilbert's program. Second we reconstruct a standard argument for the claim that Godel's second incompleteness theorem defeated Hilbert's program. In doing so, we formulate a critical, and problematic assumption which we call "DCT" (Derivability Conditions Thesis). Finally we examine three arguments whose aims are to justify DCT. We show that the first and the second argument are not valid, and discuss the third argument, which is based on Kreisel's idea. We identify a difficulty in this argument as well. After examining the difficulty, we conclude that we cannot claim that Godel's second incompleteness theorem defeats Hilbert's program. Moreover we clarify what is essentially needed for such an argument to succeed.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1890年11月29日, 1890-11-29
著者
遠田 千晶
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
恵泉アカデミア
巻号頁・発行日
vol.16, pp.233-254, 2011-12
著者
和田 俊憲
出版者
有斐閣
雑誌
法学教室 (ISSN:03892220)
巻号頁・発行日
no.392, pp.93-102, 2013-05
著者
高村 大也 乾 孝司 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.3021-3031, 2006-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
5

複数語から成る評価表現のモデルおよびそれに基づいた分類手法を提案する.複数語から成る評価表現の感情極性は,その構成語の感情極性を単純に足し合わせるだけでは算出できないことが多い.極性の出現や反転が頻繁に起こる.そのような複数語表現の特性に対応するために,我々はモデルに隠れ変数を導入する.実験により,提案した隠れ変数モデルは複数語から成る評価表現分類において,約82%という高い分類正解率を得ることに成功した.We propose models for semantic orientations of phrases as well as classification methods based on the models. Although each phrase consists of multiple words, the semantic orientation of the phrase is not a mere sum of the orientations of the component words. Some words can invert the orientation. In order to capture the property of such phrases, we introduce latent variables into the models. Through experiments, we show that the proposed latent variable models work well in the classification of semantic orientations of phrases and achieved nearly 82% classification accuracy.
著者
竹内 洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究はまず旧制高校とパブリック・スクールの誕生の経緯と発展の概観をなし、とくに明治時代の旧制高等学校とビクトリア朝時代のパブリック・スクールにさまざまな点で類似性があることを指摘し、つぎに両者の類似と差異について学籍簿などのデータを集計、分析し実証的に比較研究している。知見のひとつは、旧制高校がかならずしも貧困層に開かれていたわけではなく、逆にパブリック・スクールが上流階層の独占学校でもないことである。旧制高校に社会的再生産の、パブリック・スクールに社会移動のメカニズムが働いている。もうひとつの知見はつぎのようなものである。パブリック・スクールは政治家や行政官などのジェネラリスト・エリートとくに父権的指導者を育成するのに成功したが、科学者などのスペシャリスト・エリートを育成するのに失敗した。旧制高校は自然科学や知識志向が強かったぶんいずれのエリートの育成にも対応できた。パブリック・スクール・エリートは伝統文化(ジェントルマン文化)と接続することによって安定したエリートであったが、革新能力を欠いた。一方、旧制高校の「教養」は西洋文化の吸収にあったから、伝統文化から切断され、そのぶん旧制高校エリートは軍国主義時代のショービニズム=伝統の創造の対抗力となりえなかった。これからの日本のエリート教育を考えるには、現在もサバイブしているパブリック・スクールの戦後社会の変貌を参考にしながら、もし戦後日本社会に旧制高校が存在したら、日本社会はどのようになっていただろうか、という思考実験をすることがよいだろう。
著者
髙木 亨 田村 健太郎 大塚 隆弘 佐藤 竜也 佐藤 亮太 清水 康志 高橋 琢 吉池 隆 鳥海 真弘 浜田 大介
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100235, 2012 (Released:2013-03-08)

東日本大震災を起因とする福島第一原子力発電所の事故は、福島県を中心に甚大なる放射性物質による汚染被害をあたえ、今なお多くの住民に避難を強いている。 今回の原子力災害では、県内をはじめ各地域で、避難「する」「しない」といった住民の「分断」が見られる。これは、住民間に対立を生み、地域コミュニティの崩壊を招く恐れがある。本研究では、このような分断を発生させる要因について、一つの集落での住民の避難行動を分析することによって明らかにし、「分断」の予防について検討することを大きな目的としている。今回の報告では、以前から交流のある福島県いわき市川前町高部地区を事例に、住民の原発事故発生直後の「避難する・しない」の判断をさせた要因について明らかにする。 高部地区は福島第一原子力発電所から半径30km圏のすぐ外側、31~32kmに位置しており、事故発生直後からその影響が心配された地区であった。事故発生当時はどの程度の放射能汚染があるかははっきりと把握できなかった。このため事故発生直後、高部地区外へ避難した住民と避難しなかった住民とに二分される結果となった。表1は事故発生直後に避難した住民への聞き取り調査結果である。避難先は、福島第一原子力発電所から遠いところであり、遠方にいる親戚や子息を頼って避難している。避難理由は様々であり、親族の病気や娘の避難の呼びかけに応じて、というものである。しかし、避難先での暮らしが窮屈なこともあり、早々に避難先から高部地区へ戻って来ている。 一方、避難しなかった住民は、住民同士が声を掛け合い、15日あたりから集会所に集まって過ごしていた。17日には屋内待避指示の関係で福岡県警の警察官が集会所に常駐、放射線の観測機器等を持っていたことから、住民に安心感を与える事となる。避難しなかった理由は、仕事の関係、家畜の飼育などの理由であった。 「避難した・しなかった」は、住民間にとっても微妙な問題である。個々の住民が抱える状況によってその行動に差異が生じている。このため住民間のコンフリクトを引き起こし、地域コミュニティの崩壊につながる可能性があった。一方で、一時避難から戻って来た住民を「受容」するなど、コミュニティ維持への「知恵」ともいうべきものがみられた。
著者
長谷川 敦士 植田 一博
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.417-430, 2001-12-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
16

In this paper we addressed the problem how social interactions, especially P2P (Peer to Peer) communication, set trends. We made a multiagent-based model to investigate the issue. The agents are computer programs that act autonomously and behave individually. In this artificial society, the agents demand goods that they want to consume as well as they can produce and consume goods. They try to barter their goods with one of the other agents that is selected randomly. They make their own evaluation of each good based not on global information in the market but on local information shared with their trading partners: They assume the goods, which their trading partners demand, to be popular. They can also demand the goods that they think very popular by themselves and exchange their evaluation of the popularity when they trade with other agents. We pointed out that, in this situation, agents' evaluation of the popularity can be concentrated on some good one after another, which can explain a mechanism of the concentration of popularity.