著者
下平 丕作士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.2046-2053, 1994-10-15
被引用文献数
5

誤差逆伝播法は、多層前向きニューラルネットワークの学習に広く用いられている。しかし、誤差逆伝播法については、解が収束するのに要する時間が長く、解が収束しない場合があるという学習性能上の問題点がある。誤差逆伝播法の学習性能は重みの初期値に敏感であり、適切な重みの初期値を設定することにより、学習性能を向上させることができる。本諭文では、ノードにおける惰報伝達機溝を表す式に基づいて、適切な大きさの重みの初期値を設定する薪しい方法(OIVS法:Optimal Initial Value Setting Method)を提案している。数値実験によると、OIVS法は従来法にくらべて、解が安定して得られ、収束するのに要する反復回数が少なく、学習性能が著しく優れていることが分かった。たとえば、ランダム写像問題については、それぞれの方法で最も良い学習性能が得られた場含を比較すると、OIVS法は従来法に比べて、解が収束するのに要した反復回数の平均値は0.26借、標準偏差は0.039倍となっている。OIVS法の特徴は、問題(入力次元数)に応じて適切な大きさの重みの初期値を設定できること、アルゴリズムがきわめて簡単であること、ノードごとに局所的な計算で設定できることである。
著者
池田 浩也 早川 泰弘 下村 勝
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,量子効果デバイスを高温動作できるようにするために,熱電変換現象を利用した冷却基板(ナノフリーザ基板)の開発を目指して行われた.冷却機能の高効率化が期待できるシリコン・ゲルマニウム混合材料について,熱電変換の重要な物性値であるゼーベック係数(温度差を1℃与えたときに発生する熱起電力)を調べた.ゼーベック係数は,電子が寄与する成分と格子振動が寄与する成分があるが,格子振動による成分を決定する物性的要因を明らかにした.また,実際のデバイスを作製するためのプロセス技術を提案し,その基礎データを収集した.
著者
坂上 貴之
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.1-40, 2013-03

特集 : 渡辺茂君・増田直衛君退職記念投稿論文Several notation systems for reinforcement schedules have beendeveloped just after the start of this research field. Some systemsprovided good tools for creating complex schedules and for educationalpurposes, and sometimes they were interpreted to some commoncomputer languages via specific invented languages. The mostsuccessful system among them was the State Notation System(SNS) developed by Snapper and his colleagues and their interpretablelanguage SKED. In this paper, I propose another notation systemfor reinforcement schedule based on these previous efforts, particularlySNS and SKED. This new system, named Reinforcementschedule notation system (RNS), is composed with two subsystems,the Structural schedule and the Constituent schedule, which are mutuallycomplimented their limited scopes. The Structural scheduleconsists of the Scenes and the Conditions which sketch the outline ofreinforcement schedules an organism faces to. On the other hand,the Constituent schedule consists of connected chains of the ScheduleElements which contains three slots of (1) the evaluation of eitherresponse or time counters, (2) the operation of environmentalchanges and system signals, and (3) the jumped addresses dependedon the result of the evaluation slot. Although RNS provides compactdescriptions for the complex structures of reinforcement contingencies and many ideas for concrete operations of reinforcement schedules,it has several weak points, such as no elegant descriptive devicesfor dealing with serial responses (e.g., double alternate learning)and complex configurations of discriminative stimuli (e.g., higherconditional discrimination). These limiations will be solved bydevelopment of frameworks for analysis of discriminative stimuli infuture.
著者
"牧野 幸志" "マキノ コウシ" Koshi" "Makino
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.37-50, 2007-02

"本研究は,青年期の男女が別れに際してもつネガティブな感情や行動的反応が告白の立場と別れの主導権により異なるかを調べた。被調査者は大学生344名(男性135名,女性209名)であった。そのうち,異性とつきあった後に,別れた経験のある223名を分析の対象とした。調査の結果,約40%の対象者が別れた後も相手に対して好意を持っていた。交際期間が短い場合,自分から別れを切り出した場合,相手だけが恋愛関係に夢中で,尽していた場合に別れ後に相手を嫌いであった。別れ後の感情・行動については,自分から告白して自分から別れを切り出した人は泣くことが少なかった。また,自分から告白して相手からふられた人は再び相手を好きになることが少なかった。さらに,別れた後も積極的に相手と会うという人は少なかったが,相手から告白されて自分からふった場合に特に少なかった。全般的に,別れ後の感情や行動に及ぼす告白の立場の影響は小さく,別れの主導権の影響が大きかった。"
著者
千葉 義郎 遠田 譲 海老原 至 福永 博 大平 晃司 山下 文男 会澤 彰 村田 実 倉岡 節夫 篠永 真弓 上原 彰史
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.896-900, 2011 (Released:2012-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

症例は, 20歳代, 男性. 2日前に職場でロッカー移動などの作業を行った. その後, 左上肢に腫脹·疼痛を自覚するようになり, 当院に紹介受診. 血管エコーで左鎖骨下静脈から左腋窩静脈にかけての血栓閉塞を認め, パジェット·シュロッター症候群(Paget-Schroetter syndrome; PSS)と診断した. 抗凝固療法を開始するとともに, ただちに静脈造影を行い, 引き続きカテーテル血栓溶解療法(catheter directed thrombolysis; CDT)およびバルーン拡張術を行った. 2回のCDTで良好な左上肢血流の改善が得られ, 軽快退院となった. PSSに対して早期のCDTが奏功した症例を経験したので報告する.
著者
永井 正洋 上野 淳 貴家 仁志 北澤 武 渡邉 雄貴 加藤 浩 福本 徹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

児童の表現の論理性を向上させるために,デジタルペンとマインドマップを用いる中でエキスパート参加の協調学習を行わせ意見文を書かせる授業実践を行い,その総合的な有効性を研究の前半で示した.しかし,どの足場掛けがより有効であるのかは不明確であった.そこで,児童に意識調査を実施した後,授業についての因果モデルを構築し共分散構造分析にて検証した.その結果「授業での理解度と満足度」には,「マインドマップの好感度」や「エキスパート参加の協調学習での理解度と好感度」が影響を与えること,また,デジタルペンについては,授業の総括的評価には影響を与えず,通常の文具のように学習の文脈に馴染んでいることが示唆された.
著者
岡山 寧子 森本 武利 木村 みさか 小松 光代
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,健康な高齢者における暑熱障害予防プログラムの開発を目的とし,高齢者の水分出納と飲水行動,生活行動の特徴から、暑熱障害予防策を検討するものである.研究期間は2年間で,平成15年度は,水分出納と身体活動量や飲水行動、他の生活習慣等を調査し,水分出納や飲水行動に影響を及ぼす因子を抽出した.同16年度は,調査結果に基づきプログラムを作成し,試行した.以下がその結果である.1.暑熱障害の既往のない健康な高齢者における真夏時の生活行動と飲水行動は,活動面では比較的ゆったりと過ごし,それに見合った食事や水分を摂取し,暑さに対応した暮らしぶりが認められた.また,暑さ対策として,飲水量は「こまめにお茶や水を摂取」する者が多く,飲むタイミングに工夫を凝らした意図的な飲水を実践する者が多かった.暑さで外出を控える者は少ないが,帽子や日傘の使用者が多く,クーラー使用者は少ない.2.暑熱障害予防プログラムの中の飲水支援では,高齢者自身のライフスタイルの中に効果的に飲水行動を組み込むことが重要であり,効果的な飲水行動の実践のためには,(1)飲水への正しい知識を持てること,(2)自分の状況から飲水必要量を正確に見積もれること.(3)飲水摂取の時間帯を工夫し,必要な水分量を摂取できること,(4)要介護高齢者は,介護者が上記を十分考慮して対応すること等をプログラムのポイントとして指導する.3.暑熱障害予防プログラムの試行として,上記1.2をふまえ,健康な高齢者向けの「暑熱障害の予防」について講演を実施すると共に,コメディカルスタッフ向けの雑誌に飲水指導のあり方を掲載した.その評価としては,まだ十分な検討はできていない.現在のところ,飲水の必要性とその方法は理解できたという評価が多いが,実際の飲水行動につながっているかは,継続的な観察が必要であり,課題である.
著者
竹内 清己
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教養部研究報告. A (ISSN:03862127)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.31-66, 1986-12-27
著者
中村 雄祐 美馬 秀樹 増田 勝也 鈴木 親彦
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-102, no.5, pp.1-5, 2014-05-24

人文学・社会学における学際研究とはどのようなものなのか,これからどのように発展させていくのか.我々は,東京大学大学院人文社会系研究科に 2000 年に設立された人文社会系の学際的研究・教育プログラム,「文化資源学研究専攻」 を対象に研究領域の形成過程を分析している.具体的には,文化資源学研究専攻の授業シラバス (2013 年時点で約 600 件),および修士論文 (2013 年時点で約 80 本) の 「論文要旨」 「参考文献一覧」 を対象として,報告者の一人である美馬 (東京大学知の構造化センター准教授) が中心となり開発したテキスト分析システム MIMA SEARCH を用いて解析し,中村 (東京大学大学院人文社会系研究科准教授)・鈴木 (同博士課程) がその解釈を行っている.今回は,シラバスと修士論文要旨についての分析・解釈を報告する.
著者
栗山 貴久子 内藤 岳史 橋田 哲夫 大塚 拓治 日比 成美 今宿 晋作 澤田 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.359-363, 1998-10-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
21

12歳で悪性貧血 (PA) を発症した男児例を報告した.患児は全身倦怠, 顔色不良を主訴に入院した.入院時, RBC 1.21×106/μl, Hb 4.7 g/dl, MCV 113.9 fl, MCH 39.2 pgと大球性高色素性貧血と好中球減少がみられた.血清のvitamin B12は低下し (190 pg/ml), 抗内因子抗体, 抗胃壁細胞抗体が陽性であった.骨髄検査では, 赤芽球の異形性と巨赤芽球性変化, 巨大後骨髄球, 好中球過分葉を認めた.胃内視鏡検査にて萎縮性胃炎が確認された.Schilling試験は57Co標識内因子, 58Coとも血中濃度が1.43%, 0.41%と著しく低値で, McIntyre II型PAと診断した. Vitamin B12の補充療法を開始したところ速やかに全身症状, 血液所見は改善したが, 萎縮性胃炎には高率に胃癌を合併する可能性があり, 定期的な内視鏡的検索が必要と思われた.
著者
嶽山 正二郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.170-178, 2012-03-05
参考文献数
29

物性研究所での超強磁場プロジェクトは,5MJ(メガジュール)大型コンデンサバンクを用いた電磁濃縮法によるパルス超強磁場発生とその物性応用を目指して1980年から本格的に開始された.現在,最高発生磁場は700T(テスラ)を超え,600Tにおける極低温と組み合わせた高精度の物性測定が可能となった.室内実験としては世界最高の値である.磁場発生最高値の引き上げだけでなく再現性の格段の向上がなされた.500T以上での信頼性ある物性計測ができるのは物性研究所が世界唯一となっている.最近の磁場発生の技術開発の状況と物性計測への応用例,これから新たに始めようとしている1,000T達成を睨んだ計画について述べる.
著者
川原崎 淑子 小西 春江
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.47-65, 1996-12-30

1.調査対象については大学2学科,で171人。短大部,l学科と5専攻で532人合計703人の調査である。2.通常の昼食では学生食堂の利用者は38%であり,利用率の高いのは,日文,幼教,英文専攻であった。3.学生食堂利用の理由は,便利さ,価格をあげていた。弁当持参は便利さ,価格,栄養をあげ,学生食堂利用については,栄養をあまり重視していないようである。4.購売利用者は便利,価格,嗜好をあげていた。5.市販弁当は嗜好,価格,便利をあげ,弁当持参とちがう結果である。これは当然お金を出して購入するのであるから,嗜好を一番にあげ,よりおいしいものを求める結果がみられた。6.調査日の結果では,前項の通常の利用とちかい,弁当が35%,学生食堂が30.7%と逆の結果であった。当日の時間割によるところが大である。しかし学生食堂等生協関係を合わせても44%とは少くないのではないかと思われた。7.学生食堂利用者の食事内容については,主食 + 汁物 + 副食,主食 + 副食,主食と副食を兼ねた1品,その他について分類したところ,全体的にはそれ以外は同じような割合で食していた。専攻別では食栄に主食 + 汁物 + 副食のバランスのよい喫食が多くみられ,他の専攻とはちがう結果がみられた。8.喫食の品数は3品目が29.2%,次いで1品目の28.3%,2品目の25.2%の順に食されていたがしかし余り差は認められなかった。献立の内容の3品目は「ご飯 + 味噌汁 + 副食」の定食型,1品では,主食と副食を兼ねた一体型,2品目では一体型と副食ともう1品という結果であった。9.エネルギー量については昼食として1品目〜3品目が約465〜716kcalとなり,蛋白質13.6〜34.7%,脂肪7.0〜29.0gの範囲の摂取量であった。3品目をバランスよく食べれば良いようである。副食として油もの2種は脂肪摂取量が高くなるので慎しむべきであるが,近頃の朝食の欠食からみて,昼食で調整する事も考えなければならない。10.価格について,学生は大分重視しており,一番多く利用している主食と副食が一体化したもので平均309円,主食 + 汁もの + 副食で373円,主食 + 副食で412円となり,高いものと低いもので103円の差があった。一番高くつく組み合わせは主食 + 副食で,例えばかつ丼 + から揚げ + サラダで580円となる。11.食事に由来する考え方については,価格,嗜好,健康,便利,ダイエットの順であり,学生は学生食堂に対しては先ず,安く,そしておいしいものをと期待しているようである。しかし,生協に学生の残流量を聞いてみるとほんの少し残している人が多いらしい。それ以外には野菜類の食べ方にも工夫し,残した場合の戻し方にも,もう少し心配りが必要のようであった。
著者
馬場 久也 黒田 義浩
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.97-101, 1982-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。