著者
小池 麻子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.824-829, 2007-08-15
被引用文献数
4

医学生物学分野においては,各種研究の飛躍的進展に伴う論文の指数関数的増加により,自然言語処理技術を利用した文献からの知識抽出や,テキストマイニング技術を利用した実験結果の自動解釈などへの期待が高まってきている.一方,文献情報の大容量化,および,専門の細分化による情報の非共有化に伴い,各文献に記述されている知見を組み合わせることによる文献中の潜在的知識の発見もしくは仮説生成の可能性が議論されている.本稿では,潜在的知識発見の現状と課題を概観するとともに,当研究室で開発している潜在的知識発見システムを紹介する.
著者
宮脇 淳 石井 吉春 遠藤 乾 山崎 幹根 林 成蔚 木村 真 若松 邦弘
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

台湾の直轄市制度の拡充に伴う政府間財政調整制度改革の政策議論、韓国の広域市制度の展開、欧州の財政危機問題に伴う財政と政治の理論的関係等について合意形成にまで掘り下げた比較研究を行い、その成果を日本の地方分権議論に反映させる調査研究を行った。とくに、台湾の直轄市制度に関する調査研究は、日本の大都市制度議論、財政調整制度のあり方、そして閣議意思決定との関係について新たな視野を形成した。
著者
林谷 秀樹 近江 佳郎 小川 益男 福富 和夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.905-908, 1989-10-15

1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 動物霊園に埋葬された猫3936頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 猫の生命表を作成した. これは家庭飼育猫について作成された最初の生命表と思われる. 生命表から算出された猫の平均余命は, 0歳で4.2歳, 1歳で5.0歳, 4歳で5.4歳, 5歳で5.3歳, 10歳で3.5歳, 15歳で2.2歳で, 最高死亡年齢は22歳であった. 猫の死亡確率は犬に比べ, 0歳から5歳にわたる幅広い年齢で著しく高かったが, 6歳以上においてはほぼ等しく, 犬と同様にGomperzの法則に従うように思われた. このように調査時点では猫の死亡確率の基本パターンは犬のものと著しく異なっていたが, 今後0〜5歳の低年齢における死亡確率が減少した場合には, 両者のパターンは近似すると思われた. 1歳の平均余命(e_1)は, 品種間(雑種, 純血種に大別)では差が見られなかったが, 地域間ではA地域(人口密度1万人以上)はB地域(1万人未満)に比べ有意に長かった. このことから, 犬の場合と同様, B地域ではA地域に比べ猫の平均余命を短くするような要因がより強く作用していることがうかがわれた.
著者
永井 由佳里 野口 尚孝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-36, 2003-05-31
被引用文献数
1

本研究に先行しておこなった,多くの被験者を用い,ローイングに焦点を当てたデザイン過程についての実験結果をもとに,本研究では,より深くデザイン思考過程を探る目的でデザイン行為をリアルタイムで追跡観察する実験をおこなった.4人の被験者に,「きれいなテープディスペンサーのデザイン」という課題を課し,それぞれ約20分間にわたるデザイン行為の過程を詳細に観察記録した.実験の結果,デザイン課題の主部あるいは述部と探索空間の関係や思考モードとの関係,プレドローイング行為などが抽出され,思考過程を把握するうえでの重要な手がかりとなりうることが分かった. 続報においては,それらの実験記録の解析から,各被験者がどのような思考経路でデザイン創造をおこない,どのような種類の探索をおこなっているのかについて追体験的に考察し,各被験者の比較をおこない共通部分を抽出し,デザインにおける創造的思考過程を思考経路という観点からモデル化することを試みた.
著者
柳沢 昌一
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.423-438, 2011-12-29

実証主義論争におけるJ.ハーバーマスの社会科学方法論批判、C.アージリスとD.A.ドナルド・ショーンのアクション・セオリーの認識論・方法論の省察、そして堀川小における50年を超える授業研究の展開の跡づけを通して、外部からの実践への介入としてのアクション・リサーチの限界を超えて、実践の内部において長期にわたる実践と省察を持続的に組織し、その省察を領域を超えて交流・共有していくことをめざす実践研究のあり方を探る。
著者
松谷 昭廣
出版者
筑波大学大学院博士課程教育学研究科
雑誌
教育学研究集録 (ISSN:03867927)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.49-60, 2003

はじめに 本稿は、外務省による東亜同文書院への外務省留学生委託教育の実態を通して、派遣元である外務省からみた同校の機能、役割を明らかにすることを目的とする。東亜同文書院(以下、同文書院と記す)は、1898年に結成された東亜同文会 ...
著者
宮部 真衣 吉野 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.325, pp.85-90, 2008-11-20

機械翻訳を用いたコミュニヶーションにおいて,翻訳リペアは不適切な翻訳箇所を減少させるための方法として重要な役割を果たす.翻訳リペア作業はユーザへの負担が大きいため,修正の必要な単語の類義語や関連語を提示することによる言い換え作業の支援が必要である.しかし,提示数が多い場合,適切なものを選び出すことは容易ではないと考えられる.本稿では,より適切な言い換え候補の抽出のためにWeb日本語Nグラムを用いたフィルタリングを提案する.また,2-gramおよび3-gramのデータを利用し,前方品詞2-gram,後方品詞2-gram,3-gramの3種類の単語の組み合わせによるフィルタリング実験を行い,以下の知見を得た.(1)Web日本語Nグラムを用いたフィルタリングにより,90%前後の単語について,言い換え候補を7語未満に絞り込むことができており,多数の候補を絞り込むことができる可能性がある.(2)閾値を0とした場合,3-gramによるフィルタリングにおいて抽出失敗率が最も高く(34.4%),後方品詞2-gramが最も低く(15.9%)なった.また,除外失敗率については前方品詞2-gramが最も高く(52.7%),3-gramが最も低く(28.6%)となった.(3)複数品詞により構成される言い換え候補については形態素解析を行い,言い換え候補の構成品詞数に応じて利用するNグラムデータを変更することで,抽出失敗を減少できる可能性がある.
著者
齊藤 由里恵 上村 敏之
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.31-43, 2007

The livelihood assistance allowance is considered the last safety net of the social security system in Japan. The aims are to guarantee a minimum standard of living and independence support for low income families. In recent years there have been some proposals about the livelihood assistance allowance. The number of the cover welfare family has been increasing due to expansion of nonstandard employment and a rise of the unemployment rate. This paper argues for the necessity of reforming the system from a viewpoint of working support. This paper evaluates the livelihood assistance allowance by estimating marginal effective tax rates. The main results of this paper are as follows : (1) Marginal effective tax rates of 100% within a bracket of deduction of earning income and falling ratio of deduction of earning income against the gross income increasing may be obstructed to work. (2) It seems likely that the marginal effective tax rate has exceeded 100% at the connection point of the livelihood assistance allowance and income based taxes disturb the labor by "the border line class" who has low income around the livelihood assistance standard. The reason is because the minimum taxable limit is lower than the livelihood assistance standard.
著者
山川 充夫
出版者
福島大学経済学会
雑誌
商学論集 (ISSN:02878070)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.p132-162, 1987-02
著者
八村 広三郎 関口 博之 英保 茂
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.335-336, 1993-09-27
被引用文献数
1

我々が絵画をひと目見たときに感じる印象には、色彩、構図、対象物の形状、筆のタッチ、技法、描かれている事物、テーマ、寓意など、さまざまな要因とレベルに基づくものがあるが、それらの中でも、色彩分布に基因するものが最も直接的、直感的に我々の感覚に受け取られる。実際、新聞や雑誌などにおける絵画の評論文についての調査では、色彩に関連した用語が高頻度で使用されていることが分かっている。ここでは、絵画で使用されている色彩の分布に基づいて、絵画の印象を表現するいくつかの「感性語」を抽出する。なお、本研究は、絵画を見たときの第一印象で得る「感性」と、画像としての絵画に含まれる「特徴」との関係について解明する研究の一部分であって、将来的には、絵画の他の要素、すなわち、構図やテキスチュアなどにより得られる印象と一緒に総合的に取り扱われる。本報告はその中間報告である。
著者
朴 志先 金 潔 近藤 理恵 桐野 匡史 尹 靖水 中嶋 和夫
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.160-169, 2011
参考文献数
39

本研究の目的は,未就学児の父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係を明らかにすることであった。調査対象はK県C市とO県K市内の保育所を利用している1000世帯とした。調査項目は父親の年齢,収入,就業形態,育児参加,家族・家庭に対する貢献感の認知,夫婦関係満足感,精神的健康,健康関連QOL,母親の年齢,児の数,末子の年齢,就業形態で構成した。本研究では実証すべき因果関係を,父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係において,父親の育児参加は,本人の家族・家庭への貢献感の認知を通して夫婦関係満足感と精神的健康に影響を与え,また夫婦関係満足感は直接的または精神的健康を通して間接的に健康関連QOLに影響すると仮定した。前記因果関係モデルのデータへの適合性と変数間の関係は回収された412世帯のうち,319世帯のデータを用いて,構造方程式モデリングで解析した。その結果,1)父親の育児参加は家族・家庭への貢献感から健康関連QOLに直接的に影響すること,また2)夫婦関係満足感ならびに精神的健康を通して健康関連QOLに間接的に影響することを明らかにした。以上の結果は,父親の育児参加を促進することの重要性を示唆している。
著者
堺利彦 著
出版者
有楽社
巻号頁・発行日
1907
著者
趙 剛 小林 亜樹 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.311, pp.23-28, 2000-09-14
被引用文献数
2

近年、画像内容検索技術が非常に注目されており、本研究室では、キーワードによる画像検索システムを提案してきた。従来システムの検索アルゴリズムでは、各量子化器の出力値が0か1の二値であり、最終出力に対して同等の影響を持つ。しかし、実際には量子化器の検索への重要性にばらつきがあるため、検索効率に悪影響を及ぼしていた。本稿では、量子化器の出力値の多値化による検索アルゴリズムを導入する。その実現手法として、実数値による重みの概念を導入して、量子化器単位における重み付け法やクラスタ単位における重み付け法を提案・実践し、対ユーザーインターフェースを作成し、実画像を用いた検索実験で提案アルゴリズムの有効性を確認した。
著者
川端 秀明 磯原 隆将 竹森 敬佑 窪田 歩 可児 潤也 上松 晴信 西垣 正勝
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.161-166, 2011-10-12

Android OSを搭載した端末では,アプリケーション(以下,アプリ)をインストールする際に,アプリが利用する機能や情報をパーミッションという単位でユーザに通知して,インストールの可否を仰いでいる.しかしながら,一度ユーザがアプリのパーミッションを許可してしまうと,そのアプリがパーミッションをどのように利用しているのか把握することができず,制御が効かない問題がある.そこで本稿では,実行中のアプリに対して,利用する機能や情報へのアクセスをリアルタイムで制御するフレームワークを提案する.危険を伴うパーミッションに付随するAPIに割り込み処理を実装し,パフォーマンス評価を行い有効性を示す.