著者
藤平 光壮 岩沼 宏治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.96, no.77, pp.17-24, 1996-05-24

逐次型探索において, 探索の順序は極めて重要である. PTTP型定理証明においては, ゴールの順序が探索の順序を決定する. ゴールの順序により探索空間の大きさが変わってしまう. 本研究では, 証明を開始する前に各リテラルの探索空間コストをある程度予測し, 探索空間が小さくなるようにリテラルの並び換えを行なう. 並び換えの方法をいくつか提案し, 実装, 性能評価実験, 他の証明器との比較実験を行なった.
著者
田中 雄次 加藤 幹郎
出版者
熊本大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

ワイマール映画史にとって最も重要な出来事のひとつが、ドイツ最大の映画社ウーファとアメリカの大手映画社パラマウント社とメトロ・ゴールドウィン・メイヤー社との間に取り交わされた<パルファメト>協定であった。研究代表者(田中雄次)と研究分担者(加藤幹郎)は、この協定のもつ歴史的意義を明らかにするために、海外(ドイツおよびイタリア)および国内(国立フィルムセンター)での調査研究をふまえつつ、論文化する作業を行った。平成14年度は、研究分担者に予定していた加藤幹郎がフルブライト奨学金によるアメリカでの映画研究のため参加できなかったために、研究代表者一人がドイツの国立映画研究所および東京のフィルムセンターでの調査研究と文献調査を行ない、その成果として論文「ワイマール映画のなかの女性たち」(『女と男の共同論』所収)を発表した。平成15年度は、8月にアメリカでの留学から帰国した加藤幹郎を研究分担者に加え、加藤のアメリカでの研究成果の報告と研究代表者のそれまでの研究成果の突き合わせを行なった。さらに研究分担者は、2003年10月にイタリアの無声映画研究シンポジウムに参加してドイツを含む1920年代ヨーロッパの無声映画の研究資料を収集して帰国した。研究分担者はその研究成果を研究代表者の勤務する熊本大学を訪問して報告し、その内容について双方で討論し検討した。その成果は、研究代表者の論文「ドイツの<アメリカ化>と国民映画の諸問題-<パルファメト>協定の歴史的意義」(『熊本大学社会文化研究2』・2004)で発表し、2004年秋までに刊行予定である研究分担者の著書『「ブレードランナー」論序説』(筑摩書房・2004)において公表される。今後は、<パルファメト>協定成立に至るまでのワイマール時代初期(1919-1923)の映画界の混乱した状況の詳細な分析と、<パルファメト>協定が形骸化していくワイマール時代後期(1928-1931)に製作されたドイツ映画の分析に重点をおいて研究を継続したいど考えている。
著者
諸岡 晴美 北村 潔和 鳥海 清司 諸岡 英雄 中橋 美幸
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、高弾性衣料として、女性ファンデーション、レッグウェア、スポーツウェアを取り上げ、繊維組成・糸構造・編構造、衣料のデザイン・カッティング・サイズの各因子と衣服圧強度・衣服圧分布との関係を検討するとともに、その衣服圧が人体生理に及ぼす影響を、従来の静止時に加えて運動時・活動時について、さらに若年層に加えて中高齢層をも対象に検討を行った。また、レッグウェアについては、従来軽視されがちだった色柄などの審美特性についても重点的に検討するなど、本研究においては、生理的にも心理的にも健康で快適な高弾性衣料のための基礎的研究から具体的な設計指針を導出し、開発研究にまで繋げることを目的として、被服材料学的、人間工学的、被服生理学・運動生理学的、感性工学的観点から総合的・複合的に解析した。当該期間の研究成果は以下の通りである。1.女性ファンデーションとして、ウェストニッパーおよびブラジャーを取り上げ、衣服圧に及ぼす要因を明らかにする一方、衣服圧が人体生理・心理に及ぼす影響を明らかにした。また、ファンデーション素材の熱特性と温熱的決適性についても検討した。2.レッグウェアとして、サポートタイプパンティストッキング(パンスト)および紳士用靴下の圧的快適性に関する研究を行った。また、審美特性としてパンストの透明感、色彩と縞柄の視感、パンストの構造特性と審美特性との関係を明らかにした。3.スポーツ時の人体生理に関する基礎的研究に加え、歩行・走行時の脚部疲労を軽減しうる圧分布を明確化した。また、腕伸展運動および膝関節運動時に活動筋を支援しうる圧分布のあり方を、弾性テープを用いた数種のテーピング効果を解析することにより明らかにした。4.その他、シリンダー方式による脚型着圧測定装置の開発や高機能性付与素材の効果の検証等を行った。以上の研究は、報文21報、投稿中2報の他、5報を投稿準備中、1件の特許出願を予定している。これらのことから、本研究の目的は十分に達成されたと考えられる。
著者
山家 哲雄
出版者
一般社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 = JOURNAL OF THE ILLUMINATING ENGINEERING INSTITUTE OF JAPAN (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.753-769, 2007-12-01

When December comes, the Christmas market is held in each European country. Especially, the Federal Republic of Germany is the best place for the Christmas. And, Christmas illumination begins in each German city. Therefore, the city of each place in Germany becomes a very fantastic mood as that result. The landscape of the Christmas and the culture of the Christmas at various places in Germany are introduced by this paper.
著者
内田 均
出版者
英米文化学会
雑誌
英米文化 (ISSN:09173536)
巻号頁・発行日
no.36, pp.149-167, 2006-03-31

Victorian Romance Emma, a Japanese anime TV-series adaptation of the manga from Kaoru Mori, has at least two basic backgrounds: One is a cultural preference for traditional occidental fiction such as Nippon Animation's World Masterpiece Theater TV animation series of adaptations of classic children's books, second is a business plan made under the media mix strategy involving game software, comics, light novels and other related products. The anime set in late 19th century London adopts relatively modest directing in visual style, which is in contrast to most of character-centered, action-packed animes in recent years. From the viewpoint of visual media, the chief attraction for this anime is the challenge of recreating the atmosphere, the people and places as authentically as possible. It portrays the barriers of class and wealth, which are enhanced by realistic physical representation, including various kinds of women's clothes like maid servant's outfits, a dirty apron, Victorian ladies dresses, or a tight corset. Gorgeous costumes and upperclass life suggest the conspicuous consumption of Victorian society, while the portrait of a humble heroine and the gentle characters around her might obscure the exploitation of low-wage labor. Its historical accounts or accuracy can be thought-provoking and encourage the viewers to reflect on their own sexual and political repression. However, the recognition that characters represented by anime or manga have a different verisimilitude from ones by live-action films, also leads them to assimilate other types of consuming visual images, especially of women. The effects of Emma will necessarily be complex and indirect, whereas commercial purposes inherent in many visual media would put Emma in another context, far from Victorian society. This paper will examine the aspects of consuming physical representation through Emma and wide range of simulated bodies including maid servants that have been rooted in Japanese pop culture.
著者
坂井 妙子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-24, 2009-01-15

In this essay, I explore the reasons why Victorian women anxiously wanted their garments to be "suitable for their complexions." In the Victorian period, "good complexions" not only meant fair skin that was fine in texture, they also signified the purity, fineness, and gaiety of the women to whom they belonged. In other words, good complexions were vouchers for good characters. This judgment was sanctified by the popular belief that good complexions were "a gift of Nature," and therefore a true exposure of one's purity in mind. The same belief demoralized people having different complexions. Reddened and flushed faces, blotches, freckles, even tiny black spots and oily skin were categorized as bad complexions. Such dichotomy idealized fair skin, while unreasonably denunciated all other types. Furthermore, women with bad complexions were labeled as immoral, because it was firmly believed that bad complexions were the result of indulgence, intemperateness, and vanity. They were stamped on the face as indelible badges of such sins. Cosmetics were also severely criticized, since they were incompatible with the ideal of "a gift of Nature." Under social and moral pressures, women had to find a means to improve their complexions. One of only a few socially acceptable options was to select the right colors for their garments.
著者
夏目 誠
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.101-108, 2009-02-01
被引用文献数
2

メンタルヘルス不調者が増加しているかどうかについて,1.マクロの視点,2.身近な視点から報告するとともに考察を加えた.結果:1.マクロの視点から1)2004年度の厚生労働省(厚生白書)の患者動向調査によれば,1984〜2002年度までの19年間に「うつ病」は4.5倍と,著明に増えている.次にうつ病と関連が深いとされている自殺者は,この9年間にわたり3万人台と高止まりが続いている.さらには抗うつ薬の販売額は増加している.2)職場の現状では2008年度の社会経済生産性本部の上場企業を中心にした調査によれば,「この3年で心の病が増加した」と答えた上場企業は56.1%にのぼり,年代では30歳代に多いと報告している.2.身近な視点1)筆者が精神科医として相談・診療に関与している企業4社では,いずれもメンタルヘルス不調者が増加している.2)2つの「うつ病やうつ状態をめぐる座談会」の参加者である,2名の精神科医や3名の心療内科医,産業医・心理学者のいずれもメンタルヘルス不調者が増加していると答えていた.以上の2視点からの結果より,増加しているといえる.
著者
別府 賢治
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

スモモの自家和合性に関わるS遺伝子を特定するとともに、自家和合化のメカニズムを解明した。また、S遺伝子による自家和合性の遺伝を確認するとともに、自家和合性個体選抜のためのDNAマーカーを作出した。これにより、スモモの自家和合性品種の育種を効率的に行うことが可能となり、このことは園芸的意義の大きいものである。
著者
金生 由紀子 太田 昌孝
雑誌
発達障害研究 (ISSN:03879682)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-29, 1994-05-15
著者
奥津 聖
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

『預言者ヨナの幻視-ミケランジェロのシスティナ礼拝堂天井画の構造について-』と題して『山口大学「文学会志」』に研究成果を現在連載中であるが, 枚数の制約もあって研究の現状に発表が追いつかない状態にある. 今年度の研究は上記連載とは別の形で『幻想天井画論』と題して美学会誌『美学』に発表する予定である. 二年間に亙るシスティナ礼拝堂天井画のイコノロジカルな画面内容の意味の解釈とイコニカルな画面構成そのものがもたらす新たな意味の摘出を踏まえて, 今年度の研究の主たる目的はこの特殊な幻想天井画の歴史的な系譜の探究に置かれた. その結果, 従来考えられてきたミケランジェロのバロック天井画への影響は本質的なものではなく, むしろ時代と場所を遥かに超えて, 南ドイツのバロケットの画家たちに受け継がれていることが判明した. 具体的にその一例を挙げれば, アルダースバッハの前シトー派修道院教会の長堂のアザム兄の手になる大天井画『聖ベルンハルトのクリスマスの幻視』がそれである. 「システィナ礼拝堂天井画に本質的な二重の意味構造を摘出し, 隠されたメイン・テーマを明らかにする」という当初の課題はほぼ達成されたが, 「この研究過程の美学的反省によって, 図像の意味内容の解釈学と構造自体の意味の解釈とを総合する方法論の模索」という第二の最も困難な課題は今後の課題として依然として残されている. 研究の方位が幻想天井画の系譜とその構造の分析にまで拡大されたため, 雑誌論文の制約の中で全てを発表することに著しい不都合を感じている. 研究成果の最終的な取り纏めは雑誌論文とは形式を別にして『預言者ヨナの幻視』と題して一冊の著書の形で公表する予定である.
著者
谷 陽子
出版者
徳島市北井上中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では,生徒が科学技術に興味を持ち,科学する目・発想する心を育てる授業を展開した。その課程が,生徒の科学技術に対する興味を高め,将来にわたり科学技術と関わっていこうとする意欲の向上につながる効果について,明らかにすることを目的とした。技術・家庭科(技術分野)の授業で研究を進めた。研究方法として,最初の授業で生徒の実態を把握するために,科学技術に対する関心度についてアンケートを実施した。特に,プログラミングについてどの程度興味があり,知識があるのか調査を行った。第一段階として,プログラムの基礎を学習し,LEDを点滅させるプログラムを作成した。プログラム言語には,「HSP」(Hot Soup Processor)を利用した。第二段階として,LEDとスピーカを利用した卓上ライトを製作し,その作品をどのように光らせ,メロディを鳴らすのかを考え,プログラミングをした。自分が制作したプログラムを卓上ライトに記憶させ,スイッチを入れると自分がプログラムをした光り方でLEDが光ったり,メロディが流れたりするようにした。その後,アンケートを行い,生徒の変容を調査し,この授業実践の効果を検討した。その結果,生徒の科学技術に関する興味は,一連の授業を展開することで向上する傾向が確認できた。指導に関する自由記述では「プログラムに関する学習をして,クリスマスのイルミネーション,電光掲示板を見る目がかわった」と回答した生徒もいた。このような実践的・体験的な学習活動により,科学する目・発想する心を育て,今まで意識していなかった部分(プログラム)に着目し,科学技術に対する興味を高めることが可能であることが確認できた。
著者
中村 義一
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.67-83, 1994-03-31

〈大いなる賭〉は,長い間シュルレアリスムの単なる亜流の小グループのように見なされるか,あるいはまったく無視されてきた。近年になって,アンドレ・ブルトン派シュルレアリスムに対するその独自の批判的立場が,西欧同様に日本でも見直されはじめている。しかし,〈大いなる賭〉の文学グループの創設に参加したただ一人のチェコ出身の画家ジョセフ・シマについては,彼の画業の全体はもちろん,<大いなる賭>時代の絵画も,日本では知られていないままである。このすぐれた画家の名と,彼の魅力的な数多くの作品が,いまだにわが国に知られていないのは不思議である。それは,日本の近代美術の成長過程における偏頗な西欧主義の特性に起因すると思われる。この試論は,このような観点から,日本の近代の美術の,特に30年代のシュルレアリスム絵画の,西欧主義的な典型的性格,すなわち非地方主義的な首都志向の矛盾した教条主義の問題を論じる。
著者
山崎 柄根
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.日本列島に広く分布するヒメギス属は、旧北区東部から広く見られるもので、従来Metrioptera属に属するとされていたが,この地域のものはそれまでの亜属のひとつEobianaに相当すると考えられ,しかもこれを属レベルに扱うことが望ましいと考えられたので,これを独立属として認めた。この属にはイブキヒメギスとengelhardtiの2種が含まれていて,後者にはシベリアヒメギスとヒメギスの2亜種が含まれると結論づけ、これらの属、種,亜種の記載をそれぞれ行った。2.本州に分布するキリギリス類のうち,広く分布するヒメツユムシ属Leptoteraturaはalbicorne,すなわちヒメツユムシ,1種があるが,本属の雄は特異な外部生殖器をもつことによって、琉球列島に産する国属のものとは系統を異にするように思われる。そしてこの系統が中国大陸に由来をもつであろうと推定していたが(Yamasaki,1982),フィラデルフィアの自然科学アカデミーにあるXiphidiopsis omeiensisを検したところ,ヒメツユムシalbicornisそのものであることがわかったので,日本のものとその後に得られた中国産の材料を比較し,あわせて東南アジアの本属の種分化について仮説を提出した。これで琉球列島の異起源と思われる本属の種の起源が問題になってきた。3.日本産EobianaとLeptoteratura2属の日本への侵入ルートを考察した。それによれば、ヒメギスEobiana engelhardti subtropicaは明らかに大陸側のE.engelhardti engelhardtiから分れた島嶼型で、北海道経由,本州へと侵入した。一方,イブキヒメギスEobiana japonicaはヒメギスから分化したとも、朝鮮半島から九州を経由して侵入したとも考えられ,今後、朝鮮半島の調査が必要と考えられた。本州産ヒメツユムシLeptoteratura albicorneは同種が中国大陸で確認され,亜種の問題もあるが,明らかに朝鮮半島経由といってよいと思われる。