著者
羽渕 裕真
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、路側に設置した配信基地局から "ブロードキャスト型光無線多値変調法" により情報配信し、取得失敗した配信情報を "車々間通信を用いたスペクトル拡散変調型ランダムアクセス法" により補間する光/電波融合通信システムを構築している。特に、ユーザ間で損失パケットを補間する誤り制御法、データの価値にしたがって配信可能距離を設定する階層型情報配信法とオンオフ信号に対応できる光無線変調法を検討している。
著者
宇陀 則彦 松村 敦 寺井 仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は学習と情報資源(教材、図書、学術論文、Web情報)の相互作用に焦点をあてた。思考と情報資源は連動しており、理想的な環境は適切な情報資源が思考に追随してくれることである。本研究では、電子図書館システムと密に連動することで図書館の豊富な情報資源をオープンコースウェアと連携させ、学習者の思考に情報資源が追随する非定型学習環境を構築した。研究を通じて得た知見は、学習における情報資源の役割は予想以上に大きいこと、思考と情報資源の相互作用は補完的であること、情報資源を提供するサービスは学習プロセスと乖離しており、改善を要することの3点である。
著者
朴 正洙
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、近年日系企業の課題となっている反日感情の重要性と実態について、敵対心と消費者エスノセントリズム研究を踏まえたうえ仮説モデルを構築し、日本の主要輸出相手国(アメリカ・中国・韓国・台湾)の消費者を対象に大規模な国際比較調査を実施した。その主要な研究成果として、反日感情に関連した諸概念の再構築が行われるとともに、日本の主要輸出相手国の消費者観点から反日感情の実態確認、そして反日感情モデルの信頼性と妥当性をアメリカ・中国・韓国・台湾の消費者を対象に検証したことによって、反日感情のメカニズムが明らかにされた。
著者
小栗 成子 柳 朋宏
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、セミダイレクトな添削指導のためのWebシステムERRMarkerをMoodleモジュールとして開発し、あらたな添削指導モデルを構築した。セミダイレクト手法の添削指導は、学習上の弱点に対する学習者自身の気づきを促すために有用で、英語レベルや学習動機に格差がある学習者集団においても、学習者それぞれの学習段階に応じて発生する学習ニーズを的確に把握する事を可能にしている。このセミダイレクト添削手法のMoodleモジュールは、スパイラル型指導の実践に貢献することができる。
著者
柳井 道夫
出版者
成蹊大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1970年代のタイの新聞をみると、日本に対するよりもアメリカに対する関心が強いことがわかる。英字紙も含めて、日本についての記事よりもアメリカについての記事が件数・スペースともにはるかに多い。大規模な日本製品不買運動のあった1972年や、田中首相の訪タイに反対する激しい反日デモのあった1974年においてもそうである。また1975年以降、日本がタイに対する最大の援助国となってからもそうである。その中で、きわめて厳しい対日感情が示されている。じつはこの厳しい対日感情の示される時期が、日本に対する関心の呼び覚まされる時期でもあった。日本の商品がタイに溢れんばかりに氾濫しはじめたからである。その氾濫にいたるプロセスが、日本製品不買運動を生むことになるのである。この時期のタイの新聞には、日本の商社および日本のビジネスマンに対する批判が、社説にもコラムにも頻繁に現われる。ある程度の誤解やタイの法律の不備によるところもあるのだが、日本の商社および日本のビジネスマンが不公正な手段でタイの産業を圧迫し、タイ製品を駆逐し、タイの市場を支配しつつあると論じているのである。しかし1980年代になると、日本の商社やビジネスマンの対応の仕方も変わり、ビジネス以外のさまざまな領域での日本とタイとの交流も活発化し、日本の対外援助のあり方も少しずつ変化し、対日感情も好転しながら、新聞における日本関連の記事も増えてゆく。1980年代後半の集中豪雨的な日本企業のタイ進出やODAの増加は、潜在的な批判をくすぶらせながらも、タイ社会に雇用の機会をもたらし、日本人との接触の機会を増やし、文化面での交流とあいまって、次第に好意的な対日感情を生み出してきているようである。こうした中で、日本の新聞でもタイ関連の記事が増えてきている。
著者
竹内 千依子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.55-64, 1982-03-31

「われわれはこの『過去』というものから逃げきるわけにはいかないのだろうか?」と彼は,今までどおり真剣な口調で話を続けながら叫んだ-「過去が,巨人の死体のように『現在』の上にのしかかっているのだ!実際まるで若い巨人が,年寄りの巨人,自分の祖父,もうとうの昔に死んで,ただ丁寧に葬りさえすればよいはずの死体を,あちらこちら運び歩いて体力をすっかり消耗するように強いられているのとと全く同じ状態なのだ。ちょっとでも考えてごらん。そしたらわれわれが過去の時代に対して-もっとぴったりする言葉でこれを云い表わすなら,『死神』に対して-どんな奴隷になっているかがわかって,あなたはびっくりすることだろう!-N. Hawthorne's The House of the Seven Gables
著者
大神 訓章 井上 眞一 朴 宣映
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-19, 2002-02-15

本研究は,高校女子バスケットボールチームにおいて,常時,全国のトップレベルに位置するO高校バスケットボールチームを分析対象として,先に報告したマルコフ過程の応用による数量化に則り,チームの戦力及びプレイヤーの競技力の解明を試みたものである。 分析データには,1999年度において,3冠を達成したOチームの公式25ゲームを用い,分析対象者は,プレイタイムの多い上位6名とその他のプレイヤー1グループである。 算出された数値は,高校女子バスケットボールのトップチームであるO高校バスケットボールチームの戦力を適切に評価し得る数値であり,プレイヤーのオフェンス力,並びにチームディフェンス力として標準化できるものと捉えられた。チーム戦力及びプレイヤーの競技力を数値で捉え,これらを把握することは,自チームの戦力評価,並びに他チームとの戦力比較において,コーチングの観点からも重要なことであり,本研究によって得られた戦力及び競技力の数量的評価は,指導の実際場面における客観的情報のひとつを提示しているものと思われる。 The purpose of this study is to analyze the basketball games, and numerical terms on basketball player's ability in detail on the women's champion team of high school in Japan by the application Markov process. The results may be summarized as follows : 1.It was shown that Y. W. and Y. O. were 0.575, 0.558 in the offensive efficiency (αi), that their another factors were high value, and therefore they are superior players. 2.The whole each factor was analyzed, advanced smoothly to a limit except 3 P. O team needs to have a practice of highest ability of 3 P. 3.The defensive ability for 2 P and 3 P showed high r-value at 2.211 and 1.152, respectively. This means that the defensive ability in which a balance was generally removed was rather than high. 4.It is understood that quantitative figures from the calculated data represent value which we can highly estimate the ability of the players of the women's champion team in Japan. They also represent the standard quantitative value of the superior players. 5.It is important that the team ability can be analyzed at the numerical value from the viewpoint of the coaching with regard to the ability comparison against opponent teams, and this seemed to show an objective information in terms of basketball coaching.
著者
竹森 利和
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2007, no.3, pp.297-298, 2007-09-07
被引用文献数
1

Heat transfer processes during a dry sauna (room temperature 70℃, relative humidity 10%) and mist sauna (room temperature 40℃, relative humidity 100%) were examined using a human thermal system. The results suggest the following: (1) During the dry sauna, the primary heat input to the body is convective and radiant heat gain, and the primary heat output from the body is evaporative loss. (2) During the mist sauna, the primary heat input to the body is condensate heat transfer, and there is no heat output from the body, which enables core temperature to increase like that during the dry sauna. (3) Skin moisture increase after mist bathing may be attained by heating and moisturing skin through condensation.
著者
秋田 正二 中澤 達也 葉山 敦史 石川 俊行 石井 基弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.381, 2001-10-18

ハイディフィニションオーディオ研究会の音響デモでは, NHEご好意による高品位マルチチャンネルサラウンドおよび信州大学工学部の研究活動内容に関する試聴会を開催します.音響デモは以下の5テーマです.(1)放送制作におけるマルチチャンネルサラウンド制作の現状PART-2, (2)パラメトリックアレーの収束による空中音源の構成, (3)動電型平面ディジタルスピーカの諸特性とノイズシェーピング技術の適用, (4)オーディオアンプの音質評価-トランジスタ, FET及び真空管回路の比較検討-, (5)音創シミュレータ.
著者
石井 健一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

2005年に上海、2006年に北京および口本でアンケート調査を実施し、同時に人民日報と朝日新聞の内容分析を通して、中国のナショナリズムに関して次のようなことが明らかになった。まず、共産党が宣伝をしている愛国主義的英雄は中国人(特に高齢者)の間に浸透していた。しかし、若者の間では浸透は低かった。しかし、愛国主義教育の効果については明確な証拠は得られなかった。年齢が低いほど、また学歴が高いほど愛国心が低い傾向があった。心理尺度を用いて分析した結果、愛国心と自民族中心主義は、異なる変数として区別する必要があることがわかった。また、前者は生活満足度と正の相関があるのに対して後者は負の相関があり、両者には異なる心理的なメカニズムが背後にあることを示唆している。若者は高齢者よりも反日意識が弱い。一方、日本でも同様に若者は反中意識が弱く、この点は日中で共通であった。上海での調査からは、上海の反日デモにおいて、デモ関連の情報は、新聞やテレビではなく、インターネットや携帯電話によって伝えられたことがわかった。また、ナショナリズム意識の心理的背景として、経済発展した中国への自信や中国文化への自信があるようである。また、反日意識が日本の製品を避けるという意味での影響を持つことがわかった。ただし、通説に反してインターネット接触が、反日意識を高めるという影響も認められなかった。新聞報道の内容分析からは、2005年の新聞報道は、日中関係を歴史認識との文脈で多く取り上げているこがわかった。また、日本でのアンケート調査の結果からは、日本人の反中意識も、メディア接触の量によっては説明することはできないことがわかった。今後はこれらの分析を精緻化するとともに、調査データの分析だけでなく、時系列変化を考慮に入れた日中間の相互的な影響過程をモデル化することが必要である。
著者
渡部 淳
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

中国本土・香港を中心としたフィールドワークや、国際学会への参加・発表・交流などで以下のことが明らかになった。改革解放後の中国においては、それまで全ての組織が党・政府・国家の一部であったものが、急激な社会経済変化に伴って、様々な新しい問題や社会状況を生み出している。土地、不動産などの私有財産の所有と、業界団体の権限の増加により、党・政府の外側に多様な社会団体を生み出した。これらの新しい社会団体は、直接あるいはメディアなどを通して間接的に、政府の方針と必ずしも一致しない意見を主張し、その数と影響力は増してきている。国内のNGOは環境、貧困救済、人権といった、経済成長の歪みに関する現場の知識・情報を生かしながら、これらの社会的問題の解決を助けたり、あるいは政府に抗議・提言などを行ったりしている。NGOのように新しい組織力や知識を持った団体が政府に行政訴訟で勝訴することが多くなっている。海外からの国際NGOもこの動きに参画して、活動も多様化している。中国と韓国では、社会的議論の惹起にマスメディアが果たす役割が大きいが、特に中国ではマスメディアが社会批判や社会改善の議論のプラットフォームとなって、学者、専門家、政府のシンクタンクの研究員などの知識・思想を社会に伝達している。このマスメディアの機能は、北東アジアの社会変化のキーとなっているが、国際関係において特定の見方やトピックに偏った報道によって、北東アジア諸国のお互いのイメージを損ない歪曲する否定的な面も、中国でのサッカーでの暴動や、反日デモの報道などで確認された。日中韓の各社会には、国際協力を希求する知的センターが存在し、潜在的に地域的なネットワークやコミュニティーを形成する能力を持ち、またそのような意図を内包している。これらの知識力の地域レベルでのネットワーキングは始まったばかりであるが、将来的に影響を増すことが予想される。
著者
園田 茂人 菱田 雅晴
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度にあたる2007年度は、従来の研究成果を取りまとめ、対外的な発信を行うことに最大のエネルギーを払った。たとえば、中国社会学会第17回全国大会で"Two Types of Urban New Middle Classes in Confucian Asia?"と題する発表をし、アジア内部における中間層の2類型論を展開するとともに、今回のプロジェクトで得られた2時点データを利用して、東北大学の不平等研究拠点が主催したシンポジウムで"Social Inequality and Injustice in Developing China:Some Empirical Observations"と題する発表を行った。また、11月2日には、中国の4都市で調査を担当した海外共同研究者4名を招聘し(上海大学の仇立平氏が都合で来日できなかったため、代わりに胡申生氏を招聘した)、早稲田大学現代中国研究所と共催で国際シンポジウム「中国の階層変動と都市ガバナンス」を開催、日本の中国研究者も含めて討論を行った。これらの作業を通じて、最終的に確認できた現代中国の階層変動に関する知見は以下の通り。(1)前回調査からも、学歴別にみた月収は格差が拡大している。また、収入格差に対して不公平だとする評価が高まっており、これが全体の社会的不公平感を強めている。(2)しかし、学歴が社会的不平等を生み出しているという認識は強くなく、教育機会をめぐる不平等以上に、教育達成のもつ公平性・健全性が強く意識されている。(3)富裕層は、1990年代の外資系企業・私営企業といった周辺セクターから2000年代の国家機関・国有事業体へとシフトしており、発展の「体制内化」が急激に進んでいる。そのため、学歴(文化資本)、権力(政治資本)、収入(経済資本)の独占状態が生まれつつあり、従来の社会主義体制を否定する力学が生まれている。
著者
王 志安
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、20世紀最後の20年から今日に至るまでの中国と国際法の関係を、国際法の受容、適用および実効性にかかわる理論および実行についての体系的検証を通して、解明することを目的とするものである。3年間の間研究を通して、『中国と国際法--その開放政策30年の軌跡』という一つの研究成果をほぼ完成するに至った。具体的には、中国と国際法の基礎理論、国際法に対する中国の基本政策、中国における国際法の実行という3部構成からなる。
著者
日下 みどり 日下 翠
出版者
西日本新聞社
雑誌
西日本新聞
巻号頁・発行日
2002-01-25
著者
望月 康恵 大形 里美 森谷 裕美子 田村 慶子 織田 由紀子
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、東南アジア地域におけるジェンダー主流化の動きとNGOの役割について考察したものである。望月康恵(研究代表者)は、東南アジアの国際機構・制度に着目し、ジェンダー主流化への対応と加盟国との関係について考察を行い、機構・制度の独自の取り組みについて検証した。また、職務権限上の制限、加盟国への影響、取り組みの評価の必要性や将来への課題についても検討した。田村慶子(研究分担者)は、マレーシアおよびシンガポールの女性政策とNGOの関わりについて現地調査と具体的な検討を行った。それぞれの政府の女性政策と女性の地位について歴史的に明らかにし、またNGOが政府や州の政策にどのような役割を果たしているのか、その協力および対抗関係について分析し、問題点と課題を明らかにした。森谷裕美子(研究分担者)は、フィリピン、パラワン社会におけるNGO活動の個別、具体的な調査を行った。その結果、少数民族社会におけるNGO活動にはジェンダー主流化の配慮が欠けている例が多く見られたため、さらに、少数民族社会に影響力の大きいNGOにどのような課題が残されているかを明らかにし、今後、少数民族社会とNGOにどのような関係が期待されるのかを検討した。大形里美(研究分担者)は、インドネシアの女性政策の流れ、そして女性組織(社会団体、及びNGO)の発展について、インドネシア政府による2000年以降のジェンダー主流化政策が女性NGOの活動とアドボカシー活動によって実現したものであることを確認した。また、ジェンダー主流化に関連する様々な分野で活動を展開している女性NGOに着目し、組織の発展、活動内容について検討した。織田由紀子(研究分担者)は、ジェンダー主流化政策の歴史的変遷を踏まえつつ、アジア地域においてジェンダー問題に関わるNGOについて現状分析を行い、NGOが国境を越えたネットワークを通じて多様な課題におけるジェンダーの主流化の推進に影響を及ぼしてきていることを研究した。なお、研究代表者および分担者は、研究会を定期的に開催し、報告および意見交換を行うことによって、研究の進捗状況および方向性を確認しながら分析を深めた。その成果を日本国際政治学会東南アジア分科会(2002年11月淡路夢舞台国際会議場)にて報告し、また成果の一部を『アジア女性研究』(12号、2003年)の特集「ジェンダー主流化におけるNGOの役割-東南アジアを中心に」に掲載した。
著者
柴田 博 杉澤 秀博 杉原 陽子 黒澤 昌子
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.既存のパネルデータの解析と公表生涯現役の意義と生涯現役の条件の解明という視点から、パネルデータを再解析した。具体的には、ボランティアや介護などの無償労働が高齢者に与える影響、無償労働の継続に関連する要因については杉原が、就労継続、中断、引退が高齢者の心身の健康、家庭生活、地域生活に与える影響については杉澤が分析した。2.第4回パネル調査の実施とデータベースの作成平成17年10月に第4回パネル調査を実施した。これまでの調査の中で強硬な拒否を示した人を除く対象者に対して調査を実施した。今回のパネル調査から、対象者の高齢化により健康上の理由で未回収になる可能性が高くなることを想定し、健康上の理由で調査に応じられない人に対しては、家族など対象者の状態をよく知っている人からの「代行調査」を実施した。さらに、回収率を維持するために、第4回パネル調査の未回収者のうち、不在・体調不良などの理由で未回収であった者に対しては、平成18年1月に追跡調査を実施した。以上の結果、本人回答による回収数は2,603、代行調査の回収数は65、代行調査を加えた回収数は2,668となった。回収率(代行をくわえた場合)は第1回パネル調査の完了者対比では67.1%であった。3.4回のパネルデータの解析(1)就労、ボランティア、家事・介護などのプロダクティブな活動が心身の健康に与える影響について、その因果メカニズムも含めて解析した。(2)ボランティア活動や奉仕活動の維持・促進要因を階層、地域、就労などとの関連で解明した。(3)就労に関しては、定年後の再就業の要因を、就労推進策、階層、職業観、経済、健康の面から多角的に検討するとともに、定年後の就業の質について定年前と比較することで解明した。(4)失業、定年退職が心身の健康に与える影響について解明した。
著者
村川 〓
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.97-108, 1958-09

数種類の成分の洋白の板について低温焼鈍の効果をしらべて,300℃から450℃にわたって焼鈍硬化による硬さの極大が二つの温度で起ることを見出した.この温度は洋白板に与えた(冷間加工による)内部歪み及び成分によってかなり著しく左右されることがわかった.精密バネ材料として洋白板を使うときには(冷間加工の前の中間焼鈍温度は約650℃として)上述の二つの温度のうち高温側の温度より少し低い温度で低温焼鈍を行なうことが望ましい.鉛を含有する洋白板の被切削性を良くするには中間焼鈍温度を約800℃とすることが望ましいことがわかった.精密バネ材料として役に立つ洋白板の顕微鏡組織を圧延面を検鏡面としてしらべると,その結晶粒は統計的に(双晶が圧延されたものは別として)細長くないが,被切削性の良い洋白板のそれは圧延方向に細長いものが多いことがわかった.以前の純銅板の低温焼鈍に関する研究を続行して,以前よりもっと純粋な銅(99.99%Cu)の板について焼鈍効果を研究した結果,この度も明らかな低温焼鈍による硬化が見られた.この硬化が0.01%以下の不純物によると考える根拠は発見し難い.したがって完全に不純物のない純銅の板でも焼鈍硬化が起ると結論することができる.焼鈍硬化の機構としては析出硬化とは結び付けないで,焼鈍のために内部歪みが緩和しようとしてdislocationが移動して結晶粒界の附近でdislocationが移動し難いような配置をとると考える方が実験的事実とよく調和する.黄銅及び洋白の板に於ける焼鈍硬化も同様に考えることができる.