著者
熊野 善介 岡田 拓也
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会東海支部大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
no.53, 2006-11-19

子ども達に科学に対する興味、関心を持ってもらおうと地域科学教室や科学の祭典などが多く開かれている。しかしこれらの活動は単発的であり、興味関心を持続させる継続的な学習の場が十分に確保されているとはいえない。その問題点を克服しようとするのが「どきどき科学探究教室」である。今回で三回目となるこの教室は、終日かけて科学者と触れ合い、夏休みの研究の相談、支援をすることが特徴である。この教室の報告を行い、これからの学校外科学教育のあり方を考える。
著者
林 信太郎 伊藤 英之 千葉 達朗
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.XXVII-XXVIII, 1997-09-15
被引用文献数
2

1997年8月16日午前11時頃, 秋田焼山(標高1366m)山頂の北東500mの空沼(からぬま)付近で水蒸気爆発が発生し, 同時に継続時間約1時間の火山性微動が観測された. 噴火の起こった地点は1949年の火口群の位置にほぼ相当する(第1図; 津屋, 1954). ここでは, 噴火の二日後の18日に撮影した写真を中心に水蒸気爆発噴出物およびその火口について紹介する. 現時点で見つかった地質学的証拠から8月16日の噴火の過程を再現すると次のようになる: 1) 新火口b1あるいはb2から泥が吹き出し, 空沼火口に「泥流」となって流れ込み, 2) 次に新火口aから火山灰, 噴石が噴出, 3) 最後に新火口b2から少量の泥が噴出し. それ以前の堆積物を同心円状におおった. なお, 今回の噴火の総噴出量は1万m<sup>3</sup>以下と推定される.
著者
唐沢 力 赤井 一郎 小松 晃雄 飯田 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

@試料の準備としてすでにあるGaSe単結晶の他に、気相成長法でBiI_3、PbI_2単結晶の育成を行った。@BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、窒素レーザー励起色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポンプ・プローブ吸収とポイント励起発光スペクトルに空間分解分光法を適用してその空間的挙動を遷移スペクトルの変化より調べた。解析で得られた広い空間域へ拡がる励起子成分に対し、励起子の二次元流として解析して、この成分がコヒーレントな集団運動を行っていることを見出した。この成分が新しい励起子凝縮相である可能性を議論した。@このSFE励起子系に、モードロックNd:YAGレーザー励起のピコ秒色素レーザーを用いて、空間分解した諸種のピコ秒分光を適用した。ポンプ・プローブ吸収および発光の時間-空間分解スペクトルから、高密度成分がポラリトンの群速度に匹敵する速さで空間を移動していることを見出した。さらに、2光束を空間分離した縮退四光波混合(DFWM)信号の検出を行い、高密度下で空間伝播してきた励起子成分による信号の発生を確認した。これら励起子集団の振る舞いとボーズ凝縮との関連を議論した。@GaSe結晶の励起子遷移域を、ピコ秒色素レーザーで共鳴励起してDFWM信号を検出し、励起子共鳴より低エネルギー側に励起子分子によると思われるスペクトル成分を見出した。また、2光束空間分離励起で、高密度励起子の集団運動によると思われる信号強度の波数ベクトル依存性を見出した。@理論的には、電子正孔分離型の量子井戸中の励起子凝縮相の示す超流動が、電流の形で直接観測できることを示した。また、理想的にコヒーレントな高密度励起子集団のダイナミックスを明らかにするため、非線型Schrodinger方程式を解き、その時間・空間発展を明らかにした。その結果とBiI_3高密度SFE系の時間・空間的挙動を比較し、この励起子系のボーズ凝縮相の可能性について議論した。
著者
関口 欣也
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.128, pp.46-57, 60, 1966-10-30
被引用文献数
1

1)中世禅宗様斗〓は中国南宋頃の正統的な斗〓形式をうけつぐものであるが, 中国のものと異り肘木長さを2種類に統一し, 斗も立面上大斗と巻斗の2種で構成するのが一般的である。したがって斗〓は巻斗配置法の各型を通じて立面的に斗が上下に整然とそろう。すなわち禅宗様斗〓は細部の精緻な整備感を重んずる日本的感覚によって中国斗〓を整理単純化したものとみてよい。2)禅宗様の斗〓形式は斗の配置法によりA・B・C・Dの4型に分類される。このうちA・B・Cの3型はいずれも14世紀から存在し, なかでも秤肘木上巻斗外面と長い肘木にのる巻斗内面が相接するととのったA型が中世の主流形式である。またA・B・C 3型よりも秤肘木の相対的長さを長くしたD型は室町末から現れ近世初期の禅宗様仏堂にかなり用いられるが, これは斗〓一具としての1体化した整備感よりも, 斗〓部材を大きくみせる傾向をしめすもので, 一つの和様的感覚をしめすものとみてよい。また斗〓の変化としては中国の仮昂に発したと考えられる折線状肘木の使われ方と形状の変化がある。すなわち14世紀には当初の擬似尾〓的役割を意匠的によく伝えて折線状肘木を壁面と直角方向に配するが, 16世紀には1つの装飾的モチーフとして壁面と平行な方向にも用いられ, 形状も当初の直線状のものから下端が凹曲線になるものや繰型をもつものへ装飾化していった。3)斗〓立面の特殊例には法用寺本堂内厨子斗〓と安国寺経蔵内輪蔵斗〓がある。法用寺本堂内厨子斗〓は東大寺鐘楼斗〓を先行例とする三つ斗と五つ斗を重ねた特殊で複雑な形式であるが, 上下の斗を整然とそろえ, かつ各巻斗間隔を一定にし, 軒中央では六枝掛と通ずる〓と巻斗の関係がみられるなどいちぢるしく和様的な処理がある。安国寺経蔵内輪蔵斗〓はこれと対照的にいちぢるしく中国直写的な性質をもち, 当時日本ではかなり多様な中国斗〓の各型がしられていたことをしめす。4)禅宗様斗〓の一般的傾向と中国斗〓を比較すると, 斗の種類の点で中国的性質を痕跡的に止めるものが関東に存在する。安国寺経蔵内輪蔵斗〓の中国直写的性質をあわせ考えると, 禅宗様斗〓は当時の中国斗〓の各形式のうち日本的感覚に適合したものを撰択的に輸入したのではなく, 禅宗様斗〓は中国斗〓を日本で日本的感覚により整理単純化しかつ洗練させていったものであろう。ただし, その洗練はかなり急速であったろう。5)斗〓断面は中国斗〓の性質をよく伝えているが, 尾〓の配し方に, 上下尾〓が平行で内外一木をなすものと, 上下尾〓が相互に有角をなし下尾〓が内外で縁が切れ急勾配でたち上り上尾〓を支える型とがある。中国では発生的に前者の方が古いが, 後者も中国で11世紀に成立している。したがって日本における両者の間には年代差はなく, 当時の中国における両形式の併存状態を反映したものと考えるのが妥当である。また関東禅宗様斗〓の尾〓は有角に定形化している。関西では一般的には上下尾〓が平行であるけれども, 有角のものもあり, 関東ほど定形化していない。このことは関西禅范の中心をなす京五山が創立時では13世紀初頭から14世紀末にわたり, 発願者も朝廷・公家・武家に分れ, このため各寺の建築的伝統が独立的であったのではないかと想像される。このように考えてみると, 関東禅宗様斗〓の定形化は単に地方色だけとしてみるべきでなく, そこに鎌倉五山の雄たる建長・円覚両寺の強大な建築的権威を推察せしめるものがあろう。
著者
田辺 亮 山崎 隆浩 芦澤 芳夫 岡 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.322, pp.21-26, 2004-09-21

sub-100nm領域の極微細MOSFETにおいては,従来のDrift-Diffusion輸送モデルで完全に記述するのは難しく,モンテカルロ法による解析が注目されている.最近ではFinFET,TriGate FETなどNon-Planarデバイスが非常に注目されており,これらは従来の2次元シミュレーションでの解析は難しい.そこで,我々は富士通製モンテカルロ・シミュレータFALCONを3次元に拡張し,マルチゲートデバイスの検討を行った.第一原理擬ポテンシャルバンド計算プログラムと結合することにより,歪みSiの計算を行い,さらに,Bohmポテンシャルを用いる量子補正により量子効果の計算も同時に可能にした.
著者
源河 直也 横山 節雄 中村 直人 山田 朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.55, pp.21-26, 1995-05-20
被引用文献数
2

前回,東京学芸大学における教育環境とそれら資源を活用するための情報教育の必要性について述べた.それに基づき,筆者等は,WWWとそのブラウザーであるMosaicを用いた教材を開発したことについても述べた.本報告では,前回報告を行わなかった東京学芸大学教育情報科専攻のカリキュラム構成について述べ,次に,カリキュラムの導入段階の考え方について述べる.最後に,電子教科書を用いた情報科学概論と演習の構成を紹介する.
著者
平川 祐弘
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.163-183, 2005

ハーンの『因果話』は松林伯円の『百物語』を基に英語で再話した怪談だが、嫉妬した女の手が、死後も相手にくっついたまま離れないという恐ろしい話である。ハーンは原作者と違って平和な風景の中で話を始めることで怪談の効果的な結びをきわだたせた。アイルランドの怪談作家ルファニュもThe Handという作品で白い手という身体の一部分の神出鬼没を描いたが、その手が出没する動機が説明されておらず、そこに読者の側の不満が残る。読者は怪談の中でも合理性のある話の筋を求めているからである。超自然的な現象であろうともハーンの『因果話』には女の嫉妬という動機があった。同様にモーパッサンのLa Mainにも復讐という動機が超自然的な、切断され、鎖に繋がれた手による相手の殺害を説明している。モーパッサンの『手』を読むと、その中に用いられた蜘蛛のイメージをハーンが『百物語』を再話する際にも用いたことが知られる。ちなみにハーンはモーパッサンの『手』の英訳者でもある。
著者
宮本 貴朗 田村 武志 廣石 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.291, pp.1-5, 1997-09-26
被引用文献数
8

我々は、教育CALSの基本概念に基づき、良質な電子教科書が容易に作成できる開発支援システム (モデル) を作成した。はじめに、「良い教科書」といわれる教科書の構造・特徴を分析し、その構造・特徴をDTDにより定義した。これが電子教科書作成支援モデルである。教育対象知識をこのテンプレートに書き込むことにより容易に電子教科書を作成することができる。
著者
太田 信夫 加藤 正 向後 博 布田 由之 望月 一男 永田 善郎 河路 渡
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.183-188, 1976

日常診療において, 腰痛患者に接することは多く, 腰椎レントゲン上, 移行椎を見る事もまた多い。古くより両者の因果関係が多く論じられて来ているが, 今回少数ではあるが, 腰痛者, 非腰痛者の腰椎レントゲン写真を比較検討し, 腰痛と移行椎がはたして, かかわりあいを持つものかどうか改めて統計的考察を試てみたいと思う。
著者
比嘉 実
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究 (ISSN:13494015)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.97-142, 1975-10-20
著者
酒井 康行 EVEOU Fanny EVENOU Fanny
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究では,高酸素透過性かつ微細造形性に優れたポリジメティルシロキサン(PDMS)を用いて,細胞層を三次元的に培養しつつ背面から酸素を直接供給する培養基質表面を作成し,各種肝細胞の組織化と機能を検討した.これにより,細胞の三次元的な組織化と酸素・栄養素の供給とを静置培養にて簡便に両立する新たな肝細胞培養系の構築を目指した.増殖が可能な分化型肝細胞株Hep G2の場合では,酸素直接供給プレート上で細胞は自発的に5-6層まで重層化増殖し,縦断面の組織学的観察から細胞は密な三次元構造と立方体状の形態をとっていることが示された.また,単位細胞当たりで通常プレートの約20倍以上という高いアルブミン分泌能が観測された.本細胞については三次元ピラー構造の影響は少なく,劇的な効果は酸素直接供給に専ら拠るものであった.以上の結果はTissue Engineering C誌に投稿し,査読意見に従って改訂中である.一方成熟ラット肝細胞の場合には,三次元ピラー構造を持つ表面で酸素を直接供給することで,肝細胞が自発的に凝集体を形成し,三次元構造と高い機能とが観測された.三次元ピラー構造無しでは細胞は表面から容易に剥離した.また,酸素供給無しでは細胞は数日のうちに死に至った.酸素消費速度が高い肝細胞の培養については,通常プレートでの培養では圧倒的に酸素不足に陥っていることが指摘されていたが,実際にその制限を取り除いた場合に,細胞がどのような挙動を取るかを観測した例は皆無であった.以上の結果は,スクリーニング目的のための肝細胞培養において,簡便かつ多検体処理に適しているマイクロプレートフォーマットで,各ウェル内に最小限の三次元組織体を容易に形成できることを示しており,肝細胞を用いたプレートアッセイの改善に関する寄与は大きい.
著者
黒木 美紗
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.31-39, 2007

Infants are born with some preferences to some specific stimulation to extract important information from the environment to the adjustment and the living by priority. This limits environmental stimulation and the experience that infants receives, and provide constant directionality in development. In early infancy, infants' various abilities and the behavior styles of infants are acquired based on this perceptional and behavioral bias. The ability of responding to joint the attention was also considered to develop based on infants' visual perceptional bias. However, the development base of another side of joint attention-initiating joint attention-was not clarified yet. In this thesis, the effect of emotional state on infants' attention was considered as the trigger of infants' initiating join attention.
著者
内海 泰弘 村田 育恵 椎葉 康喜 井上 晋
出版者
九州大学農学部附属演習林
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
no.88, pp.45-56, 2007-03

日本民俗学発祥の地とも呼ばれ,伝統的な植物民俗文化を維持している宮崎県椎葉村大河内地区において,生育する高木(針葉樹10種,広葉樹59種と6類)の伝統的な利用法とその方言について集落の複数の年長者から聞き取り調査を行い記録した.その結果,建築材として用いる場合は木材の強度,耐久性,加工性などの要件を組み合わせて部材に応じた樹種の選択が行われていた.一方,器具材には材の重堅な樹種はその重堅さを,軽軟な樹種はその軽軟さを生かす利用が図られていた.また,ほだ木にはキノコとその発生する樹種との対応関係を把握した上で,ほだ木としての耐久性と利便性から状況に応じて多くの樹種を利用してきたことが明らかになった.Shiiba village has been believed to be the birthplace of Japanese folklore. The traditional name and usage of 69 tree species growing in Okawachi Settlement, Shiiba Village were described based on the hearing investigation from the learned elders of the settlement. Construction wood was chosen mainly from coniferous species in view of the strength, endurance and workability. Furniture and instrument wood were selected from the degree of hardness and density in accordance with the purpose of usage. The tree for mushroom cultivation was determined depending on the compatibility with the fungi and durability of the mushroom bed.
著者
中野 藤生
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.215-222, 2005-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
奥村 武久 河原 啓 高野 新二 岡田 三千代 林 光代 鈴木 英子 野田 恵子 木村 純子 長井 勇 植本 雅治
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学保健管理センター年報 (ISSN:09157417)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.47-55,

定期健康診断に対する一般学生の持つ不安をアンケートによって調査した。1983年度と1984年度の回答を比較することにより,次の結果を得た。(1)1983年の結果と1984年の結果が非常に近似した。(2)健康診断の必要性は,1984年の新入生の89.6%,大学院生の94.3%が肯定した。否定は新入生の女性の12.8%が一番高い数字であった。(3)健康診断前の不安は,新入生の場合,男性の25.4%,女性の31.1%で女性の不安率が高かった。(4)不安の理由として,新入生の男性は視力,色覚を第1位に,新入生の女性は体重を第1位に挙げていた。(5)終了後の心配については,再検査の必要なものすべてが心配になるのではなく,20〜67%程度であることが判明した。(6)再検査の項目によっても差異があり,検尿の再検査者の中に心配になった者の率が高いことが分った。(7)批判・不満・要望の意見を検討すると,次の事が明らかになった。(a)一番多い批判は「時間がかかる。混む」という意見であること(b)尿検査の表示についての不満を解消するための努力によって,次年度にその効果が認められたこと(8)得られた意見と現状とのつき合わせを繰返すという息の長い努力が健康診断を望ましい方向へ近づけるのに重要であることを指摘した。