著者
小島 一浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.123-130, 2004-08-05

本研究では,Peer-to-Peer(P2P) システムにおいて,コンテンツ発見を容易にするために,ユーザの嗜好に着目する.Peer が公開しているテキスト・コンテンツからPeer の嗜好を定義する.さらに,嗜好の類似したPeer をネットワーク上で近くになるように自己組織化的に再配置し,P2P ネットワーク上にクラスタを形成する.これにより,ネットワークの通信負荷を抑制しつつ,コンテンツの発見率を維持させることができる.さらに,自己組織化されたネットワークの1) ネットワーク直径,2) WS クラスタリング係数を測定したところ,Small-World ネットワークが形成されていることが分かった.また提案プロトコルの実装例として,研究者向けサービス,論文の分散アーカイブ・検索システムの開発例を紹介する.In this paper, to improve the Peer-to-Peer(P2P) search performance, I focus on the user's preferences. A user preference is calculated from the documents that are shared by user. The P2P network is reconfigurated according to the proposed algorithm, so that clusters are self-organized. I evaluate the performance of the self-organized network through simulations. These results show that the self-organized community network keeps the high query hit rate without overflow. Moreover, the self-organized network shows the properties of Small-Worlds, that is, 1) low diameter and 2 ) high clustering coefficient. As an example of implementation, I show the P2P archive and search engine system of articles for researchers.
著者
今野 真二
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.59-73, 76, 2001-03-31

本稿では、西行を伝承筆者とする一〇文献に就き、これまで藤原定家の表記に関して指摘されてきたことがらが定家に先立つ藤末鎌初の仮名文献資料に看取されるのか否か、という観点を設定しながら、ひろく当該期の仮名文献を見渡して気づいたことがらの報告を行なう。これらの文献には後世のような、表語ひいては音韻と結びついた機能的な仮名文字遣はいまだみられないが、「行」に関わる仮名文字遣らしきものはみえており、書記の単位としては「行」が中心であったことを窺わせる。ただし、その一方で、〈ゆへ〉〈まいる〉〈なを〉〈ゆくゑ〉など、語によっては古典かなづかいに非ざるかたちが固定化し始めており、書記の意識は「行」から、「語」へと移行しつつあると思われる。藤原定家との関わりで言えば、行頭に同じ仮名が並んだ場合の「変字」は、当該期の資料にもみられ、また異体仮名〈地〉を音韻ヂに充てたと覚しき例も散見する。したがってこれまでに定家の書記に関して指摘されていることがらの多くは藤末鎌初の仮名資料にもみられ、定家はそれらを総合的にかつ意識的に行なったと考えるべきである。「定家以前」の状況が明らかになることによって、これまで定家に関して指摘されてきたことがらを史的展開の中で評価することができると考える。
著者
赤穂 昭太郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.594-602, 2000-10-15
参考文献数
31
被引用文献数
5
著者
南 雅代 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.9, pp.46-54, 1998-03

第10回名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計シンポジウム(平成9 (1997)年度)報告 「最新型タンデトロン加速器質量分析計(加速器年代測定システム)による高精度・高分解能14C年代測定の利用分野・方法の開拓(II)」
著者
竹内 孔一 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2679-2689, 1999-06-15
被引用文献数
13

近年 インターネットの普及により OCRを用いたテキストの電子化がますます重要な課題となってきた. 日本語におけるOCR誤り訂正の先行研究には OCRの文字候補と品詞タグ付きコーパスを利用した研究がある. しかしながら 分野が異なれば単語の出現分布などが変わることから 誤り訂正を行う分野と同分野のタグ付きコーパスを用意する必要があり それには大変コストがかかる. また 分野によっては統計学習に必要な電子化テキストデータがない場合も多い. そこで まず我々は学習用として電子化された大量テキストデータを仮定したOCR誤り訂正システムを構築し ランダムに生成された文字置換誤りテキストに対する訂正実験を行った. 次に 電子化テキストがない分野に対して OCR処理された誤りを含むテキストを学習に利用するシステムを作成し評価を行った. システムは 文字trigram 統計的形態素解析システム 単語trigramを用いた. 大量テキストを仮定したシステムでは 90%の文字読み取り精度のテキストを92.9%まで改善し 95%の精度のテキストを96.4%にまで改善した. また 電子化テキストデータがない場合について 実際のOCR処理されたテキストに対する訂正実験を行い その有効性を示す.In recent years, OCR error correction is getting more and more important for the purpose of converting printed texts into electronic ones on computers. As a previous work, there exists a study of OCR post processing which uses OCR's character candidates and a morphological analyzer trained on part-of-speech-tagged corpus. However, too much cost is required to prepare pos-tagged corpus for each domain. In this paper, we present an OCR error correction method which uses stochastic language models trained on large texts. We also construct an OCR error correction system which uses OCR's output texts in a domain in which no large scale training text exists. Our system consists of the models of character trigram, a stochastic morphological analyzer and word trigram. We show that the models trained on large texts improve a text of 90% correct character rate into that of 92.9% correct rate and a 95% correct text into a 96.4% correct one. We also show how the models trained on OCR's output texts correct errors in the OCR's output texts.
著者
大野 裕史 内山 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.506, pp.53-56, 2007-01-19
被引用文献数
1

鳥類の向網膜神経核(ION)の向網膜ニューロン(IOニューロン)は,軸索突起を対側網膜に投射しており,網膜出力の注意による調節に関係していると示唆されている.我々は可動式金属電極をION埋め込み頭部無拘束ウズラのIOニューロンの活動を記録した.同時に高速度カメラ(100fps)と加速度センサを用いて頭部運動を記録し,頭部の運動や開眼開眼によるIOニューロンの活動の変化を観測した.その結果,IOニューロンの発火には光刺激に誘発される受動的な活動と特定の方向への頭部運動に先行する能動的な活動が存在することがわかった。受動的な活動によって受容野をマップすることができる.能動的な活動は,その受容野のある方向へ嘴を向けるような頭部サッカードの0-200ms前に起こる.これらの結果に基づき,IOニューロンの機能的意義について考察する.
著者
國府 久嗣 園田 勝英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.35, pp.15-20, 2007-03-28

日本語テクストに含まれる語彙項目間のコロケーションに着目し、その状況を視覚化することでメッセージ分析を行なう方法について考察した。このとき統計手法としては主に多次元尺度構成法を用いている。本発表ではコロケーション定義のうち重要な部位をなす Span について、値や判定法を変化させた際の分析結果との相関について検討した。これによって語彙項目以外を Span に含まない方式には、分析結果が span の値によって過敏には左右されない特徴があることを明らかにしている。対象テクストが恒常的に有していると考えられるメッセージを抽出し分析するという観点からはこの性質はのぞましい点にも言及した。In this paper we will suggest that it will be useful for interpreting the message(s) of a Japanese text to visualize its frequencies of lexical collocations. The visualization is based on MDS. We explore into the effects of various settings of span. Span is currently considered to be the central parameter of the notion "collocation" in that two elements are said to be in collocation when they cooccur in a certain specified span. It is shown that various settings of the span length do not significantly affect the final configurations obtained through visualization, when span is defined with non-lexical, i.e. functinal, elements excluded. The result supports our initial suggestion because the message of a text we are trying to capture is one of its constant properties.
著者
井原 雅行 小林 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.663, pp.1-6, 2004-02-13

チャットなどのテキストベースのコミュニケーションでは,対面コミュニケーションの場合と比較して,円滑な意思疎通を行うことが難しい.本研究では,意思疎通の補強手段の一つとして,人間の価値観の類似に関するデータを抽出して共有することを目指している.人間が感じる価値観の類似や相違は,対話インタラクションにおける同意や不同意の繰り返しに起因すると考え,価値観の類似度を抽出するために,発言の冒頭部分に現われる同意,不同意の語句を活用する.一つの言語表現に対して人間が感じる同意や不同意の強度は一般的に異なる.この強度の違いを考慮した上で価値観の類似度を正しく抽出し,意思疎通の補強方法をデザインすることが望ましい.本報告では,アンケートにより収集した約百個の語句に関し,同意や不同意の強度,および日常的によく使う表現か否か,によって,被験者による評価のばらつきを分析した結果を報告する.
著者
福永 厚
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.493-502, 2000-12-15

本論文では, テレビ会議などのメディアを介したコミュニケーションと対面のコミュニケーションの違いを分析するためにマルコフ解析を使う方法の提案と, 実際にテレビ会議と対面との比較実験から得られたデータへ適用した結果について述べている.マルコフ解析では, 会議における発言行動を確率事象と捉え, 誰から誰に発言が移ったかという発言推移をマルコフ過程と見て, 平均訪問時間, 平均到達時間, 平均再帰時間を計算した.比較実験では, 会話相手の識別性が異なる3種類のテレビ会議環境と対面環境とで被験者を使って会話をさせた.得られた発言データを使って前述の3つの時間を計算いたところ, それらにはコミュニケーション環境の違いがよく現れていた.
著者
上田 紀之 中西 泰人 真鍋 陸太郎 本江 正茂 松川 昌平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.71-76, 2003-05-02
被引用文献数
6

コミュニティ内での情報提供や支援が円滑に行うことができるという点から,WebGISに注目し,活用する情報コミュニティが出現している.しかし,現在のWebGISは必ずしも使い勝手の良いシステムとはいえない.本研究では,「時空間ポエマー」と「カキコまっぷ」の両システムを統合するという形でGPSカメラケータイを用いたWebGISを構築し,現在のWebGISが抱えている様々な問題の解決を試みた.
著者
三宅 純平 竹内 翔大 川波 弘道 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.422, pp.1-6, 2009-01-22
被引用文献数
2

本論文では,ユーザの手動登録に依存しない流行語・新語などに対する自動読み付与の手法を提案する.音声認識の大きな課題として,未知語処理が挙げられる.特に,流行語・新語は正しい読みが得られず,未知語として扱われることが多い.近年,流行語などの読み訂正処理として,「はてな」のようなキーワードと読みがペアで登録されている集合知サイトを利用した読み付与による音声認識辞書の修正が提案されている.しかしながら,集合知サイトに基づく読み付与は,匿名ユーザの手動による登録に強く依存しているため,迅速な読みの登録やその読みの正しさが保証されないという問題がある.そこで,括弧表現に基づくWebテキストマイニングによる読みの自動抽出及び,その読みの信頼度計算を行なうことで,ユーザによる登録に非依存な自動読み付与の手法の提案を行なう.評価実験では,従来手法である「はてな」を用いた読み付与と提案手法との読み付与との性能比較を行い,提案手法は従来手法と同等またはそれ以上の性能を得ることができた.特に一般性が著しく改善された.
著者
石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.363, pp.231-233, 2008-12-11

本論文では,言語サービスのアクセシビリティとユーザビリティを向上させるために,サービス指向の集合知形成を目指した「言語グリッド」を紹介する.言語グリッドはエンドユーザが,自らの異文化コラボレーション活動のために,新しい言語サービスを生成するためのインターネット上の基盤である.