著者
甫立 京子 宮重 俊一 東山 由美 谷口 稔明 宮崎 茂 宮本 亨 甫立 孝一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.371-376, 2004-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
30
被引用文献数
4 4

黒毛和種去勢牛でビタミンA給与を全期間 (I期とII期) 制限した制限区 (4頭) と, 1期のみ制限した対照区 (3頭) の栄養と内分泌状態を検討した.血漿ビタミンA濃度は配合飼料摂取量および血清アルブミン濃度と正の相関があり (P<0.01), ビタミンA濃度が20IU/dl以下になると配合飼料摂取量は急激に低下し, と畜前のアルブミン濃度 (2.6vs3.7g/dl) とアルブミン/グロブリン比 (0.61 vs 1.12) は制限区が対照区より有意に低かった (P<0.01).と畜前に飼料摂取量が低下した制限区の牛は蛋白質とエネルギー不足の状態であり, 最も不足していた牛で全身筋肉水腫が発生した.この時レプチン濃度に差はなかったが, トリヨードサイロニン濃度は低下し, 成長ホルモン濃度は上昇する低栄養状態の特徴を示した.筋肉水腫発生の原因のひとつは, ビタミンA欠乏により血清アルブミン濃度が減少し, 血液の膠質浸透圧が低下することによると考えられる.
著者
玄田 有史
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.2_16-2_20, 2021-02-01 (Released:2021-06-30)
参考文献数
7
著者
眞嶋 良全
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2015 (Released:2015-10-21)

迷信的信念に関する先行研究の多くは,超常信奉が思考スタイルによって予測可能であることを示している。本研究は,これら先行研究で見られた信念と認知能力・スタイルの間の関連性が,疑似科学的信念,特に通俗的心理学神話においても観察されるかどうかを検討した。103名の学部学生が,認知スタイル・能力,科学リテラシーおよび通俗的心理学神話への信奉の程度を測定する質問に回答した。重回帰分析の結果,通俗的心理学神話への信奉は,分析的思考スタイルのみによって予測されることが示され,直観的思考スタイル,認知能力,科学リテラシーは予測力を持たないことが示された。この結果は先行研究に沿っているものの,分析的思考傾向が強い者ほど信念も強いという,先行研究とは逆のパターンが観察された。この違いは,先行研究との参加者集団の違い,特に文化に依拠した思考スタイルの違いから生じた可能性がある。
著者
日野 明子 広瀬 隆則 山田 順子 高井 チカ子 山口 美紀 佐野 寿昭
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.93-97, 1999-01-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1

鼻腔内腫瘍として発症した浸潤性下垂体腺腫を経験したので細胞所見とともに報告する. 症例は64歳, 女性. 右鼻閉感と鼻出血が出現し, 耳鼻科にて鼻腔内腫瘍を指摘された. 頭部MRIで腫瘍は蝶形骨洞を主座とし, 眼窩, 上顎洞, 筋骨洞, 鼻腔への進展が認められた. トルコ鞍は腫瘍で置換されていた. 鼻腔からの生検で神経内分泌腫瘍と診断され, 当院脳神経外科にて経蝶形骨腫瘍摘出術が行われた. 捺印細胞像では腫瘍細胞は均一で平面的に配列していた. 細胞質は豊富でライトグリーンに淡染し, 核は円形でクロマチンは細顆粒状に増量していた. 組織像では充実性もしくは索状に配列し, perivascular pseudorosetteやmicrocystがみられた. 免疫組織化学にてcytoker-atin, chromogranin A, synaptophysinが陽性で, 下垂体前葉ホルモンは陰性であった. 電顕的には神経内分泌顆粒が認められた. 以上から下垂体腺腫null cell typeと診断した. 本腫瘍は頭蓋内の良性腫瘍だが, 時に周囲の骨を破壊して眼窩や鼻腔などの頭蓋外へ進展することがあり, 悪性腫瘍と誤認しないことが大切である.
著者
小野木 重治 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.640-649,664, 1968-07-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
61
被引用文献数
4 4

高分子溶融物は,合成繊維の紡糸,プラスチックの成形などの加工に使われ,その流動性は加工性を直接支配する要因である。一方,溶融物や濃厚溶液を学問的に考えれば,希薄溶液や結晶のような理想状態とはちがって,理論的に取り扱うことのむずかしい状態であり,分子構造と溶融高分子の性質との関係は,高分子科学の中でも最も解明の遅れた分野の一つであるといえよう。しかし最近の研究は, 高分子の分子構造, たとえば分子の大きさ, 分子量分布,枝分れなどと溶融物のレオロジー的性質との関係を明らかにしつつある。特に分子量分布の均一な単分散試料について得られたデータが集積され,高分子の構造と溶融状態における流動性との関係を帰納する上に大きく貢献している。この記事は,このような溶融物に関する最近の研究を,著者らの研究を中心として概観しようとするものである。
著者
竹内 洋平 溝口 仁志 尾原 明子 中原 麻衣 大倉 亮一 南木 伸基 岡内 泰弘 中尾 克之 井上 利彦 徳田 道昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.88-94, 2018-01-10 (Released:2019-01-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

43歳,女性の不明熱患者.持続する発熱に加え,慢性蕁麻疹と無菌性・非腫瘍性の多発する骨髄炎を認めた.さらにIgM-κ型のM蛋白が検出され,自己炎症症候群であるSchnitzler症候群と診断した.トシリズマブによる治療にて上記の症状は消失し,以後,寛解を維持している.しかし,長期的にはリンパ増殖性疾患を発症することがあるため,注意深い観察が必要である.
著者
澤田 枝里香 淡路 達人 森下 圭介 古川 正紘 有賀 友恒 木村 秀俊 藤井 智子 武市 隆太 清水 紀芳 井田 信也 常磐 拓司 杉本 麻樹 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.375-383, 2008-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

This system is an interface realized with the symbiosis of the input/output of wind and graphics. This system brings the new communication medium of "wind" into the bidirectional interaction between the virtual environment and the real environment by integrating the graphic presentation with the input and output of wind on a special screen. The user can interact with the virtual environment in the screen through his/her breath and wind emission. Conversely, actions from the virtual environment to the user are performed by wind changing dynamically. As a result, the user can share not only sights and sounds but also the cutaneous sensation by wind with the system, and interact with the virtual environment feeling a non-conventional deep relationship.
著者
Sri HIDAYATI 石原 和弘 井口 正人
出版者
The Volcanological Society of Japan
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.289-309, 2007-12-28 (Released:2017-03-20)
参考文献数
41
被引用文献数
11

山頂噴火活動が低下し,姶良カルデラの地盤が膨張に転じた1993年以降,桜島とその周辺では火山構造性地震の発生頻度が漸次高まった.2003年11月からは桜島南西沖の6〜9kmの深さで地震が多発し,従来ほとんど発生が認められなかった姶良カルデラ北東部でも地震が発生した.翌年末にはGPSによりカルデラの地盤の膨張が観測されたが桜島の噴火活動に顕著な変化はこれまでのところ認められていない.1998~2005年に発生した火山構造性地震の震源と発震機構を求め,火山活動およびマグマ供給系との関係を検討した.(1)桜島およびその周辺の火山構造性地震の震源は姶良カルデラから桜島を通ってその南西側にかけて分布し,これらは,桜島南岳直下の深さ0〜4km,南西沖深さ6〜9kmおよび姶良カルデラ内深さ4〜14kmの3つの領域に分けられる.南岳下の深さ2kmまでの発震機構は逆断層型が卓越するが,2kmより深い部分では横ずれ型が卓越する.(2)桜島南西沖の火山構造性地震は張力軸が西北西-東南東方向の正断層型であり,(3)姶良カルデラ内の火山構造性地震の節面の方向は構造線の方向に〜致しており,いずれもこの地域のテクトニクス場と調和的である.(4)桜島南西沖の地震活動が姶良カルデラから桜島を横切るマグマの貫入イベントに関連しているのではないかという仮説にたって,地殻変動データを吟味してその可能性を検討するとともに,新たなマグマ供給系モデルを提示した.