著者
福島 鉄也
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

オーダーN・全電子・フルポテンシャル遮蔽KKRグリーン関数法に基づいた電子状態計算パッケージKKRnanoに局所構造解析プログラムを組み込み、ユーリッヒ研究センターのBlue Gene/Qと理化学研究所の「京」上でプログラムの最適化チューニングを行った。 実際に開発したKKRnanoプログラムを、世界で初めて高エントロピー合金、熱電物質、太陽電池材料、永久磁石材料等に適用し、局所環境効果が電子状態や磁気特性等の物性に与える影響をミクロな立場から理論的に解明した。
著者
西條 豪 金子 聡 吉川 建夫
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1180-1183, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
7

【目的】酢水にて直接フラッシュおよび充填を行う、“酢水フラッシュ充填 ”の経腸栄養カテーテル閉塞予防効果について検討した。【対象および方法】検討1:酢水フラッシュ充填を行った入院患者延べ47例を対象、閉塞に関して検討した。検討2:経腸栄養カテーテルを使用し、濃厚流動食を滴下、その後を〈方法1〉水道水フラッシュのみ。〈方法2〉水道水フラッシュ後、酢水充填。〈方法3〉酢水フラッシュ後、充填。また通水のみを〈方法4〉とし、実施後のカテーテル重量測定、細菌培養検査を実施した。【結果】検討1:47例中、閉塞5本。検討2:重量変化は〈方法2、方法3〉で同水準の増加。一般生菌数は〈方法1、方法4〉陽性、〈方法2、方法3〉陰性。培養検査は〈方法1〉接続部、〈方法4〉先端部より多数の菌が検出。【結論】酢水フラッシュ充填はカテーテル閉塞の予防策、感染対策として有効であり、さらに、看護業務、患者家族負担の軽減も期待できると考えられた。
著者
井上 知美 八重樫 柊穂 久川 隆造 石渡 俊二 野々木 宏 小竹 武
出版者
Japan Disaster Medicine Education and Training association
雑誌
Journal of Clinical Simulation Research (ISSN:2433054X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-24, 2017 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

1人1体のマネキンを使用した「アメリカ心臓協会(AHA)ファミリー&フレンズコース」を実施し,心肺蘇生(CPR)手技測定システムにより胸骨圧迫手技を評価した。胸骨圧迫について実習後有意に手技が向上した(平均深さ 前:43.22±10.8mm,後:50.5±7.2 mm,p<0.05)。実習前後ともに,「適切な手の位置」および「完全な圧迫解除」の実施率は,女性において有意に実施率が高かった(p<O.05)。「適切な深さ」での実施率,胸骨圧迫の平均深さおよび平均テンポについては実習前後ともに男性の実施率が高く,深さ,テンポについても女性より有意に深く,早いことが認められた(p<O.05)。胸骨圧迫の平均テンポと平均深さを3群に分類した割合を検討した結果,実習前の女性についてのみ有意差が認められ(p<O.05),胸骨圧迫のテンポが早い群が,深さが深い傾向となった。実習実施により手技の向上が示されたが,胸骨圧迫において平均深さが50mm未満である女性が57.1%認められたことから,体力的な要因も考慮した圧迫手技の習得可能な実習内容の検討が必要と考えられた。今後,ガイドラインの変更点を強調した実習内容での手技の習得の検討をするとともに,手技の評価検証方法や,手技の維持について再トレーニングの時期の検証をする必要があると考える。
著者
酒井 有沙 砂田 勝久
出版者
一般社団法人日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.43-49, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
8

抄録 目的:全国の歯学部において,全身麻酔の実習はほとんどが病院での見学実習であり,実際に学生が全身麻酔を行うことはない.そこで,病院実習前の第4学年の学生に対して,全身麻酔に関する理解度を高めることを目的に,全身麻酔の導入手順の実習を初めて行った. 方法:本学第4学年109名を4人1グループに分け,教員1名が2グループを担当した.40分間の講義後,急速導入手順の実習を1時間行った.BLSで使用しているマネキンに対し,①モニタ装着,②静脈路確保,③酸素投与開始,④静脈麻酔薬投与,⑤マスク換気,⑥筋弛緩薬投与,⑦経口挿管の順序通りに,臨床で使用する器材を用いて行った.実習前後でテストを行い,実習後に学生および教員にアンケート調査を行った. 結果・考察:アンケートの回収率は100%であった.テストの正答率は,実習前が39.4%に対し,実習後は63.3%と有意に上昇した.学生全員が「急速導入の手順が理解できた」「病院実習前に本実習を行えてよかった」と回答した.講義だけでは全身麻酔に用いる薬剤や器材が想像しがたく,用途も理解しづらい.本実習では,①臨床で使用している器材を用いたこと,②少人数で行ったこと,③操作の手技ではなく麻酔導入手順の把握を目的としたことによって理解度が高まったと考えられた. 結論:全身麻酔導入の実習を病院実習前に行うことは,全身麻酔の手順に対する理解度が高まることから,学生にとって有意義だと考えられた.
著者
三原 弘 廣川 慎一郎 伊井 みず穂 若杉 雅浩 帯田 孝之 石木 学 岸 裕幸 北 啓一朗 関根 道和 足立 雄一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-192, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

コロナ禍で集合型の医行為訓練が困難となり, 新入生蘇生講習会と基本的診療技能実習をビデオ学修・評価とICTを利用して対面指導なしで実施した. 蘇生講習会は自宅でビデオ学修後に, マネキンを用いて自身の実施を撮影し, 後日Zoomでグループ・ピア評価を行ったところ, 自己評価の有意な上昇が観察された. 基本的診療技能実習もビデオ学修をしながら自身のペースに合わせて実施を撮影し, 後日教員がビデオ評価, フィードバックを行った. 例年四肢脊柱実習は実施できていなかったが, 対面指導がないために, 逆に可能となった. 今後, 学生による動画登録と教員による動画評価のタイミングのずれの調整や更なるシステム構築が必要である.
著者
久米 功一 小林 庸平 及川 景太 曽根 哲郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-96, 2013 (Released:2014-08-12)
参考文献数
8

本稿では,仮想的な質問で得られた,法人税の増税や減税に対する企業行動の違いについて,リスクシェアリング,調整・取引コスト,法規制,赤字企業,非流動資産比率に着目して探索的に分析した.その結果,企業と従業員はリスクをシェアしており,売上高が大きく,流動資産が低く,赤字であり,労働法制を配慮している企業ほど,法人税の増減に対する対応に非対称性があることがわかった.
著者
出口 哲也 Tetsuya Deguchi
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.59(376)-183(252), 2008-04-20
著者
阿部 保子
出版者
北海道大学留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-12, 1998-12

思考動詞「思う・考える」等は、一人称主語の文中、ル形で主語の現在の思考、すなはち発話時を表す。それは、発話時で話者の内的思考を認識できるのは、話者以外にはいないからである。発話時を基準として、発話行為と思考行為とが別々の人によって行なわれ、話者は他者の思考を直接認識することができない二・三人称主語の文では、思考動詞の語彙的意味が変化する。この場合、思考動詞は「食べる・見る・読む・蹴る」等の動作性動詞に、意味上近づく。思考動詞の意味上の変化が原因となって、二・三人称主語の文で発話時を示すには、「思っている・考えている」等のテイル形になる。本稿では、思考動詞の意味上の変化がル形とテイル形というアスペクト対立を無くすことを、またなぜ動作性動詞に近づくかを明らかにしたい。日本語教育の場でも、「思う」の語彙的意味の変化を使って、三人称主語と「思っている」の関連を説明することができる。本稿では、「ラオさんは明日晴れると思う」の誤用例を図を用いて説明した。
著者
Hiroshi UENO Tomohito ITOH Toyohiko NASUNO Wataru KONNO Atsushi KONDO Ikuo KONISHI Hisao INUKAI Daiki KOKUBO Mitsuhiro ISAKA Md Shafiqul ISLAM Osamu YAMATO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.23-0091, (Released:2023-07-27)

The mutant allele frequency of the Pyruvate kinase (PK) gene has been investigated mostly in pure breed cats. We investigated the PK mutant gene in stray and animal hoarding mongrel cats in Hokkaido, Japan. We also investigated the kinship of individuals carrying the mutant gene. Genotyping was conducted using the previously reported real-time PCR method. Fourteen microsatellite markers were used to identify the parents and offspring of cats carrying the PK mutant gene, and some kinship such as parent-offspring and siblings was observed. Some stray and animal hoarding cats carried the PK mutation gene and that consanguinity was confirmed among these cats indicated that the PK mutation gene was spread by unregulated interbreeding.
著者
Imamura Hisashi
出版者
日本動物分類学会
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-36, 2004
参考文献数
39
被引用文献数
7 31

The phylogenetic relationships of the superfamily Scorpaenoidea are reconstructed cladistically, based on specimens belonging to 18 families, 59 genera, and 86 species, by using osteological and myological characters recognized in 111 transformation series. The following relationships are inferred: (1) the former Scorpaenoidei is paraphyletic; (2) the family Sebastidae is not monophyletic, most of the genera included having initially branched off other ingroup taxa; (3) the family Setarchidae and Trachyscorpia have a sister relationship, being nested within the paraphyletic Scorpaenidae; and (4) the family Neosebastidae is the sister group of the former Platycephaloidei. In conclusion, the Scorpaenoidea is reclassified into 20 families, accepting several redefined taxa, such as the Sebastidae, Sebastolobidae, and Scorpaenidae.
著者
Kai Yoshiaki Nakabo Tetsuji
出版者
Magnolia Press
雑誌
Zootaxa (ISSN:11755326)
巻号頁・発行日
vol.3637, no.5, pp.541-560, 2013-04-15
被引用文献数
1

A taxonomic review of the Sebastes pachycephalus complex established the existence of two valid species, S. pachycephalus and S. nudus. Similarities between them include: cranium armed dorsally with robust preocular, supraocular, postocular, and parietal spines; interorbital space concave; lower jaw lacking scales, shorter than upper jaw; thickened rays in ventral half of pectoral fin; dorsal fin usually with 13 spines and 12 soft-rays; pored lateral line scales 27–35 (usually 29–33). However, S. pachycephalus is distinguishable from the latter in having minute scales below the entire dorsal-fin spine base (vs. lacking minute scales below first to fifth or variously to the posteriormost spine in the latter), dark spots scattered on the dorsal, anal and caudal fins (vs. no distinct dark spots), and lacking distinct colored markings on the dorsum (vs. yellow or reddish-brown markings present). Although both species occur off the southern Korean Peninsula and in the Bohai and Yellow Seas, in Japanese waters, the former is distributed from northern Honshu Is. southward to southern Kyushu Is., whereas the latter extends from southern Hokkaido southward along the Pacific coast of Japan to Kanagawa, and along the Sea of Japan coast to northern Kyushu Is., including the Seto Inland Sea. Sebastes nigricaus, S. nigricans, and S. latus are confirmed as junior synonyms of S. pachycephalus, and S. chalcogrammus as junior synonym of S. nudus,based on the examination of type specimens
著者
谷口 雄太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.296-297, 2023-05-15

学習への自動的な介入を実現するためには,まず学習者の状態を機械的に,かつできるだけ正確に把握することが重要である.Knowledge Tracingは学習者の解答の履歴を分析することで,問題が問うているさまざまな概念に対する学習者の理解を定量的に推定することを目的とした技術である.本稿ではこの問題に初めて深層学習の技術を取り入れたDeep Knowledge Tracingについて紹介する.
著者
長坂 聡子 橋本 秀紀 坂本 静男 田口 素子
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Sports Science in Elite Athlete Support (ISSN:24322091)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.45-54, 2016 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

The purpose of this study was to investigate the effects of postexercise carbonated high-carbohydrate beverage (Carbonated Trial: CT) compared with non-carbonated high-carbohydrate beverage (Non-Carbonated Trial: NCT) on gastrointestinal (GI) problems and physiological indexes during 4 hours of recovery period in athletes. Eight Japanese collegiate athletes (age : 21±1yr ; height : 170.8±6.0cm ; body weight(BW) : 68.70±8.29kg ; percent body fat : 11.7±2.7%) participated in the cross-over designed study. Immediately after the exhaustive exercise, subjects consumed 3.5ml/kg BW of 1) water, 2) high-carbohydrate beverage : NCT (1.8gCHO/kg BW/h), and 3) carbonated high-carbohydrate beverage : CT (1.8gCHO/kg BW/h) every 30 min during 4 hours of recovery period. No difference was observed in blood concentration of glucose, insulin, free fatty acid, and subjective GI problems between CT and NCT. However the rate of vomiting was significantly higher in the NCT compared with CT (p < 0.05). These results suggest that ingesting carbonated beverage during recovery period may help digestion and absorption in the stomach of athletes.
著者
二瀬 克規
出版者
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.660-664, 2001-10-20 (Released:2022-02-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2
著者
平野 和彦 中村 聡 馬 燕
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

康有為は中国清末の思想家、政治家である。変法運動の中心的存在でとして影響を与えたが、1898年の戊戌政変(百日維新)の失敗後、康有為は中国を離れて日本経由で長い海外亡命生活を送ることになる。その前後の思索をまとめた『大同書』は後世の思想家に大きな影響を与えた。本研究で扱った康有為自筆資料は、特にその海外亡命時代と中華民国になって帰国後に書かれた詩文で、先行研究との間に、多く文字の異動が見られるものや、筆写した年代が異なる資料が散見され、比較研究によって康有為の足跡をより明瞭にする研究となった。
著者
工藤 亘
出版者
教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:18802621)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.121-128, 2018 (Released:2021-04-30)

小学生がなりたい職業(2009年-2016年)は大きな変化がないこと、中学生がなりたい職業(2009年~2017年)は、男女とも情報通信技術に係わる職業に人気が移行しつつあることがわった。高校生がなりたい職業(2009年-2017年)は、男女の共通点として専門職や技術職に就きたい傾向が高く、情報通信技術に係わる職業に関心が高まってきている。大学生がなりたい職業(2014年)では、ヒューマンサービ、ス業、専門職・技術職、情報関連業、金融業に大別することができ、就職を希望する企業(2017年)では、大手の金融業や航空業・商社が上位を占めていることがわかった。社会のニーズや文明の発展に伴い、児童・生徒・学生がなりたい職業は数年で変化することが予想できるため、教師は児童・生徒・学生の職業観やなりたい職業を敏感に察知しながら発達段階に応じたキャリア教育をする必要がある。
著者
浅野 路子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

ASD児を対象とした研究では、子どもの向社会性の獲得には、母親だけではなく父親の応答や働きかけが重要であるとの報告があり、父親の子どもとのかかわりの重要性が示唆されている。しかしながら、父親の相互作用に関連する神経基盤を明らかにした研究は未だ無い。また、父親と母親では、子どもに対する評価に違いがあるとの報告があることから、相互作用に関連する神経基盤に違いがある可能性がある。本研究では、定型発達児の父母とASD児の父母を対象に、父子間および母子間の相互作用の質を評価し、その質と神経基盤との関係を明らかにする。さらに母親の神経基盤と父親の神経基盤の違いを明らかにする。