著者
平井 節生 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.96-114, 2022 (Released:2022-11-20)
参考文献数
39
被引用文献数
1

本論文は,関東大震災の復興橋梁群のデザインのレベルの高さに鑑み,それを実現し得た背景として,明治・大正期の造船及び鉄道橋製作の技術の進化があったのではないかという仮定に基づき,産業史的・技術史的視点で各業界の歴史をレビューするとともに,造船,鉄道橋梁,道路橋の各日本人技術者の最初の交差点となったと思われる1887(明治20)年竣工の吾妻橋を取り上げ,官・民で担当した技術者達に焦点を当てる.
出版者
偕成社
巻号頁・発行日
1990
著者
片岡 寛子 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.562-571, 2020-10-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
20

保育施設から発生する音の影響を体系的に把握することを目的として,音環境実測調査と近隣住民に対する意識調査を行った。幼児の声や運動会の音は,多くの回答者に好感が持てると判断されたが,それらを不快に感じる回答者もいた。不快な音は,特になしとの回答が多かったが,保育士の声や送迎車の音などに対する指摘も見られた。実測調査と意識調査の対応から,保育施設から発生する音に対する好感や不快感は,その発生時間の長さやA特性時間平均音圧レベルの大きさに必ずしもよらないことが分かった。また,保育施設で行われる行事への参加経験や参加の意思がある人ほど,保育所の新設により肯定的であることが示された。
著者
神馬 志保子 秋葉 まり子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.21-44, 2010-10-20

本稿は、産業連関表を用いて青森県の「公共事業」と「医療・保健」「介護」の経済波及効果と雇用創出効果をそれぞれ計測し比較することで、前者と比べて後者の方が両効果とも高いことを明らかにした。これにより、労働集約的で、かつ粗付加価値の高い産業である「医療・保健」「介護」が、これまで代表的な短期の景気浮揚策として考えられてきた「公共事業」に代わりうること、それが急激な高齢化、高い失業率、重い社会保障負担という深刻な経済問題に直面している青森県にとっては、好転の方向性、将来の期待を見い出せる可能性を持つものであるという結論を得た。
著者
本間 善夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.A22-A23, 2022 (Released:2023-03-24)
参考文献数
9

国内外で多くの方に利用されている原子・分子構造モデリング・可視化ソフトウェアWinmostar原作者の千田範夫さんが2021年に逝去された.独学でプログラミングを習得し,Winmostarを公開された業績は極めて大きなものがある.また全国各地で開催された公開イベントに出展され,分子の魅力を幅広くアピールし続けた一部を紹介したい.
著者
盧 〓明 重村 力
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.433, pp.75-84, 1992-03-30 (Released:2017-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

The purpose of this paper is to clarify the spatial composition, living structure and their transitions of early Li-long housing. The results are as follows : 1) The spatial plan of enclosure is influenced by Chinese traditional way. But the block plan is influenced by the 19th-century British working-class housing. 2) The unit plan of early Li-long housing is influenced by Chinese traditional housing. 3) One Li-long housing unit is designed for one family. However, they have been divided into several family units. 4) The simplest unit for a family is one room. 5) The different behaviors are done in a same space by time lag. And the family members use a same space shared by time.
著者
蓬田 清
雑誌
日本地震学会2019年度秋季大会
巻号頁・発行日
2019-08-15

高周波の地震波動場の表現には、漸近波線理論(asymptotic ray theory, ART)が古くから知られており、波長が不均質性のサイズより小さいなどの条件下で、複雑な媒質に広く応用されてきた(e.g., Cerveny, 2001)。近年は差分法など純数値的手法の適用範囲がますます拡がりつつあるものの、高周波領域での観測結果の解釈やモデル化におけるARTの重要性はむしろ高まっている。(地震波はベクトル場として性質も重要であるが、ここでは速度cに対する(1)式のスカラー波しか扱わない。ただし、本研究の主要な結果はそのまま適用できる。)従来のARTでは周波数omegaにおいて、走時tauによる位相遅れと振幅のべき乗展開の(2)式の解を仮定した。高周波近似の解としてomegaを大きくし、べき乗の上位項だけを考える。こうして、位相部分の波線追跡と走時のeikonal equationと、振幅を決定するtransport equationが得られる。 従来のARTが適用できない特異領域(例:焦点や影の部分、edge diffraction)ではomegaの整数のべき乗ではなく、解析解が得られる場合にはomega-2/3などであることがわかっている(例:Table 0.3のcanonical signals, Chapman, 2004)。そこで、本研究では(2)式のようなべき乗展開をあらわに用いない解を考える。(1)式は偏微分方程式なので、その一般的解法の一つである変数分離だけを用い、またその際に現れる未定定数に特別な制約を与えない。 まず解の形式として、(3)式のように変数分離する。未定定数lambdaを介して、tauとxについての(4)式の二つが得られる。従来のARTではlambda=-omega2で(2)式のフーリエ変換に対応するが、ここでは正負を限定せず、さらに複素数として扱う。一般解はlambdaごとの解の重ね合わせの(5)式となり、ARTではフーリエ逆変換による時間領域の解の表現に対応する。次に、従来のARTの(2)式の一般化として高周波数領域では激しく振動する部分のみ分離した、(6)式を空間変動として仮定する。Aは振幅、tauは走時に対応する関数となる。これを(4)の2番目の式に代入すると、実部と虚部から(7)と(8)の2つの式が得られる。ここで強調すべきは、この操作ではARTのようにomegaの大きな項を拾っていく(高周波極限)従来の近似操作は含まれていない点である。(7)式は右辺の第2項を除けば、ARTのeikonal equationと、(8)式はtransport equationと同一となっている。(7)式第2項は振幅Aの空間2階微分とnu-2(ARTではomega-2)により、高周波極限で振幅が大きく空間変動する特異領域以外では無視でき、ARTと一致する、すなわち、(7), (8)式はARTの一般化であることがわかる。 しかし、これでは走時tauと振幅Aがカップルした形式で、不都合である。そこで、空間座標を波線の接線成分の走時tauとそれに直交するray-centered座標(q1, q2)を導入し(Cerveny, 2001)、(9)式のような変数分離として、(7), (8)式に代入すると、新たな未定定数muを用いて、(10), (11)式が得られる。(10)式より、新しいeikonal equationは(12)式のようになる。ここで、Dとhは(13)式に従う。先のeikonal eq.の(7)式と比べて、新たな(12)式では振幅によって変動する項Dが、走時tauとその微分のみで表現される。つまり走時のみの完全に分離した定式化である点が重要である。(10)式は従来のtransport eq.と同じく、(14)式のように波線の幾何学的拡がりJで振幅が計算できる。従来のARTではomegaが無限大の近似として特異領域でJがゼロの困難があったが(hはtauのラプラシアンに比例し発散する)、ここではその制約を課さないためhは有限となり、この困難が回避される。この形式では有限な周波数に当たる未定定数を選択することで、特異領域で特徴的な周波数依存性も表現できる。
著者
中岡 良和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1828-1835, 2020-09-10 (Released:2021-09-10)
参考文献数
11
著者
橋本 鉄平 井上 政昭 名部 裕介 吉田 順一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.95-100, 2023-04-20 (Released:2023-04-27)
参考文献数
15

背景.免疫チェックポイント阻害薬は非小細胞肺癌において病変ごとに異なる治療効果を示すことが知られている.症例.66歳,男性,両側上葉肺扁平上皮癌(同時性多発肺癌).心呼吸機能低下のため両腫瘍に対する根治手術は困難であり,免疫複合療法(CBDCA+nab-PTX+pembrolizumab)を選択.4コース投与後に両側腫瘍は縮小.Pembrolizumab単剤による維持療法23コース後のCTで左上葉肺癌は消失,肺門リンパ節と一塊となった右上葉肺癌原発巣は縮小を維持していたが,#4Rリンパ節のみが腫大.PET-CTでは同リンパ節と右肺門部病巣にFDG集積を認めた.経過から縦隔リンパ節転移と判断した.右肺門部に腫瘍の残存はあるが,縮小維持されていたため,病勢コントロール目的と遺伝子検査目的に縦隔リンパ節切除術を施行した.術後は維持療法を継続し初回治療から1年11ヶ月(術後4ヶ月)経過した現在無増悪生存中.結論.非小細胞肺癌に対するPD-1阻害薬治療において,個々の病変ごとに不均一な増悪パターンを示す場合は,増悪病変を外科的切除することで病勢をコントロールできる可能性がある.

1 0 0 0 密教図像

著者
密教図像学会
出版者
密教図像学会
巻号頁・発行日
1982
著者
広田 正之 森田 武 井戸 和彦 遠藤 智紀 水落 秀木 貞広 修
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.27, no.65, pp.265-270, 2021-02-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

In this report, the results of performance confirmation of fire-resistant wood members and beam-column joints, and the contents of application cases were reported. The main points are as follows. The refractory sheet was found to have the effect of reducing the temperature of the reinforced gypsum board. It was confirmed that the fire-resistant wood columns, fire-resistant wood beams, fire-resistant wood members, and column-beam joints made of Pc joint members incorporating fire-resistant foam sheets of heat-foamed material have 1 hour of fire resistance without carbonization in the core material.
著者
早川 正士
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1-2, pp.1-9, 2005-01-31

There have been accumulated a lot of evidences on the presences of electromagnetic phenomenaassociated with earthquakes. This report reviews these seismo-electromagnetic phenomena takingplace not only in the lithosphere, but also in the atmosphere and ionosphere. Observational resultsand also theoretical hypotheses are presented, and we finally suggest the importance of a newscience field, " Lithosphere-atmosphere-ionosphre coupling" .