著者
中林 浩太郎 西原 明法
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.666, pp.71-78, 2002-02-26
被引用文献数
1

本稿では,バイノーラル音源の3次元的音像定位効果を2つのスピーカシステムで得るためのトランスオーラルフィルタを振幅位相同時近似アルゴリズムを用いて設計する方法を提案する.頭部伝達関数から導出した特性を実現する際の問題をパスの一部を近似することにより解決し,頭部伝達関数情報を用いてトランスオーラルフィルタを設計する方法を示す.また実際の頭部伝達関数と測定された頭部伝達関数の違いによって起る特性劣化の問題をクロストークキャンセルのパスのモデル化を行うことによって改善する方法についても検討する.また作成したトランスオーラルフィルタが,バイノーラル音源と同等の音像定位効果を与えることができることを被験者実験の結果により示す.
著者
水田 貴章 柴田 雅博 冨浦洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.113, pp.91-98, 2008-11-19

コーパスベースで言語知識を獲得する場合には,その言語の大規模なコーパスが必要となる.Web 上には多種の言語で書かれた膨大な数の文書が存在するため,そこから文書を収集することによって様々な言語の大規模コーパスの構築が可能である.このとき,言語ごとのコーパスを構築するためには,まず,収集文書がどの言語で書かれているかを識別する必要がある.本論文では,仮説検定を導入した言語識別手法を提案する.この手法により,長い byte 列を用いた場合でも統計的な揺らぎの影響が小さい言語識別が可能となる.実験の結果,従来手法では識別が難しかった小さなサイズの文書に対しても高い精度で言語識別を行えることが確認できた.To get language knowledge based on a corpus, we need a large number of documents written in the language. In the web, there are a huge number of documents written in various languages, and we can construct corpora of various languages easily by gathering each language's documents from the web.The first step to construct corpora in this way is to identify the language of each gathered document.In this paper, we propose a language identification method using statistical hypothesis testing. The method is robust against the statistical fluctuation even when we use long and low-frequency symbol sequences as language features. Through experiments, the proposed method identified languages of short documents accurately, which the previous methods could not.
著者
柴崎 幸次 高柳 泰世 滝川 泰代 乗松 良昌 白井 夕子 小野崎 定浩 門脇 麻友美 岩田 光令
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 = Annual design review of Japanese Society for the Science of Design (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.36-39, 2008-03-30
被引用文献数
1

『弱視者いろはカルタ』は、弱視者問題研究会が全国の弱視者の会員から募った川柳をもとに、そのシチュエーションをユーモラスにイラスト化し弱視者の日常生活についてわかりやすく解説したカルタである。このカルタは一般視力者にも弱視者にも使ってもらえるよう、弱視の見え方や知識を学ぶことができるようカードデザインにも工夫を凝らしている。カルタの構城は[読み札]と[絵札]の組み合わせで、[読み札]は黒地に白抜き文字のゴシック系書体を基本とし、裏面は読み出しの1文字のみレイアウトしている。[絵札]は、6人の弱視者キャラクターを設定し、そこで繰り広げられる弱視者の日常風景を漫画タッチで描き、裏面には弱視の症状や病態、弱視者の道具類など弱視に関連する知識をテーマごとに詳しく解説している。
著者
石橋 剛 渡部 和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.573, pp.79-84, 2001-01-17

情報ネットワークにおいては如何に大容量の情報を迅速に処理伝達するかが基本課題であり, 複数のパケットの系列をフローとして取り扱うことが重要となってきた.本研究では局所分散処理に適している閉路に注目してタイセットフローベクトル空間におけるネットワーク最適化問題を考察した.枝に適当な罰金関数を設定することによってネットワークフロー最大化問題をネットワークコスト(罰金)最小化問題として解く手法を提案した.この方法はネットワークの独立なμ個のタイセットについて局所分散的に最小化することによって大域最小が得られる特徴があり.広域大規模となる情報ネットワークの管理などに有用な新しい理論と解法アルゴリズムを述べた.
著者
鈴木 健嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ
巻号頁・発行日
vol.105, no.564, pp.49-50, 2006-01-19
被引用文献数
2

本稿では, 人間同士のコミュニケーションの基本的な要因に着目し, 単純な情報の交信を繰り返し行うことによるコミュニケーション手法として, 1ビット通信によるコミュニケーションを紹介する.携帯端末サイズのデバイスは, ボタンを押すという利用者の単純な行為を1ビット情報として伝送し, 光の点滅を用いた双方向コミュニケーションを提供する.本デバイスは伝達できる情報は少ないが, その使用方法を出来る限り限定することなく, 利用者の能動的な行動によりコミュニケーションを誘発するための「シグナル通信」について概説する.
著者
久保 和華
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.63-68, 2009-03-06

本稿は、利他的な個人と非利他的な個人の存在する二期間生存OLGモデル、つまり2つのモデルの流れを連結したOLGモデルに賦課方式公的年金制度を導入したOLGモデルを構築して、次に相続税を導出したモデルを構築して、1人あたりの資本蓄積を導出するものである。
著者
平岡 隆二
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.47, no.246, pp.95-111, 2008-06-25
被引用文献数
1

In 1593-94, a Spanish Jesuit Pedro Gomez (1533-1600) completed his tripartite textbook for use by students preparing for the priesthood at Jesuit colleges in Japan. Its first part, De sphaera (On the Sphere), is well known as the first full-scale presentation of Western cosmology in Japan. However, it has been rarely noted that its third part, Compendium catholicae veritatis (Compendium of Catholic Belief), which treats theology, also contains such technical astronomical data as the dimension of the heavens. Comparison of Compendium's data with those seen in astronomy books in contemporary Europe has shown that some of the numerical values in fact correspond to those of a famous Jesuit mathematician Christoph Clavius (1537-1612), whose influence on De sphaera has already been indicated. This paper, while providing a modern Japanese translation of the related chapter in Compendium, first investigates the derivation of the data and, second, examines whether it influenced similar data seen in Kenkon Bensetsu (A Discussion on the Heavens and the Earth with Critical Commentaries) and its variant copy Tenmon Biyo (Compendium for Astronomy), both composed in the mid 17th century and attributed to the apostate Portuguese Chuan Sawano (Christovao Ferreira, ca.1580-1650).

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著者
鳩山 由紀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.66-67, 2006-01-15
著者
岩井 学
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.83-98, 2006-03-31

ピーター・パンは常にフェアであることを信条とする。しかしフェアプレイへのこだわりはこの永遠の少年に特有なものではなく,20世紀初頭のイギリスに広く浸透していた。というのも大英帝国衰退のさなか,フェアプレイの精神は愛国主義,そして帝国主義を押し進めるイデオロギーへとつながっていくからである。ピーター・パンは,大人になりたがらない子どもという,時代を超えたある種の原型とみなされることが多いが,彼の存在には20世紀初頭の時代状況が色濃く刻印されているのである。本稿では,大英帝国の衰亡を目の当たりにしていた20世紀初頭英国の上流,中産階級の抱いていた不安や焦り,そこから生まれた愛国主義的イデオロギー,そしてそれを流布させる装置として機能した当時の教育,といったものからテクストを読み解き,ピーター・パンとその仲間の少年たちを描くことが当時のイギリスでどのような意味を持ちえたのか,そしてこの小説全体には当時の閉塞感がどのような形で現れているのか分析してみたい。
著者
中川 雅通 宗績 敏彦 角 義恭 前原 文雄 千原 國宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1312-1315, 1997-08-25
被引用文献数
21

顔の表面と骨格の二つの形状モデルを用い, 年齢変化した顔画像の合成を行った, 骨格の形状モデルは表面の形状モデルから生成する. 幼年から成年への変化では, 骨格モデルを頭蓋骨の成長に基づいて変形し, 老年への変化では, 表面モデルと骨格モデルの差である肉厚の変化による皮膚のたるみを付加することにより, 年齢変化した顔画像の合成を行った.
著者
古山 浩志 八塩 仁 江村 恒一 井上 郁夫 遠藤 充 星見 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.183, pp.67-72, 1999-07-15

蓄積された大量の映像データから所望の映像を高速に検索するための方式として、予め音声チャンネルから音声認識によりメタデータを自動生成しておき、このメタデータに対して入力したキーワードの検索、特定シーン映像を頭だし再生する映像検索システムを試作した。メタデータ生成部では、入力音声からCV/VCラティスの時系列データを生成し、メタデータとしてMPEG2-TSストリーム中にPESパケットとしてVideoとAudioのPESパケットとともに多重化する。メタデータ検索部では、DPマッチングを用いてCV/VCラティスを時系列データとし、入力キーワードとの照合処理を行うことにより検索を行う。ニュース番組を想定した文を対象として検索実験を行った結果、約80%の検出率を得た。
著者
宮森 恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.205, pp.35-40, 2003-07-17
被引用文献数
1

本稿では,映像中のストーリー全体の流れと個々の顕著なイベントに基づき,オリジナル映像の意味内容を表現したナレーション付きダイジェストを,利用者の嗜好に応じて適応的に自動生成する手法を提案する.応用例としてテニスのダイジェスト生成システムを実装した.本手法では,着目選手・内容構成・要約時間という3つの利用者パラメータの人力によって,自動生成されるダイジェストの内容が変化する.今回,同様のパラメータが与えられた場合に作成されるべきダイジェストの正解データを,スポーツなどの番組制作経験者に作成してもらい,これと提案手法の比較することで提案法の有効性について考察した.
著者
牛尼剛聡 渡邊 豊英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.114-123, 1999-02-15
被引用文献数
13

我々は利用者の様々な視点に基づいたシーン検索を目的として 動画像データベース・システムSTRIKE (STream data Retrieval system based on Indexing with Key Events)を開発中であり STRIKEにおける動画像データ・モデルとしてイベント-アクティビティ・モデルを提案している. 本モデルに基づくシーン検索は シーンに対する利用者の 1)着目する実体の相違 2)活動の複合レベルの相違 3)活動を捉える概念レベルの相違 に対処可能である. 本稿では イベント-アクティビティ・モデルに基づいて シーン検索における利用者の実体を捉える視点の多様性に対処する手法を提案する. 本手法では 対象世界上の時間経過にしたがって変化する実体の分類を表すために役割の概念を導入し 役割に基づいてイベントを照合する. さらに 動画像のコンテクストに基づいて実体の役割を決定するための知識をStatechartで表現し それぞれの時刻においてその役割を自動的に決定する. また 役割を変化させる際にイベントを生成することにより 異なる実体間での連鎖的な役割遷移を実現する.We have proposed Event-Activity model, which is a data model on movie databases, for retrievals of scenes. The retrieval method based on this model supports three different viewpoints of users; 1) the difference of entities which users focus on, 2) the difference of granularity of composite activities, and 3) the difference of abstract levels in which activities are captured. In this paper, we extend Event-Activity Model to support these differnces among users' viewpoints on entities. We call the categories in which entities are classified variably as roles. Memberships of roles are decided according to the present status of entities. We represent rules of role assignments as statecharts, which are state trasition diagrams for supporting hierarchical structures of states. Each state in statecharts represents a role of entities, and state transitions are triggered by events.
著者
廣瀬 文哉 高橋 淳 阪田 史郎 柳原 健太郎 福永 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.47, pp.31-36, 2009-05-15
被引用文献数
1

センサネットワークにおいて,無線端末はバッテリ駆動のため消費電力を削減することが重要な課題となる.IEEE 802.15.4ビーコンモードでは,スリープ制御の実装により省電力を実現する.しかし,間欠動作を行うため,トラッフィクの増大に伴う輻輳が起こり,到達率低下,遅延増大,再送による消費電力の増大などを引き起こす.本稿では,IEEE 802.15.4ビーコンモードにおいて,複数ビーコンを利用することで各ノードにマルチパスを持たせ,輻輳を回避する方式を提案する.間欠動作から起こる輻輳を回避するReal-Multipath,シンクノード周辺の輻輳を回避するVirtual-Multipathの二種類のマルチパスを設定する.シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式を用いることで低消費電力を維持しながら高配信率,低遅延,負荷分散を実現することを示す.