1 0 0 0 OA 可塑剤

著者
塩谷 啓一 廣瀬 拓治
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.48-53, 1993-01-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
19
著者
木村 祐子
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.159-178, 2010-06-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
19

本論文は,少年非行がこれまでにはみられなかった診断で説明・解釈されつつあることに着目し,実践家(家庭裁判所調査官,法務技官,法務教官)が医療的・非医療的な解釈や実践を構成していく過程を明らかにした。研究方法は,実践家17名へのインタビュー調査である。 第1節は,医療化と医療の不確実性に関する先行研究を概観し,非行の解釈や実践に医療と非医療が混在していることを示した。そして,諸障害が矯正の現場で普及した背景を整理した。非行の医療化は,医療の不確実性が実践家によって運用・管理されることで進行するため,それらを分析する必要があった。 第2節は,インタビュー調査の概要を提示した。 第3節では,矯正の現場に医療的な解釈が介入する過程を概観し,そこでみられる不確実性の特徴とそれらの運用・管理のされ方を検討した。第一に,非行少年は新しい診断で解釈されていたが,実践家は以前から少年を経験に基づいて医療的に解釈・対処しており,矯正における医療化はゆるやかに進んだ。第二に,非医療的な要素は,医療が介入した後も,医療の不確実性として表出した。それは,医学上の不確実性と組織上の不確実性に類型化できた。しかし,実践家はそれらを肯定的に意味づけたり,医療と非医療的な要素を戦略的に使い分け,医療的な解釈を実践の資源として用いていた。このように,不確実性が管理・運用される過程で構成されるものとして医療化現象を捉えていく必要がある。
著者
武者小路 公秀 浜 邦彦 洪 貴義
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、対象も手法も異にする研究者らが領域横断的に協力しあうことによって、さまざまなディアスポラ集団の個別性を捨象することなく、より普遍的な視野から把握できるためのディアスポラ概念を構築することを目的としてきた。この目的のために、本研究では定期的にディアスポラ研究会の定例会を開き、その他にも関連する研究会・シンポジウムを共催してきた。中でも主要なものは、2006年9月に開催したCAPP(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター)プレシンポジウム「アジアの中のディアスポラ-日本の状況を踏まえて」および、2007年2月に開催したCAPP国際シンポジウム「移住者の人権と多文化共生を目指して-アジアとアフリカのディアスポラの比較」である。後者の内容は、武者小路公秀監修、浜邦彦・早尾貴紀編、『ディアスポラと社会変容-アジア系・アフリカ系移住者と多文化共生の課題』(国際書院、2008年)および、英文報告書Diaspora and the Social Transformation,(CAPP,2008)として刊行した。本研究において議論の焦点となったのは、ディアスポラの両義性、(親密圏における)ハイブリッド化、マイノリティの可視性/不可視性、労働の女性化および人種化、トランスナショナル資本主義と労働の分割、市民権概念、国籍といった問題である。本研究を通じて、これまで出会うことのなかったさまざまな研究者が集まり、議論の場とネットワークを作り出していったことは、ディアスポラ研究の今後の発展のための、重要な契機となった。
著者
西村 大志
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.43-64,160, 1997-10-31 (Released:2016-11-02)

This article is a socio-historical study about children's sitting body technique. The discourses presented here are gathered from Meiji-Taisho era scientific journals of medicine, hygiene, pedagogy and paedology. In the early Meiji period, the western-style chairs and desks were introduced into the elementary schools, and the new style of body technique was imposed on the school children. There were arguments in the medical and educational world whether school children should sit on chairs or not, what the healthiest way of sitting should be and the best form of chairs and desks were. At the same time, how to measure the sizes of children's bodies and how to cure their improper posture were taken into question. Early school hygienists investigated the nature of school children's bodies, chairs and desks. Much importance was laid on designing the whole classroom including the form of chairs and desks, and taking into consideration the way they conform to the children's bodies. They tried to gauge the effect of the school environment on the children's bodies. They believed that almost all of the school children's diseases of improper posture were caused by improper surroundings. But the knowledge of school children's bodies changed gradually. With the help of paedology, pedagogical discourse went hand in hand with medical discourse. And under the influence of genetics, diseases among children were held to be due to their predispositions. As a result, children's bodies were reconsidered, and the most important thing to cure improper posture was considered to be the children's own personal effort: children were thought to have to cure themselves through gymnastic exercise. Here we can observe the hidden mechanism of subjectivization of modern society.
著者
中山 幹康
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.238-247, 1997-05-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
37
被引用文献数
4 4

アスワン・ハイ・ダムは, 環境へ多くの悪影響を与えたと認識されている. しかし, 1960年代末から1970年代初めにおいて為された, 同ダムが環境へ与える影響の予測の幾つかは, 今日ではその妥当性が疑問視される結果となっている. 環境問題についての初期の予測には, 環境影響評価の方法論上の問題によって不正確な予測が行われたと思われる局面が存在する. 当初に予想あるいは観察された環境への影響の内, 上流部からの土砂をダムが遮蔽したことによる地中海沿岸における漁獲量の減少, ナセル湖における淡水漁業の不振, 導水路の増加による住血吸虫病の蔓延, 上流部からの土砂をダムが遮蔽したことによる化学肥料の使用量の増大, の4項目については, 正確な予想が行われていないか, あるいは事実が誤認されている. その原因としては, ダム建設の直前に得られた指標値をプロジェクト前の状態における代表値としたこと, 「類似の事例からの類推」に問題が有ったこと, プロジェクトの実施前の状態についての理解の不足, および, プロジェクト後に観察された変化は全てがプロジェクトに起因するという誤った認識, などが挙げられる.
著者
木原 滋陽
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.354-358, 1975-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
5

The floatation method with zinc sulfate solution was applied to eggs of five species of canine intestinal parasites. The rate of floatation determined by it ranged from 56 to 79% for eggs of Trichuris vulpis. It reached 95% for eggs of Toxocara canis. It ranged from 13 to 64% for eggs of Gnathostoma spinigerum, from 43 to 91% for eggs of Ciphyllobothrium erinacei, and from 0 to 86% for eggs of Metagonimus yokogawai.
著者
金井 崇 大竹 豊 川田 弘明 加瀬 究
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.335-343, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
22

陰関数曲面は,将来的に有望な形状表現の一つであり,より少ない数のプリミティブでオブジェクトの詳細かつ滑らかな幾何学的形状を表現することができる.本稿では,点群ベース陰関数曲面の一つであるSLIM(Sparse Low-degree IMplicit)曲面を対象とした,プログラマブル GPUによる高速な表示手法を提案している.本手法はレイキャスティング法にもとづく直接的な描画手法を採用しており,光線と陰関数曲面の交点算出やブレンディングのための点の選択にかかわる処理を,プログラマブルシェーダの一つであるフラグメントプログラムの中で行っている.大容量のオブジェクトに対しては,SLIM曲面の階層的なデータ構造を利用することで,LODや視錐カリングを効率的に行うことができる.GPUの特徴である処理の並列性を最大限に利用することで,CPUによる処理よりはるかに高速に表示できることを実証する.
著者
菅田 理一 鈴木 崇之
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898335)
巻号頁・発行日
no.86, pp.57-64, 2023-01-16

本稿は市区町村要保護児童対策地域協議会(以下,「要対協」とする)の課題を探ることを目的とし,2017 年から2021 年までの先行研究のレビューを行った.その結果,「要対協調整機関の職員の体制強化と専門性確保」「支援対象の定義の曖昧さ」などの課題が抽出できた.要対協は今後,子ども家庭総合支援拠点,子育て世代包括支援センター,児童相談所と連携する必要があり,連携効果の向上に資するような研究がさらに求められている.
著者
長岡 絵里佳 河﨑 和穂 中島 久美子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898334)
巻号頁・発行日
no.86, pp.45-56, 2023-01-16

鳥取県内の公立の小学校,中学校,義務教育学校,特別支援学校で働く学校司書や学校図書指導員等の実態について無記名の調査票による調査を行い,郵送とweb アンケートで回答を集計した.単純集計とクロス集計の結果,給与や保障が少なく情報共有の機会が少ない不安定な立場であることや情報技術の進展に対応しきれない状況にあることがわかった.
著者
種市 孝
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.42-45, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
3

物理学的基盤の上に立って、脳活動以外に意識の源泉を求める場合、多次元宇宙描像は困難で非自明な問題を解決してくれる。しかしそのような描像の、問題への単純適用は、ある種の階層性の問題とも言える別の問題に抵触してしまう。パラサイトフェルミオンは余剰次元、即ち我々の住む4次元宇宙の外側に存在する物質粒子である。我々の宇宙に存在する、ホストフェルミオンと名付けられる物質粒子とそれとの性質上の相違を、その相違を生む出すメカニズムと共に概括する。このメカニズムにより、当該物質粒子は、我々の近傍に存在するにも拘らず不可視となり得る。では、この新規な物質の存在様式を心身問題に適用すると、どのような成果が期待できるであろう?脳外に心の源を求める際に乗り越えなければならない問題を、パラサイトフェルミオンモデルが解決できることを示す。
著者
藤本 直子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.23-29, 2023-01-16

新型コロナウイルス感染症の拡大によって,全国の大学で面接授業(対面授業)が難しい状況に陥っており,コロナ禍でも対応可能な授業内容や学習システムの構築が求められている.鳥取短期大学生活学科情報・経営専攻においても,Google Workspace for Education を活用した授業を行っており,その実施過程でICT を活用した授業の成果と課題が出てきている.本稿では,特にGoogle Classroom を利用した授業実践を通して浮き彫りになった,授業指示・課題提出・管理の在り方や成績データの蓄積などの成果と,学生自身が抱えるPC スペック問題やWi-Fi 環境整備などの課題を明らかにする.
著者
羽根田 真弓
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.11-21, 2023-01-16

「唱歌」「童謡」の歴史的変遷を学習した保育学生の「唱歌」「童謡」への継承意思が質問紙調査の結果から明らかに示された.保育者および保護者を対象とした質問紙調査からも同様の意思が認められた.つまり,「唱歌」「童謡」の継承は保育学生および保育現場からその必要性が認識されている.しかし,保育現場において「唱歌」「童謡」として意識的に教材選択がなされているかは不明であり,これらの歌唱教材を継承していくためには,同教材の意義や文化所産であることの見識を深める必要がある.
著者
仙田 真帆
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.86, pp.1-10, 2023-01-16

本研究は,スポーツ活動者におけるスポーツ活動時の音楽利用の実態を詳細に検討するものである.一つ目の,スポーツ活動者を対象とした質問紙調査では,回答者の約半数がスポーツ活動時に音楽を利用していること,特にウォーミングアップ時の音楽利用が多いこと等が明らかになった.二つ目の,アマチュアランナーを対象としたインタビュー調査では,個々の回答者には音楽の選択や聴取の仕方等にこだわりが見られ,パフォーマンス向上のためのツールの一つとして音楽を使いこなそうとする活動者の実態が見られた.
著者
山田 勝弘
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.713-726, 2006-11-01 (Released:2011-03-18)

平成15年1月23日に代田文彦先生は63年の生涯を全うされた。それ以後の私共は、まるで主を失った迷える小羊のような3年間であった。このたび、今学術大会において先生の足跡を辿る機会を得て、先生が示された数々の教えを「鍼灸臨床の真価」として報告する。この演題を頂いた時、偉大な先生をわたくし独りの思いで語るにはあまりに-面的であると考え、26年間にわたり日産厚生会玉川病院東洋医学研修センターで先生に学んだ方々にもご協力を頂き今回の内容になった。この講演内容は、かつて日産厚生会玉川病院東洋医学研修センターに所属し先生に学んだ18名の方々の報告、先生のご著書、学会報告など基にした先生の思い、私が演題に沿うように構成した。本大会のような公の場で先生が言い切れなかった思い、臨床の場で何気なく研修生に語りかけた先生の真実の思い、そして2000年の神戸大会の先生の遺言ともいえるような講演の一部を取り上げ纏め.上げたものである。
著者
小泉 昭夫
出版者
Japanese Electrophoresis Society
雑誌
生物物理化学 (ISSN:00319082)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.145-148, 1997-06-15 (Released:2009-03-31)
参考文献数
22

遺伝的に肥満を発症するob/obとdb/dbマウスの発見は, 肥満の分子生物学的検討を可能にし, レプチンとその受容体の発見へと導いた. レプチンと, レプチン受容体, および関連するシグナル介在物質は, ネットワークを形成し, 体脂肪量をある先見的に決められたセットポイントに保つように協調している. レプチンはシグナルとして脂肪組織から大脳へ情報を伝達し, エネルギーの摂取と消費のバランスを取っている. エネルギー摂取の制御は食欲を介し, 消費の制御は熱産生を制御することで行っている. レプチンにより肥満が解消できるのはほんのわずかの人々であると予想されるが, この発見は抗肥満薬として多くの人々に希望を与えており, この驚異のやせ薬は, 近年現実のものになりつつある.

1 0 0 0 OA 献呈のことば

著者
西江 錦史郎
出版者
国士舘大学政経学会
雑誌
國士舘大學政經論叢 (ISSN:05869749)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, 2004
著者
篠原 雄治 ヨハネス ノヴィクルニアワン 鈴木 康司 佐見 学
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00095, (Released:2023-01-23)

ビールは、その特徴(エタノールの存在、低いpH、高いCO2含有量など)により、微生物の増殖が抑えられ、微生物学的に安定な飲料として認識されてきた。その一方で、限られた微生物はビール中で生育が可能であり、それらの微生物はビール混濁微視生物と呼ばれる。近年、新規なビール混濁微生物の出現や、従来の伝統的なビールよりも微生物学的安定性が低い非伝統なビール(ローアルコールビール、ノンアルコール飲料など)の人気の高まりにより、ビール混濁微生物が継続的に出現し、微生物による変敗事故が発生する可能性がある。このようなビール混濁微生物の増加は、種特異的なPCRベースの検出方法に大きく依存する検出法では、対応できなくなると考えられる。よって、種特異性にとらわれないより普遍的な検出法、すなわち「種非依存的」な検出法と、「より広範な微生物種を正確に判定できる包括的な種判定法」が必要とされると考えた。そこで、著者らはホップ耐性遺伝子horAやhorCなどのビール混濁乳酸菌特異的な遺伝子マーカーを用いた種非依存的なPCR検出法、および新しい技術である第3世代DNAシーケンサー(MinION)を用いた微生物同定法を開発し、高精度かつ広範囲で、醸造所における品質管理として使い勝手のよい手法を確立した。また、第3世代DNAシーケンサーを用いた複数の標的遺伝子の同時解析に成功し、種の同定と種内識別のための、特異的遺伝子マーカーの検出を同時に行う方法を考案した。第三世代シーケンサーは、その応用範囲の広さ、初期投資コストの低さ、ランニングコストの低さから、ビール工場における新たなビール混濁微生物対策の武器として広く採用されることが期待される。
著者
竹村 勇司 菅野 茂 広瀬 昶 澤崎 坦
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.508-514, 1984-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
14

慢性的な低酸素暴露が,成長期ラットの心肺機能に及ぼす影響を明らかににるために,コントロールチャンバーを用いて実験を行なった.5週令のWistar系雄ラット35匹を7群次分けた.5週令で観察する群をC0,標高2,500m相当の低圧低酸素環境に5週令から暴露し,8および11週令で観察する群をT3,T6,11週令まで暴露したのち海面相当の常圧常酸素環境にもどし,22週令で観察する群をT17とし,それぞれの群に対して海面相当で飼育にる対照群C3,C6,C17,を設けた.温度,湿度,および二酸化炭素濃度はそれぞれ常に25°C,60%,および500~1,500ppmに制御した.各群に対して,形態的,心電図的,血液学的検査を常圧常酸素条件下で実施した.暴露群では対照群と比べて,成長にともなう体重の増加が抑圧され,QT間隔は延長し,心臓重量も大きい傾向にあったが,暴露による副腎重量の増大は,常圧常酸素環境へ戻すことにより回復した.赤血球数,Hb濃度,Hct値,および右心室重量はT3群で大きく増加したが,その後の増加は抑圧された.T6群では,平均電気軸のバラツキが大きくなり,肺重量体重比ならびにMCV,MCHが大きくなった.高地環境下でみられる心肺系の典型的な変化が低酸素暴露のみによって生じたことから,心肺機能にとって酸素分圧の低下が多くの高地環境要因の中で最も重要な作用因子であり,高地環境への適応過程として生理状態の安定に向け段階的な変化が生ずる可能性が示唆された.