著者
明神 絵里花 渡慶次 幸治 長谷 日出海 宮本 裕行 若林 野花
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.340-345, 2013-10-05 (Released:2017-06-15)

準天頂衛星システムは,「準天頂軌道」という日本のほぼ天頂(真上)を長時間滞在する軌道をもつ人工衛星を複数機組み合わせた衛星システムであり,現在米国が運用中のGPS信号と互換性のある測位信号を送信することで,日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも,衛星測位できる場所や時間を広げることができるという日本独自の衛星測位システムである.JAXAは準天頂衛星システムの第一段階(技術実証・利用実証段階)として,準天頂衛星初号機「みちびき」(2010年9月11日打上げ)とそれを運用する地上システム(高精度測位実験システム及び追跡管制システム)を整備した.測位衛星ならではの要求である航法メッセージ(測位地上系で生成)の常時(24時間365日)アップロードを実現するため,追跡管制システムは既存のJAXA地上設備とは別に「みちびき」専用システムを整備した.本稿では,「みちびき」の追跡管制システムの概要ならびに開発結果について報告する.
著者
海上自衛隊幹部学校
出版者
防衛省
巻号頁・発行日
vol.3, no.(増刊), 2013-09-30
著者
辻本 桜介
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.70-77, 2022-04-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
9

先行研究において、古代語に間接疑問文は存在しないと考えられている。これに対し本稿では以下のことを指摘し、中古語の引用句「…と」が間接疑問文に相当する用法を持っていたことを示す。まず、「いつと」「誰と」のように不定語をトが直接承ける用例は少なくないが、現代語の「いついつ」「誰々」のように引用句内の一部を伏せる形(プレイスホルダー用法)が使われたものか、間接疑問文と同様に解すべきものかが曖昧である。これに対し「年ごろは世にやあらむと」のように肯否疑問文を含むもの、「いかで降れると」のように引用句末の活用語が不定語に呼応して連体形となるものは、引用元の文の一部を伏せるだけのプレイスホルダーが使われているとは考えにくく、間接疑問文と同様の解釈になりうる。また「…逃げにけり。いづちいぬらむともしらず。」のように引用句内の不定語以外の情報が述語の主体にとって既知である場合も間接疑問文と同様に解すのが自然である。
著者
久馬 一剛
出版者
京都大学東南アジア地域研究研究所
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.405-424, 1982-02-15 (Released:2018-05-31)

The coastal areas of the Southeast Asian tropics are vegetated extensively by mangrove forest. Inland there are areas which were formerly under mangrove, before they were cut off from the marine or brackish environments. These areas together represent an important fraction of the potentially cultivable land for food production in the near future. This paper looks at the soils derived from the sediments deposited under mangrove, to evaluate their potential for cultivation. Mangrove mud contains oxidizable sulfur compounds, mainly in the form of pyrite, which upon exposure to the air is oxidized to sulfuric acid, developing a strong acidity. The resultant soil is called acid sulfate soil. This paper deals first with the processes of pyrite accumulation under mangrove and its oxidation upon reclamation. It then discusses the classification, properties and management of acid sulfate soils on the basis of recent research results. It is concluded that the former mangrove land is probably reclaimable only with difficulty and a high investment. It may, however, be possible to improve soil conditions to some extent by simple means practicable by the small farmer, such as localized phosphate application.
著者
真野 浩志 滝川 一晴 芳賀 信彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1185-1196, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
23
被引用文献数
2

小児総合医療施設は,医療型障害児入所施設をはじめとする障害児療育施設と並んで小児リハビリテーションが実施される場であるが,リハビリテーション科医・関連専門職の配置をはじめとする診療体制の現状について,これまで知られていない.本研究は,小児総合医療施設におけるよりよい小児リハビリテーション診療の実施につなげるために,リハビリテーション診療体制の現況を明らかにすることを目的とした.一般社団法人日本小児総合医療施設協議会会員施設を対象としたアンケートにより,リハビリテーション診療体制に関する全国調査を行った.施設あたりのリハビリテーション科医の中央値は,常勤医師1名,うち専門医0名,指導医0名と,きわめて少なかった.また,常勤の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士の中央値はそれぞれ9人,5人,3人,2人であった.職員の配置については,リハビリテーション科医および関連専門職種職員に対する増員の希望が多かった.日本リハビリテーション医学会認定研修施設は全体の約半数に留まり,リハビリテーション料における施設基準も種目によっては疾患別における(Ⅱ)の届出に留まっている施設がみられた.よりよい小児リハビリテーション診療を実施し,研究,教育を充実させていくためには,人員配置を含めた適切な診療体制の構築や,診療や専門研修における施設基準などの病院機能の拡充が必要と考える.
著者
板橋 貴子
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 = The Japan Foundation Japanese-Language Education Bulletin (ISSN:24359750)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-28, 2020-03

本調査では、日本語能力試験(以下、JLPTと略す)の聴解問題「即時応答」で、従属節の聞き取りを問う2題を日本語中上級以上の非日本語母語話者45名に解答してもらい、解答プロセスについて回想法でプロトコルを採取した。即時応答に解答する際、どのように正答を選んでいるか、どうして誤答を選んでしまったかをプロトコルを通して概観していく。その中で、中上級以上であっても、テ形従属節の聞き取りにおいて、語義の推測を誤ったり、格助詞に注意が向かず、動作主を誤ったりして、正答が選べないことが分かった。また、スクリプトの意味が理解できない場合には、機能の推測やムードを頼りに選択肢を選ぶというストラテジーも観察された。本研究はJLPT聴解試験の妥当性検証を質的に行うという役割を担っている。
著者
大藪 泰 阿佐見 徹
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.94-99, 1987-02-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

現場における漆塗りの見地にたち, 漆膜の透明性におよぼす硬化条件の影響を明らかにする目的で実験を行った。つまりスグロメ漆を試料とし, 種々の硬化条件 (温度 : 20℃・30℃, 湿度 : 60-98%RH) で24時間硬化させ・その後硬化膜を北窓自然光に90日間放置した。以上の経時変化についてIR分析や分光透過率測定を中心に行った。結果をまとめると次のようである。(1) 高湿条件下で硬化した漆膜は低湿のそれに比べ, ウルシオールキノンやキノン重合物が多く生成されたため, 透明性の悪い膜となった。(2) 北窓自然光に放置した漆膜はウルシオールキノンが徐々に消費され, そのため次第に透明性は向上した・しかし透明性の向上が落ち着く90日後においても硬化条件の違いによる透明性の差は残った。(3) 乾燥時間 (RCI型乾燥時間測定機による) と透明性の関係において, 乾燥時間の増加にともない透明性は上昇し, そしてある乾燥時間を越えるとほぼ一定となった
著者
能登原 盛弘
雑誌
Annual review (ISSN:13429329)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.41-47, 2005-03