著者
俵 寛司 Kanji TAWARA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-38, 2017-03

本稿は、2004年11月から2005年2月まで実施された長崎県対馬市「まちなみ景観建造物等調査事業」、すなわち旧対馬藩城下町に所在する歴史的建造物を対象とする市民協働の調査と、その対象の一つである「半井桃水生家跡」の保存問題について分析することを通じて、現在の日韓国境、対馬における景観・文化資源の在り方について考察する。厳原町市街地に分布する近世~近現代の歴史的建造物について分布調査および個別遺構の調査を行った結果、全体で436地点の遺跡分布が明らかとなり、11件の遺跡について個別調査を実施した。その一つ、「半井桃水生家跡」は、明治・大正時代に活躍した対馬出身の文学者、半井桃水(1860-1926)の生家跡に推定されていたが、2005年に解体されたことは、現代のまちなみ景観と遺跡保存の問題を示す象徴的な出来事である。本稿で論じた景観まちづくりと遺跡保存の密接な連携の必要性は、国際的にもますます大きくなっており、対馬はその重要な役割を果たすことが期待される。This paper examines current issues on the close relationship between townscapes and conservation of the historic sites in Tsushima Island on the border between Korea and Japan. This will be based on the Research Project on the Buildings of Townscape in Tsushima City, Nagasaki Prefecture with civic collaboration from November 2004 to February 2005. This also analyses conservation problems on the historic site of Tosui NAKARAI's birthplace [半井桃水生家跡]. This Research Project was carried out by both the general survey and intensive research, thus, they have revealed distribution of the 436 historic sites and 11 detailed features around Izuhara-town as the central area of Tsushima now and the former capital of the Tsushima clan, during the Edo period [1603-1868]. One of these sites has been believed as the birthplace of Tosui NAKARAI [半井桃水 1860-1926], a famous novelist during the Meiji and Taisho eras born in Tsushima. Athis site was demolished that building in 2005 and it was a symbolic event to indicate the contemporary issues. As necessity of the close relationship between the townscapes and conservation of the historic sites has increased in the world context as well, Tsushima will be expected to play such an important role today.
著者
長谷川 善和 村田 正文 早田 幸作 真鍋 真
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学理科紀要. 第二類, 生物学・地学 (ISSN:05135613)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.41-49, 1992-10-30
被引用文献数
1

A tooth described herein represents the first discovery of an indisputable theropod, in Japan in 1979, which has been followed by late discoveries of dinosaurs in Kyushu and other parts of Japan. The tooth is uniquely characterised by an elongated but very thin crown, which suggests an as yet unrecognized group of theropods.
著者
内田 智子 Tomoko UCHIDA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-11, 2017-03

大槻文彦(1897)『広日本文典』『広日本文典別記』「文字篇」に見られる用語、概念(「母韻」「発声」「単純音」「成熟音」)について考察した。大槻の「母韻」の語は、現在の「母音」に該当し、悉曇学に由来することが明らかとなった。大槻の「発声」は、現代の「子音」に対応する概念である。一方で、幕末の音義派は、「父音」「母音」「子音」の3つの用語を使用し、明治時代には、音義派に由来する「子音」と、洋学に由来する「子音」の2種が使用されていた。大槻の「単純音」の語は、「母韻」と同じ意味で使われており、「ア行音」を意味している。大槻がいわゆる母音に2種の語を当てた理由は、悉曇学にある。「成熟音」の概念は、伝統的音韻学の「仮名反切」に原型があり、音義派の手法を用い、それをオランダ語に適用した「蘭学」の影響の下に生まれた。伝統的音韻学の手法を蘭学に適用した結果が、大槻の記述に流れ込んでいる。This paper examines the features of the terms and the concepts of the "Boin" ,the "Hassei" ,the "Tanjun-on" and the "Seijuku-on" referred to in "Konihonbunten" and the "Konihonbunten Bekki" of OTSUKI Fumihiko published in 1897. It has become obvious that the "Boin" corresponds to today's "vowel" and derived from the "Shittan-gaku", whereas the "Hassei" corresponds to today's "consonant". On the other hand, the Edo period, the "Ongi" school used three words of the "Huon", "Boin" and "Shion". In the next Meiji period, two types of the "Shion(子音)", derived from the "Ongi" school and the Western studies, were used. The "Tanjun-on" is equivalent with the "Boin(母韻)" and both indicate the "Agyo-on". The course for this phenomena is to be able to trace back to the "Shittan-gaku". As for the "Seijuku-on", its original concept is to be found in the "Kanahansetsu" of the traditional phonology. It was created as a result of the application of the "Kanahansetsu" for Dutch under influence of the Western studies with the methods of the "Ongi" school. This application eventually led to OTSUKI's description in "Konihonbunten" and "Konihonbunten Bekki".
著者
千葉 理恵 宮本 有紀 船越 明子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.32-40, 2010
被引用文献数
6

目的:わが国で地域生活または入院している精神疾患をもつ人の,疾患の経験によるベネフィット・ファインディングの特性を,質的に明らかにすること.<br>方法:2008年6~9月に,精神疾患をもつ20歳以上の者を対象として,ベネフィット・ファインディングに関する質的項目を含む,調査票を用いた横断調査を行った.調査の同意を得られた193名のうち,有効回答者107名の回答を,ベレルソンの内容分析の手法により分析した.<br>結果:分析の結果,『人間関係の深まり・人間関係での気づき』『内面の成長・人生の価値観の変化』『健康関連の行動変容・自己管理』『精神の障害に関する関心や理解の深まり』『社会の中で新たな役割を見出すこと』『宗教を信じること』および『その他』の7カテゴリーが抽出された.<br>結論:精神疾患をもつ人のベネフィット・ファインディングには多彩な内容があり,さまざまな慢性身体疾患をもつ人のベネフィット・ファインディングと共通点をもつことが明らかになった.
著者
木本 豪 板橋 秀一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.355-356, 1992-02-24

日本の伝統であり、世界的にも評価の高い芸術である打ち上げ花火は、そのデザインの創作が容易でない。この原因として、試作・試し打ちに時間と費用がかかることと、その完成イメージが花火師の頭の中にしかないことがあげられる。これまで花火のコンピュータ処理としては、点火の制御とアミューズメント用途がほとんどで、花火のデザイン支援のためのシステムはなかった。試作・試し打ちがCADで行なえれば、時間と費用が大幅に節約できると考えられる。また、完成イメージがCRT上で動画として見られれば熟練していない人でも容易に花火のデザインが可能になる。本稿では打ち上げ花火を計算機の画面上に表現することのできるシステムについて報告する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1104, pp.28-31, 2001-08-20

日本の読者はあなたがどんなに重要な人物か、ほとんどだれも知りません。だからお願いです。オフレコにはせず「正体」を明かさせてくれませんか。 ——ペンタゴン(米国防総省)のとある一室で、取材の最後そう必死に頼み込んでみた。しかしこの9月で80歳を迎える老人は、好々爺然とした笑みを浮かべたままこちらの言い分を一通り聞いたうえ、それでもゆっくりかぶりを振った。
著者
上野 昌之
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.211-224, 2011-12

アイヌ語は、アイヌ民族の独自言語である。かつて樺太、千島、北海道の三方言があったと言われるが、現在母語話者が残っているのは北海道方言のみとなっており、その母語話者も人数としては極めて少ない。こうした状況は言語学的には危機言語、つまり消滅の危機に瀕した言語として考えられている。アイヌ語の母語話者が減少した背景には、歴史的な要因が大きく関わっている。幕末から明治期の対アイヌ政策がもとらした帰結といえる。アイヌ語の衰退は、アイヌ民族の日本語への転換、日本化が進行してたことを意味する。言語を媒体とした相互の意志・思想・感情の世代間の継承行動の喪失が生じ、民族共同体に統一性が失われ、これまでの日常性が崩壊し、伝統的共同体の解体へと至ることになる。民族的アイデンティティが揺らぎ民族の存在が危ぶまれる状況になっていった。しかし、今日アイヌ民族は民族の権利回復をめざす活動を行っている。その中でアイヌ語の復興活動の持つ意味は大きいものになっている。本稿では、アイヌ語の衰退を歴史的な事実からたどり、アイヌ民族への教化により彼らの習慣、生活様式が変質を強いられていく過程を概観し、その際学校教育がアイヌ語の衰退に大きく関与していたことを明らかにする。次にアイヌ語のように危機言語と位置づけられる言語が衰退に導かれるプロセスを追い、その意味を考察する。そして、民族集団の持つ言語の権利を踏まえ、言語保護のための国際的潮流を参照する。そして最後に、アイヌ語の復興活動の一つとして地域的に繰り広げられているアイヌ語教室について、平取二風谷アイヌ語を例にその活動を概観し、行われている活動の中からアイヌ語復興にとって必要な事柄、復興の意義を考えることにする。
著者
矢崎 慶太郎
出版者
専修大学社会知性開発研究センター/ソーシャル・ウェルビーイング研究センター
雑誌
ソーシャル・ウェルビーイング研究論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.9-31, 2017-03

文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成26年度~平成30年度)本論では,信頼に関するアンケート調査の結果を社会学理論に基づいて解釈することを通じて,信頼という概念から社会全体のあり方を捉えることを目的としている.そこでまず,社会学がどのように信頼を捉えてきたのかについて,本論2節では信頼が発生する基本的な条件を論じながら考察する.次に第3節では,ルーマン,ギデンズ,パットナムの社会学理論を参考にしながら,信頼関係の社会的変容について,特に社会の近代化が信頼関係に与える影響を中心に分析する.第4節では,信頼についての量的調査の結果を参照し,これらの調査データを社会学的にどのように解釈できるのかを考察する.そのために,家族,友人,近隣住民,ほとんどの人,見知らぬ人,公務員に対する信頼度の各種平均値の比較,および収入・幸福度・市民活動参加頻度が信頼に与える影響を分析する.なお本論で使用する調査データは,2015年2月に専修大学ソーシャル・ウェルビーイング研究センターが実施した「ライフスタイルと価値観に関する国際比較調査」である.
著者
目 武雄 藤野 明 村井 不二男 鈴井 明男 仏願 保男 西沢 麦夫
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.50, pp.19-24, 2008-09-01

Matatabi (Actinidia polygamy Miq., Actinidiaceae) is widely distributed in this country. It is well known from early times that the leaf, the fruit, and the root of this plant show special biological activity in Felidae animals. Although significant chemical studies were carried out, the isolation and structure elucidation of the active principles were not reported until 1959. We isolated two active principles from the methanol extract of the leaf and the fruit of matatabi, a lactone C_<10>H_<16>O_2 named matatabilactone (1), and a base C_<10>H_<13>N named actinidine (2), in 0.0035 and 0.12% yield, respectively. Herein the structure study and the synthesis of 1 and 2 will be discussed.
著者
永徳 紀男 柚木 謙一 平川 廣満.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.819-827, 2002-09-01
被引用文献数
1

自然楽器音の特徴の一つはその周波数及び振幅が揺らぎを呈していることである.従来のミュージックシンセサイザではすべてのスペクトルを一律に変調していたため,生成音には自然さが得られなかった.そこでミュージックシンセサイザに自然な揺らぎをもたせることを目的として任意のスペクトルの変調を提案する.提案では,まず,電圧制御型発振器が含む任意の単一スペクトルを1個の状態変数形フィルタによって同時に抽出,消去する.この抽出したスペクトルを超低周波で変調した信号と同一のスペクトルを消去した信号をアナログ的に加算する.本論文では,任意のスペクトルを周波数変調あるいは振幅変調する場合の理論式を示す.次に,状態変数形フィルタの構成と基本動作について述べる.このような方式のミュージックシンセサイザを製作し,実験により単一のスペクトルの抽出,消去の動作とビブラート変調,トレモロ変調について検証できた.提案したミュージックシンセサイザは従来の回路に状態変数形フィルタを追加するのみで実現されるもので内蔵の超低周波発振器で揺らぎの深さ,速さを確実に制御できた.
著者
菅 さやか 唐沢 穣
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.180-188, 2006

Recent studies have demonstrated that stereotypical expectations result in biases not only in memories and judgments, but in language use as well. The present study examined the effects of communicative contexts on verbal expressions of stereotype-relevant information. In order to do this, we developed a new linguistic index for content analyses, involving stereotypic representations. In our experiment undergraduate students were presented with behavioral descriptions of either an ingroup, or an out-group member, and were asked to describe their impressions. The stimulus information given to the students included both stereotype-consistent, and inconsistent cases. Results showed that the out-group member was described in more stereotype-consistent, abstract terms, than the in-group member. This was interpreted as higher tendency of bias against the out-group. Ultimately, the newly developed index was found to be useful in identifying dispositional expressions that are peculiar to the Japanese language. Finally, implications for the study of stereotypes as collectively shared representations are discussed.