著者
高清水 清治 佐藤 勤 菊地 功 提嶋 眞人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.413-416, 2017-03-31 (Released:2017-07-22)
参考文献数
16

症例は統合失調症で治療中の50歳代,男性。磁石が自分を守ってくれるという妄想があり,1ヵ月にわたり事務用磁石を連日のように摂取していた。腹痛が出現し当院を受診した。腹部全体に圧痛,反跳痛があり,腹部単純X線写真で小腸ガスと磁石の集塊,CTで磁石,腹水貯留,遊離ガスを認めた。小腸穿孔による急性汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。開腹所見ではTreitz靭帯より40cmの空腸内に計55個の磁石が2群に分かれて存在し3ヵ所に穿孔を認めた。穿孔部を含む小腸を切除した。術後敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群をきたしたが,術後5週間目に軽快し退院した。複数の磁石の異食後にはそれぞれが引き合うために内瘻形成,イレウス,穿孔など多彩な病状を呈する。複数個の磁石が消化管内に滞留していると判明した場合,症状が軽微でも重症化する可能性があるため,早期に手術を行う必要があると考えられた。
著者
三浦 友三 馬渕 勉 東村 稔 天沼 利宏
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.219-240, 2003-05

ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)は日本農薬(株)によって創製され、実用化されたプロトポルフィリノーゲン酸化酵素(Protox)阻害型除草剤である。本化合物はコムギに対して高い安全性を示すと共に広範囲の広葉雑草に対して10g a.i./ha前後の低薬量で極めて高い除草活性を示す。特にコムギ栽培における難防除雑草の一つであるヤエムグラ(Galium aparine)に卓効を示す。ピラフルフェンエチルは日本ではムギ用除草剤として、エコパートフロアブルの商品名で1999年に農薬登録の許可を得て販売を開始した。また同時に果樹園の下草防除や非農耕地の非選択性除草剤として、グリホサートトリメシウム塩との混合剤であるサンダーボルトの販売も開始した。さらに、2001年バレイショ枯凋剤として、デシカン乳剤の販売を開始した。これらは海外においても14か国で登録・上市され、数か国で開発途上にある。本稿では、ピラフルフェンエチルの創出の経緯、工業的製造法、構造活性相関、除草活性、作用機構、各種毒性試験結果について概要を述べる。
著者
湯浅 啓
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.99-102, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

Koi herpesvirus (KHV) disease caused by cyprinid herpesvirus 3 (CyHV-3) affects carp Cyprinus carpio and its varieties. The disease is listed by the OIE and is also designated as “Specific diseases” in a Japanese law. In Japan, the disease first occurred in 2003 and has quickly spread to all prefectures by distributing infected fish. This review describes basic information on KHV/KHV disease such as its pathogenicity, diagnostic methods, control measures and status of virus distribution in Japan.
著者
小西 一朗 上田 順彦
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.1032-1034, 1998-12-25
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人では稀な仙骨前部epidermoid cystの1例を経験し報告した。患者は42歳, 男性。主訴はなく, 尿管結石治療中のCT検査にて偶然仙骨前部の腫瘤が発見された。CT像では, 仙骨前面で直腸左後方に約4cmの腫瘤を認め, MRIではT1強調像で低信号, T2強調像でやや高信号の腫瘤像を認めた。直腸指診, 下部消化管検査で異常は認めなかった。経仙骨的に, 尾骨とともに腫瘤摘出術を施行した。内容物は灰白色のカニミソ状のもので, 細菌培養は陰性であった。組織学的に, 内壁は重層扁平上皮で構成され, 処々で異物巨細胞を伴う肉芽反応巣をみるが, 皮膚付属器などは認められず, epidermoid cystと診断された。術後3年を経て再発は認めていない。

1 0 0 0 OA 古事記伝

著者
本居宣長 著
出版者
中文館書店
巻号頁・発行日
vol.第2巻, 1944

1 0 0 0 OA 皇国精神講座

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第3輯 宇内混同秘策・劍徴, 1943
著者
川村 晃右 山田 和子 森岡 郁晴
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.379-387, 2018 (Released:2018-09-29)
参考文献数
45
被引用文献数
2 5

Objectives: The purposes of this research were to investigate the hazardous effects of heat-not-burn tobacco and to clarify the health effects accompanying the transition from cigarettes to heat-not-burn tobacco.Methods: The concentrations of carbon monoxide, ammonia, formaldehyde, acetaldehyde, and dust (hazardous substances) were measured in the smoke of heat-not-burn tobacco. Twenty-nine smokers were used as the subjects. The concentrations of hazardous substances were measured in exhalation of heat-not-burn tobacco. The concentration of cotinine in saliva was also measured after the transition. A questionnaire survey was performed before and after the transition to evaluate nicotine dependence, nicotine withdrawal symptoms, and smoking behaviors.Results: In the mainstream smoke, all hazardous substances investigated were detected. Carbon monoxide and dust were detected in the exhalation of heat-not-burn tobacco. The concentration of cotinine in the saliva of heat-not-burn tobacco users corresponded to that of cigarette smokers. Cigarette smoking was significantly positively related to the score of Fagerström Test for Nicotine Dependence (FTND). Heat-not-burn tobacco was significantly positively related to FTND and Minnesota Nicotine Withdrawal Scale (MNWS) scores. The group in which the number of heat-not-burn tobacco sticks consumed increased after transition showed a smaller number of cigarettes consumed and a higher MNWS score before transition than the group in which it decreased after transition. These two factors were significantly related to the difference between the numbers of cigarettes and heat-not-burn tobacco sticks in multiple linear regression analysis.Conclusions: The mainstream smoke of heat-not-burn tobacco contains harmful substances. There were the possibilities that nicotine dependence and nicotine withdrawal symptoms appear after transition and that the number of heat-not-burn tobacco sticks consumed increases.
著者
宮内 太郎 阿部 直也
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.215-220, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
4

2019 年末に初めて確認された新型コロナウイルスの感染拡大は,世界各国,各地に甚大な影響を与えている。日本においても,この感染拡大による深刻な影響は2021 年5 月時点においても継続・拡大しており,特に観光業が被っている影響は非常に深刻である。本研究では,新型コロナウイルスによって生じた観光業の需要減少が,各産業へ与える負の経済効果を産業連関分析により推定した。対象は北海道,神奈川県,京都府,香川県であり,期間は2020 年4~6 月とした。また国内観光客の需要減少による影響と国外観光客の影響を分けてそれぞれで推計した。推計の結果,影響の状況は対象道府県ごとに特徴があることが分かった。
著者
豊田 秀樹 中村 健太郎 大橋 洸太郎 秋山 隆
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.304-316, 2019
被引用文献数
1

<p> 本研究では,大学における授業評価アンケートについて,学生が授業において最重要視する知見は何かを明らかにする方法として,一問一答形式を用いた自由記述による意見収集に着目した。</p><p> ここでの一問一答形式とは,全員がそれぞれ最初に1つ挙げる評価,印象に焦点を当て,これを知見と呼び,自由記述型授業評価データにおいて得られる主要な知見を得る方式を指している。この際における知見の得られ方の寡占的(支配的)な程度を,ジップ分布の母数によって表現した。また,ジップ分布から算出される累積確率を用いて,観測された印象の飽和度について,特定の飽和度を達成するために必要な異なる要素(評価,印象)の数と併せて結果を示した。分析には,教授者が想定しないような意見の回答に対応するため,要素数を無限とする場合と,あらかじめ決まった要素から回答するそれぞれの場合に対応したジップ分布を用いた計算結果を示した。実際の講義の評価データの分析を通じ,本方法によって,自由記述による授業評価で得られる知見に対し,少ない特定の知見が全体の中で支配的であるのか,それとも印象,評価が定まらず,多様な知見が散見されているのかについて,客観的な指標に基づく考察が可能となることが示された。</p>
著者
Rutson-Griffiths Arthur
出版者
広島文教女子大学高等教育研究センター
雑誌
広島文教女子大学高等教育研究 = Hiroshima Bunkyo Women's University journal of higher education (ISSN:21892962)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-35, 2019-03

学期末の授業評価アンケートは,国内外の大学において教育の質向上のためのデータ収集方法として広く用いられている。広島文教女子大学の文教英語コミュニケーションセンターにおいてもFDシステムの一環としてアンケートが用いられているが,その有用性が分析されたことは今までない。アンケート内の教員評価に関する項目のデータとクラスごとのGPAの関連性を分析した結果,統計的に有意な正の相関が見つかった。これは,授業評価アンケートのデータが役に立つことを示唆するものである。しかしながら,使用にあたって注意しなければならない点もいくつか確認されたことから,教育効果を評価する際には複数の方法が必要であるということが言える。
著者
西山 茂
出版者
新潟国際情報大学経営情報学部
雑誌
新潟国際情報大学経営情報学部紀要 = Journal of Niigata University of International and Information Studies Faculty of Business and Informatics (ISSN:24342939)
巻号頁・発行日
no.2, pp.128-140, 2019-04-01

筆者による論文"「学生による授業評価」結果の統計的分析による考察"では、「学生による授業評価アンケート」の評価点と学生コメントの全体的傾向を明らかにした。この論文の分析では、次のことが判明した。a)評価点は授業規模(履修者数)が減少すると低くなる、b)授業を批判的に評価するコメントが、授業を好意的に評価するあるいは中間的に評価するコメントより多い、c)批判的なコメントが増加すると評価点が低くなる傾向がある。上記論文においては、学生による評価結果を正しく理解するための全体的な傾向を明らかにしたが、同時に、評価点と履修生数(アンケート回答者数)、授業の種類等の授業属性との関係など、さらに詳細な分析が必要であることも判明した。本論文では、上記論文では触れることができなかった、授業の様々な属性と評価点との関係の分析結果を述べる。分析の結果、次のことが判明した。(1) 言語の授業は他の授業とは異なる特性を示す(2) 言語、回答者人数(ほぼ、「履修者人数-欠席者人数」)35人超の授業、全体平均点以下の授業を除き、回答者数が多くなると、評価点が低下する傾向がある。特に、全体評価点平均を超える授業は他に比べて回答者人数と評価点が強い相関を示す。
著者
河原 礼修
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.61, pp.79-109, 2019-12

本論は自己評価点検の一つとして千葉経済大学で実施された学生の授業評価アンケートについて、学生満足度を向上させるためにどのような方法をとることが望まれるかを学生視点から検討し、学生満足度を向上させる要因について定量的な分析を行うことを目的としている。分析の結果、授業に対する学生満足度に授業内容への興味や関心、教員の授業に対する態度、および授業の難易度などが統計的に有意に影響していることが確認された。