著者
駒田 富佐夫 中山 優子 高良 恒史
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.72-80, 2018-08-31 (Released:2018-09-12)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Objectives: The aim of this study was to investigate both the time‐to‐onset and the onset‐pattern of drug‐induced blood disorders (DIBD) following the administration of monoclonal antibody agents through the use of the spontaneous adverse reaction reporting system of the Japanese Adverse Drug Event Report (JADER) database. Methods: Data in the JADER database from April 2004 to October 2017 were downloaded from the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency website. The DIBD dataset for monoclonal antibody agents was constructed based on the data for the drug information and adverse drug reactions. The information for the adverse drug reactions was categorized in accordance with the preferred terms of the Medical Dictionary for Regulatory Activities and included thrombocytopenia, platelet count decreased, neutropenia, neutrophil count decreased, leukopenia, white blood cell count decreased, pancytopenia, anaemia, agranulocytosis, granulocyte count decreased, granulocytopenia, and bone marrow failure. This dataset was then used to calculate the median onset times for the DIBD and the Weibull distribution parameters. Results: The median onset times of the DIBD for gemtuzumab ozogamicin, cetuximab, ramucirumab, trastuzumab, panitumumab, bevacizumab, infliximab, rituximab, trastuzumab, and ibritumomab tiuxetan (90Y) were 4, 10, 13, 14, 14, 14, 16, 16, 27, and 28 days, respectively. The Weibull distributions for cetuximab, trastuzumab, bevacizumab, infliximab, and tocilizumab were estimated to fit the early failure type profile, while those for gemtuzumab ozogamicin, ramucirumab, rituximab, and ibritumomab tiuxetan (90Y) were estimated to fit the wear out failure type profile. The Weibull distributions for panitumumab were estimated to fit the random failure type profile. Conclusions: The results of the present study clarified both the most likely time period and the onset‐pattern of DIBD that can occur in patients after the administration of monoclonal antibody agents.
著者
舩津 保浩 西村 由紀子 石下 真人 上馬塲 和夫 西尾 由紀夫 寺島 晃也 真船 直樹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.367-372, 2008-08-15 (Released:2008-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

豆乳や豆腐の副産物として排出される「おから」の有効活用を目的として,おからをケーキに利用した製品(「おからケーキ」)の一般成分,血糖値上昇抑制効果および官能的特性について従来の小麦を利用した製品(「対照ケーキ」)のそれらと比較検討を行った.その結果を下記に示す.(1)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の一般成分を調査したところ,食物繊維量,とくに不溶性食物繊維量が前者は後者よりも多い点に特徴がみられ,糖質量やエネルギー値でも前者が後者よりも低かった.(2)実用面を考慮した「おからケーキ」と「対照ケーキ」の100g同量摂取試験の結果,前者の食後15分,30分,45分および120分の血糖値は後者のそれらに比べて有意に低い値を示した.(3)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の50g糖質摂取試験を実施したところ,前者は食後30分の血糖値を有意に抑制した.また,両者のGIを比較したところ,前者のGIは後者のそれより39.1%低い値であった.(4)「おからケーキ」と「対照ケーキ」の官能評価を実施したところ,外観,香り,大豆臭および甘味については両者に有意差はみられなかった.しかし,食感,飲み込みやすさおよび全体味では前者が後者より有意に好ましく,受容性でも高い傾向が認められた.以上の結果より,「おからケーキ」は,食後の血糖上昇しにくい食品であり,嗜好面でも「対照ケーキ」に比べて大きな違いがみられないことから,糖尿病予防食の一つとして利用可能であることが明らかとなった.
著者
斉藤 良夫
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1-2, pp.1-16, 2016 (Released:2017-12-21)
参考文献数
30

人間の疲労に関する最初の研究方法論である生理的実体理論が、労働者の疲労研究に有効ではなかった理由を歴史的に明らかにした。この理論では、作業によって労働者の作業能力は必ず低下すること、そして疲労の原因は乳酸などの化学物質の蓄積やエネルギ―消費に基づくと仮定された。労働者の疲労研究は、彼らが職場で作業を行うときモチベーションや欲求などの心理的機能が作用して、彼らの作業パフォーマンスは必ずしも減少するとは限らないことを示してきた。また、その研究は、作業時間の短縮、休憩の挿入、物理的環境の改善、機械の設計の改良などの方策によって、彼らの疲労が軽減することを明らかにしてきた。20世紀前半の終わりには、労働者の疲労の原因は生理的実体理論によって説明できないことが明白になった。
著者
前田 真治 齋藤 雅人 萩原 摩里
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.103-106, 2007 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

The Salt Lake mineral was dissolved in the warm water to develop bath salt that contained the Salt Lake mineral with the element of seawater, and we made comparative study of the effects with the tap warm water for five healthy adults.As a result, the warm water with the Salt Lake mineral increased in the changes of the surface skin temperature in the forehead, the deep thermometer in front of chest and the tissue blood flow of thigh skin compared to the tap warm water.Therefore, the warm water with the Salt Lake mineral was suspected that the thermo effects was good compared to the tap warm water.It seemed that it was possible to use it safely as bath salt, for it did not change the blood pressure, the heart rate, the oxygen uptake and carbon dioxide exhaust. Also, the abnormality of the skin was not additionally recognized.
著者
山田 大介 村岸 裕治 久代 育生 中澤 正和 小泉 瑠理子 冨田 健仁 澤村 浩志
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.437-442, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

運転者が舵を入れ,切り込んでいく際の操舵反力の知覚量は,操舵トルク,操舵トルクの操舵角に対する勾配の,2つの物理量の組み合わせにより表現できることを明らかにした.さらに,その2つの物理量を用い,操舵反力から知覚量変化を推定する手法を導出した.これにより,運転者の感覚に近い定量的評価が可能となった.

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出版者
潮書房光人新社
巻号頁・発行日
vol.46(9), no.569, 1993-09
著者
中西 香爾
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.462-465, 2000-05-01
参考文献数
9

私は1963年に東京教育大学 (現筑波大学) から東北大学理学部の藤瀬新一郎教授の後任として赴任し, 幸運にも藤瀬研で手がけ始めたイチョウ成分の単離構造研究に携わることになった。この構造研究は構造決定がいわゆるルーチン化して推理小説を解くような興奮がなくなる直前になされたものであるが, 異常構造に基づく異常反応, 異常スペクトル現象が続出し, 研究者一同を大いに悩ませ, 楽しませてくれた。その上ギンコライドは血の流れ滑らかにして記憶力増進, アルツハイマー病の悪化防止に効果があるとして急激に需要が増えているイチョウエキスの有効成分の1つとしてここ数年急速に脚光を浴びてきている。<BR>イチョウは古生代 (250億年前) に出現した属の生き残りで, 一属一種しかなく, 化石の木といわれている。世界中に繁茂していたが絶滅し, わずか中国の寺院などに残っていたものが, 1800年後半に世界中に紹介され, 再び各国で見られるようになった。<BR>構造が最終的に出たのは1967年の夏であるが, 構造決定には珍しいくらいの感動の瞬間がいくつかあった 。私が行った構造研究では群を抜いて印象に残るものであり, 私にとり浪漫的な最後のクラシカル研究である。研究に携わったのは丸山雅男, 寺原昭, 中平靖弘, 板垣又丕, V.Woods (故人), 高木良子, 幅口一夫 (故人), 広田勇二, 菅原徹, 出井敏雄, 宮下正昭と私である。仙台に台風が来たおかげでイチョウが倒れ, 仙台市の許可を得て5本を伐採しその根皮100Kgから抽出, 再結晶を10数回繰り返し (液クロ以前の時代, NMRも100MHz) 10gずつのGAとGB, 20gのGCと200mgのGMを得た。ギンコライドは多形や混晶を形成する傾向が強く, ずいぶんてこずった。構造決定中に作られた50個の誘導体は今でも最低数ミリずつ小グラス管にいれられ, 立派なサンプル箱に整頓されてコロンビア大の研究室に保存されている。丸山さん以下よくこんなに整理ができたものといまさらながら感心している。
著者
水津 久美子 橋本 瞳
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.89-101, 2017-02-28

学校給食の7つの目標の一つに「我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること」があげられているが、その具体的な方法や内容を示した資料は少ない。そこで本研究では、伝統的な食文化への理解について、特産品と郷土料理に着目し、学校現場で行われている教育活動の実態を把握することを目的とした。島根県内のA市、B市に勤務する栄養教諭17名を対象に無記名自記式の質問紙調査を行った(有効回収率100%)。調査内容は、学校給食で使用及び提供した特産品及び郷土料理、児童生徒への教育方法並びに教育内容、今後取り入れていきたい活動の4項目とした。その結果、学校給食で使用した特産品は、島根県オリジナル野菜の「あすっこ」、郷土料理は「しじみ汁」が多く、教育方法はどちらも「給食時の放送」が多かった。また教育内容について多かった項目は、特産品は「旬」、郷土料理は「使われている材料」であった。今後さらに取り入れていきたい活動では、体験的な活動(調理実習や栽培など)が約半数を占めた。以上の結果から、教育方法・内容については島根県食育推進計画をほぼ網羅するものであったが、両市の栄養教諭はさらに多様な活動を取り入れたいとする様子がうかがえた。今後教育活動を充実させていくためには、栄養教諭と学校・家庭・地域がこれまで以上に連携して教育を行っていくことが重要である。
著者
新澤 祥惠 川村 昭子 中村 喜代美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】石川県における行事食の特徴あるものを検討した。</p><p>【方法】平成25〜27年に実施した「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の聞き書き調査(穴水町、金沢市、野々市町、白山市、小松市、白峰村)及び文献等により検討した。</p><p>【結果】1)「あえのこと」は田の神様に感謝をするものとして能登一帯で今も行われている行事で地域の季節の食材で調理された料理が用意され、田の神様をもてなした後、家族の直会が行われる。 2)「報恩講」は浄土真宗の行事であり、多くは小豆汁が用意されるが、白峰村ではなめこ汁が作られ、これに、大盛りのごはんと厚揚げ、堅豆腐や山菜などを使った精進料理が用意されている。 3)「祭り」の料理としてえびすがあり、金沢、加賀では塩魚を使った押しずしが作られた。 4)「婚礼」の料理として鯛に炒りおからを詰めて蒸した唐蒸しがある。特に婚礼では大鯛を一対腹合わせに盛り付けて供される。また、五色生菓子が準備される。これは、日・月・山・海・里にみたてた5種の菓子を近所や親戚に配るものであるが、徳川家より玉姫が輿入れした題に献上されたものといわれる。 5)「氷室」は江戸時代、冬に雪を氷室に貯蔵し、旧六月朔日に氷室を開きこれを江戸の将軍家に届け、庶民はこの時期収穫される麦で饅頭を作ったという故事にちなみ、現在は7月1日に白、赤、緑の饅頭やはぜ、ちくわを食べている。 6)正月の雑煮は能登、金沢、加賀で差異がみられる。おせち料理で地域性のあるものとしては、棒だらの煮付け、ぶりなます、鮒の甘露煮があり、能登ではあいまぜも準備される。正月菓子としては前田家の家紋梅鉢にかたどった紅白の最中に砂糖をまぶした福梅(ふくんめ)や福徳がある。 以上、石川県では、信仰にちなんだ行事と武家文化に影響された行事食がみられた。</p>
著者
中村 祐太郎
出版者
日本バレーボール学会
雑誌
バレーボール研究 (ISSN:13449524)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-10, 2021

Soft volleyball was developed as new sporting games that anyone can easily enjoy according to the age, sex, physical fitness, and skill level. The purpose of this study was to categorize soft volleyball enthusiasts and capture their characteristics to obtain basic data for future popularization and development. Focusing on the player`s goal sacrificed, we categorized it using factor analysis, cluster analysis and confirmed whether there was a difference by analysis of variance. The results showed that soft volleyball enthusiasts were engaged in competition and life satisfaction as their primary objective. It was also possible to classify the enthusiasts into three types. Type A was primarily sacrificed competitiveness. Type B worked with a variety purpose thinking, such as self-health, leisure, and competitiveness. Type C aimed at self-health and competitiveness, but did not have purpose about leisure. Type B was the most recognizable effect by playing soft volleyball. It became clear that more effects can be enjoyed by performing for various purposes such as self-health, leisure, and competitiveness. It is also effective to approach people who have no experience of volleyball and increase the category of competition.
著者
岩宮 貴紘 野上 健一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.56-58, 2022

近年世界的に急増している心不全に対して,再生・細胞医療による新規治療方法の開発が盛んに行われているが,いずれの製品も臨床試験での治療効果や商業利用には課題があり,十分な実用化には至っていない.本稿では,実用化における課題点について提起し,これらを克服することを目指したメトセラの自家再生医療等製品MTC001の製品特徴について紹介するとともに,当社が考える自家再生医療等製品の一般医療化の展望について述べたい.
著者
真鍋 勝 松浦 愼治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.275-279, 1972-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 7

みそ仕込みの時点にアフラトキシンが混入していた場合,みそ醸造中にはたしてアフラトキシンが分解されるか否かについて検討を加えた。(1) みそ醸造中のアフラトキシンの分解を調べる場合の基礎的実験として,水素イオン濃度の違いによるアフラトキシンの分解を調べた結果,アフラトキシンB1, G1ともにpH 4~5の範囲で安定であり,pH 1とpH 9~10でよく分解していた。pH 1~3においては,アフラトキシンB1とG1はそれぞれアフラトキシンB2aとG2aに変わることがわかった。(2) 全国各地より集めた種々のタイプのみそ95点についてpHを調べた結果,大部分がpH 4.6~5.4の間に入っており,水素イオン濃度によるアフラトキシンの分解は考えられないことがわかった。(3) みそ醸造中の添加したアフラトキシンの分解試験結果では,アフラトキシンB1とG1は醸造の初期に分解が認められるが,その後の分解は少なかった。またアフラトキシンB2とG2については,ほとんど分解が認められなかった。以上のことより,みその仕込み段階にアフラトキシンが混入した場合,みその醸造中には完全に分解されることはないことがわかった。
著者
山本 万里 佐野 満昭 松田 奈帆美 宮瀬 敏男 川本 恵子 鈴木 直子 吉村 昌恭 立花 宏文 袴田 勝弘
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.64-68, 2001-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12
被引用文献数
24 26

本縞では,茶葉中の抗アレルギー作用が期待されるカテキンであるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3”Me)含量の品種,摘採期,製造法による変動を検討した.EGCG3”Meは,品種別では,'べにほまれ'およびその後代である'べにふうき','べにふじ'に多く含まれ,二番茶以降に増加することがわかった.また,製造法では,緑茶(不発酵茶),包種茶(軽発酵茶)では大きな差異はなかったが,紅茶(発酵茶)にすると消失した.これらにより,EGCG3”Meを活用するためには,'べにほまれ','べにふうき','べにふじ'の二番茶以降の茶葉を使用し,緑茶もしくは包種茶に製造する必要があることが示唆された.