著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1032-1037, 2012

<p>化粧は,身体に直接施すものであるため,その使用が各種のアレルギーなどを誘発する可能性がある.歴史的に,消費者は化粧の使用により鉛中毒や黒皮症に冒されたりしてきた.その時々で,企業の経済活動が優先され,また情報提供や注意喚起の稚拙さの問題が生じた.企業は,どのように消費者や社会と関わり,経済活動をおこなうべきなのか.また,消費者は企業の提供する製品や情報を,どのように受け止めていくべきか.本研究では,化粧品による鉛中毒と黒皮症の事例を取り上げ考察した.</p>
著者
安髙 志穂
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.49-59, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
49

本研究では,1947年の第1回国会以降の国会会議録から国会議員の花粉症対策に係る発言を抽出した上で,①森林・林業関係の対策,②医療関係の対策,③環境関係の対策,④その他花粉症対策に係る発言に分類し,これらの発言件数,森林・林業関係の対策に係る発言内容及びその変遷について分析した。これらの国会における議論の動向から,①花粉症対策に係る発言件数の中で森林・林業関係の対策に係る発言件数の割合が最も多く,近年ではその傾向が高まっていること,②1986年,国会議員が初めて森林・林業関係の対策に係る発言をし,以降30年以上にわたり関心や期待を寄せ続けていること,③森林・林業関係の対策に係る発言内容は,2004年度頃から個別の対策の効果や目標の設定方法等に踏み込んだ内容に深化し,これが当該対策の加速的な推進の一因となったと考えられることが明らかになった。
著者
坂本 清
出版者
明治大学商学研究所
雑誌
明大商學論叢 (ISSN:03895955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.vii-viii, 1989-03-25

想えば昭和63年5月9日夕刻,長らく御入院,病気治療に専念されておられた松尾憲橘先生の訃報に接し,最悪の事態を現実のものと受け取らねばならぬことになりました。先生の闘病生活は一年有余に及びその間先生御自身は申す迄もなく,御家族の皆々様,大学関係者,教え子,ならびに各方面の方々の願いと祈りの日々でありました。先生が発病されましたのは,昭和62年3月24日夕刻でありました。その日,先生は,大学機関での会議を主催し,無事閉会の後,帰途の電車にたまたま小生も同行し,新宿駅ホームで先生をお見送りした直後の急変であります。その車上での約10分間,日頃の御様子に似ず,当日の会議の反省,学内のこと,学問のこと種々御話を承ったのでありますが,御話は世間話を越えた,種種の問題にも及んでおりましたが,時間の関係からまたの機会とさせて頂いた記憶があります。
著者
佐藤 尚登 宮崎 保光 竹中 康雄 西 隆昭 田口 一夫
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.49-56, 1990-09-20 (Released:2017-01-15)
被引用文献数
3 2

In the summer of 1989, a series of measurement of the 9970 Loran-C chain and the Kita-Kyushu Decca chain was made, using two ρ-ρ Loran-C receivers and a MS-2A Decca receiver aboard the training ship Hiroshima-maru. We made a series of passage under the Bisan-Seto-Oohashi which is located in the Inland Sea of Seto, observing the time-difference, amplitude and phase-difference on the receivers. When the ship was located in the vicinity of the bridge, large positioning errors were observed as the result of the field distortion. This paper presents the results of these measurement, and says that the disturbance of the electric field can be explained by assuming the bridge to be a one-wave-long-loop antenna.
著者
北川 正恭 安井 義博
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.56, pp.142-145, 2004-02

北川 私が三重県知事に在職していたとき、安井さんが中部地域の経営者の有志たちとEPOC(環境パートナーシップ・CLUB=安井会長)を立ち上げられました(2000年2月)。大変なインパクトだと、当時思いましたよ。安井 あのときは、私こそ北川さんの行動力に驚いたんです。
著者
巣山 隆之 坂田 忠 内田 芳明 大久 文一 吉田 壮大郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.9, pp.1204-1208, 1991-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

3-シアノ-2-エチルイソ尿素を水酸化カリウム存在下で二硫化炭素と反応させ,ついでメチル化してdimethyl N-[(cyanoimino)ethoxymethy1]carbonimidodithioate3を合成した。3は活性であり,第二級アミンとの反応では3-cyano-1-[(disubstitutedamino)methylthiomethylene]-2-ethylisourea8を,また第一級アミンとの反応では1-substituted4-ethoxy-6-methylthio-1,3,5-triazin-2(1H)-imine9を生成した。9はアミン塩酸塩と室温で反応して,立体障害の小さい場合,1-substituted6-(substitutedimino)-4-ethoxy-3,6-dihydro-1,3,5-triazin-2(1H)-imine10塩酸塩を,また立体障害の大きい場合は,1-substituted4-(substitutedimino)-6-methylthio-3,4-dihydro-1,3,5-triazin-2(1H)-imine11塩酸塩を主に生成した。さらに3,9または10塩酸塩とアミン塩酸塩またはアミンとの反応により1-substituted4,6-bis(substitutedimino)-3,4,5,6-tetrahydro-1,3,5-triazin-2(1H)-iminehydrochloride(前報と同じように便宜的に1,2,4-三置換イソメラミンと呼ぶことにする)12塩酸塩を合成した。
著者
澤津橋 基広
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.190-195, 2019-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
33

近年、北部九州において、スギ・ヒノキ花粉の飛散時期に、PM2.5 および黄砂の飛来が重なる日が観測されている。PM2.5 および黄砂は、気道の症状を悪化させることが報告されており、黄砂飛来により、喘息患者の入院リスクが上昇することや、PM2.5 の上昇により、小児の喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の症状が悪化することが報告されている。このスギ・ヒノキ花粉と PM2.5 と黄砂によるトリプルパンチをどう乗り切るのか? まず、確実に言えることは、スギ・ヒノキ花粉および PM2.5 と黄砂の接触を防ぐことである。そのためには、患者自身が花粉飛散や PM2.5 の濃度の情報を収集し、原因物質からの接触回避することが重要である。その上で、医療機関における薬物治療等を行うことが、このトリプルパンチを乗り切る要点になる。この論文では、PM2.5 および黄砂飛来時の花粉症に対する治療について薬物療法を中心に述べる。
著者
山田 富明
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1098-1107, 1983-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

Technology for a continuous ethanol fermentation process was developed by means of immobilized living cells using yeast cells and specially designed artificial resins.Yeast which has the ability to produce ethanol was screened from Saccharomyces genus and mixed with prepolymers of photocrosslinkable resin, then illuminated with an active ray (for example, chemical lamp) to change the prepolymers into three dimensional cross-linked polymers in which yeast was entrapped. Immobilized yeast processed into appropriate thinner sheet was packed in a fermentor and a diluted molasses solution fed to the fermentor. The fermentation temperature was kept at about 30-32°C and the pH at 4-5.As a result of a bench scale test (10 litres of ethanol a day) and pilot plant test (250 litres of ethanol a day), the constant activity of the yeast and high ethanol yield on sugar during long-term operation was confirmed and it was also established that the ethanol productivity was several times that of conventional suspended state batch system fermentation.
著者
岩本 テルヨ 山田 美幸 加瀬田暢子
出版者
山口県立大学学術情報編集委員会
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.2, pp.8-14, 2009-03

特別養護老人ホーム在所者の最期の場に関する意思決定とターミナルケアの現状を明らかにすることを目的として、2002,2003年に特別養護老人ホームの看護職を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。 2002年は433施設(回収率43.3%)、2003年は233施設(回収率29.1%)から回答を得た。特別養護老人ホームにおける年間死亡者数(2001年)は10.3±5.9(うち特養内死亡4.3±5.2)人であった。ターミナルケアへの対応は約7割が「希望があれば最期まで看取る」と回答した。最期の場の決定(複数回答)については、「家族・後見人」(38.3%)、「医師」(16.8%)、「状態が悪化した時の本人の希望」(14.9%)、「入所時の本人の希望」(13.3%)、「ホームの方針」(8.3%)、「看護職」(5.0%)、「介護職員、生活相談員」(2.7%)、[その他](0.9%)の順で行われていた。在所者の希望が優先されない理由に、「認知症があり本人の希望がよくわからない」(27.2%)、「本人からの意思表示が特にない」(20.8%)、「家族・後見人が本人は高齢でもありこの事態に対処することは難しいと考えている」(13.8%)、「家族・後見人が本人の希望というより自分たちの希望を優先することを求める」(12.1%)などがあった。 特別養護老人ホーム在所者の最期の場への意思尊重に向けて、認知症問題への方策とともに、特別養護老人ホームのターミナルケアへの体制整備が示唆された。
著者
京都大学広報委員会
出版者
京都大学広報委員会
雑誌
京大広報
巻号頁・発行日
vol.9711g1, pp.334-345, 1997-11

創立百周年記念特集
著者
田岡 洋子 村岡 洋子 H. TAOKA Y. MURAOKA
出版者
京都短期大学成美学会
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.27-60, 2001-03

学生による高齢者へのインタビューを通して,その生活の現状とこれまでの生活の歴史と考え方を調査した。インタビューをした高齢者は比較的健康で,現在の生活に満足している。約30%の人が現在でも仕事をしている。これまでの仕事歴は男性が専業,女性がパートとはっきり分かれているが,80%の人は女性が仕事をもつことはよいことだと考えている。介護の体験は女性が多いが,男性も28%は介護経験者である。介護して心に残った印象は,ただ辛いばかりでなく,介護・生・死についてさまざまな感慨を得ている。自分の老後に関しては男性がつれあい,女性が娘とはっきりと別れており,介護をしてもらう場所としては男女とも自宅がよいと回答している。この点ではともに全国的調査と同様の典型的なパターンではあるが,病院より老人ホームの方が高くなったり,家族以外の社会的介護が望ましいと思う人はともに19%前後とかなり高い値を示すなど,新しい傾向も垣間見られる。老人ホームはあまり好ましいとは思っていないが,それでも30%の人が見学に行ったり,行きたいと思っている。質問をした学生達には大切な仕事だから頑張ってとか,君なら大丈夫と温かい励ましをいただいており,高齢者とじっくり話し合うのは初めての経験という学生達はそれぞれに感銘を受けている。
著者
西村 営三
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

スチュワートプラットホームの位置と姿勢の一計算法が考察された。6本のリンクの実際の長さを読み取り, 3本のリンクからプラットホームを6方向に移動して, それぞれのプラットホームの座標を計算する。残りの3本のリンクの実際の長さと, 計算からでてくる長さの差から分散そして平方根をとったものを誤差を定義する。誤差が最も小さくなるプラットホームの方向に計算をもどす。誤差がある一定の値より小さくなれば計算を終了する。このときの座標が答えになる。
著者
細野 泰
出版者
診断と治療社
雑誌
産科と婦人科 (ISSN:03869792)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.p249-254, 1981-02
著者
小柳 敦史
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.1-24, 2017

<p>O・シュペングラーの『西洋の没落』は第一次世界大戦後のベストセラーとなり、当時のプロテスタント神学も対峙せざるを得ないものであった。本稿では、『西洋の没落』が当時のプロテスタント神学にとってどのような事件であったのかを明らかにしたい。まず、雑誌『キリスト教世界』でなされた議論をたどり、『西洋の没落』に対する神学者たちの反応の見取り図を手に入れる。その上で、一九二〇年代のW・エーレルト、E・ヒルシュ、K・ハイムの著作における「運命(Schicksal)」の概念について検討する。「運命」の概念は『西洋の没落』の歴史理解を支える概念であるのみならず、同時代の神学における論争概念となっていたのである。最後に、プロテスタント神学の外からの視点としてユダヤ系の言語学者H・ヤーコプゾーンの問題提起をもとに、「運命」についての当時の議論が帯びていた問題を検討する。</p>
著者
水本 光美
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤教育センター紀要 = Bulletin, Center for Fundamental Education (ISSN:18836739)
巻号頁・発行日
no.9, pp.55-80, 2011-03

現在の若い世代の女性標準語話者は女性文末形式を特殊な場合以外は使用しない。しかし、日本語教科書やその他教材においては、若い世代の女性登場人物は多用する。これに関して日本語教師の意識調査を実施したところ、3割近くは教材の現状を肯定しており、ジェンダー意識に基づいた理由を挙げる者もいる。しかし、7割以上が現状に即していない使用は避けるべきだという調査結果から、教科書は現状を反映する時期が来ていると考える。
著者
前川 素子 和田 唯奈
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.144-148, 2021 (Released:2021-09-25)
参考文献数
5

統合失調症の発症メカニズムについては,脳の発達期におけるさまざまな侵襲が発症脆弱性形成の基盤になる「神経発達障害仮説」が知られている。筆者らは特に,「妊娠中の母親が飢餓にさらされると,子どもの将来の統合失調症発症率が約2倍に高まる」という大規模疫学事象に着目し,脳発達期の栄養欠乏が成長後の統合失調症発症リスクに影響する可能性について解析を進めてきた。筆者らが,脳発達期栄養欠乏を模倣するモデルマウスを作製して解析したところ,脳発達期栄養欠乏マウスは,統合失調症様の表現型を示すこと,その上流には多価不飽和脂肪酸をリガンドとする核内受容体RXRα,PPARαが働いている可能性を見いだした。さらに,ヒトおよびマウスを対象に解析を行い,核内受容体PPARαの機能不全が統合失調症の発症リスクに関わる可能性,核内受容体PPARαが統合失調症の新しい治療ターゲットになる可能性を見いだした。