著者
小林 章 岡本 五郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.31-35, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
18
被引用文献数
7 6

1. Muscat of Alexandria の比較的強勢な新梢につき, 開花1~3週間前に基部の5葉または10葉を残して摘心をすると, 花粉の発芽率が高まるとともに着粒も良好になつた。この場合に葉分析をすると, 両摘心区ともに花房付近の葉内にB含量がとくに増大した。2. 摘心をするかわりにホウ素の葉面散布 (ホウ酸0.2%) を行なうと, ホウ素は枝梢内に多量に吸収されるとともに, 結実歩合が著しく増大した。3. 葯に含まれるアミノ酸と糖をペーパークロマトグラフィーによつて分析した結果は, 摘心区およびホウ素散布区において proline および alanine が多く存在した。4. 無処理区に比べて, 摘心区およびホウ素散布区では葯中の全糖量が明らかに増大した。ただし, 摘心区では sucrose が増大し glucose はやや増加する程度であるが, ホウ素散布区では sucrose が消失し glucose がいちじるしく増大した。
著者
森田 文子 柴田 俊子 奥住 祥恵 光永 知和子 嶋本 圭 大音 清香 井上 賢治
出版者
日本視機能看護学会
雑誌
日本視機能看護学会誌 (ISSN:24333107)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.30-32, 2020

目的:A 病院における夜間・休日の救急患者電話対応を振り返り現状と課題を明らかにする。対象と方法: 調査期間:2017 年1 月~ 12 月 対象:電話相談をした166 件方法:救急患者記載表に記載された相談内容を収集分析結果:電話総数517 件に対して救急患者記載表使用は166 件。年齢別では70 歳以上が87 件(52.4%)。時間帯では17・18 時台が各21 件ずつ(12.7%) と最も多く,17:00 ~ 23:00 では85 件(51.2%)。疾患は,緑内障が61 件(36.7%)で最多。相談内容は,目の不調について122 件(73.5%),点眼・内服について29 件(17.5%) の順。考察:電話相談は,病棟看護師の多忙な夜間帯に多い。多忙な時間帯での救急患者電話対応では,入院患者への安全な看護行為の提供は難しく,又,電話相談患者が安心できる対応も同様である。これらのことから,電話対応のマニュアルを作成する必要があると考える。
著者
石井 翔子
出版者
東京女子大学論集編集委員会
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.53-85, 2013-09

本稿では、子規の短歌に詠まれた天体(太陽、月、星)にどの感覚表現が用いられているのかに注目し、短歌に見られる天体の表現が子規の生活の変化にどのように対応しているのかを明らかにする。天体を表す語彙の使用状況を調査した結果、次のことが明らかになった。1、全ての天体語彙に視覚表現が用いられている。月には触覚表現の使用も見られる。古典への意識が短歌革新後にも残り、また子規にとって月が古典の影響を受けやすい材料であると考えられる。2、子規の作品の太陽の表現方法の一つに、太陽の動きによって時間の推移を表現する方法がある。またその表現方法は、外出先の出来事の記録に多い傾向である。子規の短歌にもその表現方法が見られる。外出が不自由となった明治33年以降に、子規は短歌に太陽を詠むことが少なくなったが、この子規の太陽の表現方法が実生活と合わなくなった為と考えられる。3、月を詠んだ作品数が、太陽と星の場合よりも多くなっている。その理由として、子規の月への興味が強いことと、子規にとって空想や回想によって詠むことのし易い材料であったことが考えられる。しかし明治33年以降は月を詠む傾向が弱まっている。その理由として、子規にとって月の表現は、景色の一つとして表現され易い題材であったことが考えられる。その表現方法は、明治32年の、短歌は時間的なことを含むのに適しているという子規の考えと、一致しないものである。4、明治33年の子規の短歌では多様な趣向で星を詠んでいるが、34年以降は星を詠んだ短歌作品が見られない。その理由として、子規の星への興味の薄さと当時の子規の目の不調、糸瓜棚の設置による視界の狭まりが考えられる。
著者
坂田 晃一
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-70, 2004-12-31

日本のテレビ・ドラマのテーマ音楽は、近年、そのあり方の諸相に於いて変化を見せている。それらの変化の原因を探り、その結果としてのテーマ音楽の現状について検証する。更に、その現状が抱える問題点と弊害を明らかにし、そうした現状から脱却するための方策を提案する。
著者
阿部島 杞干
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.700-708, 1979-10-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
34
被引用文献数
3 2
著者
下林 秀輝 堀江 新 稲見 昌彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.2P1-M01, 2020

<p>Tactile presentation devices using mechanical stimuli require that the stimulus elements are properly contacted with the user's skin. Many researchers have developed various kinds of the haptic display to realize the reproduction of skin sensation. Human body has complex shapes so that it is sometimes impossible to contact between stimulus elements and skin. In this study, we introduce the two-axis gimbal mechanism to haptic display. We referenced the ankle mechanism of walking robots for extreme terrain, which can handle complex shapes. In this paper, we conducted the experiments and evaluated the fitting mechanism with the acquired contact area and the pressure value. The results show that our proposed mechanism makes contact area increase and the pressure value in contactors uniform.</p>
著者
藤井 亮輔
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-85, 2019

早大学位記番号:新8342
著者
北澤 和寿
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.47, pp.D-9-D-9, 2020

<p> 2008年3月 地元の工業高校を卒業後,オートバイメーカーに就職。休日に友人とオートバイでツーリングに行った帰りに,普通乗用車と交差点で事故に遭いました。意識不明の重体の状態で病院に運ばれ,心臓も二度止まりました。その後,一命は取り止めましたが頸髄損傷による上下肢機能全廃という障害を負いました。それからは別の病院やリハビリ施設での約2年間のリハビリを経て,自宅へ戻ることが出来ました。</p><p> 帰宅後は「人生は一度きり」という言葉を胸に,パラグライダー・スカイダイビング・スキューバダイビングなどに挑戦をしました。また,これからの生き方について考えるようになり,今の自分があるのも様々な人が支えてくれたお陰だと感じ,これからは自分も支援する側になれたらと,福祉系の4年制大学へ入学・卒業をしました。</p><p> 同じ時期に元々,学生時代に運動部に所属していたことから"スポーツをしたい"と思い,重度の障害者ができるスポーツのボッチャと出会い,現在も続けています。</p><p> </p><p> 私は受傷直後から"リハビリテーション"を受け続けています。今回,初めて"リハビリ"というものを受けた頃の気持ちや思ったことをお伝えできたらと思います。</p><p> 当時,感じていたが2つあります。1つ目が,"リハビリの内容について患者さんが,しっかりと理解・納得できているのでしょうか"という点です。患者さんの多くは,リハビリ内容について「専門職者であるセラピストが言うことだから…」と言われるがまま,リハビリを行っている人多いと思います。されるがまま,どこか患者さんの存在が置いてきぼりになってはいないでしょうか?</p><p> 2つ目には,"義肢装具・自助具について【使用する側の想い】と,【支援する側の思考】に相違がある"ように感じたことがありました。私自身も受傷をしてから自助具を何回か製作していただいたことがありますし,自助具や義肢装具によって出来なかった動作ができるようになりました。しかし,自助具や義肢装具というのは機能重視だったりするので,見た目という点が二の次だったりしないでしょうか。当然,価格といった問題もありますが,患者さんが装具や自助具を「気軽に使用したい」と思えるものを製作することができれば,患者さんのできる動作が増えたり,日常的の行動範囲が広がるかもしれませんし,それに伴って生活の質も向上すると,私は思います。</p><p> 患者さんの人生が少しでも良くなっていくように,今回,お話が出来たらと思います。</p>
著者
西田 梢
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.5-20, 2020-03-30 (Released:2020-04-13)

Molluscan shells record environmental and ecological information in regions from low to high latitudes that has implications for understanding the physiological mechanisms and evolution of biomineralization. To enhance the application of information derived from modern and fossil molluscan shells in paleontological research, I undertook a comprehensive review of recent studies of the stable carbon and oxygen isotopes of molluscs and other biogenic and synthetic carbonates and reinterpreted the isotopic compositions of molluscan shells by focusing on the mechanism of their mineralization. Standardization and correction of analytical isotopic values used in paleontological research, together with recent advances in micro-volume isotopic analysis and clumped isotope thermometry, will enhance their application in studies of modern and fossil biogenic carbonates.
著者
阿部 学
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
no.1, pp.41-50, 2008-03

本論は、あるミュージシャンによる歌づくりの授業の中で活用された「作詞ノート」を取り上げ、その表現活動における教育方法的意義について論じたものである。授業を行ったのは、筆者が参加しているロックバンド「sjue」のメンバーである。「作詞ノート」とは、「sjue」のボーカリストSjueのノートを称したものであり、その特徴は、常に携帯しておき、思いついたことは文でも絵でも何でも書き込んでおくことにある。この「作詞ノート」を子どもたちに配布した上で歌づくりの授業を行い、子どもたちの表現活動にどのような効果があったのかを考察した。授業を行った結果、自分の表現を振り返り新たな表現を摸索するなど、子どもによって多様な効果がみられた。また、これら様々な効果をまとめた結果、日常の文脈にそくした表現活動を行うことの意義や、表現者の表現方法を考察していくことの重要性など、表現活動にっいての新たな視座が得られた。
著者
久万 健志
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

溶存有機物が多く含む河川水中の各鉄化学種濃度は高く、特にフミン物質蛍光強度と真の溶存鉄濃度との関係が見られ、河川水中のフルボ酸が3価鉄と溶存有機錯体鉄を形成していることが明らかになった。また、河川起源溶存フルボ酸鉄錯体は海水と混合しても比較的安定に存在していることを示し、河口域から沿岸域への溶存鉄を運ぶ重要な役割を果たしている。フルボ酸鉄錯体を多く含む河川由来溶存鉄を添加した沿岸性植物プランクトン-栄養塩培地では、細胞密度及びクロロフィルa濃度が急激に増加した。これは、河川水中のフルボ酸鉄錯体が海水と混合すると、フルボ酸鉄錯体から生物利用可能な溶存無機3価鉄イオンが徐々に解離し、それが植物プランクトンに摂取されたためと考えられ、河川の影響ある沿岸域の高い基礎生産を維持していると考えられる。

1 0 0 0 OA 国史略

著者
石村貞一 編
出版者
東生書館
巻号頁・発行日
vol.1, 1883
著者
小沼 貴裕 岡田 随象
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.345-353, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
37

近年のヒトゲノム研究の大規模化と遺伝統計学的手法の発展により,関節リウマチのゲノム解析は多くの進展が見られる.関節リウマチのゲノムワイド関連解析(GWAS)により100を超える遺伝子座が関節リウマチのリスクに有意に関連することがこれまでに報告されている.一方で,GWASにより同定される疾患感受性SNPのほとんどは非コード領域に存在するため,生物学的意義の解釈が困難である場合が多い.我々のグループでは,横断的オミクス解析によりゲノム解析結果と別階層のオミクスデータとを統合解析することで,関節リウマチを含む複数の疾患と形質について,有意に関連する炎症細胞タイプを明らかにした.また,関節リウマチでは体内の微生物叢(マイクロバイオーム)が疾患の病因や進展に関与することも知られる.我々のグループでは,ショットガンゲノムシーケンスを用いた腸内微生物叢のメタゲノムワイド関連解析(MWAS)により,ヒト宿主ゲノムと腸内微生物叢と関節リウマチとの3者の関連性を見出した.さらに,近年ではゲノム情報を用いた個別化医療への応用が注目を集めている.GWASの個別化医療の応用として,ポリジェニックリスクスコア(PRS)によるGWASで同定したSNPに基づく将来的な疾患発症の予測について報告されてきている.我々のグループでは,国際バイオバンク67万人の情報を解析することで,健康寿命に有意に関わるバイオマーカーの同定に成功した.
著者
八木澤 史子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.431-442, 2021-03-20 (Released:2021-03-25)
参考文献数
31

本研究では,1人1台の情報端末を活用した小学校の授業で用いられる教師の教授知識の特徴を明らかにするため,授業で観察された教師の教授行動の背景にある意図について授業者にインタビューを行い,その内容を「授業についての教師の知識領域」(吉崎 1988a)の枠組みを参考に分類した.その結果,1人1台の情報端末を活用した授業においても,情報端末を用いる以前から示されていた枠組みが授業者の教授行動の背景として存在する教授知識あるいは考え方を分類するうえで適用可能であることが示唆された.また,授業者が用いた教授知識の中には,学習活動や学習機会,学年,教科の影響を考慮する必要がある特徴をもつ知識も示された.さらに,ICT に関する知識を吉崎が示した知識領域との関連の中に見出した.その結果,ICT に関する知識は4つに分類され,吉崎が示した知識領域の拡張と捉えられるものとそうでないものがあることが示唆された.
著者
砂川 芽吹
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.87-97, 2015

自閉症スペクトラム障害(ASD)の女性は,知られている有病率の少なさと,ASDの症状が分かりにくいことから,これまで焦点が当たってこず,見過ごされている可能性がある。本研究では,①ASDの女性を見えにくくする要因は何か,及び,②ASDの女性は診断に至る過程のなかでどのように生きてきたのか,という2つの問いを明らかにするために,大人になって初めてASDの診断を受けた成人女性12名を対象としたインタビューを行い,GTAによって質的に分析した。その結果,【「大人しさ」のベール】,【就労状況のベール】,【家庭のベール】,【精神症状のベール】という,周囲からASDの女性を見えにくくする4つの社会環境的な要因が見いだされた。さらに,これらのベールの下で,ASDの女性が適応の【努力と失敗の繰り返し】から【社会適応のスキルを学習】することもまた,周囲がASDの女性を認識し難くなる要因となっていることが示唆された。一方で,ASDの女性は,診断に至る過程であらゆる失敗経験を〈自分に原因帰属〉しているために,【自尊心の低下】が起きていた。そのため,ASDの女性は表面的な社会スキルによってASDであることが周囲から見えにくくなっているが,自尊心が低く,支援が必要な状態だと考えられた。本研究を通して,ASDの女性が障害を持つことを見えにくくする要因と適応過程を見いだし,ASDの女性におけるアセスメントや支援についての示唆を得た。
著者
中嶋 省志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.202-203, 2017

<p>歯磨剤は,様々な成分(研磨剤,湿潤剤,発泡剤,粘結剤,抗菌剤など)を配合して,使いやすく,安全でかつ長期間安定な物理的・化学的特性が発揮できるようにつくられている。一方,フッ化物や殺菌剤などの薬用成分を配合して,虫歯や歯周病の予防・改善あるいはステインや口臭の防止にも有用なものである<sup>1)</sup>。日常,何気なく使っている歯磨剤の中身とフッ化物による虫歯予防のメカニズムを化学の目で見てみる。</p>