著者
高屋敷 真人 宮内 俊慈 Masahito Takayashiki Shunji Miyauchi
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in teaching Japanese as a foreign language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
no.25, pp.55-68, 2015

本研究は、2014 年度の関西外国語大学国際文化研究所(以下IRI)のプロジェクト研究助成を受け、IRI 共同プロジェクトとして認定され、以後、継続して行われているものである。本プロジェクトの主旨は、関西外国語大学留学生別科の日本語会話レベル6(中級後期)の教科書開発プロジェクトとして中級会話用の「モジュール型教材」を作成し2015 年度秋学期(8 月~12 月)と2016 年春学期(1 月~5月)での試用を目指したものである。昨年度は、アンケート調査や授業評価の結果を分析し第一課(ユニット1)と第六課(ユニット6)の本文の改訂を行い、大きな成果を生んだ。
著者
本江 昭夫 福永 和男
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.p85-91, 1983-06

(1)山地の大規模草地において植生調査を行い,出現した種について積算優占度を求めた。出現頻度の高い19草種について,反復平均法で序列づけを行った。(2)序列づけされた種について,第1軸には牧草地の造成方法が,第2軸には利用方法が強く反映していた。(3)クラスター分析により,48スタンドが4種類の植生タイプに分けられた。すべての植生タイプにおいて,オーチャードグラスとホワイトクローバーが優占していた。さらに,採草タイプではチモシーとオオスズメノカタビラが,放牧タイプではケンタッキーブルーグラスとメドウフェスクが,野草タイプではササ類の優占度が高かった。(4)山地の大規模草地における植生の変異には,標高や立地条件よりも人為的な撹乱圧の程度が強く関連していると推察された。
著者
Brazhnikova Tsybizova Violetta
出版者
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会
雑誌
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌 (ISSN:13449109)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.29-43, 2020

<p>現在、喜劇<i>Los primeros mártires del Japón</i>(日本初の殉教者たち)はアントニオ・ミラ・デ・アメスクアの作品であるとの説が有力であるが、長らくその著者はロペ・デ・ベガであるとされてきた。この演劇作品はキリスト教伝道とキリスト教の東洋化を描き、西洋と東洋の2つの文化の橋渡しとしての役割を負わせたものとなっている。また、当該作品では、女性を受け身の役を与えていない点が注目される。カルデロン・デ・ラ・バルカの『人生は夢』のロサウラやティルソ・デ・モリーナのAmazonas en las Indiasをはじめとしたスペイン黄金期の演劇作品に登場する男装の女性との類似性が見られるのである。つまり、女性の戦士という役柄は、当時の女性の規範に対抗する形で登場しており、その意味で、この作品の分析は17世紀における女性解放を分析する上での出発点になり得る。</p>
著者
田中 卓也
出版者
静岡産業大学経営研究センター
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.47-54, 2019-12

本研究では、芸能雑誌『明星』(集英社)を取り上げ、多くの女性ファンの心をつかむことに成功した男性アイドルについてとりあげ、男性アイドル観がどのように形成されたのかについて考察・検討を試みるものである。また男性アイドルが、「スポーツ」と「恋愛」について、どのように結びついていくことになったのかについて見出すものである。 1960年代初頭にジャニー喜多川が手掛けた4人組グループの「ジャニーズ」が「野球」を通じて交流した若い青年が最初のジャニーズタレントになって以降、現在に至るまで、多くのタレントを排出した。彼らは「野球」をはじめ、様々なスポーツと関わるなかで、若い女性から人気を博すことになった。女性にとっての男性アイドル観は、「新御三家」に始まり、「たのきんトリオ」の登場で形成されはじめ、「SMAP」に至るまで以後多くの女性から愛される(恋愛対象としての)存在になっていった。『明星』誌は、スポーツと恋愛が女性ファンと結びつける装置としての機能を有した。
著者
卜田 隆嗣
出版者
島根大学教育学部
雑誌
島根大学教育学部紀要 教育科学 (ISSN:0287251X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.p9-15, 1989-07

このたび学習指導要領の改訂が決まった。音楽科に関してもさまざまな変更がみられるが,とりわけ教材面で,民族音楽を取り上げることになった点が注目される。そこでは,これまで常にそうであったように,音楽の「学習」とは何か,音楽を「学ぶ」というのはいったいどういうことなのか,という本質的な問題は棚上げにされたままである。たんに教材の内容を拡張すれば,それで音楽教育が改善される,と信じて疑わないような姿勢がそこに垣問みえる。そもそも音楽の「学習」なるものが成立し得るのだろうか。もし成立し得るとするならば,それはどのような視点からであろうか。 音楽を「学ぶ」と言った場合,当然のことながら,誰が,何を,いかにして学ぶのか,が問題となるはずである。誰が,という問題は,とりあえずここでは問わないでおこう。基本的には,いかなる社会であってもその社会の成員はすべて,なんらかの形で音に関わるに違いないからである。それでは,「音楽の学習」とは,何をいかにして学ぶことなのだろうか。何を学ぶか,という問いは,一見して自明な問いのように思われるが,実際にはこの部分を暖昧なままにしている場合が多い。 たとえば,われわれが数学を学ぶのは,たんに四則演算の能力を獲得するとか,ケーレー・ハミルトンの公式を使いこなせるようになるとかいった目的のためだけではない。こうしたことは,枝葉末節とまでは言えないにしても,少なくとも最終目標ではない。むしろ学ぶべきことは,この人間が積み上げてきた学問の体系そのものであり,数学の体系をとおして人間がどのように世界をとらえてきたかを理解することなのである1)。同様に,音楽についても,視唱ができるようになるとか,移調ができるようになるとかいった能力・技術を習得することは最終目標ではない。音表現という人間の営みをとおして,どのように世界をとらえ,解釈しているかを知ることが重要なのである。したがって,いかに「学ぷ」か,についても,たんに技術的な習得のレベルを超えて,どう世界をとらえていくのか,という点が問題にされなければならない。 このようなものとしての音表現のあり方を解きあかそうとするのが音楽学の一つの役割である以上,音楽教育学は音楽学の中に合まれる,あるいはかなりの部分が音楽学と重なりあうことになる。この点をもう少しはっきりさせるために有効なのは,音楽学の領域でどのように研究対象をとらえてきたかをふりかえることである。とりわけ,当初から音表現に関わる人間の営みを広く全体的にとらえる方向に向かってきた民族音楽学の分野は,重要である。特に,1960年代にこの分野で導入された行動科学的視点は,音楽教育学に深い関連をもつものである(徳丸1970a:126参照)。この時期を代表するアラン・P・メリアム(MERRIAM)の主著『音楽人類学』も,行動主義的な立場,あるいは行動主義の音楽研究への適用がその大きな特色となっている。以下では,彼の著作にみられる,音楽研究のためのモデルを考察し,そこで学習がどのように位置づけられているかを検討することをとおして,音楽の学習とは何か,を考えたい。
著者
益子 輝男 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.495-500, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
15

成熟化社会をむかえたわが国において, 近年, ゆとりと潤いを求める社会状況の中で, 「観光」に対する新たな視点が求められるようになってきている。すなわち, 環境共生の中で, 観光地へのアクセス交通機関として, 公共交通機関である鉄道の新たな役割が期待されている。本研究では, 戦後の鉄道 (事業) と観光地開発との関連について, 東武鉄道の行った施策を中心に, その沿線地域にある観光地として日光, および鬼怒川温泉 (藤原町) を取り上げ, 観光活動が盛んになり始めた時代 (1955年-1975年) の社会状況を視座として史的に分析を行った。その結果, モータリゼーションの発達の影響を受けながらも, 観光活動の発展に, 鉄道サービスの向上策が, 影響を及ぼしている状況を明らかにした。
著者
東郷公徳
出版者
上智大学
雑誌
上智大学外国語学部紀要
巻号頁・発行日
vol.2006, no.41, 2007-03-10
著者
吉田 敬 梅田 秀之 高橋 亘 石徹白 晃治
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.315, 2016

<p>我々から数100pc離れた近傍で超新星爆発が起こる時,爆発前から親星での核燃焼によって生成されるニュートリノを現行及び将来のニュートリノ検出器で検出することが期待できる.そして,ニュートリノイベントの時間進化から爆発直前の星の燃焼過程を推定できる可能性がある.本講演ではKamLAND, JUNO, Hyper-Kによる前兆ニュートリノ観測から得られる爆発直前の星の燃焼過程の情報について議論する.</p>
著者
青木 淳一
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.11-15, 1962
被引用文献数
2 3

1) 全国41都道府県の主として種畜場放牧場の土壌中のササラダニ類を調査した結果, 合計13科19属31種1877個体のササラダニが検出された.2) 1地域のササラダニ種類数は平均3.0種で, 他の環境下の土壌と比較するとき, 放牧場のササラダニ相は著るしく単純なことを示している.3) 科別にダニを比較すればScheloribatidae (オトヒメダニ科)とGalumnidae (フリソデダニ科)の2科が個体数・頻度ともに最も大きく, Euphthiracaridae (タテイレコダニ科)などのイレコダニ上科に属するものがきわめて少ないのが特徴である.4) 優勢性および検出率からみるとき, 主要種としてScheloribates rigidiselosus Willm.(マガタマオトヒメダニ)とTrichogalumna lunai Bal.(チビゲフリソデダニ)の2種をあげる.これらはわが国の放牧場のダニ相を代表する種類と考えられるし, 条虫類の中間宿主としての可能性も大きい.5) Scheloribates laevigatus (Koch)ハバビロオトメヒメダニ)は欧米においてMoniezia expansaその他の条虫類の中間宿主たることが確認されており, 本調査においても前記2種に次いで多く検出されていることは注目に価する.
著者
福本 昌人 吉迫 宏 小川 茂男
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.210, pp.307-317, 2010-03
被引用文献数
1

農林水産省は、耕作放棄地の解消を図るため、耕作放棄地全体調査と呼ばれる現地調査を市町村・農業委員会を通じて2008年度に全国規模で実施した。この調査は、市町村全域のすべての農地を踏査し、耕作放棄地の位置と状況を一筆毎に把握するものである。この調査で「農地」と判断された耕作放棄地は営農再開や保全管理(草刈り、耕起等)が求められ、その実施を確認する追跡調査が行われることになっている。しかし、その実施が確認されても、その後再び耕作放棄地になる可能性がある。また、2008年度には耕作放棄地でなかった農地が新たに耕作放棄地になる可能性もある。このため将来、再度、現地調査を行う必要が生じると考えられる。しかし、現地調査は多大な労力を要し、容易には実施できないため、現地調査の省力化が喫緊の課題となっている。本研究では、上記の調査で取得したADS40によるオルソ画像を用いて耕作放棄田等の目視判読性を雑草タイプ等の面から詳細に検討し、航空撮影画像を用いた耕作放棄田の調査手法を事例的に提案する。なお、耕作放棄地の現地調査のためだけに航空撮影を行うことはコスト的に難しいが、別途、水土里情報利活用促進事業等により、地理情報システム(GIS)データの整備・更新のために最新のオルソ画像が作成されていれば、そのオルソ画像を現地調査に利用することができる。また、ここでは目視判読はパソコンのディスプレイにオルソ画像を表示して行うが、オルソ画像のプリントも現地調査において有用であることから、そのオルソ画像プリントの活用についても述べる。
著者
荒 敬 有馬 学 我部 政明 小池 聖一 季武 嘉也 福永 文夫
出版者
長野県短期大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究計画では、「占領期都道府県軍政資料」(MG資料)を収集・公開し、その資料を効果的に利用できる状況をつくることを第1の目標とした。基本作業は、収集資料を(1)地方別・府県別、(2)時系列(その大部は「月例報告(月報)」)に整理・目録化し、(3)さらに政治・経済・教育などの項目ごとに「概要」を作成することである。(1)平成14年度〜16年度にかけて、米国国立公文書館でMG資料を計4回にわたって、基本資料約3万5000枚、関連資料3000枚を収集した。(2)全体会議(ブロック合同会議も含む)は、14年度は3回、15年度は2回、16年度は2回、17年度は1回の計8回開催した。またブロック研究会は、14年度が2回、15年度が6回、16年度は3回の計9回開催した。なお、研究協力者は、分担者を除いて最大時約46名で資料整理と解読、「概要」作成にあたった。(3)資料「コピー」の1セットを国立国会図書館現代資料室に17年度に寄贈した(確認・国立国会図書館主題情報部政治史料課大島康作氏発10月18日付メール「寄贈資料12箱分を昨日受領」)(4)「概要」は県により精粗があるが、「概要」だけで「A4版」2000頁と膨大な量となった。このため、最小限に縮小した。また資料収集の際の「目録」と報告書の「解説」を加えると1500頁以上となった。報告書が大部となるため、詳細目録・概要の掲載を3分の2程度とし、全てをCD-ROMに収録した。(5)研究協力者の大半がMG資料の読解に不慣れのため、地方占領組織、資料読解法、「概要」の様式と統一表記法などについて研究会で学び、また主要な訳語についても検討した。当該研究のための研究者養成の意味も果たした。また本研究計画は、MG資料を公開し、効果的に利用できるようにすることで、占領資料を用いた本格的な地方史・地域史研究を進めるための資料的な基盤整備となり、占領史研究を全体として新たな発展段階へと底上げすることに寄与するであろう。