著者
奥中 康人 オクナカ ヤスト
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture Bulletin
巻号頁・発行日
vol.21, pp.225-241, 2021-03-31

本稿は、国立公文書館アジア歴史資料センターのデジタルアーカイブを用いて、西南戦争(明治十年)に関係する陸軍のラッパ信号の用い方を分析することを目的としている。同アーカイブを「喇叭」等のキーワードで検索し、抽出された約三二〇件のデータは、楽器としてのラッパについて、ラッパ手について、ラッパ信号についてのデータに分類することができる。とくにラッパ信号を中心に分析を進めると、数多くのフランスのラッパ信号が用いられたこと、戦争が終盤となった九月になってから数曲のマーチを練習していたことが明らかになっただけでなく、「喇叭暗号」という特殊な用法が存在したことがわかった。 ラッパ暗号とは、あらかじめ定められたラッパ信号を問答形式で交わすことによって敵・味方を識別する用法である。しかしながら、資料から読み取れるのは、ラッパ暗号が記載された手帳や文書が敵の手に渡り、何度も改正を余儀なくされたという失態である。ラッパ暗号の運用には問題はあったものの、総じてラッパ手たちは数多くのラッパ信号を吹奏していたようであり、それまでのラッパ教育が順調であったことがうかがえる。
著者
黛 岳郎
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.2-19, 2019

アメリカのNETFLIXとAmazonプライム・ビデオが日本でサービスを開始して3年が経過した。放送事業者は独自の有料動画配信を展開し対抗する一方で、連携も深めている。有料動画配信のユーザーはどれくらいいて、今後、サービスはどこまで拡大していくのかについて、NHK放送文化研究所が2016年から毎年行っている世論調査「メディア利用動向調査」の結果分析を中心に考察した。有料動画配信市場の今後について分析を進めていくうえでは、2つの観点を設定した。WOWOWやスカパー!といった有料多チャンネル放送の加入者と、YouTubeなどの無料動画配信のユーザー、それぞれの調査結果を掘り下げることで、有料動画配信に加入する可能性があるのかをみていった。有料多チャンネル放送加入者については、現状においても有料動画配信に加入する動きがみられ、今後もこうした動きが続きそうだ。ただ、アメリカで起きているような有料多チャンネル放送から有料動画配信への乗り換え、いわゆる"コードカッティング"が日本で起きる可能性はしばらくの間は低いと思われる。一方、無料動画配信ユーザーについては、有料動画配信に加入する動きが増えるかどうか、断定できる材料は見つけられず、むしろ無料動画配信のサービス内容の充実が有料動画配信への加入を遠ざけているのかもしれない、という傾向を感じ取った。
著者
保髙 隆之 山本 佳則
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.36-63, 2019

NHK放送文化研究所が2018年11月に実施した「メディア利用動向調査」(全国16歳以上の男女を対象,有効数2,264人)の調査結果を報告する。主なポイントは以下の通り。①4K・8K放送…認知率は、「4K」(76→83%),「8K」(55→70%)ともに前年から増加した。一方,新4K衛星放送に対応した機器の所有者は2%にとどまった。対応機器がない人の7割は購入意欲がなく、理由としてもっとも多かったのは「現在の地上放送、衛星放送で十分だから」だった。②放送のインターネット同時配信…認知,利用意向は,いずれも4割程度あり、特に男50代以下の各年層と女29歳以下では利用意向者が5割近い。59歳以下の利用意向者でみると、テレビの短時間視聴者の割合が高く、テレビの「ライトユーザー」に受け入れられる可能性がある。③動画配信サービス…「YouTube」の利用者が5割を超え、他を大きく引き離しているが、「Amazonプライム・ビデオ」(8%),「TVer」(5%)などが前年から利用者を増やした。また、有料動画配信サービスについて,加入者が前年から増加(7→14%)したのに加え、加入の可能性がある「加入検討中」「様子をみている」との合計も増加した。一方で、「加入意思なし」も5割程度おり、前年から変化がなかった。そのほか、「テレビのインターネット接続」「メディアの信頼度とニュースサイト・アプリの利用」についても報告する。
出版者
日経BP
雑誌
日経ホームビルダー : 家づくりの実務情報 (ISSN:1344901X)
巻号頁・発行日
no.216, pp.34-37, 2017-06

「目指せ寿命50年」事例13層アミパネルは、スギ板を異なる向きに重ねたもの。野地板として利用すれば、通気層の役割も兼ねる優れものだ。実際に活用した住宅会社に密着取材した。「3層アミパネルが外壁に使われているのを見たとき、パッとひらめいた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1984, pp.58-62, 2019-03-25

居住地でない自治体に個人住民税が移動するふるさと納税は、この定義を逸脱するものと言える。原理原則を順守する官僚なら立案しないであろう異例の制度の誕生は、ある大物政治家の存在を抜きにしては語れない。在任期間が歴代最長の官房長官として辣腕をふ…
出版者
日経BP
雑誌
日経ニューメディア = Nikkei new media (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1735, pp.6-7, 2020-12-28

日本国内の動画配信事業のマーケットにおいてNetflixとAmazonプライム・ビデオの2強が圧倒的に強いことは、2021年になっても変わりはないだろう。2020年に頭角を現してきたDisney+がどれだけ加入者を伸ばすかが注目される。 国内勢では日本テレビ放送網傘下のHJホー…
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.669, pp.16-17, 2017-08-14

これまで何度も浮かんでは消え、消えては浮かんできた日本橋(東京都中央区)上空に覆いかぶさる首都高速道路の地下移設の動きが、急速に現実味を増してきた。 7月21日、国土交通省の石井啓一大臣と東京都の小池百合子知事がそれぞれ記者会見で、首都高地下…
著者
後藤 晃
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.59-77, 1980

The <i>hijra</i>, the starting point of the Islamic state as well as of its calender, has been investigated in detail by modern scholars. Most of investigations, however, tend to center on migrators but a few on acceptors. Even the works of W. M. Watt, being very excellent and exact, want a vivid expression of the dynamic development of Islam in the Medinan society during a few years around the Muhammad's <i>hijra</i>.<br>Twelve, the number of the participants of the first 'Aqaba in the year of 621, 75, the participants of the second 'Aqaba in 622, and then 238, the participants of the battle of Badr in 624, might be near to the total number of the Medinan believers at each stage of times. These figures show the steady development of Islam in the society. Even the participants of the battle, however, might share less than ten percent of the male adult populations of Medina. None of twelve leaders, elected by Muhammd at the time of the, second 'Aqaba, were a political-military leader of any clan or sub-clan during the civil wars in the pre-Islamic time. It should be noted that the movement for Islam in Medina before the <i>hijra</i>, was organized by not so influencial persons and it covered only a few percent of the total population of the society.<br>The movement had a solid political goal, that was to stop the civil wars and to unite the society into one. Most of the persons who did not recognize Muhammad as a prophet and who were not converted, backed this goal and then, the movement became the main political current of the society. Sa'd b. Mu'adh, one of the strong leaders of the civil wars, was converted and supported the movement. 'Amr b. al-Jamuh, also an influencial leader, taking an indifferent attitude to the movement at first, became a supporter of this by the persuasions of his sons and grandsons. Abu Qays b. al-Aslat, a monk and another strong leader of the civil wars, offered oppositions to the movement. He might be a big obstacle to the progress of the movement, but died ten month after the Muhammad's <i>hijra</i>. Ibn Ubayy, being the most influencial man in Medina after the death of the two supreme commanders of the civil wars, did not become a supporter nor a opponant to the movement. Thus, believers could represent the whole society and concluded the treaty of peace, which should be the first part of the Constitution of Medina.
著者
後藤 嘉宏 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 26.13 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2002-02-08 (Released:2017-06-23)
参考文献数
9

インターネットにおける新たなネットワークモデルとして、ピア・ツー・ピア(P2P)サービスが注目されている。しかしながら、現在のP2Pサービスが構成する分散ネットワークは必ずしも実ネットワークのトポロジーを考慮しておらず、物理ネットワークの状況によって品質に大きな影響が出る可能性がある。そこで本研究では、物理ネットワークを考慮した分散ネットワークトポロジーの構築手法を提案する。まず、P2Pサービスの論理ネットワーク構築のためのパラメータについて、トラヒック計測よりその特性を明らかにし、適切なパラメータ導出法を示す。また、サービス中に発生する制御トラヒックについても考察し、パラメータによる影響を明らかにする。さらに、物理ネットワーク計測にもとづくピア選択手法を新たに提案し、シミュレーションおよび実測評価を用いてその有効性を検証する。

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著者
豊国,香蝶楼豊国
出版者
小川
雑誌
俳優似顔東錦絵
巻号頁・発行日
1858
著者
辻 美代
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.239-259, 2019-03-10

経済のグローバル化が進み、国境を越えてSCM が行われるようになった。アパレル生産国が途上国に移転し、途上国で生産し先進国で消費するという20世紀型の大量生産・大量消費が浸透した。21世紀も5分の1が過ぎようとしており、この大量生産・大量消費が大量廃棄をうみだし、アンチテーゼとして、一品生産やスロー・ファッションが出てきた。本論文では、アパレル市場が縮小する日本と拡大する中国で、ワールドとICICLEを例に取りながら両国アパレル企業の動向を分析する。果たして21世紀を勝ち抜く企業は、IT産業と手を組み国内市場を守ろうとする日本企業なのか、それともリスクをとって自己ブランドでファッションの本場フランス市場に進出しようとする中国企業なのか?21世紀社会の変化を考慮しながらアパレル企業の可能性を考えてみたい。