著者
三村 將
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.157-163, 2011
被引用文献数
4

高次脳機能障害をもつ者は運転に関して,認知症のような絶対的欠格事由ではない。しかし,認知機能のどの領域がどの程度保たれていれば運転適性とみなされるかの基準があいまいである。高次脳機能障害者の運転能力を評価する方法としては,実車による路上評価,運転シミュレータ等によるオフロード評価,机上の神経心理学的検査,家族等同乗者による評価が挙げられる。このうち,一応のゴールドスタンダードとみなされるのは実車による路上運転評価であり,今後,医療機関と自動車教習所などとの連携により,高次脳機能障害者の路上運転評価を系統的に進めていくシステム作りが急務である。本稿では,我々が行っている高次脳機能障害者の運転評価の状況について,症例をあげて概説した。高次脳機能障害者の自動車運転については,さまざまな分野の専門家がそれぞれの立場から意見を出し合い,最良の方策を検討していくべき問題である。
著者
エスパダ イアン 中辻 隆 タナボリブン ヨッポン
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.695, pp.177-186, 2002

HCM等これまでに提案されている無信号交差点における容量算定式は, 一時停止制御と譲れ制御の相違を明確には考慮していない. 無信号交差点を含む市街地道路へのマクロ交通流モデルの適用にあたっては, 容量算定式が不可欠であることから, T字交差点を対象として両制御の相違を考慮したパラメータを新たに含む容量算定式の開発を行った. 次に, 当該算定式を組み込んだ高次項を含むマクロ交通流モデルの作成を行い, 主道路における交錯交通量を変化させたシミュレーション解析を行った. その結果, パラメータ値は, 一時停止制御では旧HCM式より小さく, 譲れ制御では大きくなることを明らかにした. さらに, 渋滞時には, 譲れ制御も実質的に一時停止制御状態となる現象を表現するよう算定式の改良を行った.
著者
井手 敏博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.512-520, 1991-07-15 (Released:2011-09-20)

ソウルオリンピック直後の韓国の酒事情については, 本誌第83巻第12号において筆者により紹介されているが, その後も筆者は韓国の酒事情について関心を持ち続け, 90年の暮と91年の春に相次いで訪韓し, その著しい変貌振リをつぶさに取材された。今回, その瞠目すべき変身を遂げつつある韓国の酒事情について, 再度寄稿していただいた。
著者
小林 章郎
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.501-505, 2020-06-18 (Released:2020-08-12)
参考文献数
3

障害者の競技スポーツには,impairmentの内容・程度を判定し公平に競えるようクラス分けというシステムが存在する.パラリンピックに出場するために国際パラリンピック委員会公認のクラス分けを受ける必要があり,その準備としてクラス分けに精通した担当医がMedical Diagnostics Form(診断書)を書かなければならず,詳細な病歴・現症・画像資料が求められる.さらに,クラス分けが完了するまでに障害を客観的に証明する筋電図やMRIなどの追加検査を行う場合があり,医師の関与・判断がきわめて重要である.また今後,クラス分けの根拠となるevidenceを構築するため医科学的アプローチが欠かせない.
著者
青木 隆明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.525-529, 2020-06-18 (Released:2020-08-12)

東京2020パラリンピックが開催されるにあたり,パラリンピック独特のスポーツを紹介する.近年パラリンピックの競技性も向上し,世界の強豪と戦うのは大変である.それだけ選手の層も厚く,日本でもさまざまな競技に対する研究や指導が進んできている.実際の競技をみる前に,スポーツ観戦の見どころを紹介する.例えば,陸上や水泳は種目としては同じだが,クラス分けや障害に応じて道具や義足などが異なり,投げ方や泳ぎ方など,さまざまな工夫がなされている.練習に対してもコーチの指導の工夫が必要で,医療従事者とのかかわりが大切である.
著者
南部 光彦
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 = The Japanese journal of pediatric allergy and clinical immunology (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.737-743, 2005-12-31
参考文献数
18

4か月健診を受診した400人を対象とし, 家族背景・生活習慣とアレルギー疾患発症との関連性を検討した. 月齢4か月時と3歳6か月時にアンケート調査をした. また乳幼児健診時にアレルギー疾患の有無を調べた.<br>4か月健診では, アトピー性皮膚炎 (AD) は37人, 湿疹は62人に認められた. ADも湿疹も1-6月生まれより, 7-12月生まれに多かった. 3歳6か月時のアンケート調査でのAD, 食物アレルギー, 気管支喘息の発症は, 既往を含めて314人中それぞれ71人, 52人, 21人であった.<br>家族の人数とAD発症には関連性はなかったが, 1-6月生まれでは, 家族風呂に入る時期を生後3か月以降にした者の割合が月齢4か月時のAD群に高かった. また7-12月生まれでは, 風呂上りのタオルを使い回ししている者の割合が月齢4か月時の湿疹群に高かった. ただし, 入浴順, 浴槽洗いの頻度, 口で噛んだものを子どもに与える, 唇同士のキスとアレルギー疾患発症には有意な関連性はなかった.<br>家族背景・生活習慣とADや湿疹との関連性が示唆されたが, その因果関係は不明である.
著者
大町 麻子 石岡 克己 寺尾 晶 木村 和弘
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-22, 2007

肥満した7頭のビーグル犬(平均体重20.7±1.3kg、体脂肪率34.2±3.1%)において24時間絶食時の血中グルコースおよびインスリン濃度は各々96.5±1.1mg/dLと1.24±0.52ng/mLであった。これらの犬を4ヵ月の食事制限により減量させると体重は17.0±0.9kg、体脂肪は23.7±2.1%と減少した。この時グルコース濃度は変化しなかったが、インスリン濃度は0.55±0.26ng/mLに減少した。減量群は肥満群に比ベインスリン感受性が改善されており、エネルギー摂取量の抑制で肥満度の低下と病態の改善が可能であることが示された。
著者
草野 修輔
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.497-500, 2020-06-18 (Released:2020-08-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ドーピングは,スポーツ活動において競技能力を高める目的で不正に薬物を使用するか,不正な方法を用いることを指し,世界アンチ・ドーピング規程で,アンチ・ドーピング規則違反として10個の項目が定義されている.パラアスリートにおいても同じ規程が適応される.過去の国際大会での薬物使用者は約70%と高率であり,パラリンピック前に行った参加選手の使用薬物調査では,禁止薬物使用割合は,アテネ大会30.2%,北京大会16.7%,ロンドン大会5.7%であった.パラアスリートにおいては,視覚障害者,知的障害者,未成年者も多いため,禁止物質使用がある場合には,対象選手に通知文書を郵送し,対処方法の指導を行っている.
著者
鈴木 航 江草 知通 寺沢 良則 増山 政次 澤本 嘉正
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.251, 2020 (Released:2020-11-30)

近年,ごみ焼却施設の運営形態を地方自治体によるものから,民間を活用したDBO(Design Build Operate:公設民営)へと移行するケースが増えている。その一方でベテラン運転員の不足が深刻化しており,安定稼働とコスト削減を両立していく上で,これまで以上に遠隔からの運転支援が必要不可欠なものとなりつつある。こうした中,当社では複数の焼却施設の運転状況を一元管理すべく,遠隔監視・運転支援システム 及び AI(Artificial Intelligence) やクラウドを活用した運転支援システムを構築して運転データを集約し,得られたノウハウを水平展開することによって,DBO施設における運営の高度化・効率化を図っている。本報では,当社システムの現状とその高度化に関する取組み状況,そして,それらも活用した横浜市との共同研究の概要について述べる。
著者
西川 典子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2001-2008, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

神経障害性疼痛は神経系の損傷により発症する難治性疼痛であるが,近年相次いで治療薬が承認,適応拡大されており,治療内容が向上することが期待されている.本稿では,疼痛の伝導路と薬理作用の概略を示し,神経障害性疼痛に対する薬物治療について本邦のガイドラインに準じて使用上のポイントを述べた.完治は困難であるかもしれないが,疼痛の軽減を図り患者の生活の質を改善することができる.
著者
渡 仲三 黒野 保三 石神 龍代 平松 由江 堀 茂 中村 弘則 馬渕 良生 堀田 康明 石榑 克範
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.310-314, 1982-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

The acupuncture points are quite important in Oriental medicine. They have been known for about 3, 000 years. However, the points have not been ascertained morphologically to date.In this experiment, the acupuncture points such as Hoku (LI-4), Taichong (LV-3) and one of the auricular points, which were at first obtained morphologically using a Rydoraku point-searching apparatus (12V, DC), and then needled perpendicularly with acupuncture needle No. 30, staining the tip of the needle with carbon black ink to mark the point localizations.Small pieces of skin were marked with ink cuts and fixed with 10% neutralized formalin, and then serial paraffin sections were made for light microscopical observations.The acupuncture points seemed to be the places at which the electric resistance was usually lower than at other non-acupuncture points.Non-acupuncture points with high electric resistance were also taken for the control (Fig. 7).From the light microscopical observations of the acupuncture points, a special complex was found (Figs. 2, 3, 4, 5, 6). It was composed of a nerve fiber running horizontal to the surface of the skin, some blood and lymph vessels and a small amount of collagenous fibers.These elements seemed to be a plexus forming a complex, and the complex was usually located within the subcutaneous tissue.On the other hand, such complex had not been observed at the non-acupuncture points so far (Fig. 7).In summary, it is postulated that the acupuncture points seem to be in some way related to the nervous elements, the vascular system and collagenous fibers.Fig. 1. A schematic illustration of acupuncture points, postulated by Niboyet (1979).Fig. 2. Histological view of the acupuncture point of Hoku (LI-4) in the left foreleg of the mouse.X70Fig. 3. At the point of Hoku (LI-4) in the right foreleg of the mouse, one can also see a complex of nervous elements (N) and the vascular system (V). X70Fig. 4 This light micrograph also shows a complex of nervous elements (N) and vascular system (V) in Taichong (LV-3) of the left hind leg of the mouse. X150Fig. 5. There is also observed a complex of the nervous elements (N) and vascular system (V) in Taichong (LV-3) of the right hind leg of the mouse. X150Fig. 6. A complex of the nervous elements (N) and vascular system (V) is also observed in an acupuncture point of the mouse auricle. X150Fig. 7. A complex of the nervous elements and vascular system is not observed in the non-acupuncture point area of the mouse foreleg. X70