著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
副田 賢二 松村 良 原 卓史 天野 知幸 和泉 司 五島 慶一 三浦 卓 杉山 欣也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

戦前期『サンデー毎日』を中心とした週刊誌メディアと文学との関わり、及びその誌面レイアウトや視覚表象の構造を扱う本研究は三年目となり、大阪市立大学所蔵『サンデー毎日』の調査、分析、データ化を進めた。その研究実績は、主に学術研究誌への論文掲載及び学会・研究会での研究発表で発表した。2019年度は、7月に第3回科研費研究成果中間発表会を大阪市内で実施した。同時に日本出版学会関西部会に参加し、雑誌メディアにおける挿絵やレイアウトの研究において、同学会との交流を実現した。なお、2020年3月に京都教育大学で第4回科研費研究成果報告会(一般公開形式)の開催を予定していたが、新型コロナ感染流行のため延期となった。また、大阪市立大学や国立国会図書館、大宅文庫等で調査した戦前期『サンデー毎日』をめぐる資料やデータベースについては冊子形式の資料集として刊行して実績報告書とする予定であったが、3月以降図書館等での調査が不可能になったため、現在研究期間延長申請を提出し、受理されている。延長期間は1年間だが、新型コロナ問題が改善された場合は、2020年8月までに本研究の研究活動及び資料集の出版(成果報告)を完了しようと考えている。そこで刊行する成果報告には、データ化した戦前期『サンデー毎日』の全表紙のデータベース(創刊から占領期まで)、『サンデー毎日』創刊記念号等の特集号の資料紹介、分析、1920年代の文壇ゴシップ記事の分析等、これまでの研究成果を掲載する予定である。また、まず大正期を対象として『サンデー毎日』の視覚表象を分析して目録を作成、データベース化する調査を現在複数メンバーで進めている。その調査、研究成果は、新たに獲得した「1920~1950年代の週刊誌メディアにおける文学テクストと視覚表象の総合的研究」(基盤研究(C) 課題番号:20K00361)にて公刊する研究書に掲載予定である。
著者
吉田 克志 大口 富三
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.315-322, 1998-08-25
参考文献数
22
被引用文献数
1

湿室ペトリ皿中のアブラナ科蔬菜子葉にダイコン,アブラナ,ブロッコリーおよびナズナから分離した<i>P. parasitica</i>を交差接種し,感染部位を組織化学的に観察することにより,その病原性を調査した。各分離菌は宿主植物と同属同種の植物上で盛んに分生子を形成したが(親和性),他種の子葉では分生子形成が認められなかった(非親和性)。交差接種を行った子葉感染部位をアルカリアニリンブルー蛍光観察法により調査すると非親和性の場合には,宿主の抵抗反応として,付着器形成以降の組織への侵入阻害,パピラによる吸器形成の阻害,シースによる吸器被覆化および吸器が形成された宿主細胞の壊死が観察され,べと病菌の生育は接種後48時間以内に停止した。これらの結果,べと病菌は段階的に発現する植物の抵抗反応をすべて抑制した場合に分生子形成に至ることが示唆された。また,Cb菌では供試したすべての植物種の子葉で他の分離菌に比較して強い抵抗反応が観察され,特に,パピラによって吸器形成が阻害される場合が多かった。RsおよびCb菌感染部位を組織化学的染色法を用いて観察したところ,吸器にはシースおよび吸器頸部にカロースの反応が認められた。パピラにはカロース,ポリフェノールの顕著な蓄積が認められたが,自家蛍光は弱く,また,べと病菌感染部位の宿主細胞壁の木化は観察されなかった。
著者
新浪 剛史
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.16, no.8, pp.32-36, 2007-09

2007年2月期の営業総収入は前期比5.6%増の2830億円、営業利益は1.5%増の445億円。ただし、既存店の売上高は1.8%減。コンビニエンスストアが大きな壁に直面するなか、「ナチュラルローソン」など、地域に合わせて業態を変えようという戦略を打ち出している。そのためにも情報システムを一から見直す。
著者
井上 亮文 平石 絢子 柴 貞行 市村 哲 重野 寛 岡田 謙一 松下 温
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.38-50, 2005-01-15

シナリオの存在するシーンを一般のユーザが撮影する場合,被写体の数が多かったり,撮影環境がそのつど異なったりするため,効果的なカメラワークを事前に計画することは困難である.そこで本論文ではシナリオ情報に基づいてカメラワークを自動的に計画する手法を提案する.撮影対象としてオーケストラ演奏を想定し,シナリオである楽譜から被写体の候補を決定する方法と,各カメラのショットを決定するための優先度の計算方法を定義している.実際にショットを接続して1 本の映像を編集する実験の結果,提案手法はシナリオや優先度を考慮しないショットで編集したものよりも変化に富んだ映像を制作できることが分かった.また,カメラの配置に適応したショットを提示できることが分かった.
著者
能條 歩 金川 和人 星野 フサ 岩見沢団体研究グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.307-323, 2008-09-25 (Released:2017-05-16)

石狩低地帯東縁の長沼地域には,追分層,馬追層,山根川層,北長沼層,茂世丑層などの新生界が分布する.本研究によって示された有孔虫化石,花粉化石,火山灰などのデータに基づきこれらの地層の層序および堆積年代,古環境に関して以下の結論を得た.(1)全ての地層はそれぞれ不整合関係にある.(2)長沼地域の火山灰層はMpfa1,Mpfa3,Aso-4,Aafa2(Toya),Aafa4および早来層中の火山灰層に対比される.(3)馬追層と山根川層はともに中期更新世の温暖期の堆積物であり,馬追層はMIS11に,山根川層はMIS9に堆積したものと考えられる.(4)北長沼層堆積期のMpfa1降灰期は,最終氷期最寒冷期並の寒冷期であった.
著者
谷岡 明彦
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.P_3-P_7, 2003 (Released:2003-12-31)
被引用文献数
1 1
著者
村越 真 菊池 雅行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:2432079X)
巻号頁・発行日
no.61, pp.81-107, 2017-11

第58次日本南極地域観測隊員に,冬期総合訓練前後と出発直前の計3回,南極リスクに関する質問紙調査を実施した.その結果,①リスクに対する態度では「南極リスクの脅威」,「南極リスクへの効力感」の2因子が得られ,②両因子の得点とも経験者が高かった.③リスク対応の自己評価では,「作業工具による打撲等」「一酸化酸素中毒」が全時点で経験差がなかったが,他の南極特有のリスクの多くで経験差が見られたほか,④未経験者の「クレバス転落」「タイドクラック転落」への対応の自己評価で調査時期による向上が見られた.⑤発生可能性が場所に依存するクレバス,タイドクラック,ウィンドスクープ転落について,未経験者は経験者より発生を過剰に評価していた.結果より,訓練や全員打ち合わせ等による情報提供は,未経験者のリスク対応の自己評価を高めるが,場所に依存するリスクを十分に理解できていない点に課題があることが指摘された.A questionnaire was completed by members of the 58th Japan Antarctic Research Expedition before and after winter training, and shortly before departure. The questionnaire yielded the following results: 1) the factors "threat of risks in Antarctica" and "self-confidence regarding risks in Antarctica" were yielded from attitude items. 2) Members with JARE experience yielded higher scores for both factors. 3) There was no difference in the self-evaluation of measures to prevent "injury by work tool" and "carbon monoxide poisoning" between experience groups for all survey periods, but significant differences were observed among other risks in Antarctica. 4) Self-evaluation of members without JARE experience regarding "fall into tidal crack" or "fall into crevasse" improved over time. 5) Members without JARE experience evaluated the risk of "fall into crevasse", "fall into tidal crack", and "fall into wind scoop" to be higher than did members with JARE experience. It is concluded that information given at the training sessions improved the self-evaluation of members without JARE experience, although they may not comprehend that the occurrence of risks is dependent on site characteristics.
著者
亀井 俊彦 尾崎 敏夫 安岡 劭 小倉 剛
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.66-75, 1992-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

気管支喘息患者における好酸球増多の機序を解明するため, 気管支喘息患者の末梢血単核球 (MNC) 及びリンパ球からの好酸球コロニー刺激因子 (Eo-CSF) 産生を検討した. 特に, Eo-CSF産生における特異抗原刺激の役割, 及び, 産生されたEo-CSFの生物学的な解析を行った. その結果, 1) 気管支喘息患者MNC, T cellは, in vitro に於いて, PHA及びIL-2刺激により, Eo-CSFを産生した. 健常人では, PHA刺激ではEo-CSFを産生したが, IL-2刺激ではEo-CSFを産生しなかった. 2) 気管支喘息患者MNCは, 特異抗原刺激により, Eo-CSFを産生したが, 健常人MNCではこの産生は見られなかった. 3) IL-3, IL-5, GM-CSFに対する各抗体で気管支喘息患者単核球培養上清を処理することにより, Eo-CSF活性は低下した. 以上より, 気管支喘息患者の好酸球増多には, 特異抗原に対するリンパ球の反応性の亢進と, T cell から産生されるサイトカイン, 特にIL-5, GM-CSFが中心的な役割を果たすことが示唆された.
著者
金井 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_305-I_314, 2014

19世紀フランスにおいては鉄道黎明期から,エンジニアや建築家によって駅舎配置計画類型の理論的分析が行われた.その中で標準型とされたのは,出発と到着の諸室を線路両側に配置する両側面型であった.また,フランスにおいては,旅客は荷物を預けた後は,出発直前まで待合室にいなくてはならず,ホームに立ち入ることは許されていなかった.当初からこの搭乗方式は批判が相次いだが,自由入構制度が導入されるまでには半世紀近くも要した.やがて,新方式が導入されたことによって,駅舎配置も影響を受け,待合室よりエントランスホールが機能上重要となり,徐々にL型配置が採用されるようになる.本研究では,フランスにおける駅舎配置計画の理論的分析と,実際の歴史的変遷の影響関係を明らかにする.
著者
八田 洋子
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.107-136, 2003-01

2000年1月、「英語公用語化」問題が唐突に出された。世界に生き残っていくには英語を日本の公用語にするほかはないと。本当にそうであろうか。「公用語」とはなにか。英語教育は機能しないのであろうか。「英語公用語化」の意味をさぐりながら英語教育改革をあわせて考える。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
no.30, pp.7-26, 1996-10

『群書類従』神祇部所収の「松浦廟宮先祖次第并本縁起」の中に、藤原広嗣(?-七四〇)の上表文なるものを載せる。これは従来、後世の偽作と見なされてきたが、かりに上代の漢文として読んだ場合、いかなる問題が生ずるか。本文に乱れがあり、文意の通りにくい箇所もあるが、まずは語句・表現に即して略注をのみ施し、この問題について若干の私見を示すことにした。
著者
市村 高男 松田 直則
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

土佐国幡多荘は、16世紀末から約1世紀の間、京都下りの公家一条氏が支配していた。本研究では、一条氏が幡多へ下向した理由、そこでの役割を考えるため、文献史学と考古学の両面から基礎資料の収集と検討を進めた。今回、幡多地域出土の遺物については、あまり報告書に収録できなかったが、中世城郭跡を中心とした一条氏・幡多地域の考古学的考察の中で活用している。文書・記録などの文献史料については可能な限り報告書に収録し、研究者が共有できるようにした。これらの史料や遺跡・遺物の調査・検討を通じて、次のようなことが明らかになった。(1)一条氏は土佐に在住したまま公卿に列した希有な存在であり、恒常的に京都の公家社会と交流する一方、16世紀前半から地域の領主や地侍を家臣団に編成し、支配領域の拡大を試みるなど戦国大名化への動きを見せた。(2)一条氏は本願寺や堺の商人と結んで大船を建造し、遠隔地交易への強い関心を示していた。この事実は、一条氏の贈答品に南方の産物が多く見られること、幡多地域から多量の貿易陶磁器が出土すること、一条氏が加久見氏(海賊)と婚姻関係を結んでいたことなどと合わせて、同氏が対外交易に関与していたことを暗示する。一条氏が京都から幡多に下向し、そのままこの土地に住み着いた理由もこの辺にあると考えられる。(3)一条氏は戦国前半期から幡多地域に多くの城郭を築いているが、その技術がやがて長宗我部氏に継承・発展されるなど、想像以上に土佐の社会や文化に大きな影響を与えていた。以上のように、一条氏や幡多地域の役割は正しく評価されるべきであり、土佐国を越えた視点で見直していく必要がある。