著者
河村 昌子
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大紀要 (ISSN:03854566)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.51-64, 2007-12

小品文の提唱者として中国文壇で成功を収めていた林語堂(1895-1976,Lin Yutang)は,英語読者向けに英語で中国文化と中国人の国民性を概説したMy Country and My People,New York:Reynal&Hitchcock,September 1935.によって,アメリカ出版界にその名を轟かせるようになった。林は多くのベストセラーを放ち,「一人の林語堂の存在が,数名の有能な外交使臣をもつことに数倍優る」と称されるほどの影響を欧米に与えた。林の著作は,同時代の日本でも注目を浴び,あいついで邦訳が出版された。林語堂の言論は,内的な深い思索の表出というより,ジャーナリスティックな効果を含みおいて展開されたものだと言える。そのため,林語堂の言論の文字通りの内容だけでなく,彼の言論が受け止められた諸相の方にも見るべきものがあると考えられる。そこで本稿では,林語堂の言論が受け止められた諸相の一ケースとして,戦前の日本における邦訳出版に注目し,林語堂の著作が戦時下の日本でどのように紹介され,林語堂の著作をめぐってどのような動きがあったかを検証した。
著者
今井 敬吾 結縁祥治 阿草 清滋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.16, pp.10-28, 2006-10-15
参考文献数
17

我々はプログラミング言語Haskellへ,型付き非同期局所化pi計算(typed Asynchronous Localized $\pi$-calculus; ALpi)を,ネットワークプログラミングのためのフレームワークとして埋め込む手法を提案する.本フレームワークは埋め込み言語として実装されることで以下の利点を持つ:(1) Haskellで構築されているため処理系が頑健である,(2) Haskellのリテラル,型や関数といった言語要素をフレームワークに組み込むことができる.さらに,ALpiのmobilityに対する制限はフレームワークの実装を簡単にする.本フレームワークでは,ALpiのプロセスはPiMonadと呼ばれるHaskellのモナドとして実装する.結果として,通信により引き起こされる副作用は型のPiMonadタグで区別される.ALpiのサブタイプ関係はHaskellの多引数型クラスで実現する.サブタイプ関係にある型の対は通信の方向を反映した3つの2引数型クラスに属する.本フレームワークを用いた例としてTCP/IPネットワーク上のインスタント・メッセンジャアプリケーションの構築例を示し,有用性と利点を述べる.We propose an embedding of the typed Asynchronous Localized pi-calculus (ALpi) into the programming language Haskell as a framework for network programming. The framework has following advantages due to the embedded language nature: (1) the framework is robust due to being built upon the Haskell framework, and (2) the framework can incorporate various Haskell language elements, such as literals, types, and functions, in the framework. Moreover, the limitation of mobility in ALpi simplifies the implementation of the framework. ALpi processes are implemented by means of a Haskell monad called PiMonad. As the result, side-effects caused by communications are distinguished by the tags of PiMonad in typing. The subtyping relations is realized by multi-parameter type classes in Haskell, where a pair of subtype-related types belongs to three binary type classes reflecting the directions of communication. We illustrate the usefulness and benefits of our framework with an example of an implementation of instance messenger application over TCP/IP network.
著者
寺島 元章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.p711-720, 1985-07-15
被引用文献数
1
著者
河瀬 直幹 夏原 由博
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.123-131, 2007-09-07
被引用文献数
1

大阪府堺市周辺の約80km^2において,アオヤンマの生息状況について調査した.空中写真を利用し,生息場所となるヨシ等の高茎抽水植物帯がある池沼を把握した後,野外調査による成虫の確認調査を実施した.その結果,19ヵ所の潜在生息場所が把握され,そのうち10ヵ所で成虫を確認したが,繁殖場所と推定できる場所は3ヵ所に限定された.また,3ヵ所の繁殖場所ではヨシ群落が最優占し,ヨシ以外の抽水植物群落も存在した.さらに,3ヵ所の繁殖場所から7ヵ所の確認場所に移動したと考えると,成虫は平均2,260±841mを移動すると推察できた.ただし,有効分散は3ヵ所の繁殖場所問の移動に限られるため,調査範囲内のアオヤンマの個体群ネットワークは非常に厳しい状況にあると思われた.アオヤンマを地域的に保全するには,繁殖場所問の距離が2,260±841mの範囲内でネットワークされた保全計画が重要と考えられた.
著者
詫摩 武俊
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.237-240,254, 1968
被引用文献数
5

延べ組数にして543組のMZ, 134組のDZに集団式知能検査を実施した。<BR>どの知能検査の結果においても, またほとんどすべてのサブテストの結果においてもMZ間の相関はDZ間の相関より高く, 知能検査の成績を規定している機能に遺伝性が働いていることは疑い得ない。しかし, 遺伝性の強さは, サブテストの種類によって差があり, 一般に精神作用の速度をとくに必要とする問題, 言語記憶に関する問題, 計算に関する問題, 図形の空間的配置に関する問題では, 遺伝性係数が高く, これに対して過去の経験にてらして判断する問題では低かった。この資料は知能を構成する下位機能の特色について知る一つの手がかりであるが, このデーターの一義的な解決はまだ困難である。
著者
三浦 克洋 藤崎 優次郎 中島 靖之 村上 洋介 柏崎 守 後藤 信男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.399-409, 1981-06-25

1977年3月から4月に, 系統を維持しているマウスコロニーに呼吸器病が流行し, その臨床観察, 分離ウイルスの性状, 肺の病理組織学的変化, 細菌学的および血清疫学的調査からHVJの単独感染によることが明らかになった. 流行時, 多数の成熟マウスが発病・死亡し, 系統間に死亡率の差異が認められた. 実験室保存血清の抗体調査結果から, 当コロニーでは少なくとも1973年までさかぼのぼる限りHVJの汚染は起きていなかった. いっぽう, 別棟の購入マウスおよび今回の流行が起きた同一棟内のラットコロニーにおいては, すでにHVJによる汚染が生じていた. 流行マウスコロニーでは, 感染と同時に抗体が出現し生残マウスのほとんどは高い抗体価を示した. 流行終息後の1代産仔においては若齢時には抗体が検出されたが成熟時には検出されなかった. 1代産仔およびその後約2年間に生産された6-8世代のマウスには発病も抗体出現も全く認められなかった. このことから, 当コロニーでは流行時の発病マウスの淘汰, 約2か月間の繁殖停止および流行後の生残マウスの免疫獲得により, ウイルスの存続を防止できたものと考えられる. 謝辞: 本研究の遂行にあたって, 家畜衛生試験場国安主税博士, 今村憲吉技官, 日本医科大学鈴木博博士ならびに国立予防衛生研究所中川雅郎, 鈴木映子両博士に御協力いただいたのでここに深謝いたします.
著者
菱井 利祐 井原 惇行 徳永 京一 石原 博幸 岸田 俊二 永沼 誠昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性
巻号頁・発行日
vol.96, no.147, pp.19-24, 1996-07-12

4級塩アルミ電解コンデンサはその低インピーダンス・長寿命の特性から広範囲な分野で使われてきた。しかし、4級塩特有の液漏れメカニズムが存在することが明らかになり、各コンデンサメーカーでは様々な対策が講じられてきた。今回、各メーカーの対策品がほぼ出揃った段階となったため、各メーカーの製品について液漏れに対する信頼性評価、各種電気特性及びその経時安定性評価を行った。その結果、一部の製品に関しては良好な試験結果を得た。この結果から実使用状態における耐液漏れ寿命時間について考察し、少なくとも5.6×10^4Hの寿命が期待できるものと推定した。
著者
池辺 浩子 宮内 新
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.121-122, 1993-09-27

物体の情報として表面の凹凸があるが,これは物体を認識するうえで大切な情報である.さいころは遠くから見ると立方体に見え,近くによるとその表面の凹情報を認知し,さいころであると認識できる.そこで,さいころを認識するのにそのデータを近似して,同じサイズの立方体を作り,元のデータと比較することによって元(さいころ)データの表面の凹部分を抽出し,さいころの目をよむ方法について検討したので報告する.本稿では,データの近似にウェーブレット変換を用いた.
著者
上中 登紀子 森 孝夫 薮野 裕次郎 鷲見 桂一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.651-654, 2006-12-15
被引用文献数
4

牛レバー,ミノ,センマイ,シマ腸,鶏レバー,砂肝などの家畜内臓肉を安全に生食できるようにするため,高圧処理による殺菌効果を検討すると共に,処理前後の内臓肉の官能評価を行い,以下の結果を得た.<BR>(1)6種類の家畜内臓肉に,大腸菌,サルモネラ,黄色ブドウ球菌をそれぞれ10<SUP>1</SUP>~10<SUP>7</SUP>CFU/gの菌数を接種し高圧処理した結果,最も耐圧性の高い黄色ブドウ球菌でも400MPa・10分,6回の繰り返し処理により検出されなくなった.<BR>(2)細菌を接種していない場合の3種類の細菌は,300MPa・30分の高圧処理で検出されなくなった.<BR>(3)殺菌効果の面でのより安全を見込んで,牛レバー,センマイ,鶏レバー,砂肝を400MPa以上の高圧で処理し,処理前後の内臓肉について生食での官能評価(5%有意水準での有意差検定)を行った結果,400MPaの処理では色は悪くなったが,柔らかさ,美味しさには有意の差は認められなかった.500MPaの処理では色,柔らかさ,美味しさ共に明らかに悪くなった.
著者
江下 雅之
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.87-98, 2007
被引用文献数
1

インターネットを利用した電子取引のなかで、近年、ネットオークションの取引額が急増している。その規模はすでに巨大流通産業に匹敵しており、個人の消費行動のなかで無視できない影響力を発揮しつつある。本研究では、稀少価値の高い漫画古書に注目し、ネットオークションにおける取引の成立過程のデータを収集、定量的に分析した。分析の結果、ネットオークションにおいて実際に入札者が競合する割合は低く、入札価格の変動を対象とした従来の入札行動は、オークション全体のごく一部の現象しか捉えていないことがわかった。他方、落札に至るオークションの割合は、最初の出品時の落札率によって決定される可能性がデータ分析の上で示された。また、落札に至る入札行動には、オークションの参加者がオークションを通じて蓄積した経験の度合いが強く反映されている可能性も明らかになった。
著者
吉川 徹
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-64, 2009

「教育格差」が広く報道され,その原因を家庭の経済力のばらつきが大きくなったことに求める議論を多く見かけるようになった。しかしこのような経済学的な解釈を強調しすぎると,背後にある社会学的な構造への目配りを欠くことになりかねない。私たちは,もともとこのトピックが階級・階層の「教育機会の不平等」という命題と重なりをもつことを想起すべきだろう。<br>こうした目配りをしつつ,家族社会学から「教育格差」を見直すとき,重要なキーワードとなるのは母親学歴である。なぜならば,これが子育ての志向性,ジェンダー,文化資本,女子就労などの多くの「戦略的」な概念の結節点にある変数だからである。とくにいま,この母親学歴の分布が,過去の高学歴化の帰結として大卒・非大卒に二極化しつつある現状には注目する必要があるだろう。要するに「教育格差」という現象は,近年の母親学歴の分断に起因する部分と考えることができるのである。
著者
山田 秀樹
出版者
北海道東海大学
雑誌
北海道東海大学紀要 芸術工学部 (ISSN:02884992)
巻号頁・発行日
no.19, pp.9-15, 1999

本研究の目的は, スキーとスノーボードのイメージを測定することである。イメージを測定するために, 18項目から成るSD法尺度を用いた。調査対象は, 407名の大学生である。因子分析の結果から, 4因子が抽出され, それぞれにfashion因子, delight因子, freedom因子, difficulty因子と命名した。スノーボードのイメージは, 流行感の方向を示し, スキーのイメージは, 快感と解放感の方向を示した。男性, 女性のスキーとスノーボードに対するイメージは, ほぼ同様の傾向を示した。スキーレベル別の比較では, fashion因子, delight因子, freedom因子とdifficulty因子に有意な差が認められた。スノーボードレベル別の比較では, fashion因子とdelight因子に有意な差が認められた。