著者
中澄 博行 八木 繁幸
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 : JOURNAL OF Synthetic Organic Chemistry JAPAN (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.477-487, 2008-05-01
参考文献数
52
被引用文献数
2

Novel bis-squaraine dyes have been synthesized in which two squaraine moieties are conjuga-tively linked by a methine group, thiophene, oligothiophene or arene spacer. New unsymmetrical squarylium dyes have been also prepared by condensation of mono-substituted squaric acid (semi-squaraine acid) with heterocyclic compounds with active methyl group or arylamines. These dyes exhibit large and intense absorption in the near-infrared region, and the X-ray structural analyses of these dyes show a planar structure. Semi-squaraine acids are key precursors for the synthesis of unsymmetrical squarylium dyes, and exhibited their absorption maxima at the shorter wavelength. Applications of squarylium dyes to photoconductive materials, photovoltatic devices, biological and environmental analysis are described. A Ca2+ ion-induced allostreic assem-bling of the squarylium dimmer was confirming by ESI-MS measurement showing the formation of metallo supramolecular complexes, that is the H-aggregate composed of at least three units.
著者
大島 詔 北野 雅昭
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.189-195, 2020 (Released:2020-11-10)
参考文献数
13

大阪市内を流れる東横堀川-道頓堀川では水質悪化の原因の一つとして降雨時の下水越流水の存在があり, これを一時的に貯留する平成の太閤下水と称される雨水貯留管が2015年4月に供用開始したものの, 両河川中の大腸菌群数は有意に減少しなかった。雨水貯留管が機能しているのであれば下流側の大腸菌群数は上流側の大腸菌群数が流下日数と水温に依存して減衰した値で説明できると考えられたので, 室内実験で大腸菌群数の減衰速度を求め, 下流側における大腸菌群数の期待値と予測値の差をモンテカルロ法で比較した。求めた減衰速度は太陽光等の影響が考慮されていない値のために予測値は過小評価となったが, 供用後は天候に関わらず期待値と予測値の差がほぼ一致したので雨水貯留管が機能していることが示された。両河川で大腸菌群数が減少しないのは雨水貯留管による削減効果を上回る量の大腸菌群が上流部より流入するようになったためと考えられた。
著者
野口 雄慶 横谷 智久 杉浦 宏季 野尻 奈央子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.229_3, 2019

<p> カヌースプリント競技にはカヤックとカナディアン種目があり、湖や流れのない川(兵水面)で200m、500m、1000mといった一定の直線距離を最大スピードで進む際の着順を競い合う。中でも200m競技では大きな力でパドルの両サイドにあるブレードで水をキャッチし、35秒程度の時間で漕ぎ切る必要があるため、後半疲労で失速しないよう、レースペースは極めて重要となる。本研究では、トップレベルの日本人男子カヤック選手を対象に、200mのレース展開の特徴を検討した。2015カヌースプリント海外派遣選手最終記録会の200m男子カヤック決勝進出者9名を対象とした。決勝レースを3台のビデオカメラで撮影し、前半局面(0-100m通過タイム)と後半局面(100-200m通過タイム)の比較より、各選手のレースペースの比較を実施した。日本代表に選出された優勝選手と2位の選手の前半局面と後半局面のタイム差は0.1秒以下であり、イーブンペースであったが、3位、4位の選手はそれぞれ0.9秒、0.5秒以上の差があり、後半局面でペースを落としていた。5位~9位の選手のうち3名は、前半局面より後半局面の方がタイムが早く、残り2名の選手はほぼイーブンペースであった。</p>
著者
宮武 信春 森 正三 古田 勝久
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.385-392, 1978-08-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

We developed the method which recursively identify the multi-attribute utility function based on the observation data which consist of the paired comparison questions and answers. In this method, the weights (w1, w2, …, wn) of additive utility function U(a)=∑ni=1wi·ui(ai) are regarded as random variables and the gaussian sum approximation method is used to estimate the posteriori probability density function of the weights conditioned by the data of comparative judgements. In order to test the applicability of this method, we applied it to the following two examples, (1) estimation of the value of time, (2) evaluation of the psychological burden of trip route.
著者
堀口 文 本谷 聡 高橋 靖彦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.216_3, 2018

<p> ラート競技は、実施される運動の難しさと、その出来映えを競う評定競技である。直転、斜転、跳躍の3種目が実施され、主に技の難しさを示す「難度点」と、演技の出来映えを示す「実施点」から最終得点が決定される。それらの採点基準にはIRV国際競技規則(IRV Code of Points)が適用されるが、体操競技などの評定競技と同様に、審判団の判断により採点傾向が異なることが報告されている(本谷ら、2011)。そのため、選手は競技規則を理解するだけではなく、国際審判団の採点傾向を把握することが重要と考えられる。本研究では、2018年5月にスイス(Magglingen)で開催された第13回世界ラート競技選手権大会において、決勝進出した女子選手の演技構成と各採点項目の結果を調査及び分析することによって、今後の練習計画に役立つ実践的な示唆を得ることを目的とした。その結果、決勝進出選手の競技動向や国際審判団の採点傾向が明らかになった。これらは国際大会で勝つための練習計画や演技構成の際に有用な基礎資料となる。また、2020年には競技規則の大幅な改訂が予定されているため、今後も継続的な調査が必要である。</p>
著者
小川 節郎 鈴木 実 荒川 明雄 荒木 信二郎 吉山 保
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.141-152, 2010-05-25
参考文献数
15
被引用文献数
15

帯状疱疹の皮疹消褪後に3カ月以上痛みが持続している帯状疱疹後神経痛患者371例を対象に,プレガバリン150 mg/日,300 mg/日,600 mg/日(1日2回投与)を13週間投与したときの有効性および安全性を無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した.いずれのプレガバリン群においても疼痛は投与開始1週後から速やかに軽減し,最終評価時の疼痛スコアは300 mg/日群および600 mg/日群ではプラセボ群に比べ有意に低下した.プレガバリンは痛みに伴う睡眠障害を改善し,アロディニアや痛覚過敏にも有効であることが示された.主な有害事象は浮動性めまい,傾眠,便秘,末梢性浮腫,体重増加などであった.これらの有害事象は用量依存的に発現頻度が高くなる傾向があったが,ほとんどが軽度または中等度であった.以上の結果より,プレガバリンは帯状疱疹後神経痛に対して有用性の高い薬剤であることが示された.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1848, pp.44-48, 2016-07-04

6月上旬、大阪市内の繁華街で、ダイドービバレッジサービスなにわ営業所の本谷晴彦リーダーは自動販売機に次々商品を補充していた。そこに「兄ちゃん、どれがおすすめかな?」と声を掛けた初老の男性。本谷さんが丁寧に説明すると、男性は「おおきに」と笑…
著者
定延 利之
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
1998-03-23

本文データは平成22年度国立国会図書館の学位論文(博士)のデジタル化実施により作成された画像ファイルを基にpdf変換したものである
著者
Michiko WATANABE Norikazu FUJII Soichi ARAI
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
Agricultural and Biological Chemistry (ISSN:00021369)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1587-1592, 1982 (Released:2006-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
9

A papain-catalyzed reaction involving covalent incorporation of L-leucine n-alkyl ester is available for producing an enzymatically modified protein (EMP) with surfactancy [Agric. Biol. Chem., 45, 1621 (1981)]. In the present work we used gelatin as a starting material and incorporated L-leucine n-hexyl ester to produce a whippable EMP and L-leucine n-dodecyl ester to produce an emulsifiable EMP. A foam system formed with the whippable EMP was much stabler than that formed with sodium dodecylsulfate. The emulsifiable EMP also gave a much stabler oil-in-water emulsion than Tween-80 did. The stability of the emulsion formed with EMP was not affected by the presence of NaCl at a very high concentration. The observed foam and emulsion stabilities were well explained by the data for decreased mobility of the involved water protons. These results may indicate that EMP molecules, when arranged at the air/water or oil/water interface, can bind a part of the water to form thick barriers which prevent the air or oil particles from coalescing.
著者
遠又 靖丈 寳澤 篤 大森(松田) 芳 永井 雅人 菅原 由美 新田 明美 栗山 進一 辻 一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.3-13, 2011 (Released:2014-06-06)
参考文献数
16
被引用文献数
8

目的 介護保険制度の二次予防事業の対象者把握には,25項目の基本チェックリストを用いている。しかし,基本チェックリストによる要介護認定の発生予測能を実地に検証した報告は少ない。本研究の目的は,基本チェックリストの各項目や各基準について,要介護認定の新規発生に対する関連の程度とスクリーニングの精度を検証することである。方法 2006年12月に宮城県大崎市の65歳以上の全市民を対象に,基本チェックリストを含む自記式質問紙を配布した。有効回答者のうち要介護認定の情報提供に同意し,基本チェックリストの回答項目数が 2 項目以上で,ベースライン時に要介護認定を受けていない者を 1 年間追跡し,死亡•転出した者を除外した14,636人を解析対象とした。解析には性•年齢の影響を補正するために多重ロジスティック回帰分析を用い,基本チェックリストの各項目と二次予防事業の対象者の選定に用いられる各分野の該当基準に該当した場合のそれぞれで,1 年間の新規要介護認定発生のオッズ比と95%信頼区間(95%CI)を推定した。また各分野に関して,感度と特異度を算出し,Receiver operating characteristic (ROC)分析を行った。結果 二次予防事業の対象者の選定基準に該当する者は5,560人(38.0%),1 年間の要介護認定発生者は483人(3.3%)であった。基本チェックリストの全項目が,要介護認定発生と有意に関連した(オッズ比の範囲:1.45~4.67)。全ての分野の該当基準も,要介護認定発生と有意に関連した(オッズ比の範囲:1.93~6.54)。そして「二次予防事業の対象者」の基準のオッズ比(95%CI)は3.80 (3.02–4.78)であった。各分野のうち,ROC 曲線下面積が最も高かったのは「うつ予防•支援の 5 項目を除く20項目」であり,7 項目以上を該当基準にすると,「二次予防事業の対象者」の基準を用いた場合に比べ,感度は変わらないが(7 項目以上を該当基準にした場合77.0%,「二次予防事業の対象者」の基準を用いた場合78.1%),特異度は高かった(それぞれ75.6%,63.4%)。結論 基本チェックリストの各項目や各基準は,その後 1 年間の要介護認定の新規発生の予測に有用であった。しかし,項目や分野によって関連の強さや予測精度は異なり,基準値には改善の余地があった。