著者
西野 順二
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.18, pp.1-5, 2015-02-26

多人数不完全情報ゲームの人狼においてその自然な勝率を算出した.人狼は,代表的な会話にもとづくゲームである.このため,推論機能を持つ人工知能エージェントによる,会話と信頼創出のテストベッドとして研究されている.村人の人数に対して人狼側が有利であり,ゲームが拮抗する人数は全体の平方根に従うことが明らかになっている.本研究はこれに対し,人狼がより自然な戦略を取った場合に人狼側の有利さがさらに高いことを示した.勝率を算出し示すことで,人工エージェントの能力が有意に高いことを測る具体的な基準値を示した.
著者
齊藤 功高
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 = Journal of the Faculty of International Studies (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-65, 2015-07-01

The military dictatorship ruled Brazil over a period of approximately 20 years from 1964 to 1985. Meanwhile, a number of human rights violations were carried out by the military regime. Were those of human rights violations settled in the period of transition to the democratic regime from the military regime? The 1979 Amnesty Law which was enacted as a temporary result in the reconciliation of Brazilian society has now become an obstacle to the settlement of human rights violations. Brazil’s Supreme Court judged the Amnesty Law as constitutional in 2010. However, the Amnesty Law did not conform to the Inter-American Convention on Human Rights according to the judgment of the Inter-American Court of Human Rights, which was issued in the same year. Therefore, first, I will outline the actuality of human rights violations under the military regime. Second, I will describe the content of the 1979 Amnesty Law and what effect it has on the Brazilian society. Third, I will discuss the movement of relief for the human rights violations that took place under the military regime in the transitional period through the truth commission. Fourth, I will examine what degree of influence the activities of the Inter-American Human Rights Commission and the judgment of the Inter-American Court of Human Rights have had in the country of Brazil. As a conclusion, I will mention that the activities to overcome the defects of the Amnesty Law have begun in Brazil.
著者
早水 悠登 合田 和生 喜連川 優
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.104-116, 2014-06-30

アウトオブオーダ型クエリ実行とは,動的タスク分解と非同期入出力発行に基づくクエリ実行方式であり,従前の同期入出力発行・逐次処理に基づく実行方式と比べて,大規模データに対する選択的クエリ実行において高い性能を発揮することが知られている.本論文では,既存データベースエンジンにおけるクエリ実行の挙動を変えることなく,その処理性能をアウトオブオーダ型クエリ実行と同水準まで向上させるために,アウトオブオーダ型クエリ実行に基づくデータベースエンジン加速機構を提案する.当該機構は既存エンジンのクエリ実行と並行して当該クエリを協調的にアウトオブオーダ型実行し,バッファプールを介して先行的にデータベースページを供給することで,既存エンジンの入出力待ち時間を縮減し,大幅な高速化を実現する.本論文ではオープンソースデータベース管理システムPostgreSQLを対象とした加速機構の試作実装PgBoosterの構成法を示すとともに,ミッドレンジ級のサーバ・ディスクストレージからなる環境において評価実験を行い,その高速性を明らかにする.
著者
松村 俊太郎 関谷 博 鍜治 武志 中村 英児
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013-OS-124, no.12, pp.1-7, 2013-02-21

分散処理システムにおいて,アプリケーションの処理速度が低下した場合の発生箇所の絞込みは,(1)自律動作により処理を担当するサブシステムや時系列などが異なること.(2)処理負荷やシステム環境による競合条件などの変化によるボトルネック発生箇所の変化,により困難である.これらの課題に対して,分散処理システムにおいてI/Oシステムコールをトレースして性能情報や呼出し履歴を収集・分析することにより,ボトルネックの発生箇所を特定する方式を提案する.また,提案方式を実装して評価を行い,トレースによる性能低下を抑止しながらI/Oボトルネックの原因となるコード位置が特定できることを報告する.
著者
大内 誠 鈴木 陽一 岩谷 幸雄
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.348-351, 2017-09-09

著者らは,3次元音響バーチャルリアリティを実現するためのバーチャル聴覚ディスプレイ装置を開発した.この装置は,ヘッドフォンを用いて音場を精密に再現するものであり,そこに音源が存在しないにもかかわらず,聴取者は音源の存在を知覚することができる.視覚から情報を得ることの困難な盲人や強度の弱視者にとって,本装置は今までにないエンタテインメント型情報提示装置になりえることが予想される.著者らはこの装置を応用して,音空間ゲームを開発したので報告する.
著者
髙岸 輝 岡田 貴憲 ディディエ ダヴァン 海野 圭介 山下 則子 滝澤 みか 中嶋 英介 入口 敦志 恋田 知子 太田 尚宏
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.52, pp.1-16, 2018-08-01

●メッセージ絵巻研究とデジタル画像の活用●研究ノート「硯に向かひて」考――『源氏物語』手習巻の表現探究――国際共同研究 中近世日本における知の交通の総合研究国際共同研究 UCバークレー校所蔵古典籍資料のインスタレーション・キュレーション国際共同研究 古典芸能における身体――ことばと絵画から立ち上がるもの――●書評ブックレット〈書物をひらく〉6 高津孝著『江戸の博物学 島津重豪と西南諸島の本草学』●エッセイ共同研究(若手) 「山鹿素行関連文献の基礎的研究」を終えてAAS2018 ANNUAL CONFERENCE 見聞記●トピックス特別展示「祈りと救いの中世」のご案内平成30年度国文学研究資料館「古典の日」講演会〈国文学研究資料館展示室より〉特設コーナーのご案内ホームページのリニューアルについて連続講座「多摩地域の歴史アーカイブズ(古文書)を読む」を終えて表紙裏反古ワークショップ第42回国際日本文学研究集会告知総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況●表紙絵資料紹介『解体新書』
著者
栗原 一貴 笹尾 和宏 山本 光穂 田中 秀樹 奈良部 隆行 國吉 雅人 会田 寅次郎 岡田 裕子 高須 正和 関 治之 飯田 哲 山本 博之 生島 高裕
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.223-224, 2014-09-12

本論文では,月および火星の衛星画像からあたかも知的生命体によって構築されたかのような構造物(擬似不自然構造物,pseudo-artificial structures)を自動検出する試みについて報告する.NASA Jet Propulsion Laboratory から公開されている観測データを対象として近年発展の著しいパターン認識手法である deep learning を採用し,顔認識技術として Deep Convolutional Network Cascade for Facial Point Detection,およびオブジェクト検出技術として 1000 種類の物体を検出可能な DeCAF (A Deep Convolutional Activation Feature for Generic Visual Recognition)を適用することで,興味深い結果を得た.
著者
古崎 晃司 上田 洋 高橋 徹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.620-625, 2016-06-15

最近,シビックテック(Civic Tech)と呼ばれる市民(=Civic)がIT技術(=Technology)を活用して地域課題を解決しようという取り組みの広がりがある.オープンデータは,シビックテックにおいて活用されることが多く,両者を連携した活動も各地で行われている.これらの取り組みは,LOD技術の普及活動とも相まって様々な展開が見られている.本解説では,関西を中心としたLOD技術の普及活動とシビックテック活動の経験を踏まえ,LODという新しい技術の普及活動を進めていく上で,シビックテックとの関わりから得た知見を活動事例と共に報告する.
著者
中山 泰一 角田 博保
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.41-47, 2016-06-01

共通教科「情報」の高等学校学習指導要領では,「多くの情報が公開され流通している現状を認識させるとともに,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責任を理解させる」と規定されており,その内容の取扱いとして,「知的財産や個人情報の保護などについて扱い,情報の収集や発信などの取扱いに当たっては個人の適切な判断が重要であることについても扱うこと」と記されている.一方,国,地方自治体,独立行政法人などの行政機関から情報を収集する意義や手続きについてはあまり扱われていない.本稿では,行政機関の公文書という生の情報を収集することは重要であるとの観点から,大学の教職科目の情報科教育法への公文書公開手続きの活用について,実践例とともに議論する.