著者
山野井 貴浩 井澤 優佳 金井 正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.77-80, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
8

日本遺伝学会は「優性」「劣性」の語の使用が,形質が優れているや劣っているという誤概念をもたらすと指摘し,「優性」を「顕性」に,「劣性」を「潜性」に変更することを2017年9月に提案し,それ以降も用語を変更する方向で社会は動いている.しかしながら,これらの用語を用いて遺伝学習を行っている中学生の認識は十分調査されておらず,どれほどの生徒が誤概念を有しているのかについては不明である.そこで本研究は,栃木県内の公立中学校13校に通う,遺伝学習後の中学校3年生約1000名を対象に,優性劣性の認識に関する質問紙調査を行った.その結果,約7割の回答が優性の形質を「集団中の頻度」を根拠に,約6割の回答が優性の形質を「生存上の有利性」を根拠に選択されていたことが示唆された.またこれらの誤概念は多くの生徒の中で共存していることも明らかとなった.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.748, pp.12-16, 2011-10

8 0 0 0 OA 照明教室

著者
正木 光
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.60-62, 1959-02-25 (Released:2011-07-19)
著者
濱田 俊
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.13-19, 2014-03-14 (Released:2014-03-28)
参考文献数
41

チアミン(ビタミンB1)はエネルギー代謝に不可欠の補酵素であり,その欠乏は神経系に特有の障害を引き起こす。ヒトでは2種類のチアミン欠乏症,脚気とWernicke-Korsakoff症候群(WKS)がみられるが,脚気では主に末梢神経系が障害される一方,WKSでは中枢神経系が障害される。なぜ単一のビタミンが異なる2種類の病態を引き起こすのかよくわかっていない。WKSの神経組織障害は,多くの神経変性疾患同様に脳の特定領域にみられ,その発症機構に興味が持たれてきた。WKSに類似した病態を示す疾患モデル動物の研究により,WKSの発症には興奮性神経毒性や酸化ストレスなどの要因が関与することが明らかになりつつあるが,領域特異的な障害がどのようにして起こるのかほとんどわかっていない。著者らはWKSモデルマウスの脳における細胞死の分布を検討したところ,嗅球で大量の細胞死が生じていることを見いだした。嗅球における細胞死の分布から,シナプス入力の違いがチアミン欠乏に対する感受性に影響を与えていることが示唆された。

8 0 0 0 ジンクス

著者
松村 正巳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.236, 2003-11-30

私が研修医の頃,当直するたびに重症の患者さんが搬送され,上級医から「おまえは,よくつく奴だ」と,言われた覚えがあります.看護師さんからは,「お祓いでも受けたらいいんじゃないの」と言われる始末でした.このコラムをお読みの方のなかにも,同じような経験のある方はいらっしゃいませんか? どの病院にも,患者さんを呼び込む医療スタッフがいるものです.当直中に,重症の患者さんが来院されなければ,ホッとする反面,研修にならず難しいところです. さて,このような,“つく”,“つかない”といった科学的な根拠がないと思われることについても,研究が行われることがあります.例えば,満月と救急患者の数などです.洋の東西を問わず,米国の医師たちも,いわゆるジンクスを気にするようです.Ahn A, et al:“We're jinxed”―Are residents' fears of being jinxed during an on-call day founded? Am J Med112:504,2002は,ちょっとおもしろい論文です.Dr. Ahnは,マサチューセッツ総合病院の医師です.これはシニアレジデントを対象に行われたrandomized controlled trialで,シニアレジデントをジンクス群 (n=33)と,非ジンクス群 (n=36)に分け,on-call dayの入院患者数,睡眠時間,主観的な仕事の困難度(1~5までのスケール)をon-call dayの終わりに報告させて,比較,検討しています.群分けはon-call dayの朝,“You will have a great call day”と書かれた紙が入っている封筒か,何も書いてない紙の入った封筒を選ばせています.もちろん,“You will have a great call day”と書かれた紙が入っている封筒を選んだレジデントは,ジンクス群です.そしてレジデントに対して“You will have a great call day”と,声に出して読み聞かせました.さて,結果や,いかに?
著者
横山 直也 大矢 稔 百鬼 史訓 田中 秀幸 浅見 裕
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.26-36, 1995-11-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
28

For the purpose of determining the technical characteristics of the striking motion from Nito-no-Kamae in Kendo, we measured the impact force of the striking motion with DAITO (long-shinai) and SHOTO (short-shinai) using as subjects three male university teachers, who are majoring in Kendo, and analyzed the data by a motion analysis system with a video tape recorder.For comparison, similar measurements were performed on the striking motion with the two-handed striking motion from Chudan-no-Kamae and the one-handed striking motion from Jodan-no-Kamae.The following results were obtained from a examination of the data.1. The maximum downward magnitude of the impact force and the downward impulse value of three kinds of the striking motions with SHOTO from Nito-no-Kamae were greater than that of the two-handed Shomen striking motion from Chudan-no-Kamae. However, the maximum downward magnitude of the impact force and the downward impulse value of two-kinds of striking motion with DAITO from Nito-no-Kamae were smaller than that of two-handed Shomen striking motion from Chudan-no-Kamae.2. The impact time of all the striking motion from Nito-no-Kamae were shorter than that of the two-handed striking motion from Chudan-no-Kamae.3. The motion of shinai in the striking motions from Nito-no-Kamae were chiefly made using the left elbow and the left wrist.4. The angular velocity of shinai immediately before impact using Hikikote striking motion with SHOTO of Nito-no-Kamae was the largest, and that using the Shomen striking motion with DAITO of Nito-no-Kamae was the smallest.
著者
吉田 満梨 水越 康介
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.17-34, 2012-03-31 (Released:2013-12-28)
参考文献数
71

本稿では、近年注目を集める実践的転回( practice turn)を考察し、消費経験論への再接続を試みる。 1980年代に Hirschmanや Holbrookを中心に展開された消費経験論は、今日では、消費文化理論(Consumer Culture Theory: CCT)の名のもとに、多様な研究分析が蓄積されるようになっている。我々のみるかぎり、こうした研究には、実践的転回の萌芽をみることができる。実践概念への注目は、 CCTはもとより、多くの消費者行動論やマーケティング論においても、新たな研究方針を提示することにつながる。具体的に言えば、実践概念の下では、主観的かどうかという点ではなく、主観と客観や個人と構造という視点自体がどのようにして形成され、またどのように消費行為に影響を及ぼすことになるかを問うことになる。
著者
野波 健蔵
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.755-763, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
5

本稿では,ドローン産業が高揚期に入ってきたことを述べた後,現状の技術的課題に触れ,量産型国産ドローンであるミニサーベイヤーの最新モデルを紹介する。また同機に登載された非GPS環境下での自律飛行が可能なSLAM技術について紹介していく。そして,完全自律制御飛行のコアとなる3技術(GNC:ガイダンス・ナビゲーション・制御)を説明し,ガイダンスのないナビゲーションと制御のみで飛行している問題点も指摘する。さらに農業,インフラ点検,測量,警備,災害対応の5つの分野で先行してドローンが利活用され,物流分野から始まる空の産業革命など,ビジネスの最前線について述べる。最後に,既存の千葉市ドローン宅配プロジェクトの現状と課題について言及する。
著者
直居 豊
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.602-609, 2011-12-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
26

2011年3月11日に起きた東日本大震災は福島原発の2次災害を引き起こし, 結果として放射線について日本人すべてがあらためて考えさせられる事態となった. この放射線災害は近隣の住民のみならず, 被曝した食材などが日本全国に流通されたことから全国的な問題となっている. 結果として多くの国民が放射線に怯えることとなったが, その最大の理由は正確な情報や知識が流布されないまま放射線という目にみえない威力と恐怖が全国的に拡大したためである. われわれ放射線科医は常に放射線と接して仕事をしてきており放射線のよさ, こわさも理解しているつもりであるし, 常に放射線被曝を減らす努力も忘れないように教育されてきた. しかしわれわれ職業人以外はほとんど放射線について教育される機会も興味も少なかったと思われる. 通常職業人として放射線を扱う者には年1回の放射線安全教育が厚生労働省から義務づけられており, 順天堂でも必ず年1回安全教育が行われてきた. しかし必ずしも出席者は多いとはいえず, あまり身近なこととは理解されていなかったように思う. 今の時期こそ医療従事者として放射線について今一度考えるよい機会と思われる. 本稿では医療従事者として知っておくべき放射線の知識と福島の原発災害関連での実被害, 風評被害の一部について解説する. またより広い視野で放射線について考えてもらうために自然放射線や職業被曝, 医療被曝についても概説する.
著者
大谷 能生
出版者
出版人
雑誌
出版人・広告人
巻号頁・発行日
vol.8, no.10, pp.70-72, 2020-10

8 0 0 0 新体育

出版者
新体育社
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, 1951-05
著者
森田 敦郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.33-52, 2011

本論文では、19世紀フランスの社会学者ガブリエル・タルドに着想を得た「モノ」への新しいアプローチを構想を試みる。近年、タルドへの関心が人類学で復活しつつある。この関心は、人間の行為の所与の条件となる単一の「自然」と、人間の創造的行為の産物である多数の「文化」の二項対立という従来の枠組みを乗り越える方法を模索する中から生まれてきた。そこで暗示されているのはモノについての言説ではなく、その構成そのものに焦点を当てた人類学の可能性である。本論文では、「相互所有」というモノ相互の特異な関係に注目したタルドの現代的な意味を確認した後、タイにもたらされた日本製の農業機械の事例を取り上げて、モノの内側にどのような関係が取り込まれており、それが移動の過程をへていかにして展開するのかを考察する。この事例では、設計の段階で機械に刻み込まれた日本の環境との関係が、タイの環境との不適応をとおして人々の前に浮かび上がってきた。このようにモノがその内に含み込んだ潜在的な関係を顕在化するプロセスを考察することは、人類学の鍵概念である比較や文脈といった概念に新しい角度から光を当てることでもある。
著者
野村 育世
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.9-34, 2021-03-31

有田焼の創始者の一人百婆仙は、豊臣秀吉の朝鮮侵略の際に、武雄の領主後藤家信配下の廣福寺別宗和尚に連れられ、被虜人として、夫の宗傳と共に渡来した。夫婦は内田に土地を与えられて陶器を焼いた。夫の死後、百婆仙は一族を率いて有田に移住し、磁器生産に励んだ。96 歳まで生き、1656 年に死去した。百婆仙は有田焼の創始者の一人であるにもかかわらず、これまでほとんど知られてこなかった。本稿は、百婆仙についての研究史を整理し、史料の紹介、校訂、読解を試みたものである。 百婆仙研究の嚆矢は久米邦武の仕事である。久米は百婆仙の碑文を校訂して紹介した。1930 年代後半になると、日本史の人名辞典に百婆仙が立項されたが、その背景には当該期の政策の中で植民地朝鮮の人物を国史に包摂していく方向性があった。戦後の辞典では韓国史上の人名は除かれたが、日本の伝統工芸の祖である百婆仙たちまでが削除された。1970年代になると、小説家が書いた『肥前おんな風土記』が百婆仙を取り上げたが、その虚実入り混じった内容は今もなお強い影響を残す。21 世紀の現在、日韓の市民の間で百婆仙に対する関心が高まっているが、学術研究においては出遅れている。 百婆仙の史料は、没後50 年に曾孫が建立した法塔が唯一のものである。原本は磨滅しているが、久米による写しが存在する。『後藤家御戦功記』新写本にも掲載されている。それらの写しと、碑文に残るわずかな文字を元に校訂を試みた。 碑文からわかる百婆仙の容貌は、眉を抜かず、耳にピアスの穴の跡があった。夫の宗傳(法名。日本名深海新太郎)の名について、近年「金泰道」とする説が出されたが、これは百婆仙の戒名を誤読したことによる謬説である。 最後に、百婆仙夫妻の渡来事情について、『後藤家御戦功記』新写本の解説と、碑文そのものの内容を比較すると、彼らが朝鮮において陶工であったのかなかったのか、後藤家信は彼らが陶工だから連れて来たのか、はたまた無差別な拉致であったのか、という議論を喚起しうる。 以上、現段階で可能な基礎的考察を試み、今後は科学技術を応用した碑文の読解が望まれること、国際的な学術交流が必要であることを展望した。さらに、韓国と日本のジェンダー史の流れを比較しつつ、2 つの社会を生きた百婆仙のジェンダー史上での立ち位置を考察することを、提唱した。