著者
長野 真紀 今村 文彦 Maki NAGANO Fumihiko IMAMURA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2018
巻号頁・発行日
2018-11-27

1950年代に南米ドミニカ共和国に移住した日本人移民を対象に、生活学と文化人類学の視点から、居住環境の持続性と民族固有の文化的アイデンティティの保持・継承について明らかにすることを目的とする。 ドミニカ共和国へ入植後、現在まで全移民の約1/5にあたる家族が残留して生活を営んでいる。彼らの定住化を支えた要因の一つには、ドミニカ社会との相互交渉の中で日本人としての生活、行動、文化を強く規定してきた民族的な生活思考がある。それは、日系人社会においてどのような機能を果たし、表現され、受け継がれてきたのか、移民集落の中で育まれてきた生活文化継承の実態把握と約60年にわたる生活の記憶、移民母村となる日本での暮らしの記憶を辿りながら、日本人の生活文化と、その背後にある暮らし方の原理を探る。 移住の経緯、入植地の環境、生活習慣、住まいの形態、移民母村について調査・分析し、一時的な居住目的とは異なる、現地に定住することを決意した海外移民の暮らし方を読み解き、民族的文化と移住先の文化を互いに補完し合う地域や暮らしの特性を捉え直した。 なお、本研究では在ドミニカ共和国日本国大使館を通じて、各コロニア(集落)に居住する日本人と連絡調整を行い、研究を展開することができた。
著者
青木 誠 村田 将人 金子 稔 澤田 悠輔 神戸 将彦 萩原 周一 中村 卓郎 大山 良雄 田村 遵一 大嶋 清宏
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.699-703, 2014-10-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
15

症例は60歳代,男性。近医定期受診日に全身状態問題なく,肺炎球菌ワクチンを接種された。同日夜間より39度台の高熱が出現した。2日後には両側性の難聴も併発し,近医を再受診した。白血球数の著増を認め,当院を紹介受診した。ワクチン接種部の蜂窩織炎による敗血症と考え抗菌化学療法を開始した。その後全身状態に改善を認めたが,蜂窩織炎以外に明らかな感染源は不明であった。肺炎球菌ワクチンによる重篤な全身反応,敗血症様反応は本邦でも数例報告されているが,難聴を呈した例の報告はない。今後,肺炎球菌ワクチン接種に関わる医療従事者は接種により重篤な副作用を生じうる可能性を十分に理解する必要がある。
著者
谷 忠昭
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.261-275, 2019 (Released:2021-03-30)
参考文献数
48

色素増感を施した写真感光材料に由来する光電変換型光機能性材料として共通点が多いカラーフィルム,光触媒,色素増感太陽電池およびペロブスカイト太陽電池を取り上げ,それらの理解の深化と改良指針の探索のため構成要素技術(光吸収,電子構造,電荷分離,再結合抑制および経時安定性)に関して横断的に概観し,比較分析を行った.
著者
高橋 則英
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.23-26, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
3

歴史的に貴重な価値をもつ写真ネガ原板にはプリントが現存していないものも少なくない.ここではネガ原板からの同時代技法によるプリントを前提として,国内外における写真原板活用の事例を紹介するとともに,写真保存における意義や今後の課題について述べる.
著者
冨永 和宏 土生 学 吉岡 泉
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.122-132, 2009 (Released:2010-06-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1

顎関節症の現在の治療概念を概説した.顎関節症はself-limiting diseaseであるので,治療の方針は可逆的で侵襲の少ないものを選ぶべきである.炎症や咀嚼筋のこりが関節痛や機能障害の原因であるため,特に初期においては投薬での消炎,鎮痛に取り組む.関節の炎症や筋のこりの背景には生活習慣を含むさまざまな寄与因子を基にする過負荷があるため,スプリントだけでなく習慣改善やリラキゼーションプログラムの教育,指導が重要である.投薬などで初期の炎症期を制御した後に開口訓練,マニプレーション,関節パンピング,関節洗浄など開口度を増加させる方法が効果的となる.顎関節は大きな適応能力を持っており,それは顎運動によって活性化する.関節の適応能力を活発にするための理学療法が顎関節症の治療に重要な役割を果たす.寄与因子,予見因子のコントロールと減少が症状減弱後も必要で,それは長期にわたって日課として続けられなければならない.難治性の患者では精神医学的な対応も検討されるべきである.クリックのみの患者や画像上の変化だけで臨床症状の乏しい患者は治療の対象にはならないが,悪習癖を持っているなら習慣改善の教育が勧められる.
著者
Julio C Almanza-Perez Beatriz Mora-Ramiro Wendoline Rosiles-Alanis Francisco J Alarcon-Aguilar Jose L Ventura-Gallegos Luis E Gomez-Quiroz Alejandro Zentlla-Dehesa
出版者
Japanese Pharmacological Society
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.PO3-10-20, 2018 (Released:2020-09-10)

BACKGROUNDThe chronic inflammatory process is a critical characteristic in several diseases. This condition has an important impact on the quality life of patients, as well as on their economic and social state. Patients in this condition use several anti-inflammatory agents, which are classified according to their chemical nature as steroidal (SAIDs) and non-steroidal (NSAIDs). However, It has been reported that its clinical use can generate dangerous adverse effects. For this motive, people use medicinal plants as an alternative of treatment. Several plants have been traditionally used as anti-inflammatory agents worldwide. One example is Psacalium decompositum, which has been reported with anti-inflammatory and antidiabetic effects. In chemical studies, sesquiterpenic compounds have been isolated, being the cacalol the main compound, which is considered the responsible principle of the anti-inflammatory effect of this plant. However, the action mechanisms involved in the anti-inflammatory action of cacalol have not yet been explored.The aim of this investigation was to establish whether the anti-inflammatory action of cacalol involves the Nf-kB pathway, using an in vitro model.METHODSRAW 264.7 macrophages were cultured and pre-stimulated with LPS. Two hours after, the cells were treated with cacalol. The concentration and relative expression of cytokines were quantified by RT-PCR. The cytokines studied were TNF, IL-6, IL-1b and IL-10. The pohosphorylated subunit p65 of Nf-kB and its nuclear translocation were measured by EMSA.RESULTSThe mRNA expression of TNF, IL-6 and IL-1b were significantly decreased in the macrophages due to cacalol. The protein concentrations in the culture of the cytokines also decreased. No changes were detected in the mRNA expression and concentration of IL-10. The cacalol decreased the concentration of the phosphorylated p65 subunit as did the translocation of Nf-kB to the nucleus.CONCLUSIONSCacalol suppressed the concentrations of pro-inflammatory cytokines without affecting the anti-inflammatory cytokines. This could be associated with the inhibition of the Nf-kB pathway, since the levels of the phosphorylated p65 subunit were reduced. It is important to continue with the study of the factors involved in the regulation of said inhibition, as well as of other transcription factors involved in the anti-inflammatory action of cacalol.
著者
豊田 弘司 生田 明子
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
no.34, pp.129-135, 1998-03

280名の大学生を対象にして、男性リーダー及び女性リーダーの特徴を自由記述する調査を行った。自由記述の多かった特徴を分析してみると、男性リーダーの特徴としては「統率力がある」「決断力・判断力がある」が上位項目としてあげられ、女性リーダーの特徴としては、「やさしい・思いやりのある」「明るい・元気・活発」が最上位にあげられた。男性リーダーと女性リーダーに共通する特徴としては「頭がよい」「明るい・元気」「やさしい・思いやりのある」「話し上手・説得力・発言力」であった。これらの結果はPM理論から考察され、男性リーダーにはP機能、女性リーダーにはM機能を求める傾向のあることが示唆された。
著者
金春光太郎 著
出版者
わんや書店
巻号頁・発行日
vol.初級用, 1941
著者
浅井 優一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.482-502, 2020 (Released:2020-05-28)
参考文献数
45

現代人類学を特徴づける知的動向が存在論的転回として論じられ、主体と客体、表象と事物、文化と自然などの二項対立を自明とする認識論ではなく、そうした「対」が生起する過程や創発する現実を捉える存在論への転換が希求されるようになった。そのような問題意識を背景とし、本稿では、フィジーにおいて「氏族」や「土地の民」という範疇が生起した過程、そしてオセアニア人類学の理論的変遷を言語の次元に降り立って分析し、存在論的転回および現代人類学における民族誌記述の問題系に言語人類学の視角を接合することを目的とする。その上で本稿は、三段構えをとる。はじめに、1)ヤコブソンがパース記号論を基礎にして展開した詩的言語に関する洞察、それを敷衍したシルヴァスティンの儀礼論を概観し、詩や儀礼が指標的類像化(ダイアグラム化)という記号過程として理解できることを確認する。次に、2)筆者が調査を行ってきたフィジー諸島ダワサム地域での出来事を事例に、フィジー人の民族意識の根幹にある「土地の民」という範疇が、植民地期に遡る「氏族」の文書を通じたダイアグラム化を経て生起したことを指摘し、それが氏族のルーツを辿り、始祖のマナを讃える儀礼的実践を通じて前景化した過程を詳らかにする。最後に、3)ワグナーの比喩論に端を発し、ストラザーンの人格論の基調をなす「図と地の反転」という視座がヤコブソン詩学に類比することを示唆し、連続性を切断して驚異、斬新、潜在を回帰的に実現するメラネシア社会の生成原理が、韻文の生起が伴う詩的効果として理解できることを指摘する。さらに、サーリンズの構造歴史人類学からストラザーンのメラネシア人格論へというオセアニア人類学の推移自体が、同様に記号過程として記述し得ることを示す。以上を通じて、閉じた象徴体系として認識論の中核に布置され、存在論的転回では正面から扱われなかった言語という視角を文化人類学の問題系へ接続し、言語事象を基点にした記述分析に存在論的転回以後の民族誌記述の一所在を見出したい。
著者
石川 清子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-12, 2012

ウジェーヌ・ドラクロワ『アルジェの女たち』(1834)は、オリエントのハーレムの女性を画材にしたオダリスク絵画の代表的名画であり、以降のオリエンタリズム絵画、裸婦像に多大な影響を及ぼした。しかし、1830 年のフランスのアルジェ占領があってこそ、画家はハーレム内部に入ることができ、ゆえにこの絵を描くことができた。フランスのアルジェリアに対する植民地支配の産物とも言える。また名画として鑑賞されてきたこの絵を、フランス語表現の女性作家はどのような視点で見て、どのように自己の作品に反映させ、自らのアイデンティティを構築していくか。この論考はその後半部で、アルジェリアとフランス両方にルーツをもつフランス人作家、レイラ・セバールのシェラザード三部作を検討し、80 年代に顕在化する北アフリカ系フランス人の若者の自己構築の諸相を、この名画と関連づけて考察する。

1 0 0 0 OA 樺太要覧

著者
樺太庁 編
出版者
樺太庁
巻号頁・発行日
vol.昭和6年, 1931
著者
山本 奈生
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.120-133, 2007-10-20 (Released:2017-03-30)

G・ケリングらの「割れ窓理論」は,これまで国内外の警察政策に対し一定の影響力を発揮してきたが,そこに見られるコミュニタリアン的色彩の強さから,賛否を巡る多くの議論の的ともなってきた.しかし,そうした議論とは裏腹に,政策決定の現場やマスメディアにおいては,ほとんどの場合,「治安の悪化」に対する特効薬として肯定的に評価されてきたと言ってよい.本稿では,「割れ窓理論」に基づく取締り政策の事例として,京都市における「祇園・木屋町特別警察隊」の試みを取り上げ,質的な分析を加えることによって,ここでの取り組みが指示する「無秩序」がどのような立場から定められているのかを問題とする.この調査が照準するところは,(1)京都市の取り組みで,「安全・安心」を希求する主体はどの位概に在るのか,そして何が「無秩序」として分割線の外部に引き出されているのか.(2)バーテンダーなど街で働く人々は,この警察政策をどのように捉えているか,の二点であり,これらの考察を通して,「割れ窓理論」が持つ理論的な問題点を描写する.
著者
佐藤 いつみ 高久 雅生
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.245-252, 2019-12-07

無形民俗文化財は,人々の生活の推移を示すものであり,その情報も含めて後世に残していく必要がある.本研究では,無形民俗文化財情報の構造化する手法を提案し,その適用を図ることを通じて,その統一的な管理とアクセス性向上を目指す.構造化を行うにあたり,CIDOC CRMに基づき,無形民俗文化財情報のLinked Data化を行った.データモデルでは,中心となる無形民俗文化財のエンティティに対し,イベント情報に関する3種類のエンティティ,「開催イベント」「発祥記述イベント」「登録イベント」を関連づけた.また,無形民俗文化財のカテゴリーの階層関係をSKOSで表現した.作成したデータモデルには,インスタンスとして無形民俗文化財の一つである「秋田の竿燈」を当てはめ,作成したデータセットについて議論する.

1 0 0 0 文學界

出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, 1976-05