著者
宮川 裕二
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.5, pp.29-41, 2017-03

「新しい公共」およびその類義語は,しばしばその多義性が指摘されてきた概念である。筆者はその「新しい公共」概念を,市場・市民社会・統治という3つのコンテキストから導いた6つのポジション類型,すなわちロールバック新自由主義,左派,参加型市民社会派,新国家主義,ロールアウト新自由主義,統治性研究という類型によって整理し,各代表的論者の文献や発言にあたりつつ,それぞれの性格を論じた。そしてその枠組みから,1990年代後半以降政府によって採用され,日本の新たな国家・社会の改革・形成指針として大きな影響を及ぼしてきた「新しい公共(空間)」政策言説を分析し,以下のような見解を得た。それは,「新しい公共(空間)」政策言説とは,どのポジションが主調を成したのかによって揺れを伴ったものとなっており,第1期:ロールアウト新自由主義型言説の形成,第2期:ロールバック新自由主義型言説の隆盛,第3期:ロールアウト新自由主義型言説の実現,第4期:「新しい公共(空間)」政策言説の停滞,として時期区分することが可能である,というものである。そして最後に,ロールアウト新自由主義とその言説―具体的には主に松井孝治が提唱・推進した「公共性の空間」と「新しい公共」―は,従前の研究では看過されがちであったことに触れ,その問題構成を浮き彫りにする統治性研究の重要性について言及した。
著者
塚本
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.99-107, 1996-12-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

コロナウイルスは, 牛・豚・鶏・マウス・ヒト等の多くの動物種において, 呼吸器系, 消化器系, 生殖器系, 神経系などの様々な臓器で増殖し, 急性で致死的な疾病から慢性で持続的な疾病まで, 様々な病気を引き起こす。更に, 鶏・マウスでは持続感染と homologous recombination が報告されている。それだからなのか, コロナウイルスは株によって病原性が多様で, 抗原域も広い。特に鶏のコロナウイルスでは, 野外株に多くの血清型が存在し, ワクチンによるコントロールを難しくしている。このようにコロナウイルスは, ウイルス生物学の点でも, 伝染病制御の点でも, 興味深いウイルスであるにもかかわらず, 分子生物学的解析はその他の主な (+) 鎖RNAウイルスに比べ遅れている。その理由の1つとして, ウイルス遺伝子が27-32Kbと大きなために感染性cDNAが作られていないことがある。このため, コロナウイルスの分子生物学的研究は直接的証明よりも間接的証明が多く, 実験が複雑で, 解釈も慎重を要することが多い。この状況下で, 苦労を重ね, 工夫をこらしながら進められている, コロナウイルスのRNA合成機構に関する研究について, 最近3-年間4の成果を紹介したい。
著者
谷口 りえ
出版者
日経BP
雑誌
日経アーキテクチュア = Nikkei architecture (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1164, pp.22-24, 2020-03-26

約6000席の増設など大規模リニューアルを完了した横浜スタジアムが3月7日、「無観客試合」で静かに幕を開けた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、プロ野球界が一丸となって判断した。同スタジアムでは、2017年11月から20年2月末まで段階的に増築・改修工事…

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著者
大阪市立大学商学部編
出版者
有斐閣
巻号頁・発行日
2002
出版者
日経BP社
雑誌
日経X trend : 新市場を創る人のデジタル戦略メディア (ISSN:24340219)
巻号頁・発行日
no.36, pp.40-43, 2021-04

コロナ前の水準に戻るのは難しいと思う(24.7%)──。この数字は、日経クロストレンドが20年12月に実施したマーケター400人調査で、「自身が担当する商品・サービス群の2020年4〜12月の売り上げが前年同期比で減収の見込み」と回答した215人に対し、「いつごろ『コ…
著者
新田 雅之 村垣 善浩
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.336-342, 2021-01-15 (Released:2021-01-15)
参考文献数
63

正確かつ安全に悪性神経膠腫を最大限に摘出することは容易ではなく,(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を用いた光線力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)を始め多くのモダリティが応用される.5-ALAは腫瘍内に選択的に集積し,その代謝産物である(Protoporphyrin IX: PpIX)の蛍光によって,腫瘍の存在を非常に簡便かつリアルタイムに示すことができ,本手術の遂行に有用である.最近ではPpIXの集積メカニズムの解明も進み,その集積効率を高めることで,PDDのみならず光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)の効果増強に関する研究も期待されている.一方,本方法論には低悪性度神経膠腫での有用性が低い点,偽陽性や偽陰性の問題などがあり,その遂行には十分な知識と経験を要する.これら諸問題の克服のため,スペクトル解析を用いたPpIX蛍光の定量化技術の開発が進んでいる.また最近,本邦において悪性脳腫瘍のPDT治療剤として承認されているtalaporfin sodiumが,PDDにも応用可能であることが示され,今後は本薬剤を用いたPDDとPDTの併用が実現することが期待される.
著者
八木 祥文
出版者
静岡県地学会
雑誌
静岡地学 (ISSN:02850753)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-3, 1978-06-25