著者
坊内 良太郎 手納 信一 塚原 佐知栄 田中 伸枝 菅野 宙子 石井 晶子 中神 朋子 川島 眞 岩本 安彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.27-33, 2006 (Released:2008-07-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

後天性反応性穿孔性皮膚症(acquired reactive perforating collagenosis; ARPC)は皮膚表皮への変性膠原線維の排出を特徴とし,糖尿病や慢性腎不全に合併する稀な皮膚疾患である.われわれは血液透析導入後の1型糖尿病に本症を合併し,厳格な血糖コントロールとアロプリノール投与が奏効した症例を経験した.症例は26歳,女性.1986年(9歳)に1型糖尿病を発症.2001年頃から背部と両下肢伸側に〓痒感の強い丘疹が多数出現し,ARPCと診断された.ステロイドおよび抗ヒスタミン薬による局所治療を4年間受けていたが難治性であった.2002年4月慢性腎不全のため血液透析を導入,2004年3月膵腎移植登録目的で入院した.1,800kcal,蛋白40gの食事療法および強化インスリン療法を行い,アロプリノール100mgを開始したところ,約2週間で〓痒感が軽減し,2カ月後には皮疹も減少した.ARPCの発症機序は十分に解明されておらず難治性であることが多いが,本症例では血糖の厳重な管理に加えアロプリノールが奏効したと考えられた.
著者
中尾 優人 麻山 智信 小山 大貴 桜井 浩登 佐々木 拓良 杉田 裕汰 廣瀬 健太 前田 聖也 石坂 正大 貞清 香織 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.439-442, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2

〔目的〕健常者における円背姿勢が体組成成分の計測値に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕50名の健常男性で,通常計測(通常条件),円背指数19.4 ± 2.0の擬似円背装置を用いた円背姿勢かつ通常身長値での計測(円背条件),円背姿勢の身長値かつ円背姿勢での計測(円背・身長補正条件)の3条件で体組成成分を計測した.〔結果〕通常条件と円背条件では,全ての計測値において有意差はみられなかった.円背・身長補正条件は,他条件と比較し,体脂肪量が有意に高値,除脂肪量,四肢骨格筋量,骨格筋指数が有意に低値を示した.〔結語〕円背による身長低下は体組成成分の計測値を変化させ,高度な変形の場合は身長の推定式が推奨される.
著者
檜山 宏太 石山 優太 小沼 亮太 齋藤 彩花 殿村 由樹 貞清 香織 石坂 正大
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.619-622, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕円背姿勢が家庭用体組成計における体組成成分の測定値に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕健常男性40名とした.家庭用体組成計を用いて同一被験者で通常測定(通常条件),円背指数19.4 ± 2.0の擬似円背装置を用いた円背姿勢で身長入力測定(円背条件),円背姿勢でその姿勢で身長を測定した(円背身長条件)の3条件で身体組成を測定した.〔結果〕通常条件と円背条件では,すべての値において有意差はみられなかった.円背身長条件は他の条件と比較し,全筋肉量,四肢骨格筋量が有意に低値を示し,SMI,体脂肪率は有意に高い値を示した.〔結語〕家庭用体組成計においても,円背による身長低下は体組成成分の測定値を変化させることが明らかになった.
著者
山梨 裕美 櫻庭 陽子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.187-203, 2019 (Released:2019-12-18)
参考文献数
109

With the accumulation of knowledge regarding sociality of animals, social enrichment is regarded as one of the most important part of captive animal care. Although the basic knowledge has been accumulated, sociality involves complex issues. Moreover, practical methodologies for social management remain controversial. In this paper, we overview the current studies and practices of social management on four great ape species (chimpanzees, western lowland gorillas, and Bornean and Sumatran orangutans) housed in Japanese zoos to advance the sociality discussion. We first describe the fundamentals of sociality in animals. Then we explore important topics of sociality, including social relationships in captivity, all male group formation in chimpanzees and gorillas, group living in orangutans, and welfare of disabled and geriatric individuals. Although the number of sociality studies has recently increased, to maximize the positive effects of captive social living, more detailed understanding of the effects of social factors on animals using scientific methodologies is important.
著者
岩田 久道
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.404-407, 2019-09-20 (Released:2020-09-01)
参考文献数
4

生徒自身が実験プロセスをくみ,それを実践させるにはテーマの選定が重要になる。高校現場ではなかなか行えない単元である高分子分野の最後のまとめとして,生徒に「5種以上の合成高分子を各班で用意し,その判別と分離法を各物質で2種以上行いレポートせよ」という課題を課している。教師が気づかない様々なものを準備し,独自の分離法を提案してくる。その中から得られた新たな発見と,この実験後に生徒がどのような変化を見せるかをここで紹介する。
著者
堤 純 鵜川 義弘 福地 彩 伊藤 悟 秋本 弘章 井田 仁康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

本ポスター発表は、今大会で同じ題目のもとにシリーズで行った2つの口頭発表と連動し、石川県金沢市の卯辰山麓寺院地区を対象に構築したARシステムについて、タブレット端末を用いた実物のデモンストレーションを行いながら、その機能と特長を紹介し、地理教育への応用の可能性を検討するものである(ポスター発表のコアタイムにデモンストレーションを実施予定)。<br>口頭発表において取り上げなかったいくつかの機能のうち、実際に野外での活動時に有効な機能の1つとして、ブログとの連携を挙げることができる。ブログと連携することにより、スマートフォンやタブレット端末のみならず、パソコンを含めた多様なデバイスから、各自のIT環境に左右されずに情報にアクセスできるため、教師や生徒が野外か屋内かを問わずに情報を閲覧できる上、様々な情報を書き込むこともできる。 今回は、全体を1つのブログとして、1寺院に1ブログ記事を対応させ、記事本体(図1)は教師が作成し、そのコメント(図2)は生徒が寄せるものと想定した。いずれも、テキストの書き込みとともに、画像の投稿もできる。本システムによる作業のフローは以下の①~④のようになる。<br>①ARにより端末画面に表示されたエアタグに着目&rarr;②AR内での当該寺院の説明文を(野外で)閲覧&rarr;③ブログ記事へジャンプ&rarr;④上記記事へのコメントを入力、閲覧<br>上記のフローのうち、④の行程として、教師が用意した情報を一方通行的に見せるだけでなく、ブログ上でコメントの投稿・返信を通じて情報を双方向にやりとりできる点も、地理教育上の効果が大きいと考えられる。 また、投稿されたコメントの掲載許可の権限を教員がもつことにより、ブログシステムへの投稿内容の管理が可能である。こうして掲載されたコメントはキーワードごとに、ブログの1つのタイムライン上に掲載されるため、閲覧や検索が容易である。これらのコメントが記載され、一般に公開されることは生徒の励みにもなり、地理教育上のメリットも期待できる。<br>
著者
鵜川 義弘 福地 彩 伊藤 悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

AR 拡張現実アプリ Junaio <br>拡張現実とは現実環境に情報を付加して見せる技術で、カメラ、GPS、コンパス、モーションセンサーを持つスマートフォン(スマホ)の出現により、画面に映し出される生の映像の中にGIS地理情報システムから得た情報を重ね合わせて見せる「位置情報型AR」として利用できるようになった。 スマホARアプリJunaioを使用すると、地理情報を保存する自前UNIXサーバと連携させることにより「自分たちが表示したい情報」を「表示したい緯度経度の位置」に、スマホの画面に浮かぶ「エアタグ/バルーン」として出現させることができる。 Junaioにはコンパスとモーションセンサーを用いてカメラを向けた方向の別画像を見せるパノラマモードが存在し、別の日時に撮影したパノラマ写真を表示して、同じ方向に見える現実の風景と比較することもできる。 <br>Googleスプレッドシートの利用<br>Junaioの地理情報は、自前UNIXサーバにXMLという言語で書いてアップロードしなければならないが、これをUNIXサーバの操作知識を持たない教員が登録/変更するのは難しい。そこでExcelの表と同様だが、インターネットに接続されているWebブラウザから利用できるGoogleスプレッドシートを用いることにした。このシートはユーザを編集者として登録すれば、同じ表を共有して同時に編集することも可能である。自前UNIXサーバ側では、シートの内容をPHP言語のfile_get_contentsという方法で読み取りJunaioに転送する。このことにより、登録・編集が簡単で教員の変更内容もリアルタイムに反映できるようになった。
著者
北原 直人 小野田 尚佳 石川 哲郎 日月 亜紀子 小川 佳成 平川 弘聖
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.1518-1521, 2001-06-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18

腎不全を合併した原発性アルドステロン症の外科的治験例に関する報告は少ない.われわれは,腹腔鏡下副腎摘出術によって,血圧,電解質異常の管理が容易となった1例を経験したので報告する.症例は49歳,男性.腎不全,高血圧にて加療中に低カリウム血症を認め,精査にて原発性アルドステロン症と診断された.腎機能の悪化により,透析導入となっていたが,血圧,電解質の管理が困難であった.腹腔鏡下に左副腎摘出術を施行し,術後透析のみで血圧,電解質はコントロール良好となった.透析導入例にみられた本症の治療に対する一致した見解は得られていないが,自験例では低侵襲の腹腔鏡下手術により,高血圧,電解質が改善したことから,今後同様の例での治療方針を決定するうえで示唆に富む症例と考えられた.