著者
王 秀文
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-109, 2000-10-31

桃は強い生命力を持つ仙果、陰や死に対して不思議な呪力をもつ陽木として、当然ながら長生の神仙の世界や不死の楽園に結びつけられる。伝承上では、神仙の住む世界は東の大海原にある蓬莱山で、桃の巨大な樹のある度朔山または桃都山でもあり、仙木である扶桑は桃と同じ陽性の植物である。また信仰上では、不死の薬の持ち主として人間の福寿を操る女神である西王母は、桃をシンボルとし、死を再生に転換させる生命の象徴である。
著者
岡村 秀雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.399-407, 2006-12-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

船底防汚剤は海で意図的に使用される化学物質の代表格である.長い間,防汚剤の主役であった有機スズ化合物は水環境に対する悪影響が顕在化したため,先進諸国では1980 年代の終わりから防汚剤としての使用を厳しく規制してきた.しかし規制から15 年以上経過した現在でも,多くの港湾域に有機スズ化合物が残留している.この有機スズ化合物の規制と同時に,代替品の開発が行われてきたが,わが国では 2004 年になってはじめて代替防汚剤の情報が公開された.はたして,これらの代替防汚剤は環境に対して安全で,われわれの生活にとって安心な化学物質なのだろうか? 化学物質による環境問題の歴史は代替物質の歴史でもあり,防汚剤の過去,現在,そして未来を見渡してみたい.
著者
大島 慶一郎
出版者
低温科学第76巻編集委員会
巻号頁・発行日
vol.76, pp.13-23, 2018-03-31

世界の海洋の深層まで及ぶ最も大きな循環は,重い水が沈み込みそれが徐々に湧き上がってくる,という密度差による循環である.沿岸ポリニヤでの大量の海氷生成が重い水のソースになっている.衛星マイクロ波放射計データ等による海氷生産量マッピングからは,南極沿岸ポリニヤでは,非常に高い海氷生産があることが示され,世界の深層に広がる南極底層水がここを起源として形成されることと整合する.南大洋ではロス棚氷ポリニヤが最大の海氷生産を持つ.第2 位の海氷生産量を持つのがケープダンレーポリニヤであることがわかり,日本の観測からここが第4(未知)の南極底層水生成域であることが発見された.第3 の南極底層水生成域であるメルツ氷河沖では,2000 年初頭の氷河崩壊後に海氷生産量が40%も減少し,その結果として,ここでの底層水生成も激減した.
著者
堂免 隆浩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.202-209, 2015-10-25 (Released:2015-10-25)
参考文献数
17

東京都練馬区では、従来、都市公園において危険と見なされるサッカー利用が禁止されてきた。これに対し、「練馬区立みんなの広場公園」では、サッカーゴールが設置されサッカー教室の公園使用申請に許可が出ている。そこで本研究は、同公園においてサッカーゴールの設置およびサッカー利用の許可が成立する条件の解明を目的とする。結果、条件の第一として、サッカー教室の開催運営を明記した「公園育て計画」の内容が練馬区まちづくり条例において規定されている施設管理型地区まちづくり計画の提案および認定の条件を満たすこと、第二として、「公園育て計画」において明記されている「3時間に1回以上、公園を訪れて施設や利用の状態に問題がないかのチェック」という見守りの水準を「NPO法人公園づくりと公園育ての会」の見回り・見守り活動が満たすこと、第三として、この見回り・見守り活動の効果および持続性を高める仕組みがあること、を明らかにした。
著者
多喜 義彦
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル
巻号頁・発行日
no.581, pp.114-117, 2003-02

「鉄製の熱交換器」というとんでもない製品がある(図1)。「熱交換器といえば銅かアルミでしょ」という工学の常識からは大きく懸け離れている。意外なことにこれが受けた。制御盤を冷やす熱交換器の分野でシェアを急速に伸ばしている。 作ったのは私の顧問先,仮にM工業さんとしておこう。もともとは自動車のブレーキ配管を作るメーカーだ。
著者
李 善姫
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.53-64, 2006-03-30 (Released:2017-04-29)
被引用文献数
3

本稿では日本語母語話者と韓国語母語話者を対象とし,日常生活で遭遇する可能性の高い場面において,それぞれどのように不満を表明するかを調べ,両者の「不満表明」にみられる相違点を明らかにすることを目的とする.15場面からなる談話完成テストを用いて,両者の場面別不満表明ストラテジーの使用を比較した結果,多くの場面で不満表明ストラテジーの選択が異なっていることが分かった.さらに,両者の不満表明ストラテジー内の言語表現や「不満表明」の切り出しや終結部に用いられた言語表現を分析したところ,両者の間には相違点があることが明らかとなった.
著者
伊藤 哲哉 中島 葉子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.57-61, 2020

 薬剤性L‐カルニチン欠乏症は医原性に生じる二次性L‐カルニチン欠乏症の一種である. 原因となる薬剤としては, 抗てんかん薬, 抗菌薬, 抗がん剤, 局所麻酔剤, イオンチャンネル阻害剤, AIDS治療剤, 安息香酸ナトリウムなどの報告があるが, 長期投与を必要とする抗てんかん薬や, カルニチン欠乏のリスクが高い乳幼児期に投与される薬剤には特に注意が必要である. バルプロ酸ナトリウムの副作用として肝障害や高アンモニア血症が知られているが, これらはカルニチン欠乏やカルニチン代謝の異常が大きく関与すると考えられており, L‐カルニチン投与を行うこともある. また, ピボキシル基含有抗菌薬では腸管からの吸収後に生じるピバリン酸がL‐カルニチンと結合して尿中へ排泄されるためL‐カルニチン欠乏を生じる. 副作用として, L‐カルニチン欠乏からくる低血糖, 意識障害, 痙攣などの重篤な症状が報告されているが, これらの副作用は長期投与ばかりでなく短期間の服用でも認める例があるため, 抗菌薬投与の必要性やその選択について十分吟味したうえで適正に使用することが重要である.
著者
藤山 哲朗 Tetsuro FUJIYAMA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

近年、建築とファッションの相関性について取り上げられることが多くなった。建築もファッションも、どちらもまず身体を覆うシェルターであり、同じ時代精神や文化的価値観によって立つ社会的規範である。さらに実際に建築家とファッションデザイナーのコラボレーションが増えたという背景がある。しかし最も重要なのは、作品の本質であるコンセプトとデザインプロセス自体が接近してきているということである。 本論文では、こうした形態システムのレベルでの両者の関係を考察するために2007年に開催された「スキン+ボーン」展を取上げる。これは実際の作品を提示した研究としては、近年最も本格的な試みであった。 展覧会の構成において、キュレーターのブルック・ホッジは脱構築という概念を中心においている。しかし会場でのプレゼンテーションだけでは具体的なプロセスを理解するには不足していたように感じる。そこで改めてホッジの意図を読解し、展覧会に含まれない作品を分析したうえで、「変形」という生成方法を提示するものである。
著者
鈴木 研一 松岡 孝介
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-25, 2014-03-20 (Released:2019-03-31)
被引用文献数
1

本研究は,従業員満足度,顧客満足度,および財務業績の関係に関わる検証を,ホスピタリティ産業の一つであるホテル業を営む日本企業A社の,6年間に及ぶデータを用いて検証した.このような一連の関係を扱った研究は会計学の分野では非常に少ないために,マーケティング論および組織論まで含めて幅広く先行研究をレビューした.学際的な視点から見た本研究のオリジナリティは,(1)従業員と顧客が直接に相互作用する代表的な業種であるホスピタリティ産業において,(2)6年間もの長期間にわたって収集したデータを用いて,(3)従業員満足度→サービスの質→顧客満足度→稼働可能客室当り粗利益という一連の関係を同時に分析し示したことである.このことは,一連の関係を同時に明らかにした研究が限られている中で,実務がそのような関係を重視することの裏付けを与えたということだけでなく,サービス・プロフィット・チェーンやバランス・スコアカードといった多様な業績指標を含むフレームワークの妥当性を示す一つの実証的証拠を提示したという点で,一定の意義があると思われる.
著者
原 豊 酒向 俊明 水原 晋 新美 智秀
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.64, no.619, pp.972-978, 1998

Optical novelty filter based on the two-wave mixing in a photorefractive BaTiO<SUB>3</SUB> crystal is applied to motion detection for the purpose of its application to the robot vision. A simple method is proposed to realize the reflex vision system that a human being possesses. Our method uses a photo detector array to detect the output from the optical novelty filter and the detector element that obtains the highest signal is selected. By simulations using a simple animations, it is showed that the larger or the faster object can be detected in higher probability. Tracking a moving object is demonstrated with a 2&times;2 photo-transistor array and the selective circuit including the exclusive gate circuit.
出版者
日経BP社
雑誌
日経Linux (ISSN:13450182)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.47-55, 2006-02

いよいよ究極の「超」省電力マシンを自作します。任天堂のゲームボーイなどに使われている組み込みボード向けCPU「ARM」を使って,消費電力1WのLinuxサーバーを作ります。最初にARM用のバイナリを作成するクロス・コンパイル環境を構築します。 今回,組み込み用途向けCPU「ARM」を搭載したボードとして,梅沢無線などが販売している「Armadillo」(写真1)を使います。
著者
久島 裕 伊藤 悟 鵜川 義弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

ARシステムの活用を試みた本授業では、観光ルートの策定をテーマとした。すなわち、生徒自身が市役所の観光課に勤務しているものと仮定し、市外から来た観光客向けの観光マップに記載する観光ルートを考案することとした。当日の参加者は高校生2人1組のペア3組と指導する教師(授業者)1名である。<br> 授業者が各組共通に指定した3か所の観光スポットを結ぶルートの策定を求める一方で、「安全性(見通しのよさ、交通量、迷いやすさ)を意識したルート」、「商業性(観光客による商店の利用期待)を意識したルート」、「景観性(風情のある小道、歴史的な建物、自然)を意識したルート」のように、組ごとに相異なるテーマを意識しながらルート策定を行なうものとした。<br> 実施場所は高校から近い武生駅前商店街とその周辺である。上記で指定した3か所の観光スポットを含めて20か所近くのスポットをコンテンツとしてシステムに組み込み、それらの位置がエアタグで表示されるようにした。<br> 授業は60分の間に、まず、全員が一緒に出発地点からjunaioを使って歩き始め、3つの観光スポットの位置をエアタグでたどり、各地点に到着できたら紙の地形図に場所をチェックした。三つ目の観光スポットの位置を紙地図上でチェックできた後は各組に分かれ、タブレット内のエアタグと、周囲の様子を確認し合いながら観光ルートを思考、議論しながら回った。その際、ルート策定において重要と思われる要素(建物、道路、その他)があれば、タブレットを利用して撮影を行うこととした。 終了5分前までに出発地点に戻り、各組で考えた観光ルートを紙の地形図に赤ペンで書き込んだ。<br> ARシステム活用の効果としては、(1) 紙の地図と違い、画面を通して実際の様子を把握できるため、テーマに即した思考・判断が可能、(2) 紙の地図では城下町の街路形態から道に迷いやすいが、目的地の「方向」や「距離」を把握しやすい、(3) 調査時の生徒の楽しそうな様子から、生徒の関心・意欲の向上には大きく寄与した、などが考えられた。
著者
大西 宏治
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

地形図を読図し、地形図上の事象と眼前の景観を対照させて地域を観察することができる技能を育てることは重要である。しかしながら、地形図を読図することは教室の中でできても、景観と対照させる機会をもつことは難しい。また、地形図と景観を対照させる題材をみつけ、生徒を景観の広がるところに連れ出しても、一斉授業で行おうとすると次のような問題が生じる。眼前の景観と地形図とを対照させることを教示することがそれほど容易ではないことである。教室内の読図では地域の状態がそれなりに理解されているにもかかわらず、目の前に広がる風景と地形図がすぐには比べられず、その指導に多くの時間がとられてしまう。このような問題を解決することができるのがAR(拡張現実)を用いた地形図読図の授業である。今回用いたソフトウエアJunaioはスマートフォンやタブレット上で動作するものである。GISとGPS機能と連動し、あらかじめデジタル地図上に緯度経度で地点を登録すると、スマートフォンなどを景観に向けるとエアタグで登録した地点を景観上に示してくれる。この機能を活用することで、生徒に地形図の読図結果を景観上に確認する指導が容易になる。この機能が授業でどの程度有効で、どのような活用が可能なのかを実験授業を通じて検討することが本報告のねらいである。実験授業は富山高等専門学校商船学科および国際ビジネス学科の1年生(商船学科41名、国際ビジネス学科52名)を対象に実施した。高等専門学校1年生は学齢的には高等学校1年生と同等である。授業は必ずしも学習指導要領に縛られるものではないが、高等学校地理Bの教科書を利用しながら「地理」の授業を行っている。1授業が90分間である。授業テーマは放生津潟の開発と土地利用変化と設定した。放生津潟の大規模開発による富山新港設置について検討する授業を実施する。地形的な特徴と土地利用の変化を考えるためにAR技術を援用する。特に地盤高をARで確認し、大規模改変の詳細を考える授業を実施した。授業は次のように実施した。授業は連続して3時間ではなく、前期に1、2回、後期の3回目を実施した。<br>第1回:海岸地形に関する授業、第2回:放生津潟周辺の地形図の新旧比較、第3回:ARを用いた景観と地形図の比較、である。射水キャンパスは富山新港に近く、学校周辺の土地利用変化やその意味を考えることにつながる授業である。このキャンパスには商船学科があり、展望塔が設置されている。そのため、北陸の冬季の悪天候の中でも屋内から景観と地形図を比較する授業が実施できる。特に第3回の授業について記述する。授業の冒頭10分でAR技術とJunaioの使い方を説明した。次に端末数が限られるため、各クラスとも14名ずつに分け、展望塔に移動し、そこで地図と景観を比較する授業を実施した。教室に残る生徒には、本授業に関するワークシートの作業をさせた。<br>(1)新旧地形図上にエアタグの位置を記入、(2)新旧地形図から新たに造成した地域を確認、(3)工場の立地地点の特色の検討。授業を実施した結果から、生徒たちは地図とARでわかる情報を組み合わせることが容易にでき、地域の理解が進んだという感想が多く見られた。また、ARを利用したのち、地形図の理解が進んだというものも見られる。授業にAR技術を活用することで景観を利用した地理授業が一定程度効果的に実施することができることがわかった。しかしながら、機器の利用についていくつかの課題がある。たとえばデジタルコンパスはあらかじめ十分に準備しないと利用できない。また、景観と地図を対応させる十分に効果的な課題を授業で設定できるのかという点である。これらについてさらに検討が必要である。<br>
著者
青木 亮 谷川 浩隆 最上 祐二 柴田 俊一 狩野 修治 高梨 誠司 王子 嘉人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.157, 2010

[目的]精神疾患を併存する患者が外傷を受傷した場合、精神症状の評価、治療、管理等の不安要素から、一般病棟での受け入れ困難となる症例が多い。精神疾患を罹患した外傷患者2例について、その問題点など検討して報告する。[症例]症例1:48歳女性。精神科で統合失調症と診断され治療を受けていた。自殺企図でアパートから飛び降り、腰椎破裂骨折による腰髄麻痺、骨盤骨折、両踵骨骨折、左橈骨下端骨折を受傷した。他院救急部に搬送されて手術を受けたが、リハビリ目的のため、受傷後3週で30km以上の遠隔地である当院へ転院となった。腰髄損傷による下肢麻痺があり、車椅子への移乗も不可能であった。当初は精神科病棟に入院したが精神症状は落ち着いていたため整形外科病棟に移り、リハビリを中心とする治療を継続した。症例2:55歳男性。アルコール依存症とうつ病で治療を受けていた。自宅アパートの階段より転落し、外傷性くも膜下出血、頚髄損傷を受傷し、他院救急部に搬送され頚椎の手術を受けた。受傷後2週で当院に転院となった。下肢麻痺のため座位保持も困難であり、上肢も手指運動は大きく障害されていた。一般病棟でリハビリを中心とした治療を継続した。[考察]整形外科的治療を要する外傷を負いながら、精神疾患のため一般病棟での受け入れ困難な症例がある。その原因は患者側というよりも治療側、すなわち受け入れ側の精神疾患に対する先入観であることも事実である。当院は精神科と整形外科のある総合病院であり、精神疾患を抱える外傷患者を積極的に治療してきた。このため精神疾患のある外傷患者が、遠隔地より紹介され入院してきている。本発表2症例のように後遺症を残すような麻痺が生じた場合、退院、在宅支援への移行などの問題を抱えることが多く、これらに対応できる医療体制の確立は急務である。
著者
鈴木 幸子 高瀬 直彦
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.14-16, 1961
被引用文献数
1

高層アパートの階段昇降を歩行で職とする人を被検者としてエネルギー代謝を実験した。<BR>普通の階段上昇速度は毎分40m内外でエネルギー代謝率は10となりかなり高い, 下降時は毎分45m程度で3程度となる。駈け昇る即ち毎分70mとなるとそのエネルギー代謝率は26となる。下降時でも毎分70mでは6.8となる。1回の昇降時間は短いが, こうしたアパート配達を職とする人の中には1棟で4回, 30棟で120回と階段昇降するとなると生体への負担は相当大きくなるものと思わねばならない。エネルギー代謝率7程度でとどめるとすると上昇時毎分30m, 下降時70mまでである。<BR>これは年令的に若く, しかも職業人でこの値となるから一般人がこの速度ではエネルギー代謝率は更に大きくなることが予想されるのでアパート昇降時の毎分速度は, これ以上遅くする必要があろう。