著者
横山 真男 室谷 浩平 矢川 元基
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
計算力学講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp._213-1_-_213-3_, 2015

本研究では,粒子法の大規模並列計算により,ミルクラウンと呼ばれる水滴が落下し液相に衝突したときに発生するスプラッシュ現象を再した.解析モデルに対して,十分小さな粒子を用いることができければ,クラウン側面の壁厚さ方向に十分な粒子数を配置することができず,クラウン側面の壁に穴が開くという非物理的な現象が発生する.本研究では,十分に小さな粒子を用いることで,粒子法によりミクルラウンを再現すること成功した.加えて,本研究では,クラウン状の構造が消滅した後に形成される「こけし」の生成も成功した.
著者
浦島 匡 福田 健二
出版者
日本応用糖質科学会
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.155-163, 2018 (Released:2018-08-22)

人乳には常乳で12~13g/Lの濃度でミルクオリゴ糖が含まれている。ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)は若干の例外を除いて,還元末端にラクトース(Gal(β1-4)Glc)を含み,それにガラクトース(Gal),N-アセチルグルコサミン(GlcNAc),フコース(Fuc),N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が結合した化学構造を有する。人乳には240種類ものHMOsの存在が報告されているが,現在までに162の化学構造が決定されている。それは母乳栄養児の小腸内で大部分は消化・吸収を受けないで大腸に到達し,そこで有用性腸内細菌の増殖・定着を促進する,病原性細菌・ウイルスが宿主腸管上皮に付着するのを防止する,腸管バリア機能を持つ,壊死性腸炎を予防する,などの機能を発揮する。また一部のHMOsは吸収され,血液とともに体内循環する過程で,免疫を調整し抗炎症性を発揮する,脳神経系の成分の合成材料として利用される,などの機能も報告されている。HMOsと同一の化学構造を有するオリゴ糖を産業レベルで利用するためには,大量に合成する技術がネックとなっていたが,近年少数のHMOsのグラム単位での合成方法が開発された。それに伴って,合成HMOsを使用したin vivoでの機能探索研究を行った論文が多数報告されるようになり,糖質科学の中でもっとも活発な研究領域になっている。合成2'-フコシルラクトース(2'-FL)を添加した育児用調合乳の製造販売も開始され,今後HMOs関連糖質を使用した食品素材や医薬品素材の開発によって新たな産業が立ち上がってくることが予想される。本総説では,近年報告されたHMOsの機能研究の中でも,脳神経機能への刺激,腸管での吸収と体内動態,腸内細菌叢の調整に関わる例とともに,少数のHMOsを添加した人工調合乳を摂取させたヒト乳児への介入試験例を紹介する。その中で,HMOsの機能研究や利用に関わる将来を展望する。
著者
郡司 博史 酒井 敏
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.92-93, 2002

A milk crown is a very attractive phenomenon. However, it is very difficult to catch a continuous picture. Therefore, there is almost no systematic research. Then, with the digital Video Camera, we took the continuous image and analyzed them. The parameters of the experiment are the velocity of the waterdrops which collides with a thin liquid layer, the depth of a liquid layer, and the viscosity of fluid of the experiment. Surprisingly, we found that crown-like structure at about 10ms to 30ms after the collision of waterdrop expand at the same speed unrelated to the parameters.
著者
福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.514-520, 1999-09-20

時よ止まれ! 天文現象に限らず,たとえばミルククラウンのように,ある瞬間に自然が描く姿には,意外な美しさがある.そのような時を凍らして得られた等時曲線の中から,カリストエクスプレスの描く美しい曲線に関して考察した.今回は,カリストエクスプレスの紹介と,天文現象におけるいろいろな等時曲線について概観する.
著者
深澤 克朗 沢登 千恵子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.85-96, 2018

<p> 本稿は,2017年の第25回情報知識学会年次大会において発表した「和歌集における計量分析と機械学習による判別」の続編としての研究報告である.分析対象は,鎌倉時代初期から室町時代中期までの「十三代集」と呼ばれている勅撰和歌集である.前回の発表は「八代集」であり,これで勅撰和歌集「二十一代集」の計測を完了するものである.<br/> 分析手法としては前回の研究と同様の計測を行うものである.具体的には,和歌集間での品詞使用率の統計的な差や,また季節歌と恋歌に関して名詞率とMVRとを調査し,そして同様にNaïve Bayesにより判別を試みた.さらに,この時代は武士政権の時代であるために,「武士歌」もより多く選抜されてきている.その「武士歌」についての特徴について主成分分析法による計測を試みるもので ある.</p>
著者
斉藤 康彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.25-32, 2009-01-16
参考文献数
6
被引用文献数
2

歌集中に一定の回数以上出現する,一定の長さ以上の文字列を抽出し,これらの文字列に基づいて歌集を比較する分析方法を示す.古今和歌集と新古今和歌集の比較分析に本方法を適用した結果,抽出された文字列について,次のようなことが確認された.古今和歌集では,作者の心情を表出する表現が多く,恋歌の部立では,「こひもするかな」「ひとのこころの」がよく使われている.新古今和歌集では,自然の景物を指し示す表現が多く,特に秋や月に関わる「あきかぜぞふく」「あきのはつかぜ」「あきのゆふぐれ」「あきのよのつき」「あきはきにけり」「ありあけのつき」「はるのよのつき」などを含む歌は,歌集中の特定の箇所に集中して出現する.
著者
松岡 みゆき
出版者
名古屋大学国際言語センター
雑誌
名古屋大学日本語・日本文化論集 (ISSN:1348804X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.37-57, 2017

本稿は、従来の品詞分類で「感動詞」に分類される一音節語「あ」について、それが運用されることの意味(聞手の解釈にどう影響するか)という観点から考察し、その機能を提示したものである。「あ」は (1)弁別刺激の同定・描写、(2)弁別刺激に関連する情報の取出し、(3)弁別刺激からの状況判断といった話手の反応(これをまとめて本稿では「気づき」と表現する)を示すマーカーであると考えられる。このマーカーを用いることで、聞手に対して(聞手のおこなう解釈に対して)特定の働きかけをおこない、結果として、言語場の創設または聞手に配慮することによる言語場の保持に貢献する。
著者
井上 学 坂本 泰隆 竹内 美江 永井 敏和 西村 泰典 柳澤 紀夫
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.323-328, 2014 (Released:2015-04-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ハチクマの巣への搬入餌動物を常時観察するために,前年に繁殖が確認されたハチクマ1つがいの巣の直上にCCDカメラを設置した.搬入餌動物の変化を見ると,求愛期から抱卵期には,餌を巣にほとんど搬入しないこと,育雛期のハチクマの主要な搬入餌動物はハチ類とカエル類であることがわかった.育雛期に主に搬入するハチ類について,雄はスズメバチ属が多かったが,雌はクロスズメバチ属が多かった.